いや、ゲーマーならその辺り意識するのかもしれないけどね。

高速周回とか如何に効率よく回るかとかあるから。

「そう何度も攻略する?」

「あー……みんなの分の装備素材用に周回とかあるからじゃない?」

「そうだね。メモリアルクエストだと報酬少ないし、レアドロップなんて狙ったら何周もしないといけないよ」

あ、そうなんだ?

「私たちは装備がかなり充実してますのでハンデが必要か怪しいですね」

「んじゃこっちもそこそこ装備を固めていくから競争をしてみようぜ? そうすりゃ楽しめるし次は絆の嬢ちゃんとパーティー組んでいきてえからよ」

「その心は?」

「絆の嬢ちゃんが居ると面白いイベントが突発で起こりそうなんで目が離せねえ」

「そんなことは無いと思うから気にしないで良い」

何処でも妙なイベントに巻き込まれると思ったら大間違いだ!

「でもありそうよねーメモリアルクエストのはずなのに妙なイベントが発生とか」

「……」

「……」

ねえみんな? なんで黙って顔をそらすのかな?

俺ってそんなに信用無いの?

「競争じゃなくて絆の嬢ちゃんが気になるから後ろをついていきたくなってきたぜてりす」

「らるく、てりすも気持ちわかるわー」

「硝子、みんな! ちゃっちゃか行くぞ!」

このまま雑談をしてたら、大パーティーで参加することになりかねない。

不参加になってしまったダンジョンをササっとクリアするのだ。

「ここが終わったら島主が見つけたダンジョンの方にも挑戦するのじゃ」

「わかった。んじゃ行ってくる」

って事で俺たちは砦にあるダンジョンの入り口にアクセスして挑戦することにした。

入場料の設定があるけど俺たちは同盟ギルドで顔文字さんの許可プレイヤーなので最低料金で入れるようだ。

ここは領主でも弄れない最低金額が存在する。あれかな? ダンジョンの修理費的な扱いのシステム。

砦の扉をくぐって進んで行くと……

メモリアルクエスト『大地の四天王ダインブルグの砦』

シークレットクエスト『ダインブルグの苦悩』

『ダインブルグの狩猟』

リーダー   1 絆†エクシード

サブリーダー 2 函庭硝子

メンバー   3 闇影

4 しぇりる。

5 紡†エクシード

6 ミリー

と、パーティーを組んだ編成で表示された。

なるほど、メモリアルクエストってこんな感じなんだなー。

所でシークレットクエストとも出てる。

そんで砦内に俺たちは入る。

「早速メモリアルクエストに挑戦だね」

「クリアして入り直すとボスや魔物、ギミックが復活する感じなんだよな?」

「うん。ぶっちゃけ変わらないかな」

「そうだろうな」

「それでお兄ちゃん。攻略情報があるんだっけ?」

「ああ、妙なメールが届いてマップに反映されてるな」

ご丁寧にマップに何があるのか表示されている。

顔文字さん達も楽だっただろうなー。

所でみんなシークレットクエストに触れないのはメモリアルクエストとはこう言ったものも含まれてるのかな?

「何にしても進んで行きましょう。ふふ……久しぶりに絆さんと冒険ですね」

「あっさりと進めそうでござるがボスは苦戦するかもしれないでござる」

「一応、ノジャさんの方のマップとは配置が色々と違ったわね、絆さん達が罠の解除が上手で困らないお陰ね」

「……そこはー」

ここは素直に言うべきか?

闇影をフッと見る。

お宅の娘を蟹工船させました! って。

言うべきだろうか?

「絆殿、紡殿、自爆はしないで良いでござる」

く……闇影に先に注意されてしまった。

「絆殿たちとカニ籠で技能上げをしたお陰で罠の技能はみんな完備してるでござる」

「闇ちゃんつまんなーい。お兄ちゃんが私たちで蟹工船したんだよ!」

「紡殿はネタに走らなきゃ死んじゃうでござるか!」

まあ、紡だしな。

金持ちの娘さんを奴隷のように使いましたって言ったらリアルでどんな報復されるか想像できなかったんだろう。

「うふふ。それを言ったら私は絆さんを都市解放まで毎日化石掘りの重労働させちゃったわよ? 炭鉱夫ね」

「母上?」

うわー……ミリーさんの方が一枚上手というか大らかな反応だ。

親子で過去に存在した過酷な労働者を揶揄するのやめような。

「本当に嫌だったらあなたは言うでしょ? 絆さんとも話をしてて本気で嫌がることをする子じゃないでしょ?」

「そうでござるが……」

「なら良いじゃない。噂になっていたし知ってはいるわよ。カニ籠漁で釣りと罠技能を高速で上げれる仕事ってね」

大人な対応だなーまあ、結果的に闇影はイベントで大活躍したスタープレイヤーな訳なんだし。

色々と鼻が高いのかもしれない。

「頑張って行きましょうね」

「はい。母上」

闇影もミリーさんと仲良く挑戦って感じだな。

ダインブルグ

そんな訳で砦内を進んで行くことになった訳だけど……正直に言えばサクサクと進んだ。

そりゃあどんなギミックがあるのかわかっていたら苦労もくそもない。

挑戦自体は初めてだけど事前知識がある……ネットの攻略サイトや動画なんかで先にプレイを見てたら誰でもクリアできるのと同じような感じで問題なく進めてしまう。

しかも出てくる魔物はあんまり強くないからなー……みんな装備が大分揃ってるし苦労せずに進めてしまった。

ちょっと失敗だったかもしれない。魔物もそこまで脅威とは言えなかった。

「よーし、行くよー!」

「そう……お先に、ライトニングスピア」

しぇりるがやる気の紡を出し抜く形で……銛が雷になって投げつける。

ドスっとダインブルグホーンソルジャーに刺さって元の銛に戻り消滅して手元に返ってきた。

新技みたいだ。

俺の留守中に技を習得したんだな。

「あ、しぇりるちゃんずるーい! 私だってやるよー! シックルザループ!」

紡が続いて大鎌を縦に勢いよく投げつけると高速回転した鎌がダインブルグホーンソルジャーに飛び掛かって戻ってくる。

「はい! よいしょ! それそれ!」

見ると回転する鎌の中心に鎖のようなものが発生していてヨーヨーみたいに手元に戻ろうとしているようだ。

鎌とヨーヨーを合わせたような攻撃って感じか。

ループザループとかいう技だったような覚えがある。

昔、紡がヨーヨーでそんな技を披露していたのを思い出した。

ジャリンジャリン! っと派手なエフェクトを起こしてダインブルグホーンソルジャーに何度も攻撃が命中していた。

連続攻撃系のスキルのようだ。

「お兄ちゃんみたいに一気に削りはできないかー」

「でも着実にダメージは入ってますよ。攻撃を止めずに畳みかけますよ。はぁ!」

「拙者たちはどうするのが良いでござるか」

「闇影、合成魔法をやりましょう。確か闇魔法と氷魔法で使える魔法があったはず」

闇影とミリーさんが後方で何の魔法を使うか話し合ってる。

「じゃあ行きますよ。呼吸を合わせて」

「わかったでござる母上!」

「いっせーの!」

ミリーさんが魔法を唱えるのに合わせて闇影も魔法を発動させる。

「「ダークアイススパイク!」」

パキパキっとダインブルグホーンソルジャーの足元に紫色の氷が発生し、更に紫色の氷のとげが突き刺さる。

「状態異常には……かかってなさそうですね」

「どんな効果があるのですか?」

「耐性が無い場合は盲目と沈黙がかかるそうですよ。火力も高そうね」

「へー」

こんな合成魔法があるんだなー。

「母上、火系の魔法は使えるでござる?」

「使えるわよ? 今使うかしら?」

「確かダインブルグは水と風が弱点らしいのでこのままで良いでござるが、火魔法での連携もしたいでござる」

効率重視の提案を闇影はするなぁ。

割とあっさりとボス部屋前まで来れてしまった。

「これはあれですね。ダインブルグワーム戦の方がみんなで楽しめたかもしれませんね」

ミリーさんも歯ごたえが無くて気を利かせている。

「クレイさんが凄かったぞ闇影、ボスを嵌め殺してた」

「父上はそんな事が出来るでござるな」

「色々とすごかったな。のけぞりを計算して指示までしてたから」

「闇影さんのお父さんは凄いんですね」

「のけぞり管理とかみんなすごくないと案外思った通りに行かないよ?」

紡はその辺りの経験はあるか。

「普通はみんなでフルボッコして被弾するのが関の山だってのは否定しない」

「ギミックも大体完備であっさり過ぎる程楽勝だったな」

「そうなるとあんまり歯ごたえのある戦いは難しいのではないでござるか?」

「確かに……」

「再戦はしても良いと思うでござるがみんなで未知に挑む方が楽しいでござるよ」

まあ、それが俺たちのスタイルだもんな。

「そんじゃ戦い方は分かってるけどダインブルグに挑むとするか」

みんなでブレイブペックル宛に来たメールの情報は伝えてある。

「硝子が所持している要石の扇子が役立つな。攻略情報にも記載されてるし」

「そもそもダインブルグは前にも戦いましたね」

「ああ、そういえばそうだったっけ、硝子たちはダインブルグと戦った事があったね」

魔王軍侵攻イベントで硝子が担当した場所のボスがダインブルグだった。

かなり楽に戦えたとか言ってた気がする。

「攻撃モーションは覚えてます」

「割と完封だったよね」

「ええ、要石の扇子で地震攻撃を抑え込んで攻撃を弾きつつ戦えました」

硝子が件の要石の扇子を出す。

どうやらあの後もロミナによって形状は維持したまま強化をして貰っているらしい。

「では試しに戦ってみましょうか、仕掛けに関して私も気になるのでその辺りを意識してみようと思います」

「となるとパリィは硝子に任せる」

むしろ硝子はパリィとかよくやってるから絶大な信頼が出来る。

逆に俺はどんくさいからなぁ……狩猟具の高速モードじゃないととてもじゃないがパリィなんてできないぞ。

「はい。任せて下さい」

「それじゃ入るとするか」

とボス部屋に入ると突如俺の足元からブレイブペックルが姿を現した。

「ペーン」

「おや? 勝手にブレイブペックルが……」

「イベントNPCじゃない?」

「確かクレイも言ってましたね。ボス部屋でブレイブウサウニーが姿を現したって」

へー……そうだったのか。

なんか話をしてたような気がするけど、俺はヌシを解体出来なかったのと妙なイベントに巻き込まれたのを誤魔化すことに必死で耳に入ってなかった。

「じゃあ流れで行こー」

「どんなイベントが始まるか楽しみでござる」

「らるく達に報告しないといけないでしょうね」

紡に始まり闇影親子の勧めで向かうとボス部屋に……なんか大きな角がトレードマークとばかりの……なんだろ?

筋骨隆々とした羊っぽい獣人型モンスターが一番近いか。

悪魔っぽいと言えばそれっぽい。

バフォメットとかアークデーモンとかそんな感じにも見える。

妙なオーラエフェクトを纏った感じで強いボスだってのが伝わってくるな。

『よくぞ我が砦にやってきた人間共』

お、アクヴォルと同じく台詞付きのボスだ。

そりゃあ開拓地の解放クエストに関わってるんだからしゃべっても良いか。

『あ、勇者ペックル……どうも』

ブレイブペックルも数には入ってるんだな。

どうもってなんだよ? なんかフランクというか姿勢低くないか?

なんで姿勢が低いんだよ。魔王の四天王が勇者相手に頭下げてるってどうなんだ。

『この開拓地を解放したくば、いざ尋常に……力でもって私を排除してみせよ! あ、勇者ペックルは端っこで見ててください』

おい……ブレイブペックルにお願いするな。威厳が無くなってるぞ。勇者は四天王より偉いの? どんな関係なの?

本気でわからない。手紙の主は一体何者なんだよ。

で……ダインブルグはリーダーである俺へと視線を向ける。

『狩猟具の所持者が来たか……相手として十分! 全力を持って挑んでくれる!』

バァアア! っとダインブルグのオーラエフェクトが強くなった。

「お兄ちゃんのスキルもクエスト関連に影響があるみたいだね」

「そうだな。なんかボス強化がかかったっぽくない?」

「良いんじゃない? ぶっちゃけ一度戦ったことのあるボスだったし強いくらいが良いよ」

「そうですね。楽しめそうです」

硝子たちもやる気があるようで何よりだ。

闇影たちも準備は十分って感じか。

「補助は私がかけましょう」

ミリーさんが魔法で補助を施してくれる。

「拙者も演奏で補助を軽くした後に参加するでござるよ! 見よ! 忍者らしい楽器でござる!」

って闇影がオカリナを出して吹き始めた。

「尺八じゃないのな」

「そっちもあるでござるが拙者はこっちが好みでござる!」

まあ、オカリナってちょっとかっこいいような気もするもんな。

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