こうして俺達はロミナを連れてその日の内にロミナのクエストクリアを手伝った。

すると推測通り鍛冶技能が高い人物が得られる新レシピが解放された。

更なる派生で色々と作れるものが増えたらしい。

ますますロミナが成長をした感じだな。

アルトが他のプレイヤー達との情報交換を行い、いざって時に指揮ができるプレイヤーの目星を各々プレイヤー同士で付けられた。

そうして回復薬から何まで装備が潤沢になった状態で来るべき魔王軍の侵攻イベントの時間が近づいてきていた。

「武器だけじゃなくて、防具関連が多いね」

「少しでも性能が高ければ十分ですよ」

硝子の方は赤鉄熊の毛皮を震鎮の羽織に重ね加工をして耐久性が向上したらしい。

他に火耐性が付いたとか。

紡も似た感じだな。

カニ装備の装飾が変わって心なしか豪華になっている。

攻撃力が上がったとか説明していた。

「……そう」

なんか若干誇らし気なのはしぇりる。

しぇりるは貴族服に船長帽子を着用しているのかは突っ込むべきなんだろうか?

「……」

そんなしぇりるを見てからロミナの方を見ると苦笑いされてしまった。

「絆くんが釣ったヌシ素材が色々と工房に持ち込まれるからね。どうやらデザインが気に入っていて、さらに性能が良いから今回はそれで行くみたいだよ」

で……残ったのは闇影と俺。

相変わらず装備に変化はない。

「拙者はいつになったら装備更新をするでござるか?」

「したければすれば良いんじゃないか?」

「拙者の為に作った品々が型落ちしないでござるよ!」

まあ、作成当時、集められる最上級な品々で作った装備で性能厳選もめちゃくちゃしてあるからなぁ。

しかも追加効果は闇影のスキル構成に合わせている。

実は闇影の装備品って……前線組が垂涎の品だったりするのだろうか?

こう、アップデートして新しい装備群が出たけど買い替える程じゃない微妙な差って奴。

まあ追加効果の関係で微妙かもしれないが。

俺も似たようなものだ。

……いや、正確にはあるにはあるんだ。

際物過ぎてみんなが敢えて触れていない装備がな。

「そんなにしたいならあるじゃないか……見た目に拘らなければ、だけどね」

「……」

一同がそこで視線を逸らす。

あのお調子者の紡でさえも手を出さないネタ装備が存在するのだ。

ペックル着ぐるみを素材として発展する装備だ。

その名もカッパ着ぐるみ。

名の通り俺達が倒した河童の素材を元に作り出されたデフォルメされたカッパの着ぐるみである。

まあペックルと河童はくちばしがあるし、泳ぎに関して似てるから否定はしないけどさ。

どこぞの最後の幻想の六作目にも河童って状態異常があったよな。

ともかく、この河童着ぐるみ……ペックル着ぐるみのような若干物足りない性能ではなく現状では俺達の防具の中では抜群の性能を宿している。

特に防御力は甲羅のおかげか現状かなり高く、水耐性に関しては破格の性能をしている。

釣り系技能は据え置きの見た目さえ気にしなければ俺達の装備としては最高水準の性能である。

専用効果で尻子玉抜きという固有技まである。

きゅうりを食べると回復効果もあるとか……完全に河童化である。

見た目が遊園地のマスコット……いや、寿司屋とかのゆるキャラとかに居そうである点を除けば。

このゲームの開発者は一体何を思ってこんな装備を作ったのだろうか。

まあ、こういう装備ってMMOだと結構あるけどさ。

いや……正確には俺達が居たのが運営の想定外に先の場所だったのかもしれない。

ちなみにミカカゲでクエストを達成した際に、俺が河童を発見したことで見つけたクエスト関連から続く報酬で得られるレシピなんだそうだ。

しかも強化素材が河童関連で得られるから強化もしやすいおまけつき。

「使ったら面白そうなんだけどねー」

「闇影くんが使える巻物枠もあるよ」

って闇影はキュウリにしか見えない巻物を渡されている。

なんでも河童着ぐるみを着用して装備すると本来の性能を発揮できるってセット効果付きだ。

「使いたくないでござる! ネタ枠は嫌でござる!」

闇影が駄々を捏ねている。

強制はしていないのでみんなそれ以上は触れないし、触って良い事は無いので黙っている。

「まあ、次にどんな事態が起こるかわからないからストレージには入れて置くけどな。必要に迫ったら使えばいいだろ。心の底から使えないと切り捨ててるわけじゃないんだし」

「そうでござるが笑いものになるでござるよ!」

「絆くん達に関しては他プレイヤーは笑うに笑えなくなってきてると思うけどね」

まあ……なんか上手い事波に乗っているというかおかしい位にゲームを満喫出来ているもんな。

こんな装備で歩いていたら何かあるんだとか思われるのも当然か。

そんな訳で念には念をという事で俺達はこの着ぐるみを収納しておくことになったのだった。

「そろそろ武器作りも本腰を入れないといけないんだけど、生憎とまだ必要素材が集まらないのが問題だね。絆くんに主釣りをもっとしてもらった方が自然と武器更新は捗るかもしれないね」

ふふん、どうだロミナの太鼓判は、とみんなを見ると眉を寄せられてしまった。

「絆さんの持ってる解体包丁がすごいのはわかってますけどね」

「そもそも攻撃力って点だけで言えば私達の武器もそこまで負けてないよ、お兄ちゃん!」

まあ……紡に関しては定期的に鎌を更新というか強化して新しい鎌にしている訳だし、当然か。

過剰強化とかしたりはしてないし長く愛用している感じで、ロミナの安全圏でできる限りの強化を施している。

カニ素材とドラゴンゾンビ素材が混ざった割と禍々しい色合いのカニ鎌って感じだ。

硝子の武器も同様な訳で、大本は俺が釣った要石の扇子を強化した発展武器……要石の扇2となっている。

しぇりるの銛は次元ノ白鯨素材で作られたエイハブスピアの正当進化系の武器である雷属性を宿したモビーディックスピアへと強化された。

ロミナも強化する事に関して腕を上げてきているようだ。

個人的には釣り竿の強化もそろそろお願いしたい。

川の魚はまだ強敵と呼べる相手と遭遇していないが油断していると大事なルアーなどを取られかねない。

アルトに頼んで属性ルアーを買い揃えているけどさ。

「ああ、なんか絆くんが釣り具を欲しそうにしているから腕の良い釣り具職人に頼んで作っておいたよ。君が使うなら良いに越したことはないって言ってたよ」

と、ロミナが俺にくれたのは二つのルアーだ。

一つは青鮫のルアー<盗賊たちの盗人>

なんか鮫を模した形をしたルアーであのブルーシャークを思い出すデザインをしている。

性能はルアーヒット時に斬撃と出血ダメージ。

もう一つは白鯨骨のルアーというスケルトンな骨格型のルアーだ。

こっちはバブルショットと叩きつけ……?

「なあロミナ……このルアーは?」

「どうかしたかい?」

いや……どうかしたかいと言われても……これってルアーなのか?

ルアーの形をしたスリングの弾とかそんな感じの品に感じるんだけど。

まずルアーヒット時に斬撃と出血って魚を攻撃するのか?

白鯨骨のルアーも同様だ。

バブルショットと叩きつけって完全に戦闘用としか言いようがない。

いや、普通に使えば問題ないのかもしれないけどさ……微妙に納得しがたいというかなんて言うか。

……光のルアーとかで攻撃してた俺が言う資格は無いか。

ありがたく使わせてもらおう。

「他にも色々と作ってあるから何かあったら使ってくれると嬉しい」

「何から何までありがとうございます」

「気にしなくて良いさ。それ相応に素晴らしい環境を提供してくれているんだからね。君達が居なければ鍛冶から離れていたのだけは断言できるんだ」

ロミナは気さくに俺達に色々と事態を想定して品を預けて行った。

で、奏姉さんと連絡を取ったんだけど装備も物資も潤沢だそうで、こっちが何か援助をしなくても良いと言われてしまった。

奏姉さんも仲間達との付き合いを優先したって事なのかな?

アルト曰く、上位組のパーティーではあるらしいし、そっちはそっちでコミュニティやお抱えの鍛冶師が居るのかもしれない。

こうして装備の準備も万全に俺達は来る魔王軍の侵攻クエストを受注して待機していた。

湿地帯

作戦開始のタイムカウントが表示される。

「もうすぐ開始か」

「みたいですね。皆さん、しっかりと準備は整ってますか?」

「もちろん、カニポーションも十分あるし、できる限りの装備も整えたよ!」

「準備万端でござる」

「そう」

さて、今回のイベントはどうなるかって所だな。

おっと、クリスとブレイブペックルを忘れちゃいけない。

ちなみにブレイブペックルは入手した様々な素材を渡すことで強化される特別なペックルであり、アルトが露店で見つけた見慣れない素材とかもついでに渡して強化されている。

そういえばアルトの目利きとかの技能って見たことがない素材とか鑑定物などを所持したりなんかで向上していく代物なんだとか。

色々と上手い事アルトも自身の強化をしているって事なんだろう。

なんて思っていると残り時間が0になり、魔王軍侵攻を退けるクエストが始まった。

スッと戦場の自軍エリアに飛ばされた。

湿地帯……か?

なんか水たまりが無数にある奇妙な戦場フィールドっぽい。

遠くを見ると反対側のフィールドになんか無数の魔物らしき連中がこっちに向かって来ようとしているのがわかる。

ルール的には防衛戦で、俺達の背後にある関所と防壁を壊されないようにしなきゃいけない……らしい。

そして防衛をしながら魔王軍の大将を倒せばクエストクリアになる。

作戦自体はシンプルだよな。

なんて思った所で上空から強い雨、スコールが30秒ほど振る。

なんだ?

雨自体はすぐに止んだし、特に何かある訳ではないようだ。

「じゃあまずは人員に関してだが……」

と、そこで前線組でアルトの仲介で割り振られたらリーダーになると決められた奴が手を挙げている。

「お? そこにいるのは釣りマスターじゃん」

リーダーが俺を見つけて言った所で周囲の視線が集まる。

「基本釣りしかしてないし戦闘に関してはそこまで強くはないけどよろしく。前回のディメンションウェーブでは言うまでもなく金に物を言わせたごり押しなのは理解してる」

「と、釣りマスターは謙虚なご様子。みんな、成功者だからってあんまいじめたりすんなよ」

ハハハと軽い笑いと拍手が起こる。

雰囲気は悪く無さそうだ。

「それと死神忍者も一緒か。こりゃこのエリアは当たりだな!」

……と死神とあだ名があった忍者に視線を向ける。

そこには言うまでもなく闇影がそこにいた。

雰囲気的に死神の名の由来を彼は知らないようだ。

「……絆殿と一緒の戦場でござるな」

リーダーの言葉はスルーして闇影が俺に声を掛けてくる。

「硝子や紡は?」

「見てないでござる」

と言う所で硝子からチャットが来た。

「絆さん絆さん、聞こえますか?」

「ああ、聞こえてる。もしかして別の戦場に出たか? なんか俺は湿地帯っぽい戦場だ」

「みたいですね。こっちは荒野みたいな戦場のようです。紡さんと一緒です」

紡とか~、戦力偏ったな。

硝子か紡が居れば楽だったんだけど。

「しぇりるは?」

「こちらには居ません」

と言う訳で俺はしぇりるにチャットを送る。

「……そう。さ、ばく。別フィールドに出た」

「パーティーメンバー内じゃ別々になったが大丈夫か?」

「……そう」

これは大丈夫の時の『そう』だな。

「ロゼ居た」

ああ、それなら安心か。

あいつは紡と元パーティーを組んでいた前線組だしな。

今回もイベント開始前に軽く話をしたが特に引っかかるような人柄はしてなかったし、むしろ紡がのびのびと楽しんでくれていてうれしいねとも言っていた。

まあそれなら安心なのかもしれない。

奏姉さんの方はどうなってるかは……まあ後で聞けば良いか。

見たところこっちにも硝子達にもしぇりるの所にもいないみたいだ。

なんて感じで親しい連中とチャットをしていると作戦リーダーが手を挙げる。

「みんなが所持してる一番攻撃力の高い武器の得意な敵を教えてくれないか? ちょっとその辺りで検証が話されてる」

条件分析か。

俺が持っている武器で一番攻撃力の高い武器って青鮫の冷凍包丁<盗賊の罪人>だ。

「釣りマスターは……水属性っぽいよな」

「冷凍包丁、凍った魚を切る武器が一番攻撃力が高い」

「なるほど、死神忍者は……闇魔法?」

「最近は雷魔法のレベルを上げてるでござる!」

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