なんて感じに進んで……うん。魔物はそこまで強く無いな。
ミカカゲの第二関所を超えた辺りの魔物の強さだ。
アップデートで新しい場所が見つかった場合は型落ちしてるくらいの強さで……本当、本来は出遅れた人を救済するダンジョンなのは変わらないみたいだ。
しかしまー……顔文字さんとてりすがそれぞれ関心のある発見が出来たみたいで良いんだけど俺はちょっと疎外感があるな。
なんて思いながら110階まであっさりと到達してしまった。
少し開けた場所……中継ポイント兼、休憩所って感じだ。
やっぱり先には扉があって開かない。アップデート後に開くって感じだろう。
でー……見た感じマグマ溜まりって感じの場所でなんとなく暑い。
「ここも農園に出来るようじゃな」
「温度的に夏って扱いかな? いや、それより高めだからちょっと育てるのは特殊な代物になるか? サボテンとか……ただ、地上も砂漠だしなぁ」
「あんまり差は無い感じー?」
「んー……砂漠は夜冷えるからずっと暑いって意味ではこっちでも良いのかも知れないけど……」
砂漠の植物としてサボテンとか変わり種で育つ可能性はある。
「うーん。もしかしたらゲーム独自の植物とかを育てられるかもしれない」
「該当する植物探しも楽しそうじゃな」
なんて雑談をしつつ帰ろうかと思って居るとバシャっと音がした。
振り返るとなんとマグマの中から魚の尾らしきものが一瞬見えた。
「溶岩の中に魚が!」
あんな所に魚が居るなんて思いもしなかった。
いや、よく考えたら奏姉さんや紡にやらされたハンティングゲームでそんな魚の敵がいたじゃないか。
なるほど……ディメンションウェーブにもそう言った魚が居るって事だ。
水場しか魚はいないという俺の考えが凝り固まっていたという事だ。
「島主の目が輝いておる」
「マグマの中に魚を見つけちゃったのね。釣ることになるのでしょうけどどうするのかしら?」
「普通に釣り竿を垂らせるのかの?」
「そこは実験だ! まずは普通に釣り針で挑戦!」
っと俺は釣り針に餌を適当に付けてマグマに向かって投げ込んでみた。
ジュ……っと音がして餌が焼け、釣り針が溶け糸が焼け切れる……。
うーむ……適した仕掛けじゃないようだ。
「火属性のルアーなら耐えきれるかなー……ただ、糸が焼けちゃったから糸をどうにかしないと厳しいか」
釣り場ならカニ籠も設置出来るだろうかと試しに一個、マグマに投入して見た。
案の定そのまま焼けてしまった。
「これは中々ホットでハードだぜ」
「HOTでHARDね!」
「お主等は何を言っておるんじゃ……」
「うーん……ここで釣る場合、釣り具を特注しないといけなさそうだなぁ……」
耐火性の高い糸、ワイヤーとかを確保いないといけない。
餌とかも吟味しないといけないし……。
「問題は釣り具の作成技能は俺持ってないんだよなー」
ロミナの知り合いに作って貰ったのが大半だ。
フィッシングマスタリーで自作するにしても技能は元より実績が足りない。
「ロミナのペックルが多少は鍛冶が出来るとは思うけど……それでも厳しいよなぁ」
どうしたら良いだろうか?
「釣り具のルアーって細工にも掛かってるから多少は釣り具を作れると思うわよ。地上で色々とやって見るわ」
「お? それは良いな! 良かったらお願いするよ」
俺は釣り具職人じゃなく釣り人だからな。
細工でも作れるならお願いしよう。どちらかと言えば鍛冶に近い代物になりそうな気がするけどさ。
「付与とかも視野に入れると良いかもしれないわよ。単純なのだと鎖を作って糸代わりにするんだけど、付与で火耐性を付けたりするのも効果ありそうじゃない」
確かに……色々と工夫をして燃えない糸を作って釣りにするのが良いだろう。
「マグマから顔を覗かせるタイミングで銛で突き刺して取るのはどうじゃ?」
「その手も否定はしないけど出来れば釣りをしたいな」
しぇりるだったらやってそう。
何にしてもあの溶岩内で跳ねている魚を釣ってくれる!
「じゃあ寄り道も終わったし帰ろう」
「そうね! 本当、有意義な強化合宿だったわね」
「じゃな! これからやっとわらわ達の開拓が始まるのじゃ!」
って感じにホクホクの期待に胸を躍らせた俺達はダンジョンから帰還したのだった。
一日考えた答え
「ただいまー!」
「ただいま戻ったのじゃ!」
「地上が懐かしいわねー」
と、俺達は地上に戻って拠点へと戻る。
「おっす、帰ってきたな。成果はどんな感じなんだ?」
拠点の工房前にはらるくと、オルトさん達がいた。
姉さんは……いないようだ。まだ何かしらの作業にでも行ってるのかな?
「成果は上々じゃ! 大量の作物を作り出せたのじゃ!」
顔文字さんがホクホク顔と言った様子で収穫した野菜の一部を握りしめて報告してくる。
「それは何よりだね。これでやっとウサウニー達を大々的に活動させられるね」
クレイさんもウサウニー達の食糧確保が出来て本格稼働が出来ると微笑んで居る。
「てりす、すぐに帰って来ると思ったら遅いじゃねえか」
「色々とあってねー。ちょっと荷物を置いてくるわねー」
「ったく、場所が場所だから連絡しづらいってのは分かるけど困ったもんだぜ」
お? この流れはアレだな。
俺はてりすと話しているらるくの元に近づく。
「ねぇねぇラルクラルク」
「ん? なんだ? 絆の嬢ちゃん」
「なんでNTRれたのか明日までに考えといてください」
すぐに帰って来るって話だったのにずっと一緒に水晶湖生活をしていたてりすを待つらるくに対するお約束のセリフだ。
ここでネタに走るのが俺達なのだよ。
ドヤ! っと思って言ったらなんからるくが軽く眉を寄せてため息交じりな態度を見せる。
怒髪天とかになるような奴じゃないと判断してから言った冗談ではあるが……軽いツッコミ待ちなのにマジレスか?
「それ……昨日、奏の嬢ちゃんも言ってきたぞ」
「なん……だと」
俺のセンスが姉さんと同じと言うのか。
「なんつーかさ……絆の嬢ちゃんって本当、奏の嬢ちゃんと血が繋がってるって分かるぜ」
くっ……姉さんに先を越されていたというのか!
らるくへ冗談を言って手痛い報復をされるよりもダメージが大きいような気がしてきた。
「あはは、絆ちゃん。お姉さんに先を越されちゃったわねー」
「く……」
てりすも冗談だって分かっているのか笑っている。
「そんな訳で今日がその明日だから絆の嬢ちゃんに一日考えた事を言うとしたら、生活が快適だったとか中々夢中になれる状況だったとかだろ? 楽しそうで何よりじゃねぇか」
うわー、おっとなー。
さすがは年上。なんだかんだで落ち着いた感じがする。
「当たりよー絆ちゃんの持ってるシェルターが凄くてね。ここの家より設備良いのよ。で、水晶湖でいろんな鉱石が採れるし鉱石の魚も居て地上にいるより有意義だったのよ。ほら、見なさいよ」
てりすがらるくに事情を説明しつつ手土産の原石を見せる。
「やっぱりそうか。成果は上々じゃねえか」
「でしょ? らるく達の方はどうなのよ?」
「絆の嬢ちゃんの指示した畑の浄化は大体終わったぜ。奏の嬢ちゃん達もすぐに来るだろ」
なんて話をしていると姉さん達がやってくる。
「あら、絆。帰ってきたのね」
「……」
姉さんとセンスが同じってのが地味にショックだ。
「大分経過は良さそうね」
「ある程度はって所かな。これでしばらくはウサウニー達を動かせるはず。色々と分かったシステムもあるし」
「検証もしてきたのね」
「まあね。それと帰りのついでにダンジョンの行ける最下層まで行ってきたよ。それで110階のマグマの中で魚が泳いでたから釣りをしたい所かな」
色々と手段が思い浮かぶし、てりす達の細工と付与に期待したい所か。
それと地上のオアシス回りの釣り場検証もしたい。
「ついでって割にかなりやりこんできたわね……やっぱりノジャ子がいると楽に潜れるのね。らるく達と少し潜ったけど三人でそこまで行けるとはね」
「その件じゃが、島主の戦闘能力は相当じゃぞ」
顔文字さんが収穫物を倉庫に収めて説明を始める。
俺がユニークスキル、狩猟具の所持者である事やペックルハウスに関する事などだ。
「ほう……新たに追加された件のスキルの話だね。君がそのスキルの所持者だったんだね」
クレイさんがうんうんと何度も頷いている。
「12のユニークスキルか。クエストで聞いた12の勇者って話があるがそれとの繋がりが大きそうだな。てりす」
「そうね。ぶっちゃけ、所持者がゲームの代表プレイヤーって事になるんじゃないの?」
「ありそうだな。しかし……絆の嬢ちゃん。そんなにも戦闘力高いんだな」
「元々の運動神経は姉さん達には及ばないけどな」
ここは本当の話だ。
システム的なアシストで加速が掛かるので一見すると反応速度が高く見える。
実際はリアルの時間が数日だけどゲーム内時間はとてつもない時間に感じるシステムの流用だろう。
俺の感じる時間を加速させているに過ぎないんだと思う。
「取得は相当難しいようじゃがな。似たような放送はあったかの?」
「生憎と聞かないぜ」
まだ俺以外の所持者は見つかって居ないのか。
「実績とか色々と手間が掛かりそうだし、やっていかなきゃいけねえとは思うが……どんなスキルがあるのか把握仕切れねえのが難点だな」
「無難に剣とか槍とかだったら良いんだけどねー」
「ふむ……」
ここでクレイさんが考えるように腕を組んでいる。
「あなた、何か心当たりでも?」
ミリーさんがそんなクレイさんに尋ねる。
「いや……ただ、現状としてブレイブペックルやブレイブウサウニーの所持する武器はユニークスキルに該当するのかと思ってね」
あー……確かにその辺りはありそう。
「絆くん、君は島主であるけどその辺りの心当たりはないかい?」
「えーっと……」
俺、その辺り所か釣り場関連以外は全部硝子達に丸投げしてて実は全く知らない。
ただ持ってこいとか採ってこいとかの島主クエストをやったに過ぎない。
「この子にそう言ったのを期待するだけ無駄よ。ゲーム開始からしばらく港で釣りをしてただけなのよ」
「そうだけどさー」
「でも河童関連のクエストを見つけたそうじゃぞ」
顔文字さんからの援護が入った!
ふふん! どうだ姉さん! 俺だってやる時はやるぞ!
「たまたまでしょ。何より釣りをしてないと見つからないクエストだったら引っかかって当然じゃないの。今尋ねられているのはブレイブペックルのバックストーリーでしょうが」
く……姉さんめ。何処までも俺の事を見透かして追求してくる。
「そういうのはアルトが調べてた」
島の図書館にバックストーリー関連の記述があるらしいけど、俺は全く目を通してない。
誰だってあるだろ。ゲームはプレイしてるけどストーリーはスキップしてるとかそういう奴!
「でしょうね。まあ私もそこまで目を通してないのよね。このゲームってその手のテキスト多いしクエストも無数にあるから調べてたら無限に出て来るわよ。期間限定クエストとかもあるんだから厄介よね」
確かに……リミテッドディメンションウェーブとかまさにそれだし。
「らるく、君はクエスト関連を相当調べていたはずだよね。心当たりは?」
クレイさんがらるくに聞いて居る。
「あー……ブレイブペックルに関する記述は確かにカルミラ島の図書館で見たぜ。赤髪の女に罠に掛けられたりしながら仲間と共に戦うって物語でしたぜ。ブレイブウサウニーはどうなんだろうな?」
「そこから12のユニークスキルに繋がるかって言うと分からないのよねー法則を組み立てるとブレイブと付くのが12匹いる事になっちゃうのよね」
確かにブレイブペックルやウサウニーの持つ武器がユニークスキルである場合は12匹もブレイブ生物が存在する事になる。
一箇所につき一匹だと開拓地が四箇所だろうという予測とは合わないしなぁ……。
「後々のアップデートで開拓地が8つ増えるとか?」
「さすがにマンネリが酷くないソレ?」
「無くは無いとは思うけど憶測の域を出ないだろうね。何にしても現状は参考にするのは厳しい所のようだね」
ミックス
「何にしても手探りでやっていかなきゃいけないって事ね」
姉さんがため息交じりに呟く。
まあ……こういう状況で一番適応するのは家のだと紡の担当だもんなー。
こう、知らないゲームを事前知識無しで上手くやっていくのは感覚派のアイツが一番なのだ。
姉さんは仕様を把握してから伸びるタイプで俺は単純作業をずっと出来るタイプだから。