しかもロミナがドラゴンゾンビの牙から釣り針を作ってくれたおかげで強度も補完されたし……難点は時々、毒が魚に着く事かな……夜に使うとボーンフィッシュが釣れる。
この釣針の使用はやめるべきだろうか。
狩猟としてトラップマスタリーを取った。
最初はモンスター専用の落とし穴を作成する物だったけど、何度か狩猟エリアで使用していると技能Lvを上げる事が出来た。
翌日はしぇりると一緒に素潜りで貝探しをした。
あさり汁を地底湖で作って食べたと話したらみんなも食べたいと言うので、しぇりるが貝も採れるだろうと海で採取する。
釣りばかりだけじゃダメだって硝子が言っていたし、特化するよりも良いのかな?
なんと、カルミラ島ではアワビが採取出来た。
バーベキューをしてみんなで食べてみた。
身がコリコリしてて絶品だった!
うん! 良い感じ!
オレイカルインゴット
そうして四日程過ぎた。
「うーん……」
ロミナが工房でオレイカルインゴットを前に腕を組んでいる。
試作品で作った小手だったかが紡曰く、凄く優秀なんだけど、一個作るのに何度も失敗を重ねた……らしい。
硝子と紡は日課にしているダンジョンへと潜って行っている。
「何か作らないのか?」
「難易度が高くてね。在庫も少ない……絆くん、また採取して来てくれないか?」
「良いけどー……アレってそう何個も採れないんだよな」
あの後もしぇりると探索とばかりに素潜りで地底湖探索に行ったけど、最初に見つけた時は運が良かったのか、あまり採取出来なかった。
「ミラカ凝縮結晶装備やドラゴンゾンビ装備で戦えるみたいだし、余り拘らなくて良いんじゃないのか?」
「そうは言ってもね。釣りに拘る絆くんと同じく、私も鍛冶職人としての意地があってね」
なるほど……とは言ってもな。
と言う所でブレイブペックルがやってきた。
「何をしているペン?」
このブレイブペックル。
他のペックルとは異なるAIで動いている様で、それなりに受け答えをする。
何かしらのヒントとか言ってくれるかもしれないな。
「オレイカルインゴットで作れる物の難易度が高くて困っているんだ」
「わかったペン」
すると俺の視界に作成指示のアイコンが出てくる。
は?
手元の素材と言うか……工房内にある道具一覧で作れる物が出てくる。
いや、ヒントをくれよ。
「どうしたんだい?」
「なんかブレイブペックルが作成指示アイコンを出して来て……」
「ふむ……どうせ壊しかねない素材だ。折角だから何か作ってみるのはどうだい?」
「ロミナが良いのなら……」
と言う訳でロミナからインゴットを受け取り、手元の素材で何か作れないか探してみる。
オレイカルインゴットってアクセサリー系が多いな……。
いや、確かブレイブペックルって細工を持っているんだったか。
その点で言えば防具では無くアクセサリー枠が多いのは当たり前か。
「じゃあ……」
俺はオレイカルスターファイアブレスレットを指示する。
「わかったペン」
ブレイブペックルが工房の金床の前に座り込んで何やら弄り始めた。
「じゃあ残ったインゴットで私も挑戦するとしよう」
作業シーンを見ているとブレイブペックルは細工をしているみたいだ。
「くー……失敗した!」
ロミナが悔しそうに消滅したオレイカルインゴットのあった場所を見ている。
そんなにも作成するのが難しいのか。
やがて……。
「出来たペン!」
ピョコンと立ち上がってブレイブペックルが俺に腕輪を差し出す。
オレイカルスターファイアブレスレット+2
……なんだこれ?
アクセサリー枠だけど下手な防具よりも防御性能から何まで高くなるぞ!
魔力が突出して高くなる。
しかも媒介石エネルギー自動回復(弱)まで付いた代物だ。
ロミナに手渡して確認させると、若干眉が上がる。
「え、NPCにここまでの代物を作られると私の立つ瀬が無いのだがね。悔しいがここまでの代物をまだ作れない」
うわ……すげえ。素直に称賛の言葉が出るとか、俺だったら嫉妬とかしそう。
と言うかゲームバランス考えろ! とか叫びそう。
「島の素材なら難しくないペン」
「おそらくカルミラ島由来の素材ならばブレイブペックルにとって容易い物なんだろうね」
「そうなんだろうけど……このアクセサリーはどうするべきかな」
俺が使っても良いけど、硝子や紡に持たせても良いかもしれない。
まだダンジョン内で物資調達をしている。その効率を上げる意味でもさ。
で、オレイカルスターファイアブレスレットを見ていたらブレイブペックルが新しい項目……付与一覧を見せてくれる。
「素材さえあれば簡単に作ってもらえるだろう?」
「ちょっと待って、そういや付与って技能があるんだが……」
「そんな物は実装されていない……やはり少々先取り技能を所持していると言う事か」
とは言え……今、俺が手持ちに入れているアイテムだとそこまで優秀な付与を施せはしないんだがー……。
お?
ドレイン強化を発見。
素材は吸血魚とボーンフィッシュ……。
仲間外れになってしまった闇影のご機嫌取りと実験には良いかもしれない。
「じゃあこれで」
「わかったペン」
ブレイブペックルがオレイカルスターファイアブレスレットを持って行き、今度はそこに手をかざして作業に入るモーションを始める。
「……何させても卒なくこなすね」
「ペックルの中での勇者みたいな奴だからな」
「もうブレイブペックルさえいれば他はいらないのではないのかね?」
「僻むなって、アクセサリーしか作れないみたいなんだからさ」
なんて言いながら少し時間が経過すると。
「出来たペン!」
ってな感じでオレイカルスターファイアブレスレット+2(ドレイン強化)は完成した。
付与無しよりも僅かに性能が落ちているが……コレはバランス調整か?
どっちにしてもしばらくは誰かに使って貰って、闇影と会った時にでもプレゼントしておこう。
現状だとサンタペックルが来ても闇影は必要ないけどさ。
ダンジョン攻略終わってるし。
「なんとも歯がゆい気持ちになるね。今日は寝ずに技能上げに励むべきだ!」
ロミナが謎の対抗心を出している。
まあ、硝子達が定期的に良い素材を持ちこんでくれるもんな。
波が来てアップデートされた後の事を考えれば悪い話じゃないはず。
「腕が上がって……島から出た後は前線組も驚きの腕前を披露するんだな」
「そうなるかもしれないね。まあ、職人仲間にはライバルもいたから、ライバルたちを出し抜いて一番の職人になったと自負しても良いかもしれないね。そこまで至れば馬鹿な連中を逆に返り討ちにも出来るだろう」
ロミナは俺の方を見て。
「むしろ絆くん達の専属鍛冶師でもあると主張しても良いかい? おかしな連中を黙らせるには良い名目なんだが」
「勝手に呼んでしまったしなぁ……別に良いけど、俺達はマイペーススローライフ勢だぞ? 今後もそのスタンスを崩す気は無いし、何処かで落ちぶれるかもしれない。そもそも一番なんて望んでいないが良いか?」
そう、結果的に今は、推定最前線らしい所に来てしまっているだけに過ぎない。
いつ落ちぶれるかわからないのも事実だ。
「問題ないさ。好きにさせてもらっているのだから名目貸しだけでも良い」
「それこそ、気に入った連中が居たら直ぐに移籍可能な立場……良いかもな」
「良い人材を絆くんは抱えていると思うがね。硝子くんや紡くんは前線組でも有数の人材だ。闇影くんだって波での成績を見れば他の追随を許さない。そしてアルトくんまでいるんだ。そんな仲間達に囲まれているのに本人は釣り三昧……君を見つけてコンタクトを取る方が難しいと思うがね」
しぇりるは船職人だから有名とか関係ないか。
なんか島でカスタマイズしている船が海賊船みたいになって来ているのは気にしない方向で行こう。
この中で代表を一応している俺に声を掛けるのは……案外難しいのかな?
ま、島を出たら釣りをしているのは決定だし。
……俺って何処かで隠居している仙人みたいな生活してる様な……?
この考えはやめよう。
「さてと、じゃあ良いアクセを作ってくれるブレイブペックルには硝子達の分までアクセサリーを作ってもらうか」
その間に素材をゲットすれば良い。
「あ!? ったく、面倒な仕事を押しつけてくるんじゃねえペン」
「……は?」
ブレイブペックルを再度見つめる。
するとそこには先ほどの様な丁寧と言うか若干ボケっとした様なペックル顔では無く、妙に鋭い眼光になり、口の悪いペックルがいた。
何度も確認する。
おかしいな……ブレイブペックルなのに反応が違うぞ。
奴隷じゃないペン
「おーい」
ブレイブペックルの豹変に困惑していると、アルトがこっちに近づいてきた。
「絆くん、何かブレイブペックルに命令したかい?」
「え? ロミナと一緒にアクセサリー作りを指示したけど?」
「やはりそうか」
「何か知ってるのか?」
「ああ……万能なブレイブペックルなんだけど唯一の短所があってね」
アルトは凄く不機嫌そうにしているブレイブペックルにペックルカウンターで指示を出して移動させる。
「人を小間使いみたいに扱いやがって、奴隷じゃないペン!」
なんか歩調すらも態度が悪いなー……。
しかし……その台詞は地味に痛い!
ペックル達全員の総意にも聞こえかねない!
後、お前は人ではなくペックルだ。
「ストレスゲージの上がりが物凄く速いんだ。だから何かさせる場合はしっかりと見ておかないとあっという間に増える」
「なんと……そんな短所があるのか」
性能が高い代わりって奴か。
勇者ならもっと耐えろよと思わなくも無いが、なんともゲームらしい短所だな。
とはいえ、無難な設定だと思う。
「うわ……指示を出して放置したらあっという間にヤバイ事になりそう」
「間違いないね。そしてストレスゲージが50%を超えると、あんな感じで露骨に態度が悪くなる。随分と独特のAIをしているよ」
一体どんな設定なんだ?
「バックストーリーか何かがあるのかもしれないけどね。調べた限りだと図書館を建てれば少しはわかりそうだね」
「知りたい様な知りたくないような」
「まあ、ブレイブペックルは何もさせなくても全てのペックルの能力を二割あげてくれるし、ストレスを下げる為に放置するのが一番なんだけどね」
いる事に意味があるタイプか。
宝の持ち腐れなペックルだなぁ。
しかもアルトみたいなしっかりと全ペックルの様子を確認している様な奴がいないといけないとか。
ちなみに城建設だけど五分の一くらい進んでいるって所かな。
まだまだ先は長そうだ。
「で、ブレイブペックルにアクセサリーを作らせたそうだけど」
「ああ、コレだ」
オレイカルスターファイアブレスレットをアルトに見せる。
「ははは、ロミナくんが廃業になりそうな代物だね」
「アルト……君はまだ懲りていないのかな?」
ロミナが指をボキボキと鳴らし始めた。
死の商人VS鍛冶師の対決第二ラウンドが幕開けしそうな雰囲気だ。
「ドレイン強化は闇影くん用かい? いや、絆くんの事だから……手持ちの素材で何かしたと言う所か、そのついでに闇影くんの機嫌を取れそうな物があったとか」
本当に一言多い奴だな。
俺もふざけておこう。
「名推理だよ、アルトくん」
アルトが苦そうな顔になった。
「その闇影くんはどこにいるのかな?」
「君の様に賢い商人は嫌いだよ」
「直後にその弓で撃ちそうな悪ふざけはやめてくれないかな?」
撃ってもダメージは無いけどな。
まあいい。
「未実装の技能、付与をついでにブレイブペックルにさせたんだ」
「なるほど……とは言え、ブレイブペックルに何かを作らせる時は僕に一言相談してからにしてもらって良いかい?」
「了解」
「そもそもロミナくんは鍛冶系の熟練度に意識を向けているけれど、基本的なLvを疎かにしていないか? 何だかんだ言って腕力とかも影響するだろう? ちょうどいいから硝子くんや紡くんにあげてもらってはどうだ?」
「確かに……上がりが悪いのもLvの所為かも知れない。良いかもしれないね」
そんな訳で、優秀なアクセサリー量産計画はもう少し時間を掛けて作らせる事になり、ロミナは硝子達の方へ手伝いに出た。
「絆くん、ちょっと良いかな?」
「なんだ?」
「この島なんだが、開拓を進めていると、やはりと思う点が増えて来ているよ」
で、島の開拓は着実に進んでいる。
アルトが俺の代わりに色々とペックルを運用してくれたから、見違えるほど発展した。