硝子が釣り上げたのがどうやらアメマスだったようだ。

イワナに何となく似た感じの魚だなってアメマスはイワナの一種か。

なるほど、これがアメマスなのか。

何となくヤマメとイワナって似ているし、よくわからないと頭の中で混ざっちゃうよな。

硝子が先に釣り上げちゃったな

やりました!

無邪気な笑みを硝子は浮かべてくれる。

これであんまり楽しい物じゃないですね。って言われたらどうしようかと思ったけど、杞憂だったようだ。

よーし! 俺も負けてられないな!

はい! 今日は何匹釣れるか競争ですね!

ふふふ、師匠のポジションを早々に手放しなどしないぞ

負けませんよー!

それはこっちだって、経験者の腕前を見せてやる

って感じでなんとも楽し気な感じで俺達は釣りを楽しみ始めた。

思えば釣りを誰かと一緒にやるってあんまりしてなかったから新鮮な感じだ。

こう一人で釣りをするのとは別の楽しさがある。

前に釣り仲間と一緒に釣りに行くんだ! って思ってたけど実現してなかったもんな。

電気ショック

釣れたペン!

クリスとブレイブペックルにも釣りを指示していた訳なんだが各々ドジョウやコイ、ウグイにスナヤツメを釣っているのを確認している。

硝子が釣ってすぐに俺もアメマスを釣り上げたぞ。

確かに竿にかかる手ごたえはなかなかのものだ。

それなりに良い釣り具とマスタリーを取ってないとすぐに針が外れる位には難易度がある。

ちなみに硝子、絶対に負けたくない場合は電気ショックリールに付けてあるボタンを押すと良いぞ

わかりました。けど良いんですかね

邪道なのは認めるけど使わないと釣れそうにないのも引っかかったりするからあるに越したことはないんだ

なるほどです

なんて感じでいざって時の予防線の説明をしながら俺達はアメマス釣りを続行する。

一度釣れる場所がわかれば後は粘ればいいだけだ。

俺も硝子もだんだんと手馴れてきたぞ。

ちなみに硝子はアメマスでムニエル以外だと何が食べたい?

え? そうですねー闇影さんの話では水っぽいそうですから、何か問題を解決する方法は無いのでしょうか?

水気を抜くって事で塩漬けとかすると良いかもしれない。ただ、ちょっと設備が必要になるな

干物を作る感じになるからどこかで機材を作るべきだろう。その辺りは細工が必要か罠技能で代用できればいいんだが。

天日干しにするか一夜だけ漬ける一夜漬けも試してみるのが良いかもしれない。

ちなみに川魚だから刺身はするべきじゃない。

なんでも刺身にすれば良いって訳じゃないんだ。

色々と調理方法がありますね

そうだなーま、最近は色々と高級食材を食べ過ぎてるし、アメマスだと物足りなく感じちゃうかもな。そうならないように工夫するよ

絆さんに任せっぱなしですね

料理は俺より上手な人はいると思うけどね。魚料理は譲らないようにしておくよ

ブレイブペックルのアシストなんかもあって料理はそれなりに出来ている自覚はある。

けどそれは俺自身の実力で出来ている訳じゃない。

専門の人には劣るだろう。そもそも俺は釣りがメインでサブが解体って感じなんだしさらに料理までとなるとちょっと手が広くなりすぎてしまっている。

釣ったアメマスで何か良い料理を作れれば良いんだがなー。

作れる料理レシピなんかも素材の応用とか効いたりするから絶対の信用とかはできないんだ。

ロミナはあっさりと見極めて作るけどさ。

絆さんは本当に魚が好きなんですね

そうなるのかな?

なんかマイブームって感じで釣り特化をしちゃってるんだけどね。

なんて話していた所で、ガクっと硝子が体勢を崩した後、急いで竿を引き上げる。

竿が思いっきりしなっている。

この曲がり具合は相当の大物だ。少なくともアメマスの比じゃない。

な、なんかとてつもなく強い引きが来てます! ど、どうしたら!

釣る時の動き自体は普段通りこれまで教えた通りにやって行けば良い

こりゃあ硝子の竿にヌシが掛かったとみて良いかもしれない。

そうじゃなくても相当の大物であるのは間違いないぞ。

リールを回しながら硝子がファイトを始めた。

俺が教えた釣り方を忠実に再現しながら水しぶきを上げる大物との戦いだ。

主との戦いを俺以外の奴が行っているのを初めて見た。

ここは素直に成り行きを見守るべきか? いやこのディメンションウェーブというゲームにおいて主相手にまともに釣り上げるのはそう簡単な事ではない。

くなんていう力強さでしょう

硝子、電気ショックを使うんだ!

現実の釣りだったら風上にも置けない電気ショックであるがこのゲームじゃ魔物も釣れる訳だからやらねば釣れるものも釣れない事だってある。

バチバチと釣り糸から電気が走って水面の影に電気が通るが、屁でも無いかのように主は暴れているように感じる。

く何かできることは無いか。

出来ることはある! 今までの主釣りの時だってやってたじゃないか。

ぺーん!

前にもやったようにペックルを使って主のスタミナを直接削るサポートを俺は指示した。

ついでに弓矢を取り出して硝子が釣ろうとしている主へと狙いを定める。

くうううはあああ

キリキリと硝子がリールを巻き取りを行う。

その間にもクリスが主の影に攻撃を仕掛け弱らせる。

くっそ引っかけたのが硝子だからかこの主、水面に姿を現さないぞ。

なめてんのか?

いやそれだけ力が強いって事か。

なんだかんだ言ってここは最前線ともいえる釣り場なんだ。

何より硝子はフィッシングマスタリーの技能は高くても他の技なんかは未収得だろう。

まだまだ経験が足りない中での主との戦闘なんだ、上手く行かなくて当然かもしれない。

どちらにしても俺がサポートをしなくちゃな。

あ! 硝子! あの主、流木に糸を引っかけようとしている! 絶対に引っかけさせるな! そのためなら逆に振らなくても良い! 糸を切られるのが一番の敗北だからな!

は、はい! なるほど、地形もしっかりと把握しないといけないのですね!

主が流木らしきものの影に回り込んで糸へのダメージを狙っているのがわかったので硝子に注意する。

俺の注意を聞いた硝子が糸が引っかからないように竿を振るってその抜群な運動神経で跳躍して回り込んだ。

おお凄い安定の動き。

って見とれている暇はない。

電気ショックを定期的に与えつつ、クリスが主へと攻撃を続け、俺が弓矢で攻撃をサポートする。

くしぇりるの銛とかの方が効果的な攻撃だったか?

右へ行ったら右へ、左へ行ったら左へと硝子は回り込んで主の抵抗をいなし続ける。

喰らうペン!

水竜巻を起こしたクリスが主へと攻撃を当てる。

良い感じにダメージは入っているのはわかる。

現にさっきよりも水面に近いくらいに主が浮上してきている。

うううう

ギリギリギリっとリールが音を立て、思い切り竿がしなり続ける。

これが醍醐味って奴だ。

よし! 水面に顔を出させられるぞ!

バシャっ! っと主が水面から飛び出して姿を見せる。

その姿はパッと見だけどアメマスに似ている。

けど何か違うのがわかるな。まずは釣り上げなきゃ始まらない。

まるで勝利を確信したかのような飛び出しをした主が空中でクニっと体をくねらせて糸へと攻撃をする。

するとバチっと糸がキレイに切れ、硝子が体勢を崩してしまう。

このまま逃がすか!

ほぼ無意識に俺は弓矢を落として釣り竿に武器を変え、ルアーを勝利を確信したであろう主の顔硝子が引っかけた口にルアーをぶつけていた。

ガクンと俺の竿がしなる。

き、絆さん!?

おっと、予想外に上手く行ったぞ。

ある意味、これもフィッシングコンボって奴かもしれない。

まさか主を逃しそうになった直後に他の釣り人が掠め取りができるなんてな。

後は任せろ!

くぬぬぬぬ

電動リールで急いで巻き取りを行う。

くこの主、やっぱり硝子の時は手加減でもしていたんだな。

俺が引き継いだ途端、正体を現したとばかりに水面で暴れだす。

バシャバシャと水面に顔を出しては糸を尾びれ等で攻撃するし、流木に引っかけようとする。

ナマズ並みに性格が悪いぞこいつ!

なので俺も騎乗ペットに乗り込んで小舟で回り込んでやった。

このウサギ俺を支える力が凄いぞ! 座ったままだけどめちゃくちゃ安定する。

食らえ電気ショック!

バチバチっと水面がスパークした。

補佐コンボ

ていていペン!

クリスが張り付きからの攻撃を続けてくれていた。

私も絆さんのようにはあ!

今度が硝子がサポートをするとばかりにルアーを付けなおして、ヌシの体に絡みつかせる。

俺が付けている糸に絡むか心配だったが逆方向から主へと巻き込みを行って動きを封じる考えの様だ。

なんていうか器用だな。

ダブルで電気ショックを掛けるぞ!

いっせーのせ!

バチバチとダブルの電気ショックが発生し、水面が光る。

が、主の奴まだ抵抗をする。

どんだけ体力があるんだよ。

はああああ! 一本釣り!

グイっと引き上げにかかるがフィニッシュには至らない。

って所で俺を支えるライブラリ・ラビットが懐からなんか札っぽい物を出して主に投げつけた。

ズーンと、主の動きが遅くなる。

鈍足の状態異常攻撃? 結構便利なオート攻撃できるのな。

体力に自信があるようだが、これはどうだ!

竿を素早く上下させてルアーに衝撃を与える。

するとザシュっと血のエフェクトが発生した。

どうやら攻撃性能のあるルアーはこういう時に効果を発揮してくれるみたいだな。

もう一度行くぞ!

ギュイイインっと電動リールが高速回転を行い、糸を巻き上げに入る。

そこから電気ショックをお見舞いしつつクリスの突撃が掛かる。

硝子の巻き込みはまだ効果がある状態で、一気に仕掛けた。

ザバァっと主が俺たちの力に負けて岸へと文字通り引き上げられた。

ビチビチと岸に上げられていながらもまだ抵抗するかのように跳ねている。

逃がすかってな!

そのまま硝子と一緒に湿原の沼へと入らないように岸側に引き上げ終えると、やっと主は大人しくなった。

よし! 釣り上げ完了っと

主の口から硝子が逃しそうになったルアーを外して俺もルアーを取る。

一時はどうなるかと思いましたがやりましたね!

ああどうにかな

俺達は釣り上げた主へと視線を向ける。

その主は3メートル半くらいある、大きなイトウ。ヌシイトウだった。

これが主を釣るという事なんですね絆さんが夢中になっている理由がわかりました

ええ、今まで私は単純にすごいと客観的な目線で見ていたんです。それが自ら引っかけ、攻防を経験したおかげでわかりました。ヌシとは魔物との戦闘をする私からすると文字通りボス魔物だったんです

いや、それは至極当然の事なのでは?

釣りオンリーってぐらい釣りをしている俺からすると何か違いがあるのだろうか?

絆さんからすると最初からそうだったという事なのは今になってわかったに過ぎないんですただ、今まで私は見てただけで何も知らなかったんだと実感したという事です

硝子が自らの手を見つめている。

絆さんが釣り上げたお陰で逃がすことはありませんでしたが私の負けであるのは事実ですね。ですが、次こそ負けられないです。なんとも面白いです

なんか硝子が釣りの楽しさを理解してくれたようで何よりだ。

さて、じゃあ早速魚拓を取っておこう

ヌシイトウの魚拓写真を手で形作って撮影っと。

お? 騎乗ペットが撮影に反応してヌシイトウを持ってくれる。

クリスと一緒に居たブレイブペックルもカメラワークに入ってくるぞ。

撮影に反応するAIかまあ良いか。

あとで紡達に見せてやらないとな。硝子がヌシを引っかけたって

絆さんが釣り上げたんじゃないですか

引っかけたのは硝子さ、俺は補佐したまで、何せ師匠なんだから、弟子の尻拭いや後悔が無いようにするのは当然だろ?

なるほどそういう考えもありますかふふ、優しい師匠ですね

なんとでも言ってくれれば良いさ。

さて、このヌシはみんなに見せるから置いておくとして、今日の分のアメマスを釣るぞー

一旦ここで休憩とかせずにやり遂げるんですね

休憩を取るとかは良いけど、先にやっておいてみんなが来るまで休みたいだろ? 何なら硝子は休んでてくれても良い

いえいえ、なら私も続けますよ。ただ、主を釣る余韻をもう少し味わって居たかっただけですから

もちろんやることを終えたら楽しむさ

みんなが来るまでニヤニヤすれば良いのだ。この勝利の美酒を味わいながらの釣りもなかなか楽しいってもんだよ。

なんて思いながらクエストと今晩食べる分のアメマスの確保を俺達は行ったのだった。

またお兄ちゃんが釣り上げちゃったね

随分と頻度が高いんじゃないでござるか?

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