ハイディング・ハント

さて……専用スロットという項目を確認する。

狩猟具武器スロット

武器/初心者用狩猟具

説明/ユニークスキル、狩猟具を取得した者に贈られる初心者用特殊武器。

特殊な力で該当の武器を連結させる力を持つ。

単純に装備武器枠が増えてる? どういう事だ?

そう思って道具欄から出現させるとガラス玉みたいな代物が出現した。

「なんだこれ?」

これが狩猟具? と思って握る。

――該当武器をセットしてください。

すると所持している武器の一覧が出現した。

解体武器と釣り竿、それと弓が入れられるっぽい。

ほかにも入るのかもしれないけど俺が今道具枠で持っている物はそこまでないな。

ツルハシやドリルは入らない。

掘削だから当然か。

あ、狩猟具マニュアルって道具も道具欄にある。

説明は大事だよな。

――狩猟具は狩猟に該当する武器を狩猟具と呼ばれるコアにセットする事で即座に変化させて戦うことができます。

武器の持ち替えをする際の隙を無くし、スキルを意識することで該当するスキルへと武器変更が可能です。

素早く武器を変えることで、今まで繋がらなかったスキルが即座に放てます。

あれか。

釣り竿から解体武器に態々持ち替えなくてもスキルが使えるようになるって感じの武器みたいだ。

とりあえず……セットして見て試し打ちするのが良いな。

俺はスロット部分をチェックして武奈伎骨の釣り竿と青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>を入れて……あ、同じカテゴリーの武器は重複で入らないっぽい。

釣り竿、釣り竿、釣り竿みたいに入れられないのか。

ちょっと使い勝手が悪いな。

敵によって同じ武器種でも持ち替えとか必要になるだろうに。

まあシステム面に文句を言っても始まらない。

あ、エネルギーブレイドが装備に入れられる。

重複しているような気がするけど問題ないみたいだ。

ややガバガバな感じだな。

初心者用狩猟具

■武奈伎骨の釣り竿

■青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>

■高密度強化エネルギーブレイドアタッチメントⅤ

とりあえずこんな感じか?

「よし」

っと思っているとガラス玉が釣り竿に変化した。

俺が所持している釣り竿のリール部分にガラス玉が嵌っている。

変化したギミックって事かな?

「性能が変化したっぽいけど……」

適度に振るって確認するが……素振りじゃよくわからないか。

ただ、フィッシングマスタリーが無いのに使えるので問題はないはず。

「ヘイト&ルアー」

スキルを空撃ちして確認……スキルは初期化されてないので取得すれば使える。

「からのクレーバー」

スーッと飛んで行ったルアーが壁に当たった所で消えて武器がフッと形状が冷凍包丁になってクレーバーが放たれる。

「ふむ……」

こんな感じなのか……ちょっと癖はあるけど即座に別のスキルを放てるのは確かに優秀かもしれない。

問題はチャージスキルとかはどうなんだ?

釣り竿に武器チェンジで戻してブラッドフラワーを意識する。

すると……釣り竿状態でチャージが始まった。

「おお……別武器を使用しながらチャージが出来るのか……これは便利かもしれない。ヘイト&ルアー」

で、釣り竿のヘイト&ルアーもしっかりと発動して飛んでいく。

「ブラッドフラワー!」

直後にブラッドフラワーを放つとほぼノーアクションで武器が即座に変化してブラッドフラワーのモーションが発生したぞ。

中々隙が無い構成のようだ。

一番の問題はこれって硝子や紡みたいな反射神経が優れた人が使った方がより効率的な運用ができるって事だよな。

後は戦闘スキルか。

使えるスキルは……ハイディング・ハント?

「ハイディング・ハント」

するとフッと俺の姿が半透明になった。

んー……このエフェクトって隠れた的な感じだろうか?

狩猟だから獲物に気づかれないようにするって事だろう。

まあ、初歩スキルってこんなもんかな?

隠蔽系のスキルや魔法は闇影が使っているからあるのは知ってる。

『絆さん』

あ、そういえば硝子とまだ話をしている途中だった。

検証の為に意識の外にしてた。

『持ち替えの隙が無くなるスロット武器って要素みたい』

『中々便利なのではないですか? 片方の手でそれぞれ持つのとは別に使えるという事ですよね』

確かにな。

『ただ、問題として俺よりも他の人が使った方が有用だったかもしれない』

先着1名の特殊スキルを俺が取っちゃって申し訳ない気持ちにもなる。

こう……周囲への期待とか、イベント時に絶対に活躍しなきゃいけない重圧みたいなものを感じてしまうな。

『取得が大変なものですし、気にしたって意味はないと私は思いますよ。とにかく、明日からの活動が楽しみになりましたね』

『そうだな。夜に悪かったな』

『いえ、むしろ直接絆さんの部屋に行けばよかったです』

それを言ったらしょうがない。たまたま見つけてちょっと相談って感じだった訳だし。

『皆さんに声を掛けましょうか?』

『闇影も寝てるし、明日で良いよ。そう騒ぐ物じゃないって』

精々検証として港辺りに夜釣りに行くとかするのが良いかな。

『そうですか?』

『ああ、という訳で悪かったな。硝子。ゆっくり休んでてくれ』

『いえいえ、相談してくれてありがとうございます。では失礼しますね』

って感じで硝子とのチャットを終えた。

「さてと……ちょっと検証の夜釣りにでも行くか」

俺は釣り具を手に夜釣りへと出かけることにした。

カルミラ島は夜でも相変わらず賑やかな所はにぎやかだけど……狩猟具のスキルを取得する際に最大まで取った夜目の影響で見える範囲がかなり広がっている。

夜の暗さがあまり気にならなくなる程度には物が見えるようになったなぁ。

「ユニークスキルを取得した奴がもう現れたらしいな」

「狩猟具っていうのか……なんか変わったユニークスキル名だな」

「だな。概念的な代物なのかね? そもそも唯一のって所がいやらしいな」

「放送を聞く限りだと12個存在するユニークスキルみたいだけど……どこの誰が手に入れたんだろう」

ってプレイヤーが世間話をしている声が、前より大きく聞こえてきた。

これも狩猟具の補正なんだろうか?

どうにも今までよりも感覚が違う。

ユニークスキルの影響でスキル構成が大きく変わったのでしょうがないが、慣れるのにちょっと時間が掛かりそうだな。

なんて思っていると何か少し離れた所で隠れている奴のシルエットが確認できるようになった。

あのシルエットは何だろう?

歩きながら俺から一定の距離を取って近づくシルエットを見つめていると……。

「なあ、絆ちゃんがこっちに気づいてね?」

「そんなことは無いではずでござるよ。吾輩達は絆ちゃんに不埒な輩が付かないように、温かい目で見つめているだけ。きっとあっちに硝子ちゃんか闇影ちゃんがいるのでござる」

「硝子ちゃんと仲良く釣りをする二人をみたい」

「釣りをしてるらしいって話だもんな」

「そのSSを撮ってみんなで作る本の資料にするんだ。ニンニン」

……俺のファンクラブを自称する連中であるのは何となくわかった。

隠れて見張っているのか。接触はNGでも隠れて見られるのは勘弁してほしいな。

かなり便利だな……本当に。気配察知も完備か。

あまり目立つ接近をしてきたら注意しようと思ったけど……新スキルを使って驚かせて見るか。

「ハイディング・ハント」

フッと俺が半透明になって移動する。

「き、消えた!?」

「絆ちゃん、目立ちたくないって事で姿を消すスキルを習得したのか?」

「それにしたって隠蔽系の難点である影やわずかな足音すらしてないぞ。俺の気配察知スキルでも見つからないって所を見るに帰還アイテムでも使って城に戻ったんじゃね?」

んー……結構隠蔽能力が高めの潜伏スキルみたいだな。足も少し早くなるのが分かる。

検証はこんなところで良いか。

とにかく、港の桟橋で釣りをしようっと、ファンクラブの連中を撒いて桟橋に到着した。

……一人で釣りをするのもなんだし、クリスとブレイブペックル辺りでも呼び出して一緒に釣りをしよう。

と、俺はペックルを呼び出して釣りを指示し、夜釣りに勤しんだのだった。

獲物事態はヌシとか大物は釣れなかったけれど、今までと特に感覚の変化はなく釣りをすることができた。

フィッシングマスタリーを再取得することの条件を満たしたし、取得すると前よりも釣り竿の動きのキレがよくなったような気がしてきた。

ちょっと腕が上がったような気分。

そんな感じで息抜きの釣りを終え、夜がかなり更けたころに俺は改めて城の部屋に戻り就寝した。

翌朝……奏姉さんが――蒸発した。

分業作業

『現在この方の電源が切れているか電波の届かない所にいるため、お繋ぎできません』

姉さんの姿が見当たらないのでチャットを送ったらこんなメッセージが帰ってきた。

「大きなブレイブペックルが召喚出来ない……姉さん、色々と気にかけてあげたのに恩を忘れて高跳びとはとんでもない奴だー」

「そうだそうだーお姉ちゃん酷いよー!」

俺と紡は姉さんが朝食を用意するはずなのにいない状況でそう発言する。

もちろん、違うことはわかっている前提でのネタ発言だ。

「えーっと……さすがに違うのではないでしょうか?」

「奏殿はそんな恩知らずじゃないでござる」

「……そう?」

しぇりるは工房に籠り切りだったから姉さんのことはあんまり知らないので反応に困る顔をしている。

挨拶はしたけどさ。

「まあ、絆君達の様子から考えてネタで言ってるように見えるから本気で答えなくても良いと思うよ」

「まあねー」

食堂で起きてくるはずの姉さんがいないために今朝は俺が料理をすることになった。

もちろん俺は昨日の夜に釣り上げた魚を焼いた焼き魚定食としてみんなに振舞ったぞ。

それと姉さんが作り置きしておいた品を数品。

「マジレスすると、アルトみたいに姉さんもついに昔のフレンドに呼ばれたって所かな?」

「だろうね。元々彼女には行方知れずのリーダーがいた訳だしね……おそらく彼女に呼ばれたのだろう」

「あ、その人と知り合い?」

「ああ、人柄は良いと思う」

ロミナの知り合いでもあるっぽい。

まあ、俺たちの中だとこの場にいないアルト以外で顔が広いのはロミナだもんな。

「絆くんも声くらいは聴いたことのある人物だよ」

「へー……」

「考えてみれば、どことのなく絆くんと似ている所があるかな」

誰だろ? パッと出てくる気がしない。

何にしても姉さんは行方知れずになったって事で、どこかでまた連絡してくるだろう。

後々アップデートで追加される場所にいるんだろうしな。

「それで絆くん。昨夜の放送で流れたユニークスキルは絆くんが取得したという話だったね」

「ああ、唯一スキルで狩猟具って名前だった。武器としてはこんな感じ」

と、俺は武器を取り出してみんなに動きを実践して見せる。

「武器チェンジの隙がほとんどないね。いろんな武器をコロコロ変えるお兄ちゃん向けって感じだね」

「確かにそうですね」

「武器の形状変更は硝子くんが持っている大鯰の扇子も似たような力は持っているけどね」

「より変化に特化した武器って感じかな。とりあえず初心者用って事だから強化なり強い武器に乗り換えとかできると思うんだけど、とりあえずロミナ、見てみてくれないか?」

俺はロミナに狩猟具のコアを差し出して見て貰う。

どうやら受け渡しは不可な装備品らしいけど、確認はできる。

「ふむ……なるほど、こんな独自ギミックのある武器が存在するのだね。唯一って事は絆くん専用の武器という事になるのだろうけど」

「アップデートを繰り返す内に廉価版みたいなのが出るんじゃない?」

「そんな元も子もない。ロマンに水を差してどうするんだい」

ロミナに注意されてしまった。

ノリに合わせないのは無粋かな、やっぱり。

「ちょっと羨ましいでござる」

「ほかに無いかみんなで探して取得すればいいんじゃないか? いろんなスキルを取ってたら見つかるかもしれないぞ」

「条件がかなり厳しそうだけどね。そこまで手広く器用貧乏と呼べるくらい取っていたのなんてお兄ちゃんみたいな人だけだと思うな」

「そうでござるな。やっぱりゲームの方向的に色々と手広くするのが大事そうでござる」

まだまだ考察の余地はあるって事かね。

運営的にはセカンドライフを売りにしているからプレイヤーが様々な経験をする事で有利になるかもしれない、みたいな感じなんだろう。

「お? どうやらこの狩猟具という武器の要となる器の部分も生産することが出来そうだ」

ロミナが色々と調べている間にわかったようだ。

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