「なんて言うか……微妙に恥ずかしい武器名だな」

何その奇妙な名前は。

「ブルーシャーク素材の解体包丁が青鮫の冷凍包丁で。そこに謎の銘が付くんだよ。それだけで似た別モノって位性能が高いんだよ?」

そうですか……とはいえ、雰囲気的には似た武器があって、それと見た目がそっくりだけど中身がまるで違う武器って事か。

モンスターをハンティングするゲームで似たのを見た覚えがある。エンドコンテンツ用の武器で紡と姉さんが粘っていたっけ。

偽装と言うか目立たない様に使うには良いのかもしれない。

あくまでこの武器の入手方法が少ないのならばだけど。

「確か絆くんはアイアンガラスキを持っていたよね。それを素材に使うから出してくれると助かる」

「これも必要なのか」

料理用の包丁って感じで今は使っていたアイアンガラスキを使うのか。

ちなみに俺が持っているアイアンガラスキは正規品だ。空き缶産の粗悪品ではない。

「素材の節約にもなるし、鍛冶をして検証をしていると使いこんだ武器を素材にすると良いのが出来るのが分かってきているんだ」

へぇ……そんな隠れた効果がねぇ。

長年愛用している道具が生まれ変わった際に、普通より良くなるってのは確かにロマンかもしれない。

「ま、アップデートの影響で強化が追加されているからついでに施しておくよ」

「頼む」

アップデートで新たに追加された項目に、鍛冶関連で強化が追加されている。

追加されたのは精錬だな。運よく良い品が作れると+1とか2とか付くのだけど、それ以外に(1)と付けられる。

安全圏として(5)までは付けられるのだけど(6)や(7)になると失敗判定があって、失敗すると武器が消失してしまうと言うオンラインゲームで付きものの厄介なアレだ。

しかも失敗判定を乗り越えて強化するとキラキラと光沢を宿す仕様で、挑戦欲求を激しく刺激する。

紡の読みだと(7)~(8)辺りが無難な強化で落ち着くだろうとの話だ。

一応島から出発前にみんな揃って安全圏の(5)まで強化して貰った。

この強化のお陰で勇魚の太刀でも解体が上手く行っていたが……。

と言う訳でアイアンガラスキも渡して完成を待つ事に。

「そう言えばロミナ、なんか島の図書館に列が出来ているがアレは何?」

島を回った際になんか図書館に列が出来ていた。

そんなに島の歴史とか蔵書に興味があるのだろうかと首を傾げた。

アルトに聞いても良かったがロミナに先に聞いた。

「ああ……アレはメモリアルダンジョンへの入場列だよ」

「メモリアルダンジョン?」

「うん。絆くんがこの島を入手した時のイベントを追体験出来る、リミテッドディメンションウェーブの再現クエスト」

そんなイベントまであるのか。

「絆くん達が旅立って数時間位かな? クエストが出たって口コミで島中に広がった後、腕試しにみんな挑戦して……失敗する人がかなり多くて騒ぎになりつつクリア方法の考案をしてたよ。曰く、『一発でこれをクリア出来た島主パーティーはおかしい』そうだよ」

おかしいって言われてもな。

成り行きでクリアは出来るだろう。

そんな難しいクエストじゃなかったし。

「そこをアルトくんが情報料を請求してクリア方法を売っていたのだけどね」

アイツはそういう事しか出来ないんだろうか。

さすがは死の商人。金になる物なら何でも売る奴。

カルミラ島の税収がありながらまだ金を欲するその貪欲さは感心するしかない。

しかも俺に黙っているという恐ろしさ。

「本来はそこで沈静化すると思っていたんだよ。挑戦したパーティーの一つがボスドロップに強力な片手剣が手に入ると話していてね。なんと今までの武器の倍の威力を持った強力な武器のお出ましさ」

ああ……あるな、そう言った代物。

でもドロップ率0.1%とかでしょう?

ありがちありがち。

「新大陸では簡単に武器が入手できないし、出てくる魔物から作った武器もカルミラ島の通常ダンジョンで入手できる武器に毛が生えた程度。揃ってボスドロップ狙いに挑戦者が集まっているってことさ」

うん。オンラインゲームあるあるだなぁ。

「しかもね。このボスドロップ……強化発展するのが分かってさ、こっちも一本ほど作らされたよ。私しか作れないって言われてね」

「大変だな」

「まあ……随分と鬼畜な仕様だけどね。本当、運が良いプレイヤーがいたよ。強化を7までしないと下地に出来ないって言うのに、幸い強化するのに必要な素材はボスを周回したら集められるんだ」

おお……そりゃ剛運だ。

「一応、その武器は私が見た中では一番の攻撃力を持っていたね。前線組、垂涎の品だろうさ」

「ロミナが受けたって事は……悪い奴じゃないんだろうな」

「そりゃあね。君も知っているよロゼットくんさ」

ロゼット……ああ! いたいた。紡と一緒にデスゲームごっこをしていた彼ね。

運が良いなぁ。

「ちなみにドロップする武器名は海賊船長のサーベルで片手剣、これを素材にしてハーベンブルグのカトラスが出来る。なんと威力は今までの2.5倍。夢が広がる。島は今、メモリアルクエストフィーバーさ」

ああ、この島の設定上、前の持ち主だ。

海賊の船長ではないから正しい姿への昇華とも言える武器だな。

ここでもフィーバーしてんのか。

「絆くんも狙うと良いかもしれないよ。確か設定ではこの島の前の持ち主なんだろう?」

「あの列に並ぶのはちょっと……」

それくらいズラーっと並んでいたぞ。

クリアして出なかったら並び直しって感じだった。

入場制限があるんだろうなーってのはすぐにわかる。

「良い狩り場を求めて海に出たらしい君やみんなからしたら挑戦はする気は無いか……元々君達が達成したクエストだしね」

「まあな……最悪、買えば良さそうだし」

「買えてしまう君達の財布が恐ろしいね」

なんて言いながらロミナは青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>を作り上げて俺に手渡した。

青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>+3(5)

ブルーシャークの牙を素材にして作りだされた冷凍包丁。

ただし、使われたのは<盗賊の罪人>である為、他の青鮫の冷凍包丁とは次元の異なる切れ味を宿している。

<盗賊の罪人>の力を宿してる為、特殊な力を所持している。

固定スキル オートスティール 冷凍特攻 出血付与

おお……なんか手に吸い付く良い感じがする。

攻撃力も滅茶苦茶上がるぞ。装備条件が下級エンシェントドレスとほぼ同等と言う恐ろしい仕様だ。

幸いアップデートでエネルギー総量が自動で上昇しているので装備自体は出来る様だけど。

ケルベロススローターを軽く凌駕している。

料理用の包丁が一気にトップに返り咲いたとしか言いようがない。

ただ……飛行系の魔物用の解体包丁が無くなってしまったなぁ。

まあ、これだけの性能があれば全く問題ない範囲だがな。

「ちなみに、先ほど話したハーベンブルグのカトラスに負けず劣らずの性能を宿した代物になったよ」

そっか……まあ、片手剣なんて俺の仲間で使っている奴はいないし、良いんじゃないか?

これで解体が捗る……と良いのだけど何分冷凍包丁だから刃渡りが勇魚の太刀には劣る。

切り分けるのが大変そうだ。

手に馴染ませないと。

「色々と助かる」

「それはお互いさま。良い経験と種類確保になったよ。またこれで良い装備を作れるようになったからね」

なんて感じに俺はロミナから新しい装備を作って貰ったのだった。

投網漁

「ああ……そうそう、白鯨素材の解体武器を作る為に勇魚の太刀を預かっても良いかい?」

「良いけど……俺じゃなくて硝子達の装備を優先してもらって良いんだが」

俺なんかよりも硝子達の装備を優先した方がこの先の戦いや冒険なんかを有利に立ちまわれる様になるはずだ。

「もちろん硝子くん達の方の装備も視野に入れているよ。ただ……硝子くん達から念を押されているのさ。君は釣り具以外はかなり無頓着な性格だから良い素材を持って来たら気に掛けてほしいとね」

うわ……なんか先回りされている。

まあ、本音で言えば硝子達に戦ってもらって俺は釣りに専念したいって気持ちも無くは無い。

「それと……しぇりるくんからのオーダーで釣竿の強化だったね」

「ああ」

俺はしぇりるから貰った素材をロミナに渡す。

するとロミナは俺の電動リールを一緒に受け取り、完成させたようだった。

釣竿を確認。

あ……追加スキルって項目が付いてエレキショックって代物が付いている。

「針が引っ掛かった相手に電気で攻撃出来るようになったね」

「もはや釣りなのか何なのか分からないな」

「それだけ、これからの釣りも厳しくなるって事なんじゃないかい? って……解体武器を渡した時より嬉しそうな顔をするのは鍛冶師をする側からすると複雑な気持ちになるんだけどな」

そんなつもりは無かったのだが、これからどんな魚が釣れるのかを考えたら誤解されてしまった。

とにかく、これで釣竿の攻撃性能もアップか……本当、先が思いやられる。

「さーてと……それじゃ、こっちも色々とやって行くかな」

「アルトくんから話は聞いているよ。クエスト頑張って」

「ああ、一週間くらいでササっと目処を着けて硝子達と合流する予定。それまでに追加で武器を作ったら持っていく」

「了解、新大陸での良い情報とか聞きたい所だね」

「んじゃ……」

徐にペックル着ぐるみに着替えて……。

「島主が珍妙な恰好をして店から出て行くね」

「制作者が何を言っているのやら、クエストではこれを着た方が効率が良いんだよ」

と言う訳で俺はクエスト達成のためにペックル達を引き連れて船に乗り、出航したのだった。

それから一週間、船での漁に関してだが……投網などを使っての数の漁だ。

出てくる魔物に関してはしぇりるが用意してくれたバリスタを駆使すれば特に苦戦することなく戦えたし、船に乗り込んでくる魔物なんかも新武器の青鮫の冷凍包丁で戦えば一撃に近い感じで戦えた。

ブレイブペックルに守らせたりしているので……うん。一人でも問題ないのは間違いない。

装備の良さなのか、今までの魔物で苦戦する事は無かった。

ただ、なんか強そうな魔物はいるにはいるので危なそうな時は急いで船を移動させて逃げた。

船とは言え巨大ペックルが動力なので逃げるのはそんなに難しくない。

……モンスターをハンティングするゲームの魚竜みたいなのもいて、そいつは強そうだと思って襲われても逃げに徹した。

先制攻撃のバリスタが全然刺さらなかったから間違いなく強いだろう。

硝子や闇影達と合流したら挑戦するのは良いかもしれない。

で、投網漁は一応カルミラ島に閉じ込められていた頃にもやっていたのだが……色々とわかった事がある。

まず、投網漁では獲れる魚は思ったよりも限られている。主は引っかからない。

これは当然の事なのかもしれない。

捕れるのはニシンやイワシ、カツオとかが多い印象だ。

後は言うまでもなく海域などで獲れる魚にも変化がある感じだった。

レーダー完備で魚群を見つけて投網を発射する機械で一網打尽の楽な仕事では……あったかな。

魚を捕まえるとペックル達が自動で船の倉庫に積んでくれる。

アルトとはチャットで連絡を取り、必要な魚の量を逐一報告しながら色々と捕って行った。

その合間にしっかりと釣りをしたぞ。

ただ……やっぱり思うのだが、俺は海釣りばかりしている気がする。

そろそろ川釣りをしたい所だ。

ああ、プレオープンだった水族館もオープンさせた。

海の魚は先に俺が寄贈しているし、硝子達に合流前に水族館は覗くつもりだ。

で……船で行ける範囲で色々と周っていると流氷が漂う海域や温暖な海域とか、アップデートで行ける範囲が増えているのがわかった。

問題は新大陸が他にもあるかもしれないって所には俺だけじゃ難しい魔物がうようよといる点だ。

それを避けて進むと霧とかが出て先に進む事が出来ない。

アップデート待ちのマップって事なのか……って感じだ。

また船の墓場的なイベントに単独で遭遇するのは勘弁してほしい所だ……ああ、一度謎の力で船ごと弾かれたな。

「この先はまだ島主はいけないペン」

ってクリスがぶつかると同時に注意してきた。

たぶん、島主だからこそ出来ないイベントってのがあるのだろうと納得した。

条件を満たしているから進めないとか、逆に条件を満たしていないから進めるとか、ありがちな要素だしな。

「さてと……こんなもんか」

カルミラ島に戻り、アルトと合流した。

「うん……さすが絆くんだね。今、海で手に入ると思われる魚の大量狩猟クエストの必要数は殆ど揃ったよ」

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