「え? この面子で倒せるわけ?」

俺と顔文字さんとてりすの三人でダンジョンのボスを倒せるのだろうか?

まあ……カルミラ島のダンジョンのボスであるドラゴンゾンビは硝子と紡の二人でも倒せたから難しい相手じゃないのかもしれないが。

「大丈夫じゃよ。わらわが注意を引く。てりすが魔法を使い、島主が適度に攻撃すれば倒せるじゃろう」

「そっか」

「ダンジョンのボスって何かしら?」

「デビルズドラゴンじゃな。ドラゴンゾンビの亜種のような魔物じゃったぞ」

「へー、ドロップや素材も似た感じ?」

「うむ」

なるほど、そこまで脅威じゃないに手ごろな土産って事で良さそうだ。

「それじゃ明日の収穫が終わったら行って帰ろうか。帰るだけだから……顔文字さんが日記を書き終わったら翌朝の出発時にてりすが日記を書いて交換日記は終了だね」

「了解なのじゃー」

「快適すぎて思ったより長く滞在しちゃったわ。てりすも結構、細工が出来たし文字通り強化合宿だったわね」

ちなみにダンジョン内での細工とかは手に入る経験値に補正が入って少ない。

実は釣りもそうだけどそこは数で誤魔化す感じだな。

顔文字さんがやっていた農業系の技能も同様だけど、上手く行ってなかったのでLvも低かったそうでそこそこ上がったらしい。

「農業って傍から見ると大変そうねーてりす、お百姓さんに感謝しなきゃいけないわ」

「まあ……手抜きでやるのにお勧めの作物も無くはないんだけどね。お手軽な奴」

「なになにー?」

「そんな簡単な作物があるのかのう?」

「蕎麦。アレってそこまで手がかからず成長が早い便利な作物なんだ。弱点は湿害くらいなもんかなー」

深く耕す必要もなく、成長も早い。

雑草とかを処理しなくても結育つ。

時期の合間に小麦とか植えられる。

「ほら、観光地ってどこも蕎麦屋があるでしょ? アレってどこでも育つから材料が仕入れやすいって所があるんだよね」

「そうなんじゃな」

「なんか奏ちゃんが言いそうな気がするんだけど、絆ちゃんに農業任せて蕎麦があったらそれだけ作ってそうよね」

てりすが俺のことを分ったように言ってくる。

まあ……効率だけ考えたら蕎麦畑を多めに作るのは間違いないかな。

「蕎麦もある程度は悪くないがずっとは困るのう」

「奏ちゃんの話だとカニバイキングの元締めは絆ちゃんって話だしねー。妹ちゃんが飽きるほどカニを食べさせられたって話を聞いたわよ」

「まあ、栄養偏ってもゲームだから死にはしないし」

ずっと魚を食べてたことだって俺にはあるからなぁ。

「極端なところがあるのは本当、奏ちゃんの弟さんなのが分かるわー」

「じゃな。ともかく、島主には今後も色々と教えてもらいながら色々と農業をしていくのじゃ!」

って事で俺たちの時間は過ぎて行ったのだった。

14日目・わらわ。

苦情を入れたが誰が子供部屋おじさんじゃ! 島主はもっと相手を信用すべきだと思うのじゃ。

っと注意するのはこれくらいにしてやっと稲の収穫が出来たのじゃ! 地上に戻ったら脱穀をしてお米にするんじゃな。

今から楽しみじゃ。

本当、米を作るのは大変なことなんじゃな。

わらわだけで農業をしようとしても中々うまく行かないもんじゃて。

作物は大分出来上がったのう。これで当面はウサウニーたちを動かすことができると思うのじゃ。

他の階層はそれぞれ四季が異なるので今度はそっちで強化合宿をするか考えねばならん。

まあ……ここはわらわが独自にするとしていくのが良いかの。

ともかく判明した事は、後作に相性の良い作物を植えると品質や成長が早まるボーナスがあるようじゃ。

後は島主の言う通り農薬は大事という事じゃ。無農薬では収穫量に圧倒的な差がある。

そして品質も安定して良いものが多かった。

実に有意義な合宿じゃったぞ。

子供部屋おじさんと言われた意趣返しとしてここに島主は己の事を男だと思っている幼女と思う事にするのじゃ。

15日目・てりす

そんな訳で最終日はてりすね。今、ノジャちゃんが最後の収穫をしている所を見ながら書いてるわ。

いやー日記外でも言ってるけど快適な生活だったわ。

きれいな水晶湖でのやりたいことだけやる生活ってのも悪くないスローな生活よね。

魔物を相手に戦うとかクエスト探しに夢中になるのも良いけどこういったゆったりとした時を楽しむのもこのゲームで大事なところね。

地上に戻ったら細工をもっとしていく予定だけどー……後は何をしていけばいいのかしらね。

家作りとかカルミラ島にあったような作業の手伝いはする事になると思うけど、この調子なら思ったより早く開拓は終わるかもしれないわね。

さてと……この後は最下層でボスを倒して帰るって話だし、強化合宿の感想をここに書いておくわ。

楽しかったわよー絆ちゃんたちの事を知れてよかったわ。

子供部屋おじさん扱いされたてりすから絆ちゃんへの仕返しは絆ちゃん、本当に男の子なのかしらね?

それくらい、一緒に居て男の子っぽさが無かったわー。

実はネナベじゃないのー? って煽っておしまい。

デビルズドラゴン

「うーむ……」

てりすに交換日記を書き終わって返されたので読んだ。

しっかりと二人とも日記内で俺への反撃をしてきている。

自分を男だと思っている幼女……なんとも面白おかしい返答だ。

とはいえ俺はしっかりと男だぞ、リアル。

俺のどこに男らしさを感じられないというのだろうか?

まあ、そもそも原因はこどおじ疑惑をふっかけた俺な訳だが……。

「じゃあ出発しようか」

俺は今までお世話になったペックルハウスを収納するためにペックルの笛を外してボタンを押す。

するとペックルハウスはドールハウスサイズまで収縮して収納することができるようになった。

「地上でも設置して使えないかしら?」

「出来なくは無いけどそんなに気に入った?」

簡易コテージだから最終的には建築した家の方が設備的には優秀な代物のはずだぞ?

まあ……キャラクターグッズ的な意味だと欲しいのかも知れないけど。

「時々泊まるのに楽しそうよねーって思うのよ」

「そうじゃな……島主無しの強化合宿をしたらこれが使えないと思うと辛いものがあるのう」

否定はしない。

いずれはここまで高性能なコテージ……シェルターが何処かで手に入るかも知れないが、今は手元にないわけだし。

何処でも泊まれる場所に出来るって点はかなり優秀な代物だったよなー。

「ともかく出発じゃな」

「サクッとボス倒していこー!」

「おー!」

っと、俺達はエレベーターに乗り込んでサクッと地下100階へと向かった。

直通エレベーターが出来てるんだなー。

チーン……と件のボス階層に到着。

「そういえばさ、このプラド砂漠を入手するためのリミテッドディメンションウェーブってどんなイベントだった?」

「迷いの砂漠を彷徨って進んだ先で妙な遺跡に入ってのう、そこの数々のトラップを潜った先にいた古代兵器コールドローンを倒したら貰えたのじゃ」

「へー……開拓終了後はここでもメモリアルクエストが出来そうだなー」

やっぱりカトラスみたいな優秀な武器ってのが手に入るのだろうか。

色々と闇が深い武器だけど……品の質は似たり寄ったりだからそこまでじゃないか。

「クエストは大事よね。てりすもらるくと一緒に攻略するわよ」

「俺もやる事あるのかなー」

「島主ならきっと初見突破可能じゃろう」

どうかな……まあ、カルミラ島の時は俺も偶然クリア出来たけどさ。

「ではボス戦じゃ」

っと顔文字さんが指さした先には玉座があって、その前にドラゴンの亡骸が倒れている。大きさはやっぱり15メートルくらすの大型ボスな見た目。

うん……ドラゴンゾンビの亜種ってのは間違い無いようだ。

俺は狩猟具を釣り竿に変えて弓代わりに使う事にした。

蒼海の狩猟具 ☆

□(銛専用スロット)河童の銛

■武奈伎骨の釣り竿

■青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>

■高密度強化エネルギーブレイドアタッチメントⅤ

専用効果 水属性強化 銛カテゴリー武器倍率アップ 蒼海の導き

久々の戦闘での武器使用って感じだなぁ。

エネルギーブレイドじゃなくて別の弓矢を使うのも手だな。

問題は矢の確保が現状だと大変だから厳しいか。

ロミナが居ない環境って中々厳しいもんだ。

矢を自作しなきゃ行けない。

んー……やっぱ釣り竿と釣り具で代用するのが良いか。

「まずわらわがヘイトを取るからその後に島主とてりすは各々攻撃するのじゃ」

「わかったわー」

「了解、足りない人手は俺がペックルを呼び出して補充するよ。カモンペックル」

「「ペーン!」」

ブレイブペックルは地上に呼び出してるけど……大丈夫だろう。

こういうボス戦こそブレイブペックルの活躍所だし。

「わー絆ちゃんがいると足りない人員も補充出来るのね」

「島主……ソロで何処でも行けるのではないかの?」

……非常に悲しくなる事を言わないで貰いたい。

そりゃあカルミラ島での領主クエストをほぼ一人で一式達成した事あるけど、だからといって楽しい訳ではないぞ。

魔王軍侵攻イベントとかも闇影とペックルで遊撃隊が結成出来た。

「顔文字さんも……いずれそうなるさ」

「そうなんじゃろうなー……まあ、アヤツ等の相手をするのも面倒じゃと思っておったし心機一転するには良いかもしれん」

「あんまりNPC頼りにしてるとボッチになっちゃうから二人とも程々にすべきだとてりす思うわ」

まあ……誰にも頼らず戦うって極論そうなっちゃうよね。

「ではまずバフを掛けるかのマジックアップ、マキシマイズパワー、スピードクロック!」

ぐぐっと顔文字さんが俺とてりすに強化魔法を掛けてくれた。

おお……これが強化、ゲーム用語でバフって奴か。

思えば今までの俺や硝子って個人の能力によるごり押しがメインでこう言ったサポートは全くしてなかった。

そりゃあこう言ったサポートは連携じゃ当然する事だよなー。

って事で顔文字さんがボスのデビルズドラゴンへと近づくとドラゴンゾンビの使い回しの演出でグググっとデビルズドラゴンが起き上がった。

「ガァアAAAAAAAA!」

って訳でボス戦に突入した。

俺も戦闘モードに入って周囲の時間の流れがゆっくりに感じ始める。

「ホーリーボールなのじゃ!」

顔文字さんが光の魔法を唱えてデビルズドラゴンにバシバシと攻撃する。

するとデビルズドラゴンが顔文字さんへと顔を向けて黒いブレスを放ってくる。

そのブレスに対して顔文字さんは魔法詠唱に入った。

「マジックシェル、ヒールフィールド」

魔法の膜のような物を展開、持続回復効果のある魔法を立て続けに唱え、デビルズドラゴンの攻撃を顔文字さんははね除けつつ回復していく。

顔文字さんが攻撃! っとばかりに振り向いて指示を出してきたので俺も攻撃に入ろう。

「プリズムマジック……からのールビーファイア!」

キラッとテリスの体に付いている宝石が光ってから装備しているアクセサリーが連動して輝き、赤く輝く炎の魔法がデビルズドラゴン目掛けて飛んで行く。

かなり派手な炎の魔法だ。

うちのドレイン忍者はドレインや雷、風の魔法ばかり使いたがるからあんまり見る機会はなかったけど、てりすの魔法はエフェクト派手だなー。

ゴウ! っと炎の魔法がデビルズドラゴンに命中して焼き焦がす。

「ギャオOOOO!」

おー……良いダメージが入ったなぁ。

カルミラ島のドラゴンゾンビと戦った頃は強力な装備がそこまで揃って無かったから工夫でどうにかしたけど顔文字さん達は装備を揃えてる。

腕も良いから簡単に勝てるってのも納得か。

さーて、俺も攻撃をする訳だけどいきなりルアーをぶつけて攻撃では顔文字さん達に呆れられてしまうかも知れないし、遠距離攻撃ばかりでは芸が無い。

「ギャアアアォオオオオオオオオOOOOO――」

っと、戦闘モードに入り、高速状態になると相変わらず俺は加速が掛かる。

……ブレスを吐き終わり、噛みつきを顔文字さんに放って耐えられた隙が発生している最中なのでこの隙を利用して冷凍包丁での近接攻撃をしよう。

「クレーバー」

俺は素早くデビルズドラゴンに近づき、冷凍包丁を握りしめてクレーバーを放つ。

「ギャ!?」

お? 仰け反った?

なら立て続けに追撃をさせて貰う!

ズバズバっと三回斬りつける。

「ギャアア!?」

お! 再度仰け反ったぞ。

どんどん行くぞ!

「ちょ――ちょっと――島主」

「ん?」

顔文字さんの音飛び気味の声が聞こえたので振り返る。

「ギャアアアオオオオオオオOOOO」

あ、デビルズドラゴンが俺に顔を向けてきてる。

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