更に肥料を入れる量とか、撒く水の量とか、作物によって設定されてそう。

……この辺りの面倒そうな要素をちょっと面白そうだと思ってしまうのはこの手のゲームをやりこんだ経験故か。

「それと農薬は? 確かあったよね」

俺でも知っているこのゲームにおける農業スキル関連の情報だ。

「妾の畑は完全無農薬と決めているのじゃ」

うわぁ……まあ気持ちはわかる。

緩くて楽しいスローライフ系農場ゲームではその方が正解である事が多いしな。

むしろゲームという媒体的にはこっちの方が珍しいだろう。

安全性どうこうがある現実的にも農薬に頼った農業をゲームで推奨するのはどうかと思うしな。

あるいは……なんとかして農薬を使わなくても良い状況を作り出して最高級食材を作る~~的な農家プレイが想定されているのかもしれない。

そこまでやったら面白いだろうし。

まあ、今は農薬を使った方が良いだろう。

「それで上手く行くのは簡単な牧場系のゲームだけなんだよ。リアルよりだと肥料と同じ位重要なんだよね」

「ええええ!? のじゃあああ!?」

思い出したみたいにのじゃを付けたな。

やはりキャラ作りか。わかりやすくて良いけどな。

やっぱり闇影みたいな子だ。

「農薬無しで作物を育てるというのは農家に初期装備。Lv1でラスボスを倒そうとしている様な、死ねって言ってるぐらいの暴言なんだよ」

俺は色々と学んだ結果、完全無農薬が如何に面倒で愚かな幻想であるのかを知ったのだ。

リアル農家の皆さんがどんだけ苦労しているのか……しかも無農薬だからと言って超美味しい訳でもない。

安全な食物を得るのはそれだけ大変だという事だ。

RPGで例えるなら肥料が武器なら農薬は防具みたいな存在だ。

「そ、そんなにもなのかの?」

「ああ。これはリアルの話だけど、作物に虫が付いた時に市販の殺虫剤を使っただけでもアウトなんだってさ。それも薬だからな」

「な、なんと……だからウサウニーは農薬を使おうと提案するのじゃな」

ウサウニーが提案するヘルプには従おうぜ……。

いや、俺も城を作る事を放置していた事があるので人の事は言えないが。

「牛乳を霧吹きで掛けて殺すという方法もあるんだけど、根本的な解決にはならないんだ。安全な農薬が使えるなら使おう。戦闘組だったなら効率的な装備をするのと同じ事だよ」

農薬って言うのは装備品みたいなもんだ。

無農薬というのはそれだけ難しいって事だな。

「じゃが無農薬とは聞くぞ。何より新しい畑じゃと上手く行くのじゃ」

「アレは有名な話だけど、実は完全無農薬じゃないんだよ。何より、こんな汚染で詰んでいる状態で無農薬はもう無理だと思う。新しい農地で上手く作物が育つのは連作障害がないお陰かな」

収穫出来る訳ないわな。

つまり最初から汚染地域だった訳じゃなくて、汚染地域にしたんだな?

「わ、わかったのじゃ」

元ギルドメンバーは顔文字さんの畑とか見て気付かなかったのか?

水やってれば良いとか思ってたのかも知れない。

俺も普通のゲームだったらそう思うだろうし、ゲーム的にはそっちの方が良いと思う。

「農薬解禁になったって事ね。なら試してみたい事があるのよね」

「なんじゃ?」

「ほら、さすがに現実だと安全性とか……そうじゃなくても気分的なモノがあるじゃない? ゲームだからこそ試してみたいというか?」

「姉さん、前置きは良いからさっさと言いなよ」

きっと碌でもない事を言うんだろうけど聞くしかない。

「この際、遺伝子組み換え済み農薬ジャブジャブ食材を作って食べてみましょうよ」

ブレイブウサウニー

「……な? 俺の身内、こういう極端な人なんだよ」

「のじゃあ……世知辛い世の中なのじゃ……」

いや、まあ……リアルでは絶対に食べないだろうけどさ。

そもそも遺伝子組み換え済みの食べ物とか、どこで売っているんだって話だけどさ。

だからってゲームの中だからやろうぜ! ってなるか普通。

「まあ農薬って事はポーションでも畑に蒔けば良いって事かしらね?」

「確かにその辺りで大雑把にカバーできそうだよな。そこはファンタジーRPG最高って感じか。ただ、数日は畑の浄化と休眠をさせないといけなさそうだなぁ……じゃ、よろしく、姉さん」

「えっ……まあ……わかったわよ。アンタがここまで言うって事は相当なんでしょ」

「他にポーション作りとか出来る人いるかな? 無いなら誰か調合覚えて欲しいんだけど」

「それはいるわね。調合技能持ちの人」

いるのか。さすが元戦闘ギルド。

回復アイテムの調達に必要なスキルはお手の物だな。

それなら薬剤、農薬の確保は出来そうだ。

とにかく、今は人員が欲しいな。

ペックルで医者ペックル辺りも出来そうだからまずやってみるか。

「カモンペックル」

「ペーン!」

召喚するペックルを選ぶ前にクリスが飛び出してきた。

「ここは……未開拓の開拓地ペンね!」

お? なんか専用メッセージがあるっぽいぞ。

クリスがサンタ帽子のウサウニーに近づいて何やら話をするモーションに入る。

「ペンペン」

「ピョンピョン」

それからクリスが俺の所にやってくる。

「ここの開拓妖精と話を付けたペン。僕たちペックルも開拓に協力するペン。だけどここでは僕たちの力は十分に振るいきれないペン。もっとウサウニー達が力を付ければどんどん力を出せて行く様になると思うペン」

「ふむ……どうやらペックル達はウサウニーの成長具合に補正を受けるようじゃな」

ステータスを確認するとペックル達の開拓能力が大幅に低下している。

本当にお手伝いさんってレベルだ。

まあそうじゃないと領地持ちが有利過ぎるから当然だが。

「みたいだな。で、ウサウニーの食料具合が枯渇してるのは分かったが、どれだけ足りないんだ?」

「賄えきれずに待機させる事しか出来ておらん。じゃないと毎度カルマー化してしまうのじゃ」

わー……とんだ連鎖状況。

畑壊滅+メンバー不足になるとここまでやばくなるのか。

「カルマー化から戦闘で倒して復帰させるとしばらく動かせるからみんなカルマー化させて酷使しておった。倒すと作物も少し得られるしのう」

凄い自転車操業だ。超絶ブラックって感じ。

毎度の楽しみがカルマー化したウサウニー狩りだったのだろうか。

これも運営が想定していたプレイングじゃないよな。

「戦えるならそれでも上手く行きそうだけどな」

つまりちょっと前までここはウサウニー達の地獄だった訳だ。

ペックルに蟹工船をさせた俺が言えた義理じゃないけどな。

けど、それだと成長が遅延してそうだ。

つまりある程度戦闘で回っていた開拓地だったって事なんだな。

能力が足りなくてもある程度どうにかなる救済処置も完備か。

正しい方法じゃない脳筋だけど、選択肢は準備されている様だ。

さて、改めてペックルを確認っと。

……やっぱり全体的にステータスダウンが大きいなぁ。

ウサウニー達を成長させる所から始めないといけないか。

「ウサウニーの操作をするアイテムを貸してくれない?」

「これじゃな。確か島主は道具無しで操作できるそうじゃな」

と顔文字さんは俺にウサウニーカウンターを渡そうとしたが、同じ極を合せようとした磁石のように俺の手からウサウニーカウンターは離れて地面に落ちてしまった。

「主人にウサウニーの操作はできないペン」

クリスがなんか注意してくる。

俺はペックルしか操作できないと?

ペンギンはウサギになれないペンって事か?

「まあいいや……ペックル達は能力がかなりダウンしてるけど、俺が操作できるし……」

ペックルカウンターを道具から出して姉さんに渡す。

開拓の七つ道具は……使えそうだな。

やっぱりこの開拓地補正が掛かってるっぽくて全体的に大きく補正が掛かってる。

農業の方は補正が少なく、釣りは補正が多く掛かっている。

まあ、ここで存分に釣りをして上げれば良い。

「とりあえず使えそうなペックルを呼び出すよ。カルミラ島の方の経営に問題も出そうだから呼び出せる数は限られるけどさ」

ポンポンと医者ペックルや農夫ペックルとか呼び出して行く。

「「ペーン!」」

鍛冶……人員的に居なさそうだからロミナが使ってたハンマー持ちのペックルも貸して貰おう。

きっと鍛冶能力が高い。

脳内のロミナが青筋立ててる気もする。

何らかの手段でメッセージを送れれば良いんだけど。

今はとにかくサッサと顔文字さんに農業をたたき込み、開拓を終えねば話にならない。

あ、一応ペックルを帰すことはできるようだ。

この辺りはシステム的な余裕って事だな。

「ペックル達の食料として魚が必要なんだけど……魚のストックとかある?」

「ないのう……」

「ま、その辺りは想定済み。手持ちの魚も多少はあるし、補充するまでは持つだろ。とりあえず持っている予備のカニ籠はオアシスに設置しておきながら釣りで確保かな」

元々所持していた魚の在庫がある。

開拓地補正が掛かるけど、俺個人のスキルや装備を組み合わせれば独自の熟練度は上げられるだろう。

「ペックルはアンタに任せれば良いって所ね」

「まあねっと、とりあえずブレイブペックルを召喚っと」

「ペーン!」

ブレイブペックルも召喚する。

開拓時は指示無しでもいるだけで全ペックルの能力が上がり、指揮をさせればペックルの能力に補正が掛かるんだったな。

ついでに俺が常に装備させられているサンタ帽子を被っているので能力低下していても現状ウサウニーより動けるだろう。

「後はオアシスに――」

っとカニ籠を設置するかと思っていると建造物方面から何やら土煙が近づいてくる。

「デスピョオオオオン!」

シュバッと土煙から何かが飛び出してブレイブペックルへとぶつかって行った。

「ペ、ペーン!?」

「デスピョン!」

ぐりぐりぐりぐり! っと一匹の……槍を持ったウサウニーがブレイブペックルに向かって頭を擦り付けている。

なんていうか凄くフレンドリーだな。

「お、落ち着けペーン!」

ぐいっとブレイブペックルがウサウニーの額にフリッパーを当てて押し返す。

「わかりましたデスピョン!」

それでもしばらくぐりぐりをしようとしたウサウニーだけどブレイブペックルの抵抗が強いからか引き下がった。

「ペンペン」

「デスピョン」

で、何やらブレイブペックルとウサウニーが話をするモーションをしている。

「ほう……これは特殊モーションなのじゃ。じゃが……台詞が危険な気が……」

台詞が危険?

「ただ……ウサウニーカウンターでは異常は無いようじゃ。一安心じゃな」

「ずいぶんとブレイブペックル相手に馴れ馴れしいウサウニーだな」

サンタ帽子ウサウニーとクリスも特殊会話っぽいのがあったけどそれ以降は特に特別な動きはない。

その中でブレイブペックルに反応するウサウニー……。

「ああ、そやつはブレイブウサウニーじゃ」

「あー……なるほど」

開拓生物の中で勇者に位置する特別なウサウニーな訳なのか。

「入手条件はダンジョンの最下層にある部屋の宝箱か?」

「そうじゃな。ダンジョンの床を掘ったら鍵が出てきての」

うわ……顔文字さん、運が良いなぁ。

というかどこでも掘るのかこの人? 掘るって発想がすごいな。

俺の場合は地底湖でヌシを釣り上げた時に手に入れた鍵からだったというのに。

とはいっても特別なウサウニーが既にいるなら開拓に上手く使えそうだけどな。

ラストラビット

「槍を持ったウサウニーなんだな。俺の所は盾を持ったペックルだったけど」

「絆のそのペックル、防御能力高いものねー。そのペックルを模した着ぐるみでガッチガチになるし」

ブレイブペックルは守ることに特化したペックルだからな。

いざって時はオートで防御してくれるし、大事な戦闘では呼び出して置いて損はない。

ランダムで大技を使って削りにもなる。

とにかく、勇者の開拓生物同士で何らかの特殊な動作があるっぽいな。

「ブレイブウサウニーか……こっちのブレイブペックルの例を考えると相当癖が強いんじゃないか?」

ストレスの上昇が異様に早いだろうし、一定値を超えると口が悪くなるってのがブレイブペックルの短所といえば短所だった。

「そうじゃのう。ブレイブウサウニーの運用に関して絆にも知って貰うべきかの」

「チラチラ私も見てはいたのよね。絆のペックルとどう違うのかしら?」

「槍を持ってるって所から考えてブレイブペックルとは違いがあると思うけど……背中のアクセサリーのお陰で運用しやすくなったけどストレスゲージの上りがすごかったんだよな」

俺の推測に顔文字さんは頷く。

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