「登録受理したチュ。五日後の朝6時に開催するのでちゃんと参加してほしいチュ。ただし何か予期せぬ出来事が起こった場合は中止になることを先に容赦してほしいチュ」

って事でエントリーは終わった。

もちろん硝子も一緒に参加してくれることになったぞ。

「楽しみですね」

「そうだね。んじゃとりあえず大会に備えて湖の下見をしようか」

「ええ」

という訳で湖へと行く。

「ここって湿地帯と同じく騎乗ペット使って大丈夫なんだよね?」

「はい。小舟とかを使っても良いそうですよ」

「じゃあ俺の騎乗ペット、ライブラリラビットで行くぜ」

早速騎乗ペットを出して乗る。

……乗り方に関しては気にしない。

幼女と二足歩行の大ウサギって感じなんだけどね。

「絆ちゃんが騎乗ペットに乗ってるでござる」

「あの騎乗ペットになりたいでござるよ。片手で絆ちゃんを乗せる人生」

だから遠目で気色悪い話をするなっての。

「……なに? プギャーが絆ちゃんの騎乗ペットとよく似た奴に乗っていた? ギルティ!」

「ギルティ!」

「ギルティ!」

おい……顔文字さん、ここで騎乗ペットに乗って移動を開始したのか?

なんか罪ってファンギルドの連中が騒ぎ始めたぞ大丈夫か!?

「羨ましい」

「ふ……俺もライブラリラビットでござる。絆ちゃんの配下のウサギと思って乗ると楽しいでござる」

「ギルティ!」

……あいつ等、ネタで遊んでると思うほかない。

念のために顔文字さんにチャットを送っておこうかな。

「んむ? 島主よ。なんじゃ?」

「顔文字さん。俺と同じ騎乗ペットに乗ってるのがファンクラブの連中に見られたらしくてギルティって囁かれてるよ」

「なんじゃと!? くっ……後で島主と友達だと手を繋いで歩き、喫茶店で楽しく食事をしているようにするのじゃ」

ああ、予防線が約束されてしまった。

友達アピールに余念がない。

「おやつ時には合流するのじゃぞ! わらわの為にも頼むのじゃ!」

「はいはい」

「絆さん、チャットですか?」

「うん。顔文字さんに連絡をね。騎乗ペットが同じなのをファンクラブに知られたっぽい」

「領地持ち固有の代物という事なのでしょうね」

そうなんだろうなー。

「ノースフェラトの領主も同様の代物を持ってるって事になりそうなのじゃ」

「どんなのを持ってるんだろう?」

「そういえば聞きませんね」

ファンクラブが察知してない事を考えると、あんまり乗ってないのかな?

「昆虫が好きなようじゃし乗らずにいたりしての」

「ありえそうですね」

まさかーそこまでやり遂げるタイプなの?

あんまり会いたくないなー。

「どんな騎乗ペットを持ってるか楽しみですね」

「あったら聞いてみるのも良いかもね」

生憎と留守だった訳だけどさ。

後にクレイさんの情報網に引っかかった話だと茶色だったそうだ。ブラウンって感じ?

「何にしても後で合流なのじゃ。ではわらわは調査を続けるのじゃ! おー……花畑なのじゃー」

と、なんとも乙女っぽい声を顔文字さんはさせつつチャットを終えた。

「それじゃあ行きましょうか」

硝子がいつの間にか小舟を出してエンジンを付けている。

「それ……」

「あ、はい。しぇりるさんに小舟を作ってもらいました。エンジン付きです」

「おー……」

いいなー俺の場合は騎乗ペットのライブラリラビットが器用に小舟を漕いでかなり早く動けるからエンジン付きの小舟は使わなくてもよさそう。

けれど、なんかエンジン付きとか羨ましい。

という訳で湖畔から湖に入った俺たち。

「それで絆さん。何処で釣りをしますか?」

「まずは地形の把握の為に軽く回ろう」

「ええ」

という訳で俺を先頭にシステムで表示されるマップを確認しながら湖の釣り場を確認する。

「そういえば釣る場所によって変化ってあるんですか?」

「今までの感覚だと無い」

ぶっちゃけ釣れる場所の条件さえ合っていれば実はルアーを落とすだけでも釣れるしヌシも引っかかっている。

マップごとに釣れる魚が決まっている大雑把なシステムなんじゃないかとは俺もさすがに察してはいるのだ。

「ただ、そこは空気というかなんて言うかね。それとさすがにヌシとなると引っかかる場所が決まってたりするから」

プラドのダンジョンにいた肺魚とかがまさにそれだろう。

「そうですね。釣りギルドの方に聞いた所、目視出来ないヌシは縄張り範囲で釣ると確率で引っかかると仰っていました」

そういった考察も出ているんだな。

「ここのヌシであるブラックバスを釣る際に皆さん検証してましたよ。大会指定の魚は特例処理でブラックバスの生態を知っていると有利になるそうです。大会の場合は大きな魚を釣るのが目的ですので」

「ほう……そんな要素を介入してあるのか」

「ええ、大物を釣る際の法則があって、ヒントはカルミラ島の該当魚の水槽と図書館に密かに追加されていたとか」

なんだか色々と面倒そうだ。

ブラックバス

「ブラックバスに関してはゲーム開始前に予習済みだ」

「あ、そうなんですね」

「そこはこう……どんな要素があっても良いように先に調べていたって感じでね。この辺りの水温と雰囲気からして……秋っぽいね」

「そうですね。ミカカゲの湿地帯も秋でしたがこの辺りも今は秋のようです」

「となるとブラックバスは活発な時期、昼は逆に引っかかりづらいって聞いた。それ以外は何処でも釣れるけど……そうだなー」

と、俺は湖内にある立ち枯れの樹木が水没しているエリアを選んでルアーを飛ばす。

もちろんルアーは青鮫のルアー。

クイックイ! っと適度に魚を誘惑するように動かして引っかかるか様子を見る。

「……」

俺を両手で支えるライブラリラビット……うん。呼吸してる感じに上下する動きがあるんだけど、黙ってるとなんか気になるね。

こう、俺の上から水面をじっと見つめるその姿。

目から光線とか出してライトになったりしたら怖いな。

なんかブレイブウサウニーは夜に目が赤く光って照らしてるのを見た事あるんだよね。

ブレイブペックルは盾を光らせて明かりを出してたんだけど。

「にんにん」

「絆ちゃんのバス釣り」

「あのルアーに食いつきたいでござる」

「まて、あのルアーで絆ちゃんは魔物を切り刻んでいた。食いつこうものなら切り刻まれるでござる」

「本望でござるよ」

「やめておけ、気づかれたらファンクラブ解散の危機でござる。それは我らの本意ではないでござる」

……竹筒で俺たちを遠間で潜伏する闇影よりも忍者をしているファンクラブの連中……気づいてないと思っているのだろうか?

お前ら釣りギルドなんだろうが! 潜るな! 小舟で釣り人に偽装しろ! 気づいてないと思ってんだろうが分かってんだよ。

闇影……お前は忍者を返上してお嬢様になったほうが良いと思う。

こいつらの忍者は筋金入りだと思い始めてきた。

俺がプラドで開拓している間にどんだけ成長をしていたんだこいつらは……。

「私もやりますね」

硝子も俺の隣に小舟を寄せてキャスティングをする。

中々手馴れてきている。

非常に頼もしい。

「あ、なんか糸に何か当たりました。ブラックバスでしょうか」

硝子……糸の方に何かが当たるのが分かるの?

俺は全然わからないんだけど。

なんて思いながらルアーをリズミカルに動かしているとガクっと何かが食いついた感覚がして咄嗟に竿を上げると思い切りしなった。

「フィッシュ!」

立ち枯れの木々に糸を引っ掛けてしまわないように竿を高めにリールを回す。

ぐいぐいっと……良い手ごたえ、少なくとも今までの魚よりも引きが強くてワクワクしてくる。

バシャバシャと水面で魚が暴れだす。

かなり大きめのブラックバスだ。

サイズは目算だけど少なくとも40センチ強はあるだろう。

今まで釣った魚に比べれば小さくないか? って感覚もあるがそれはそれ、ブラックバス基準で言えば大きい。

「大物ですね! さすが絆さん!」

「行くぞ!」

右へ行けば右へ、左へ行けば左、立ち枯れに引っ掛けられそうになったら引っ掛けないように動き回る。

「……」

ライブラリラビットが俺の思考を読み取って器用に小舟を動かして回り込む。

その動きはなんとも凛々しく見えるかもしれない。

「あのウサギ……出来る」

「有能執事に見えてきたでござるぴょん」

「ウサウニーじゃないウサギ、さすが絆ちゃんの騎乗ペットでござるぴょん」

「絆ちゃんとウサギ……なんか野郎は除外って思ったけど絵になるでござる」

「認めざるを得ないようだな。ウサギ」

何を抜かしているのだろうかあいつ等。とツッコミたいけど関わり合いになりたくないしそれ所じゃないので無視する。

ここで攻撃指示を出すのは無粋だろうか。

ブラックバスと俺とのシンプルな戦いだ。

バシバシと適度に糸を切ろうとしてくるがこっちの装備は軟ではない。

何より俺自身の積んだスキルが相手の抵抗をものともしない。

しっかりと着実に攻めて行けば難しい相手じゃないだろう。

「はあ!」

バシャ! っと俺が一本釣りの如く竿を上げるとブラックバスが高らかに水面から飛び出して手元に飛んでくる。

このくらいのサイズなら網とか要らずに手繰り寄せられるね。

「……」

と、思ったのだけどライブラリラビットが手を伸ばして掴んでしまった。

はい、とばかりに俺に手渡してきた。

いや……まあ、ありがとうって感じなんだけどね。

「よーし! 釣り上げたぞー!」

ブラックバスが釣れた。

ブラックバス 47、3cm

あ、システムメッセージまで出る。

芸が細かいな。

「やりましたね。ここでは初めてですがやはり絆さんなら余裕でしたね」

「まあね。地味に難易度高いんじゃない?」

「はい。少なくともフィッシングマスタリーがただⅩなだけではブラックバスは釣り上げるのは難しいそうです」

「やっぱりそうなんだね」

「ええ、少なくとも12は欲しいそうです。装備が相当良いならⅩでも行けるそうですが、中々難しいそうですよ」

なんだか難易度が厳しいんだな。

思えば第一都市の沿岸でマグロが釣れたけどあのマグロよりもはるかに難易度が高くなってしまっている。

ゲーム故の不思議要素って感じだろうか。

もしくは後半で釣れるマグロはLv40マグロみたいな代物で味が良いとか……。

……味自体はマグロだったと思うんだけどな。

あれかなー? ステータスアップ効果が高くなるとかその辺り。

「47センチですね。中々の大物だと思いますよ」

「俺の勘も悪くないもんだ」

「絆さんは日々釣りをして感覚を養っていますからね。開拓をしていても衰えませんね」

「そういわれると素直に嬉しい所かな」

「それで釣ったブラックバスはどうしますか?」

「解体するってのも実績としてほしい所ではあるのだけどー……それはもう少し小さいのを釣ってにする方が良いのかな? ほら、ブラックバスとかリリースするとかあるじゃない?」

「リリース……魚を水に返すという事ですね」

「うん。ただ、ブラックバスのリリースがダメだって記事も見たことあるからどうなんだろ?」

日本の場合、ブラックバスって外来魚で環境を荒らすからリリースは禁止って話がある。

法律で罰則って話は無かったんじゃなかったっけ? 場所によっては実名公表とかはされるらしいけど……。

なんか持ち帰るのはダメではあるらしい。

観賞用に持ち帰りは禁止って事なんだろう。

昔の話なんだけど、場合によっては近隣のどこかに持ち込むとお金が貰えるとか、ここに捨てて下さいって水槽が用意されてるらしい。

VRMMOのある現在だと釣り上げられたブラックバスが加工されて食卓に出る……なんてこともあるそうだ。

「リスーカさんは注意しませんよね」

「なら大丈夫なのかな?」

まあゲームだしな。

「絆さんがリリースするって珍しいですね」

「そこは大会があるから大きなブラックバスは逃して置けばまた釣れるかもしれないでしょ?」

「他の方が釣り上げてしまうという可能性は?」

確かにそっちの可能性は大いにある。

「片っ端から処理して小さなブラックバスで競う方が見栄え悪くない?」

「なるほど、絆さん達らしいですね」

その達って俺の姉妹を思い出して言ってない?

確かにあの二人は派手なの好きだけどね。

事前承知

「まあ、とりあえずリリースっと」

ポイっとブラックバスをリリースしておく。

また俺に釣られるんだぞー。

「何にしても絆さんが参加すれば大会は盛り上がりますね」

「上手く大物が釣れたらだね。この手の大会って何が起こるかわからないし」

優勝の為にフィーバールアーに手を染めるか悩ましいね。

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