硝子達も装備がそれなりに一新している様に見える。

ただ……紡の装備している装備は赤い蟹甲冑装備に見えて色が黒い。

ミカカゲで入手した装備品なんだろうと予測できる。

硝子も羽織が変わっている様だ。

しぇりるは……なんか全体的にダボッとした服とアラジンパンツズボンを着けている。

「その装備は?」

「ドロップ」

「ああ、魔物を倒したドロップ品か」

「そう」

色々と装備の変遷があるんだなぁ。

俺のエンシェントドレスもそろそろ型落ちするのだろうか?

「闇影に関しては特に変わってないが……」

「絆殿達が顔色を伺った結果でござるよ」

まあ、闇影の場合は色々と検証して特化装備にしてしまったもんなぁ。

ブレイブペックルに作らせたアクセサリーも高性能だし。

追加効果もあるし、ちょっと防御力が上がる程度だと変更しないか。

「ただ……巻物と札が売っていたでござる! ニンニン!」

闇影が腰に着けた大きな巻物と札を見せびらかして来る。

「へーそんなアイテムもあるのか」

ますます忍者っぽくなってきたな。

「札は使い捨ての魔法アイテムですね」

「巻物は詠唱補助のアクセサリーだよ。お兄ちゃんから貰った腕輪の方が優秀だから狩りの時はそっちを使ってる」

「つ、紡殿! それは内緒にしてほしかったでござる!」

なんとも悲しい出来事だな。

まあ見た目にこだわるのもゲームらしくて俺は良いと思うぞ?

「俺はこの前釣った鮫から作った冷凍包丁だな」

青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>を取り出して硝子達に見せる。

「おー! って言っても解体武器をお兄ちゃん以外が使ってるのはあんまり見ないけどね」

自慢しても理解してもらえない悲しい武器なのは間違いないか。

サポート系は目立たないけど、縁の下の力持ち感を楽しむ所もあるからなぁ。

「それじゃあ早速ミカカゲを案内してもらおうか」

「お願いしますね」

「絆殿が新しいマップに入るのに一週間も掛ったでござる。本当、マイペースでござるな」

「そう」

うるさいわい。

島主はこれでも色々と忙しいんだよ。

仕込みとか色々とあったんだから。

「……?」

硝子が俺の乗っていた船を見て首を傾げる。

「こんな船でしたっけ?」

「え? 何か変わった?」

硝子と紡、闇影が船に目を向けてから首を傾げる。

さすがに一週間も経つと微妙な変化は気付き辛い様だ。

「前に見たのと同じだと思うでござるよ」

「……」

しぇりるは何があったのか分かったのか黙って見ていた。

詰問している訳ではなく、事情を察したっぽい。

「いかないのか?」

「そうですね。じゃあ行きましょうか。絆さんが好みそうな場所を発見しましたよ」

「みんなでそこに向かってからしばらく狩りをするでござるよ。狩り場はまだ他のプレイヤーが来てないからガラガラでござる!」

「そうそう! 空いてて効率が良くて良い感じだよ! その内良い狩場扱いされるかも」

と言った様子でみんなミカカゲでの出来事を楽しんでいる最中の様だ。

島主ギルドだから入り放題だしなぁ。

「しかも絆さん達がクエストをクリアしたお陰で宿代とかお店で値引きしてもらえるんです。特急便って事で馬車まで手配してもらえます」

「おおー」

面倒な移動時間も結構軽減できるのか。

そりゃあ滞在時間が限られる国なんだから時は金なりだよね。

短縮手段を用意されるのは当然か。

普通のプレイヤーはまだ馬車の使用は出来ない……らしい。

もう少し実績を稼げば出来るだろうって話だ。

こういう実績ポイントを稼ぐのは面倒な部分でもあるけれど、パーティーでやっていると何だかんだで楽しかったりするんだよな。

「とはいえ、一度はパーティーメンバーが行かないと馬車のショートカットダメなんだって」

「一番奥には行けたのか?」

「永久滞在ビザと首都入場は別みたい」

ああ、さすがに島主権限もそこまでは出来ないか。

何かクエストとか、そういう条件があるんだろうな。

「ですが、絆さんがクエストを達成した事で首都入場権利が、もう少しで手に入りそうですよ」

交易での実績も判定に入るとは、地味に便利だ。

やっていてよかったな。

「関所を二つ抜けた先の小さな町です。行きましょう」

と言う訳でミカカゲに入国した俺は硝子達の案内で素早く関所を二つ抜けた小さな町に到着した。

川を挟むように店舗が点在する町の様だ。

橋が掛っていて、和風な建築物から、日本の観光地に来た様な錯覚を覚える。

ミカカゲにはこう言ったチェックポイント的な休憩所が沢山あるそうで、休む事自体はそこまで難しくない。

拠点とばかりに滞在し、思い思いに活動する事が出来る。

クエストも沢山あり、街のNPCに声を掛けると結構見つかるらしい。

新マップあるあるって奴だな。

色んな意味で新鮮って感じだ。

「ここならお兄ちゃんも気に入るかな? ってみんなで話していたんだけど、どう?」

「いいな。川があるから休憩に戻ったら釣りが出来る。新しく仕入れた釣り具が火を吹く時が来た」

フライフィッシングをするのに良いかもしれない。

いい加減、海の魚ばかりでやや飽きて来ていた所だ。

川の魚に挑戦だ!

水族館で仕入れた知識を総動員してくれる。

「それは良かったです。絆さんと一緒に行ける場所が良いと思っていましたから」

「俺もだよ。だから準備をしてきた訳だしね」

「後はロミナ殿用に新しい採掘場で採掘をしてくるだけでござるな。絆殿も手伝ってほしいでござるよ」

ああ、その手の頼みごともあったか。

この辺りにはそう言った資源場もあるって事なんだろうな。

「そう」

しぇりるがドリルを取り出して言った。

ああ、しぇりるはそう言った技能もありそうだもんな。

マシンナリーの本領発揮か。

まあ、楽しく皆で遊べればなんだって良いさ。

魔物と戦いだけがこのゲームじゃないしね。

「じゃあ、さっそく狩りに行こうか、お兄ちゃん。一週間クエストで足止めだったんだし、お兄ちゃんの遅れを取り戻さないとね」

「スピリットだからそこまで遅れは無いとは思うけど、習得条件とかの関係は否定できないか」

エネルギー限界突破って、エネルギー生産外で入手した総エネルギーが習得条件だったりする。

一概にして有利な種族ってわけじゃない。

この辺りはバランス調整って事なんだろうな。

「それじゃあ早速魔物退治にでも行くのが良いのか?」

「はい。ただ、魔物討伐の依頼を受けてから行った方が効率が良いですね」

「素材納品、解体斡旋……クエスト一杯ある」

しぇりるが補足する。

俺でも出来る事が無数にあるって言いたいんだろうと言うのは察した。

この辺りもネットゲームあるあるだな。

なんだか楽しくなってきた。

「行くか!」

久しぶりに皆との狩りをしに俺達は狩り場へと向かった。

「この渓流が今回の狩り場ですね。ここに出てくる赤鉄熊がクエストでの討伐対象で、私達にとって程良い強さを持った魔物になります」

「了解」

「索敵の合間に釣竿を垂らせるでござるよ」

闇影、俺の考えている事を読むな。

と言うかみんながその辺りを計算しているのがわかる。

気を使われているのが申し訳ないね。

なんて思っていると赤い熊がノシノシと三頭歩いて来る。

「来ます! 赤鉄熊は先制攻撃をしてくるので準備をしてください」

「あいよ!」

青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>を取り出して構える。

弓とかで後方援護もしても良いけど、今日は前衛の気分だ。

「では私が前衛で行きます! 紡さん!」

「いっくよー!」

硝子が駆け出し、紡が続く。

赤鉄熊二匹が硝子と紡に意識を向けた。

「じゃあ、しぇりるは俺と一緒にあの一匹に挑もう。闇影は後方注意をしながら魔法な?」

「そう」

「承知したでござる。絆殿の武器がどれくらい優秀であるのか見させてもらうでござるよ」

「どれくらい通じるか試す段階だな」

なんて言いながら赤鉄熊に駆けよりクレーバーを放つ。

「クレーバー!」

ドッスと良い感じの手応え、追撃に切り裂くと良い感じの血飛沫が発生した。

よし! 出血効果発動!

「ガアアアア!」

ブンと赤鉄熊が前足を振り被って攻撃してきた。

うお! 速い!

俺は硝子や紡の様な戦闘が得意な奴じゃないんで避けるのはそこまで得意じゃない。

腕で防御態勢を取って受け止める。

ガインとエンシェントドレスから火花が散り、ダメージを受けた。

オートスティール

「絆さん! 大丈夫ですか?」

「問題ない。かすり傷」

装備が良いからか、受けるダメージは120程度だった。

「ボマーランサー」

しぇりるが攻撃スキルを放ち、持っていた銛の先が爆発し、赤鉄熊にダメージが入る。

おお……カルミラ島のダンジョンじゃ後半だとかなり楽に戦えたのに、しぇりるの攻撃を受けてもビクともしていないぞ。

やっぱ強いんだなこの魔物は。

「よっと! ほ!」

青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>で切りつけるとズバズバと良い感じにダメージが入って行く。

「おー! 本当にお兄ちゃんの武器、攻撃力たかーい!」

「絆さん。良い武器を手に入れましたね」

「戦闘時は俺以外の誰かが使っても良いんだぞ? 俺は前衛は得意じゃないから」

やっぱ戦闘が得意な連中の動きを見ていると俺が何ランクか劣るのがわかる。

良い武器は戦闘が得意な奴に渡すのも時には必要な事だ。

「さすがにお兄ちゃんから没収するほど落ちぶれてないよー」

「ええ、むしろ絆さんがそれで私達と肩を並べられるなら、それが一番なのですから」

みんなの優しさが染みるよ。

効率的に動けないと罵倒される様な状況は心が荒むんだよねー。

なんて思いながらズバァっと赤鉄熊を斬ると、キンってお金を落とした様な音が聞こえた。

オートスティールが作動したっぽい

鉄鉱石獲得。

「コイツからは鉄鉱石が盗めるみたいだな」

「ああ、その武器、オートスティールがあるんだっけ」

「そうだ」

「良いなー一石二鳥だね」

「ロミナが作った短剣があるから紡も使うか?」

「んー……さすがに熟練度とかそう言った関係から今更持ち替えはちょっとねー」

うん。確かにそれは間違ないのは認める。

攻撃力は俺の持っている冷凍包丁に劣るし。

俺達の中で短剣使いは居ない。

精々どこかで売るのが良いのか?

「むしろアルトさんに渡したら?」

「確かに」

死の商人にこそ、この短剣はふさわしいかもしれない。

今度余裕があったら狩りにでも誘うか。

一応、予定が無い訳じゃないし。

「ドレインでござる!」

なんてしている間に闇影がドレインを放つ。

バシュッと良い音がして、俺達が戦っていた赤鉄熊が倒れる。

「じゃあ次!」

「増援でござる!」

ドスンドスンと更に二匹赤鉄熊が駆けよって来た。

「今回はちょっと歓迎が手荒ですね」

「だねー。本気で行った方が良いかも?」

「ちょっと待った」

ここ最近、習得したスキルをここでこそ使うべきだろう。

俺は駆けよって来る赤鉄熊の前にガチンと……罠を仕掛ける。

そう、俺が最近上げたスキルはトラップマスタリーだ。

「トラバサミ!」

仕掛けるのはトラバサミ。

パーティーメンバーにしか見えないトラバサミを赤鉄熊は踏む。

するとトラバサミがガチンと赤鉄熊の足に食いこみ、赤鉄熊の進みが止まる。

よっし! 上手く掛った!

「足止めの罠スキルですか?」

「お兄ちゃんこんなスキルを習得したんだ?」

「今のうちにササっと二匹仕留めろ!」

「承知したでござる!」

って事で足止めをしたお陰で硝子と紡が戦っていた赤鉄熊を速やかに処理、トラバサミの効果が切れた頃には安全に次の戦闘に入る事が出来た。

「ではトドメでござる! ウインドボール!」

闇影が決めるぜ! って感じで後衛の癖に魔法詠唱をしながら赤鉄熊に詰め寄り手に風の球を作って赤鉄熊に当てて決めポーズを取る。

「にんにん!」

ズバァって感じで赤鉄熊は闇影の風魔法で切り裂かれて倒れた。

絶賛……だってばよ! 路線を進んで行くな闇影は。

「闇ちゃん。その魔法を押し当てるの好きだよねー」

「普通に飛ばせるのに、よくやりますね」

「演出」

ああ、そうなのか。完全に意味の無い漫画再現でしかないか。

「絆さんが来たお陰で安定して戦えましたね。損害も殆どありません」

「だねー」

「助かったでござるな」

「はいはい。んじゃ、早速解体して行くからな」

「……そう」

って訳で手短に赤鉄熊を解体する。

熊の解体ってどうなんだと思ったけれど解体技能の向上で切るべき場所が分かってサクッと解体が完了した。

手に入るのは熊の手、熊の肝臓、熊の肉、赤鉄熊の毛皮、熊の骨みたいだ。それと時々鉄鉱石と銅鉱石が手に入る。

熊の手と熊の肝臓は雰囲気的には薬系かな? 漢方的な発想から使えそう。

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