それでもドラゴン故に素材の質は高そうだけどさ。

腐竜の骨、腐竜の腐肉、腐竜の逆鱗、腐竜の核、腐竜の翼膜、腐竜の角、腐竜の牙、腐竜の頭骨、腐竜の骨髄……。

どっかのハンティングゲームの素材みたいだな。

「よーし解体完了。後でロミナにどんな物が作れるか尋ねるとして」

討伐後のフィールドを見渡すと扉があるのに気づく。

確かこの先でペックルの笛があったんだったか?

そこまで行ってクエスト達成と言う所だろ。

「この先にもまだ道があるので一応行きましょう。また何か収まっている宝箱があるかもしれません」

「あいよ」

武器を収めて俺達は先に進む。

ドラゴンゾンビを倒した先の扉を開けると……もう一つ部屋があった。

部屋の真ん中にはそれらしい模様がある。

ゴール?

「ここが最下層って事で良いのか?」

「それがよくわからなくて……あそこを見てください」

「ん?」

言われて硝子が指差す先を見る。

するとそこには二つの扉があるのに気づく。

一つはこれ見よがしに鍵穴がある扉、もう一つはそれらしい物はなく、閉まっている扉。

「どっちも開く気配が無いんですよ」

「ありえるのは何かしらのフラグを立てると開くって所かな?」

「お城を立てると開くとか?」

その辺りだろうなー……。

「鍵穴付きの方は何処かで鍵が手に入ると思うよ。それこそお城を建てるとかかな?」

「マシンナリーで開ける」

「ありえるかもな。ジャッキとかで強引に開く仕掛けとか、実はスライドで開くかもしれないぞ」

そう言った意地悪な謎掛けだってありえる。

この手の物は頭を使う事に意味がある訳だし。

「RPG的な話題だな……そういや地底湖の主を釣った時に鍵を手に入れたっけ」

「お兄ちゃん言うの遅過ぎない?」

「紡、それはお前もだ」

こんな所に扉があるなんてお前も言っていない。

ゲーマーの癖に兄弟そろってマヌケ過ぎだ。

「まあまあ。絆さん、試しに鍵を差し込んでみてはどうですか?」

「……チャレンジ」

「もちろんやるさ。つーか……鍵開けとかの技能があると無くても開けられたりしてな」

俺は古の伝説の鍵を取り出して扉に差し込んで捻る。

ガチャリと音を立てて、ロックが外れる音が響く。

そして古の伝説の鍵は光となって消えた。

扉を押すと、ゆっくりと開く。

「何があるかなー?」

ボッと室内のたいまつに火が灯り、室内が照らし出される。

鍵を使って開いた部屋は……さっきまでいた場所に良く似た間取りの部屋だ。

今度は完全に行き止まり……部屋の奥には四つの武器っぽいエンブレムが描かれている。

武器は……剣に槍に弓、そして盾かな?

これに追随する様に肉とか魚が描かれている。

魚は盾みたいだ。

で、真ん中にはこれ見よがしの宝箱。

「宝物庫ですか」

「みたいだね。ペックルの笛みたいに何か面白い道具でも入っているのかな?」

「何か優秀な武具でも良いな。とは言っても俺達が使っていない武器が出ると困るけど」

とは言え……ロミナが困惑する程優秀な素材だったシーラカンスを釣りあげて得た鍵だ。

物凄く優秀な武器が入手できても不思議じゃない。

「じゃあ……開けるぞ」

「うん」

「お願いします」

「……トレジャーハント」

まあ、ここでミミックとかに遭遇したら運営を絶対に許しはしない。

恐る恐る俺は宝箱に手を掛けて蓋を開ける。

「ペーン!」

……声を聞いて思わず半眼となって飛びだしたペックルを見つめる。

硝子や紡、しぇりるも若干がっくりとしている位だ。

なんだよペックルが入っているのかよ。

期待させやがって。

とは思いつつ、ここまで仰々しい所に入っていたんだ。

何かあるだろうと飛びだしたペックルを確認する。

「よく古の伝説の鍵を入手し、ドラゴンゾンビを倒して封印を解いてくれたペン!」

おお、専用セリフ付きか。

えーっと……宝箱から出てきたのはなんか丸い宝石が埋まった盾を装備したペックルだった。

「俺の名前はブレイブペックルだペン! これからよろしくだペン!」

「ブレイブペックル?」

「ペーン!」

そう言い終わるとブレイブペックルとやらは他のペックルと同じく、姿を消した。

説明はなしか。

「何でしょう?」

「他のペックルとは違うのかな?」

「……ブレイブ、勇気」

「うーん……まあ良いや、とりあえずもう片方の扉を調べて特に何も無い様だったら帰ろうか。ブレイブペックルに関しては帰ってからで良いでしょ」

「了解ー」

「そうですね。ペックルですからアルトさんと相談してからでも良いでしょうし」

ペックルの管理はアルトに任せてるもんな。

しかし……こんな仰々しい場所で手に入ったのがペックル一匹とは……。

などと思いつつ室内を調べたが、それらしい収穫もなく俺達は足早に帰還したのだった。

「ブレイブペックルは世界を救うペックルの勇者だペン。他のペックルとは違って特別なペックルなんだペン。彼の封印が解かれたと言う事は開拓に大きく貢献出来るペン」

帰ってくるなりサンタペックルが俺に近づいてきて、謎の絶賛を始めた。

専用の台詞まであると言う事は物凄く優秀って事で間違いはない。

こう、NPC的な意味で。

しかし勇者はともかく、世界はプレイヤーに救わせろよ。

とりあえずアルトの所へ行くとしよう。

防御専門

俺達はダンジョンでの出来事をアルトに報告し、揃ってブレイブペックルのステータスをペックルカウンターで確認する。

「絆くん達が帰還した際に出てきたブレイブペックルなんだけどね。恐ろしい程の性能を宿しているのは確かだね」

「そうだな」

まず入手したばかりの技能Lv1の状態で他のペックルよりも総合的に高い。

サンタペックルみたいな器用貧乏ではなく、何をさせても卒なくこなせるほどに基礎水準が総じて高めなのだ。

勇者だからって事かもしれない。

まあRPG的に古くから勇者と言えば万能型だよな。

「ブレイブペックルにはいろんな物を与えられるペン。その度に少しずつ強くなって行くペン!」

「何?」

「アイテムを渡す毎に少しずつステータスが強化されるタイプのNPCって事か……」

「ただ、ブレイブペックルは守り専門で攻撃は出来ないペン! 十分に注意するペン」

サンタペックルはブレイブペックルに関しての説明を続ける様だ。

纏めると、ペックルの中でも特別なペックルで、基礎性能が総じて高め。

しかもここから成長するし、アイテム……道具や素材を渡す毎にステータスが更に伸びる。

「確かに、ブレイブペックルには専用の指示が出せるようだね……とは言っても代表である絆くんの命令を優先する様だけど」

「ペックルカウンターから指示は出せるんだろ?」

ブレイブペックルのステータスを再確認。

……特殊技能に薬剤、料理、細工、付与、指揮補正と言うをデフォルトで所持しているみたいだ。

他のペックルとは大きく異なるのはわかるな。

「まあね。とりあえず……指揮辺りをさせてみるとしようか」

ペックルカウンターでブレイブペックルを指揮をさせるように指示させる。

すると……全ペックルのステータスが5割ほど上昇した。

「……凄いね。全個体に作業経験値の増加のバフまで掛っているよ」

「滅茶苦茶優秀なんじゃないか」

「そう……だね。不自然な程に何でも出来るペックルだ。ダンジョンのクリア報酬では無いのだったか」

「ああ、主を釣りあげた時に手に入れた鍵で開けた扉の先に居た」

「となるとその難易度に合わせた報酬か……開拓が進んで良いね」

「俺の釣りのお陰だな」

無駄に自己主張しておく。

じゃないと俺って割と役立たずだし。

「間違ってはいないと思います」

「そこは謙虚にするべきだよ、お兄ちゃん」

「だからダンジョン探索を手伝ったんじゃないか」

「そう言えばボスは復活したのかい?」

「ドラゴンゾンビを倒して素材をゲットしたぜ! 俺の解体で!」

ここまで行くと自分でもちょっとウザイ感じが漂ってきたな。

まあ気にしない。

「前線組に売りつけたらどれだけ高額になる事やら……とは思うけど、とりあえずロミナくんへ持って行ったらどうだい?」

「もち!」

そんな訳でアルトと別れてロミナの方へと行く。

ドラゴンゾンビの素材を持ち帰るとロミナも満足する様子で受け取ってくれた。

「中々良い素材を持ってきてくれるね。今度は……確か紡くんの装備で良かったのだったか」

「そうそう。この装備で行けばもっとダンジョンでの戦いが楽になると思うんだ」

「わかった。じゃあ試しに作ってみよう。古代魚素材よりは楽なはずだ」

で、ロミナは持ちこんだ素材で紡に装備を作ってくれた。

黒光りする不思議な防具が出来上がる。

さっそく紡が着こんで俺達の前でポーズを取る。

「わー凄い! 前の防具よりもガッチガチだよ!」

「そりゃあ良かったな」

スカートのあるデザインの鎧だ。

割とデザインは凝っているんじゃないだろうか?

「洒落たカスタマイズをしても良かったのだけど、もう少し素材が必要でね。実用優先に最小限の素材で作ってあるよ」

「了解ーお兄ちゃん。また素材を手に入れに行こうね」

「わかったわかった」

まあ……少しは経験値と言うか戦闘の熟練度をあげておきたいし、悪い話じゃないか。

とは言え……釣りが恋しくなってきたな。

「今度は失敗しなかったので何より」

「その事だけど、絆くんが持ってきたオレイカル鉱石なんだが……鋳造の難易度が随分と高くて驚くよ」

「絆さんは常に先に行ってますね」

硝子がそう囁く。

そのつもりはないんだがな……とは言え、空き缶商法を思い出すので否定も出来ないか。

「上手い事鋳造は出来たけど、その先はまだ難しい。腐竜素材で随分と経験値を稼げそうだから持ってきてくれると助かるよ」

困った時のロミナさん。

もはや俺達専属の職人っぽくなって来てる……島から出た後も当たり前の様にタダで武具を作ってもらうとかさせそうで怖い。

親しき仲にも礼儀あり。

これからも仲良くやっていく為に色々と考えないといけないな。

「紡、硝子……ダンジョンで得た金銭をしっかりと報酬で払うんだぞ。当然の様にロミナに作ってもらっていたら前線組と同じになってしまうからな」

「……そうですね。いつまでもロミナさんの善意に甘え過ぎてはいけませんね」

「わかってるよ。お兄ちゃん」

「こっちは良い素材を提供してもらって、頼んでいる側だと言うのに……」

これはけじめだ。

甘え過ぎては今後の生活にも関わってくる。

俺も今度、島で一番美味しい魚のクエをロミナへ提供しよう。

割と普段から振舞ってるけど。

「報酬はもらっているさ。難易度の高い素材を貰って良い感じに熟練度を稼げているからね。まあ……相手を尊重する気持ちは受け取っておこう」

「話は戻って、オレイカル鉱石とスターファイア原石、そして古代魚系の素材での武具製造は難しいって所だっけ?」

「そうだ。少なくともまだ私の腕が足りないと言う話だね」

「大丈夫だよ。今の所ダンジョンのモンスター相手に遅れは取って無いもん」

硝子と紡はな。

俺も下級エンシェントドレスのお陰でどうにか出来ているし……。

「今度はしぇりるの番か、防具辺りはあっても損じゃないだろ?」

「……そう」

まあ、しぇりるは職人でもあるから少しずつ手伝ってもらえればいいんだけど……なんて思っていると腐竜の頭骨と骨、そして翼膜の端材に目を向けている。

「船の素材に欲しい?」

「……うん」

「じゃあ休憩したらまた取りに行くか」

「おー!」

とは言っても、後一回くらいで俺はまたスローライフに戻りたいけどさ。

そんな訳で俺達は装備を整えてまたもダンジョンに挑戦して行った訳だ。

ま、ここまで来ると作業なので、ドラゴンゾンビをまた倒して戻ってきたで終わらせよう。

合間にダンジョン内で掘削をして建築用の素材をゲットした。

今回はレアドロップは無かったっけ。

しぇりるも程々にLvが上がり、紡はガンガンLvが上昇しているっぽい。

次に手に入ったドラゴンゾンビ素材はしぇりるが受け取り、残りの素材でしぇりるの装備を作った。

ああ、素材が噛みあわない物でロミナの鍛冶道具を新調したらしい。

連続でインスタントダンジョンに潜ったので疲れた俺は、その後ダンジョン行きを辞退し、島での釣りと狩猟……泳ぎ技能の向上に努めた。

アルトの話じゃブレイブペックルを入手したお陰でペックル達が効率よく動いてくれているそうだ。

「よーし!」

大鯰の釣竿のお陰でクエも簡単に釣れる様になった。

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