その道中で大広間らしきマップとその裏手に回りそうな道に差し掛かる。

けれど裏手に回る所にはなんか注意文らしき文字が書かれていた。

「なんて書いてあるかわかります?」

「えーっと……『この先のレバーを変える事なかれ、変える者に災いが振りかかるであろう』だそうです」

「露骨に誘ってるなぁ」

ゲーマーであるほど気になる注意文だ。

その災いを乗り越えたら良いアイテムとか美味しい報酬が得られる的な代物に感じてしまう。

ちゃんと読んで居るならだけどさ。

ミリーさんみたいに考古学系のスキルが無いと気づけなさそうではあるが……って俺でも読める奴だった。

「どうしましょうか? 絆さんの強さなら災いをはね除けられそうですけど」

「うーん……」

かなり迷う展開だなぁ。こう言った寄り道なのか本筋なのか分かりづらいギミックはやって後悔するのがゲーマーの本懐だとは思う訳ではあるんだけどさ。

かといって何か凄いアイテムが見つかるとかスキルが習得出来るのか? って考え無いと行けない。

クエストのヒントとか……。

「正直に言って良いですか?」

「はい」

「人数的に心許ないのでササッとクリアしたいです」

「そうですね」

わかる。

トラブルで来ちゃったって感じだしな。

「ここまで露骨だと引っかけ臭がするので行き詰まったらここに戻ってレバーを弄るで良いかと」

「わかりました。では覚えておきましょう」

「うん」

と言う訳で今回はギミックを見送る事にした。

この時の俺達は知らなかったのだけど後日……メモリアルクエストでこのクエストに挑んだプレイヤーの情報で判明するのだが、警告を無視してレバーを捻ると文字通り災いとしてプレイヤー全員に呪いが降りかかり、出てくる魔物が全員強化状態になるだけと言う罠だったそうだ。

ゲーマーの好奇心を利用した損しか無いギミックだったらしい。

そんな事は露知らず、ちょっと勿体ない事をしたかなーと俺達は先に進んで行った。

「次は……何か紫色の噴水のある庭園と魔方陣か」

「先に魔方陣を調べましょうか」

「うん」

で、ミリーさんと露骨な魔方陣を調べるとシステムメッセージが出る。

魔方陣の起動に必要な魔力の宿る水が足りない。

「魔力の宿る水……何処かで手に入れてここで使えって事なんだろうけど」

「こっちの噴水の水は汚染されていて使えないとメッセージが出ますね」

「流れとしてはこの噴水を何らかの方法で浄化すると魔力の水になるって所かなー」

「ダンジョン内であるお使いですね。場合によっては複数に別れて攻略が必要な代物かも知れないですね」

わー……大変だ。

「ですけど、私たち二人しかプレイヤーが居ないので攻略出来る様に調整は掛かっているでしょうね」

「詰みだったらクソゲーですよ? ゲーム終了までここにいるなんてイヤだし」

脱出方法が封じられている訳だし、何かしらの手で出られるように作られては居るはずなんだ。

例えどれだけ可能性が低いものだったとしても。

「うーん……」

ってミリーさんが噴水の水を……アイテム欄から水筒を出してブクブクと採取したかと思うと流れるように何か薬を注いだ。

「あ、浄化出来ましたね」

「浄化って……今、サラッとギミック無視してません?」

周囲を探索して噴水の水を浄化しようって流れで当たり前の様に水を浄化する薬を持って居るミリーさんは何なんだ?

「クレイが研究してた薬を丁度預かっていたので使えないかと思ったら出来ちゃいました」

出来ちゃいましたで解決して良いのか?

なんか意外とこの人用意周到というかキモが座ってる挙げ句、要領が恐ろしく良いぞ。

俺も驚きの展開でギミックが無効化されている。

「それじゃあこの水を魔方陣に使って見ましょうか」

「う、うん」

ミリーさんが水筒の水を魔方陣に振りかけるとカッと魔方陣に光が走って起動した。

結構裏技的な攻略だけど薬学知識が高い人ならショートカット可能って事で良いんだろうなぁ。

「じゃあこの魔方陣に乗って見ましょう」

「そうだね。行こう」

と、足早に魔方陣に乗るとフッと景色が切り替わる。

どうやらワープポイントだったようだ。

辺りを見渡すと廊下で、外を確認すると大分城を下ったみたいだ。

この流れは一階がボスかな? クエスト名からしてボスがいると思う。

「いい加減、そろそろボスとか出てきて欲しい所なんだけど……」

「隠しクエストの度合いがどの程度かですね。報酬も気になります」

「……例えば?」

「新しい領地、地下大空洞とか」

「貰って嬉しいですか?」

ミリーさんにここで尋ねる。

プラド砂漠を攻略している現状でシークレットクエストをクリアしたら新しい領地、地下大空洞を手に入れて開拓しろと言われるって状況を。

「嬉しくないですね……正直、早く開拓が終わるのを待っている段階ですからね」

「でしょう?」

「それなら絆さんはどんな報酬が欲しいですか?」

「場所が場所だからなー……俺としては早く出て地上にあるヌシを早く解体したい」

「絆さんは無欲ですね」

これを無欲と言うのかなー。

「ミリーさんはどんな報酬を期待してる訳?」

「そうですね……未発見の化石でしょうかね」

ああ、トロフィー的な?

「攻略した暁には博物館に特別展示される感じで?」

「はい。その辺りが私としては良いでしょうか。もちろん発見者として名前が絆さんと一緒に乗る形です」

「なんかありそうな報酬だなー」

むしろその可能性が高くて恐い。

俺の場合はヌシを釣ると水族館に展示される訳だろ?

博物館ともなるとミリーさんの案は存在としてあり得る。

それはそれで良いのかなー。

「化石展示かー……そう言えば博物館とか領地のアップデートをしたらドラゴンゾンビとか骨系のボスとかも展示出来そうだよね」

「そうですね。ちょっと夢のある区画が建造されそうではあります。今でもオリジナルの組み合わせをしてますけど」

発想は自由でミリーさんと骨パズルをしてたもんな。

……意外と俺、ミリーさんと遊んでるや。

考えてみれば毎日化石掘りしてるんだから仲良くはしてるもんか。

日課となってるだけだけど、人となりは分かってる気がする。

「あ、絆さん。あそこ」

ミリーさんが指さした渡り廊下の交差している部分からルアーを引っかけて移動出来そうな場所を発見。

寄り道とばかりにルアーで飛び移って行くと……大きく穴の開いた部屋へと侵入出来た。

どうやら外からロープなどを使わないと入れない部屋らしい。

その部屋に壁画が描かれて居る。

なんか原始人と恐竜が争っているような絵の後に恐竜たちが原始人に敗れて行く光景、そして偉そうにマントを羽織った恐竜っぽい奴と人間の争いの後に空に亀裂が走り、隕石がそこから現われる絵だった。

その後、恐竜は敗北してこの場所は地中に没したと言った流れのようだ。

「どうやらこれがクエストの意味のようですね」

「太古から続く怨嗟の雄叫び……ね」

生存競争で敗れた怨嗟の声って事なんだろう。

「怨嗟……」

ミリーさんが壁画を調べていると俺へと顔を向ける。

「少し面白い記述がありますよ。ゲームらしい要素ですね」

「何が?」

「スピリットはその性質上、怨嗟や呪いの代物を使う事に長けるようです。なのである時代ではこの地の怨嗟をスキルとして昇華したと書かれてますよ」

「つまり何かしらの種族スキルをここで習得出来ると?」

「その様ですね」

えー……ここでスピリットの新スキルの習得が出来ちゃうの?

ダイノキング

「とはいえ、既に習得済みなのが前提みたいなので何処かで下位のスキルの習得が求められるようですよ」

「それはそれで面倒だなー」

「確か絆さんに送られて来たメッセージにセン地方というメッセージがありましたよね」

「そうだね」

「その辺りに立ち寄ることが前提なのを考えるとスピリットのクエストはそこにあるかも知れませんね」

いつ解禁される地域だろうね。

「仮にセン地方で種族スキルを習得するとして、このクエストをもう一度しないと行けないとなると二度手間になりそう」

「その辺りは融通が利いてくれると良いでしょうね。亜人の種族クエストも始まったばかりとの話でしたし」

ああ、紡がフレンドと一緒に受けて習得してきた奴ね。

まだ初期って事で劇的な変化は無かったっぽいけど。

「隔離されなければセン地方に行けたんでしょうかね」

「解禁された地域の可能性は否定出来ませんね」

「ペン」

二度手間になりませんように。

なんて思いながらペックル達を引き連れて俺達は進んで行った。

もちろん道中で魔物と遭遇した。

ミイラディノに始まり、ボーンブラッドバッド、カースドラプトルがこのダンジョンの雑魚モンスターらしい。

中ボスとか出てきそうだなーって所ではライトニングホーンニクスボーンっていう……なんだろ? トリケラトプスを人化させたみたいな骨の魔物が出たけどミリーさんが習得していた強化魔法を俺に施して連続攻撃したらあっさりと倒せてしまった。

あれは中ボス……だったのかな?

よく分からない。

「順調に進めては居ますね」

って寄り道だと思ったルアーで引っかけて進んだ道から降りた所でミリーさんが言った。

「少人数補正でサクサクって所でしょうかね」

「可能性は高いですね。しかし……驚くほど進めて私も安心してます」

「そうですね」

「割と絆さんのスタイルと私のスキルがかみ合っているのかも知れないですね」

近接と隠し通路への移動は俺が行い、謎解きと後衛はミリーさんという意味ではかみ合っているのは否定しない。

ただ、俺は本来近接が出来る程運動神経が良くないのだけどなぁ……狩猟具のスキルを習得してから扱いが変わってしまった気がしてならない。

この開拓地に呼ばれた頃から色々とプレイスタイルに変化を感じるなぁ。

硝子とよりも上手く進めるとかは何か悲しいような気もしなくもない。

「……静かに」

なんて雑談混じりに話をしていたらミリーさんが片手を軽くあげて制止する。

どうしたんだろう? と思ったら進んで城内の廊下の十字路で左の瓦礫で行き止まりっぽい所を指さす。

「こっちに風が流れてます」

そのまま進むと……丁度死角になる所で壁が小さく崩落していて洞窟が剥き出しになっていた。

「うわぁ……こう言った仕掛けもあるのか、気付かなかったら仮に出口だったら迷ってそう」

どうみても行き止まりにしか見えない所に道があるとか嫌らしいな。

他の二つはどうなってるんだろ? そのまま城を降りて町へと出られるのか?

ただそうなったら出口はどこだ?

よく考えたらどんどん潜って行ってるわけで、脱出が目的なんだから潜って行けば良いって訳じゃないだろう。

「地味に強く流れてますからね……気付きやすいヒントはありますよ」

「そうだけど、なんか嫌らしいなぁ」

って進んで行くと……なんか禍々しいエフェクトの黒い風みたいなものが流れてくる。

似てるのは開拓地のダンジョン100階の階段やボス周辺の雰囲気か。

「なんかこの先にボスとか居そうだね」

「そうですね。ノジャさん程ではありませんが補助を掛けましょう」

ミリーさんはそう言うと魔法と薬を使って俺に強化を施してくれた。

俺はボス戦用に白鯨の太刀を装備にセットした。

「戦闘は今まで通り、私が後衛で絆さんとペックル達が各々行動ですね」

「うん。じゃあ行って見ようか」

「ええ」

そんな訳でしっかりと強化を施した俺達はボスらしき場所へと進んだ。

するとそこには……恐竜の化石と仰々しいマントが転がって居た。

うーん……何も無ければ良いと思ったけれど案の定とばかりに黒い霧みたいな物が凝縮して恐竜の化石を包み込み化石がバラバラと形作られて骨格標本のように組み上がる。

姿は……ライトニングホーンニクスボーンのような恐竜型の人類、ただ肉食恐竜っぽい奴が組み上がりマントを羽織った。

『私等が住居に侵入してきた人類め……かの戦いで敗れた私等をまたもあざ笑いに来たか!』

「いや別に……偶然落ちたんで良ければ出口を教えてくれない?」

こんな所に好きで来た訳じゃないぞ。

出来ればサッサと帰って顔文字さん達が攻略するのを待っていたかっただけだし。

『許さんぞ人間共! 太古から続く私の恨みの深さをその身にたたき込んでくれる!』

バァ! っと黒いオーラを噴出させてやる気全開って感じで、カースダイノキングと言うボス名がテロップで表示された。

「NPCと言うかボスの前口上ってわかってるけど話が通じないもんだなー」

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