「確かに」
専門家が俺の友人に居て良かった。
「ですが呪いですか……逆に呪いを所持したままだと普段起こらないイベントとかもありそうですね」
「ああ……そう言った要素がゲームによってはありますね」
非常に悩ましい要素だね。
「俺はそう言ったイベントに興味無いので解呪出来るならしちゃうかな」
「あらま、絆さんは現実的ですね。奏さんも効率主義なので似てますね」
ロマンを求めるのは紡かね。
俺もロマンは求める方だけどあくまで害が無い範囲で遊んでると思う。
「さて……クエスト報酬の獲得アイテムとかあるかな」
「あるようですね。私は……呪術書・恐竜魂というアイテムです。魔法書系列みたいですね。他に素材のドロップもあるようです」
「お? 結構良いモノが貰えてそう」
「絆さんの習得したスキルもここにあったりするかも知れないですね」
そう言った簡単な代物だったら良いなー。
で、俺も確認っと。
――所持している武器の一つが太古の恐竜王骨の剣(呪)に変化しました。
ちょっと待て!
恐る恐る確認すると……白鯨の太刀が見知らぬ武器へと変化している!?
勝手に変えられると困るんだけど? ボス特化で愛用していた一振りなんだぞ!?
しかも何その(呪)って露骨過ぎない?
太古の恐竜王骨の剣(呪) ユニーク
太古から人々を呪い続けた恐竜の王の呪詛が宿って居る禍々しい一太刀。
肉切り包丁を媒介にして変質した一振り。
固定スキル 闇属性 ボスダメージアップ30% 復讐の力 大型特攻3 出血付与 古の呪い 呪具 魔力大幅増加 ダイノバイト 血の渇望
※譲渡及び売買不可
なんか嫌な感じのパワーアップをしてる。
武器チェンジをしてみると……白鯨の太刀の姿は何処へやら、無骨で大きな骨包丁へと変質している。
「あ、それがドロップですか?」
「一応そうなるのかな……白鯨の太刀が報酬の呪いで変質しちゃってこんな姿に……しかもユニーク化した挙げ句譲渡も売買も出来なくなってしまった」
長く使ってた武器だから良いんだけどさ。
攻撃力は下がってるなぁ……スキルは据え置きで色々と増えてるから総合火力は増してそうだけど呪いって所が色々と不穏だ。
逆に火力が下がるって可能性は大いにある。
何にしても呪いの武器である事は変わらない。
「それは……困りましたね」
「まあ、青鮫の冷凍包丁があるから場合によって持ち替えれば良いんだけどさ、元々狩猟具って特殊な装備もあるし」
「外せない訳じゃないのでしたら場合によって使えば良いですね。後は――」
っと、話をしていると地響きが聞こえてきた。
「この流れ……領主になった時と同じ流れかなー」
ゴゴゴゴゴ……と地響きが強くなり遠くでガラガラと音まで聞こえてくる。
それと同時にガラガラと俺達が来た道が崩落して部屋の奥側に洞窟が出現、その先に日の光らしきものが差し始める。
「あそこに早く行きなさいって事みたいですね」
「そうだね」
「ああ……もう少し恐竜の都市を調査したかったのですが、こう言ったアドベンチャーでは遺跡が崩落するのはお約束ですか」
「ミリーさん、割と心の底から楽しんでましたよね」
「ええ」
笑顔で肯定しないで欲しいなー。
「じゃあ脱出しましょう」
「うん。どうにか脱出出来そうでよかった」
って感じで崩落するダンジョンを走って脱出口……光が差し込むところまで行くと、足場の岩の下からブシューッと間欠泉が飛び出し、光が伸びていく所まで打ち上げられた。
「おっと」
一瞬視界が真っ白になったかと思うと、外のフィールドに出られて足場の岩が綺麗に着地する。
ガゴン! っと音がして……間欠泉は収まったようだ。
露骨に出口って事かな。
あ……砦から結構離れてるけど目視できる距離だ。
なんて思っていたら砦から一筋の大きな光が空に伸びる。
連動するように俺達の方も光が伸びて――空に大きな雨雲が発生。
ザーッと雨が降り始めたかと思うとすぐに止んだ。
やがて……ぴょこぴょこと砂漠の各地から植物が生え始め辺りを緑一面へと変えて行く。
まあ、砦の周りや化石が取れそうな岩場とかは砂漠のままのようだけど。
「おー……」
「なんとも綺麗な光景ですね」
「復興ペン! この地の禍々しい気配は散ったようペン」
なんかクリスが現われてそんな事を俺の側で言う。
「砂漠が緑に覆われていく……けど一部は砂漠が残るのかな?」
「そのようですね」
ミリーさんとそんな光景を見る。
本当は硝子や闇影、しぇりると見たかった光景だけどしょうがない。
何より、これで開拓も終わりだろうし再会出来るはずだ。
「よし! 置き去りにしたヌシの所へ早く行こう!」
「ふふ、絆さんからしたら隠しクエストよりもヌシが大事なんですね」
何を当たり前の事を言っているのだろうか。
俺は急いで騎乗ペットを呼び出して一直線に向かったのだけど……ヌシは影も形も居なくなっていた。
「く……消滅してしまったか!」
設置とかしていた訳じゃ無いし誰も周囲に居なかったからかもしれない……くっそ。釣り損にはならないけど素材が手に入らなかったのは非常に惜しかった。
「くっそー!」
「ご愁傷様です」
ミリーさんの合掌が非常に印象深い出来事であったのだった。
こうして俺とミリーさんのプラド砂漠改めプラド草原の開放クエスト時の隠しクエスト攻略は終わったのだった。
「やっぱ絆の嬢ちゃんから目を離すとよくねえな」
イベント達成後にみんなと合流してミリーさんと一緒にシークレットクエストを攻略した事を説明した後、らるくがそう言った。
「ねー! てりすも付いて行けばよかったー!」
「そうじゃな……僅かに可能性があるかもしれないとは思っておったがここまでとはわらわも思いもせんかった」
「発見してもすぐに入るとか無いと思ったんだけどね」
「クレイ、絆さんと私、暗い迷宮で遊んでいましたのよ。若い子って元気で素敵よ」
「ミリーさん、誤解を招くような説明はやめてください。娘さんとの設定に関してもう少しすりあわせした方が良いですよ。クレイさんも」
そもそもあなたはそこまでの歳じゃないでしょう。
娘さんの年齢的に。
「ははは」
クレイさんは苦笑してるけど、冗談にして良いネタじゃないと思う。
「俺は悪くねえ!」
「アンタもその返事が既にネタに走っているでしょ」
俺の否定に姉さんが突っ込んで来る。
しょうがないじゃないか。
暇だから釣りしてたのに妙なクエストが発生しちゃったんだからさ。
友好都市契約
「他のプレイヤーが侵入出来るか試したけど上手く行かなかったね。メモリアルクエストになるのを待つしか無さそうだ」
「種族スキルと武器のユニーク化ね……アンタ、つくづくこのゲームだと運に恵まれてるわよね」
「接待ネトゲじゃ無いから! 信じて!」
「開発者の癖というか歯車がかみ合ったのかしらね。クレイの話だと色々と変動が掛かるみたいだけど」
俺の望んだようなイベントじゃなく、結果的に得になっただけでしかない。
そこだけは譲れないぞ。
「とりあえず姉さんが使えそうな剣が手に入ったからどうぞ」
「はいはい。地味に優秀そうな剣だし、みんな使って無いから貰って置くわよ」
よーし、これである程度話題はそらせたよな。
俺としてはヌシを解体出来なかったのはかなり痛い損失なんだぞ。
「それで呪いじゃったな」
「うん。顔文字さん治せる?」
「ふむ……ちょっと島主の状態を確認させて貰うのじゃ」
顔文字さんが俺の状態を確認している。
が……少しして頭を横に振る。
「ダメじゃな、わらわが解けるようなシステムの呪いでは無い様じゃ。どちらかと言えばイベントフラグに近い固有効果のようじゃ」
「うわ……」
解呪が難しいタイプか……あり得るとは思ったけど、案の定か。
「武器の方は専門じゃ無いからわからん」
「ロミナに再会したら相談してみるよ」
「それがよいじゃろうな。検証して便利じゃったら使えば良いのじゃ」
「そうさせて貰うよ」
ただ、呪いってのはどうにも気持ちの悪い要素が付いてしまったなぁ。
「何にしても帰ろうじゃ無いの。やっとここから出られる事になるんでしょ」
「そうだね」
やっと硝子達と合流出来るし新天地の釣り場に行けるぞ。
マグマ釣りも出来るし出発前にダンジョンのマグマで釣りはする予定だけどね。
こうして俺はみんなにネタにされつつ拠点の城へと戻った。
「よくぞ魔王軍を退かせたピョン! しかも大地の奥深くに根付く呪詛さえも取り払い、砂漠化の根本的な原因まで解決するなんて凄いですピョン。魔王軍が原因だと思ってたけど他にも理由があってボクも驚いたピョン」
ってサンタ帽子ウサウニーが城に戻るなり立て続けに説明を始めた。
ここでみんなの視線が再度俺へと集中する。
「この地が遙か昔の緑溢れる地になったのは領主達のお陰ピョン! 魔王軍を退かせるより緑が溢れたピョン」
「表でわらわ達が活躍している裏で島主は隠しクエストの達成じゃな」
だーかーらー原因は俺だけじゃなくミリーさんにもあるでしょうが。
うう……後は気楽に釣りだけしてれば良いと思ったんだけどなー。
「これも全て、みんなのお陰ピョン! 完成式典が催されるピョン!」
「後はワラの嬢ちゃん。ちゃんと拾わねえとな」
「わかっておるのじゃ」
サンタ帽子ウサウニーに向かって顔文字さんやらるく達が凝視してる。
開拓完了を喜ぼうよ……とは思うけど俺の被っている頭装備の性能が欲しいのだろう。
顔文字さんはウサウニー使いとなる訳だし、この地に来た段階でペックルを使って居た人はウサウニーにコンバートされちゃうそうだから。
されないのはペックルの雇用主である俺くらいなものか。
ペックルとウサウニーだったらユーザーはどっちを選ぶんだろうなぁ。
外界だと現状はペックルと……確かリスーカか。
どれが人気になるものかね。
やがてサンタ帽子ウサウニーがするっと帽子を脱いで王冠を取り出す。
ポロッと地面に帽子が落ちたな。
「今じゃ! ゲットー! わらわも帽子ゲットじゃー!」
顔文字さん。もう少し空気を読んで静かに拾ってくれない?
さっそく被らなくて良いから!
「ボクはここでクラスチェンジするピョン! カルミラ島のペックル達もありがとうピョン!」
「ペーン!」
クリスが元サンタ帽子ウサウニーのキングウサウニーとハイタッチをする。
専用モーションっぽいなー。
「この都市への道も既に作られている……これでやっとこの地も外界との繋がりが復活すると思うピョン!」
この辺りはカルミラ島の開拓完了時と変わらないかな。
どうにか開拓が完了して良かった良かった。
「それでここからは商談の話ピョン! 領主様はこの地の殆どの権利を持っているピョン。それはこれから来る来訪者達を歓迎し、彼等がこの地の設備を使う事で使用する金銭の一部を貰える権利でもあるんだピョン」
「領地持ち特権って奴だね」
「ただ、カルミラ島の島主と共に開拓をしたのでその収益の一部は支払う事になるピョン。友好都市契約も結ぶことが出来るけどするピョン?」
ん? なんか違う台詞が出てきたな。
「友好都市なんて設定も出来るのか」
「どんな事が出来るのかのう?」
「物資の交易が可能になるピョン。カルミラ島でしか手に入らない品を含め交流で得られる品にボーナスが入るピョン」
あ、説明故に色々と細かく答えてくれるようだ。
顔文字さんと俺に各々ウィンドウが表示されている。
ちょっと面倒なのでクレイさんに送って確認して貰おう。
「ふむふむ……どうやら友好都市の関係を結ぶ事で色々とメリットが発生するようだよ。高速便なんかも建築出来る様になるね」
「へー」
「悪くないのではないかの」
「交易限定で入手出来るアイテムも発生するようだし、悪くは無いね」
なるほどな……俺も参加した意味がここで行われるのかな?
「本来は友好都市にするには色々と面倒な条件をクリアしないと行けない様だけど、開拓時から携わったお陰で特例で友好都市に出来るようだね」
ほう……となると第三都市カルミラと第四都市ノースフェラトは友好都市になるには時間が掛かるって事か。
「その前に仮とは言え、領主様の仲間達にはギルドを設立して欲しいピョン。さあ、玉座に座るピョン」
「あれ? ギルド設立?」
既にギルドシステムは実装されていて顔文字さんはギルドを所持して居るはずじゃなかった?
開拓時に解散されるのか?
「顔文字さんギルドマスターじゃ無かったの?」