「ありがとう。なるほど……法則が掴めて来たぞ。どうやらそれぞれ所持する装備や技能で振り分けられたっぽい」
推測出すの早いな。
この辺りの推測をしていくのが前線組って感じかもしれない。
って考えてみると硝子の持ってる要石の扇とか土属性に対して有利に戦える。
ただ、その理屈だとしぇりるは俺達の方に来るんじゃないか?
それだけじゃない要素も介在している可能性は大いにある。
あえてしぇりると戦場が被らなかった理由を考えると防具だろうか?
なんか海軍貴族風の恰好をしてたし、あの装備……どんな耐性があったっけ?
水耐性高そうと思ったけど実は別の耐性が高かったのかもしれない。
「みんなディメンションウェーブの時と同じくマップ表示を見てくれよ」
A
B
C
D
E
1 2 3 4 5 6
「俺達がいるのはCの1周辺だ。で、魔王軍ってのはどうやら6からずらーっとやってくる。普段一緒に戦っている奴じゃない見知らぬプレイヤーがいるかもしれないがしっかりと陣形を組んで出てくる敵を倒していくぞ!」
「とーぜん!」
「たまにはこういうことをしないとなー」
「このイベントをクリアしてさっさとビザランクあげねーとな!」
とプレイヤー達はやる気を見せている。
「じゃあ前のディメンションウェーブで好成績だった奴らを指標に振り分けをするからしっかりと動いてくれよー」
ふと気になったのだが、ディメンションウェーブ時にいつも全体チャットで指示を飛ばしていた人の声が聞こえない。
あの人も別戦場なのかな?
……よくよく考えてみるとあの指示を出す人の名前を知らないな。
まあ、今度のディメンションウェーブ辺りで確認すればいいか。
なんて思いながらリーダー格の人の指示に従ってプレイヤー達は各々陣形組む……というか攻撃やタンク、ヒーラーなんかと割り振っていく。
訳だけど……リーダー格はいつまでも俺達に声を掛けない。
理由はわかるけどな。
「俺達は?」
「釣りマスター一行は遊撃。どこでも一騎当千だろう。そもそもスピリットだからヒーラー預ける意味は薄いしな」
シールドエネルギー分は回復魔法やポーション類で回復するんだけどな。
それ以上は回復しないエネルギーだからなー……。
運用に困るか。
スピリットの長所にして短所だ。
「一騎当千の猛者。それは硝子と紡と闇影であって俺じゃないんだが……」
「拙者も交じっているでござるか!?」
そうだろ。
お前、自分の戦績を思い出せよ。
どうやったらそのスキル構成でそこまで好成績出せるんだよ。
「とまあ忍者がなんか言ってるが気にしないでくれ。俺もできる限りの範囲で動く」
釣り竿と解体武器、それと今は罠と弓があるから……サポートはどうにかなるだろ。
「期待してるぜ釣りマスター、いやペックルマスターか?」
その名前で通っているの? ペックルマスターって……。
まあいいや。
俺達は遊撃で闇影と二人……新しい出会いはなかったようだ。
ペックルマスターはペックルを出すペン。
「ブレイブペックルとクリスを出して……あと、僧侶ペックルと戦士ペックルを出せばいいな」
僧侶帽子をかぶったペックルと兜着用のペックルを呼び出す。
ブレイブペックルとクリスもいて、ここに俺と闇影……なんかパーティーが完成してしまった感がある。
「絆殿……拙者達は新しい出会いは無いようで安心でござる」
コミュ障忍者め……とはいえ、実際は半製造の釣り人なので前線組の足は引っ張るだろう。
遊撃ぐらいが無難で闇影のサポートに徹しよう。
再配置される罠
「ではみんな行くぞー!」
「イー!」
「らじゃー!」
「やっふー!」
みんなテンション高いなー……って感じでみんな魔王軍に向かって突撃していく。
「拙者も行くでござるよ!」
スタタタタと忍者スタイルで闇影が前線に向かって走っていくので俺も後を追う。
やっぱ闇影の方が能力値が高いな。
徐々に距離が離されていく。前線組も足が速い。
なんかこれだけで強さに差があるのがわかるな。
……ん?
俺が首を傾げた直後にドバァ! っと前線で大きな水柱が巻き起こり、リーダー格の奴が打ち上げられる。
「うわぁああああああああああああ!? なんだなんだ!?」
驚きすぎて目を回しているのが一目でわかるぞ。
で、その少し離れた所でガチンと水で形作られたトラばさみに足を挟まれてすっころぶプレイヤーが続出。
「わ、罠だー!?」
「アリだー!」
「酸だー!」
おい、便乗してネタを仕込むな。
蟻も酸も出てきてないだろ。
多分ロマンシングなサーガとか地球を防衛するゲームが元ネタだろうが咄嗟に出てくるとかある意味感心するぞ。
闇影もハッと振り返って周囲の惨状に目を向ける。
「なんと……」
「戦場に罠だと!? 一体どうなってんだ!?」
「罠を解除していくぞ!」
って感じで前線組の連中は罠にかかっても罠自体を攻撃して破壊したりして進もうとするのだが、徐々に罠に掛かった人が増えて行き、最前線にたどり着いている人はまばらになってしまっている。
連携も何も罠に注意しなきゃまともに戦えたもんじゃないぞ。
でだ……俺は道中で罠に掛かっている前線組の連中の罠を解除して送り出すように動いた。
闇影の方は驚きの表情を浮かべていたけれどすぐに我に返って前線に向かった。
「どこに罠があるかわかったもんじゃない! 解除系技能なんて持ってないぞ!」
「いつも解除してくれるメンバーが別フィールドな件」
「くっそ、動き辛い!」
「サンキュー釣りマスター!」
なんて感じで前線組の連中が困っている所を助けて礼を言われる。
で、俺や闇影がなんで罠に掛からないかというと カニ籠漁の副産物で熟練度を稼いだ罠技能がこんな所で役立つとはな。
罠技能をオンにすると薄っすらとどこに罠があるのか見えるのだ。
「バーストサンダーレインでござるー!」
とまあ、なんか出てくる魔物……コールドマーマンやエレクトロオクトパス、ブラックシーホース、ウォーターサラマンダーとか水系の魔物が目白押しで罠を無視して攻撃してくるのを闇影は雷魔法を唱えて範囲殲滅していく。
ただ、闇影だけではカバーしきれないので前線は徐々に後退気味だ。
「罠技能を持っている奴は戦場の罠を片っ端から解除してくれ! じゃないとまともに戦えん!」
前線組のレンジャー以外が見えない罠に四苦八苦しながら戦っている中で罠の解除を命じられて戦場にいる技能持ちは周囲の罠の解除に走る。
ただこの罠……プレイヤーが使う類の罠じゃなくて魔法要素が多分に混ざっている。
解除すると弾けて消滅するんだ。
必要罠技能は……6くらいからって所で、ギリギリだと罠は見えても解除に時間が掛かるぞ。
楽な罠はトラばさみとかだな。
「ほ!」
弓矢ではさみを狙えば誤作動で無力化できる。
「何が幸いするか全くわからないでござる!」
カニ漁のおかげで闇影も罠技能の習得条件は満たしているしな。
しかも技能をオフにしても罠単体は見えるくらいに目は養えているっぽい。
「ギョオオオオ!」
っとコールドマーマンが飛び掛かってくる。
「ペーン」
その攻撃をブレイブペックルが受け止める。その隙を逃さず俺は冷凍包丁で切りつける。
ザリュっといい効果音としぶきが発生し、コールドマーマンを一刀両断。
相変わらず良い切れ味だ。
「ペペーン!」
ブラックシーホースは墨を吐きつけて盲目の状態異常をバラまくらしく、クリスがそこに距離を取りながら冠からハンマーを取り出して、戦士と僧侶ペックルを連れて殴りかかっている。
戦場は混乱しつつあるが徐々に持ち直して5まで前線が進軍したんだが、6の方から……なんか湿原なのに津波が戦場を押し流すように一列となって流れ込んでくる。
「津波だ! みんな注意しろ!」
「いや、注意しろって言われてもよー!」
「うおおおおお!?」
ザッバーンっと津波に対する対策をしていなかった俺は3まで押し流されてしまった。
どんな戦場ギミックだよ面倒臭い! 引き潮とかある訳でもなく消えるし。
「みんなペックルに捕まって流れに乗れば流されにくくなるぞ!」
いや……そんなことを咄嗟に出来るか! どんなアクロバットだ。
ペックル達にオートで指示を出せばいいのか?
とブレイブペックルとクリスを見る。
「ペックルはモンスターじゃないペン」
「まだ言ってるのか!」
しかも雨が降り始め……止んだ。
「負けるな! どれだけ押されてももう罠は無い。敵の動きはそこまで脅威じゃないぞ!」
と、リーダー格が各々激励の言葉を出している。
が……気づいた。
「罠が復活してる! 気を付けろ!」
雨が降った直後に戦場に無数に罠が復活して戦っていた連中の動きを拘束させる。
「ぐあ!?」
「うぐ――そんな」
動けない所にモンスターの攻撃を受けて前線組の連中に戦闘不能者が出始める。
セーブポイント……この場合は戦場へと入るミカカゲの入国関所前辺りがそれなんだけどそこへと行ってしまった。
復帰するのに少し時間が掛かるぞ。
「これは厄介極まりないでござるよ……防衛線が瓦解するのも時間の問題でござる」
「ああ……瓦解した連中が戻ってくるまで時間稼ぎをするぞ!」
闇影と一緒に瓦解した前線の一部に埋まるように俺達は陣形を組んで魔王軍の進軍を引き留めて前線組が戻ってくるまでの時間稼ぎを行う。
俺に関して言えばペックル達のおかげで辛うじて戦えているって状況だ。
徐々にシールドエネルギーを削られて本体のエネルギーが削られ始めてきた。
俺は硝子達みたいに運動神経良いわけじゃないからな……咄嗟の判断は厳しい。
「くっ……厳しいか」
「……苛立ってきたペン」
「ん?」
撤退を考えるかと思った所で、ブレイブペックルの様子がおかしくなってきた。
ヤバイ、まさかストレスゲージが一定値を超えてしまったか?
戦闘でのストレス増加はアクセサリーもあってかなり緩やかだから大丈夫かと思っていたんだが、と思ってブレイブペックルのステータスを確認するのだけどストレスゲージはまだ24%程度だ。
「ぶちのめすペン! ペエエエエエ――」
と、ブレイブペックルが形状変化してラースペングー化した。
ヤバイ! まさかこんな所で暴走なんてするのか!?
敵に突撃したラースペングーの周囲に炎が噴き出し、周囲を焼き飛ばす。
それだけで進軍していた魔王軍の魔物どもが薙ぎ払われた。
で、ラースペングー化していたブレイブペックルはふっと元の姿に戻って戦闘を再開する。
暴走じゃなくて……チャージが溜まったから放った必殺技か?
味方を巻き込まなかったから非常に助かった。
「中々便利だな」
「ペックルはモンスターじゃないペン」
「さっきのアレはなんだ?」
「守っているから早く攻撃しろペン」
……うん。命令にも無いし、ランダムで発動する大技って奴で間違いない。
また撃ってくれるとか期待しない方がよさそう。
「な、なんだ!? ペックルがなんか大技放ったぞ」
「ペックルマスター専用のアレだろ」
「うわ……いいなぁ」
「今までの法則的に型落ち品がしばらくしたら出てくるから、その時に試そうぜ」
雑魚を吹き飛ばしただけでまだ戦いは終わってない。
入手が面倒だったんだから強いのも納得か……確かにこの手のちょっと優秀なキャラやアイテムってしばらくすると上位互換とかが出てきて、今までの奴は入手が簡単になるんだよな。
水の四天王
「おいおい。こりゃあやばいんじゃないか!?」
「くっそきつい。運営イベントの難易度考えろよ!」
「罠担当、もっと前線に出てくれ。じゃないと復活する罠で身動きできねえ!」
とネタプレイをぶっ放していた連中の余裕が徐々に削られていく。
しかもうまく前線を押し上げても津波で押されたり徐々に降る頻度の増す罠を復活させる雨が厄介すぎる。
挙句Cの6辺りから徐々に1に向かって大きな濁った水の玉みたいな何かが大量の魔物たちを引き連れてきているんだ。
あれが1にたどり着いたら防衛失敗なんだろうってことくらいは誰でもわかる。
ボスがあれなのか? 前線組のリーダー達が集中して足止めというか攻撃しているがどうにも攻撃が激しくて押され気味だ。
水玉は水で形作られた鮫を周囲に何匹も展開して襲わせ、水竜巻を出し、津波を引き起こして強力な水鉄砲で撃ち貫いてくる。
どいつもこいつも基本的には水属性攻撃を多用してくるし。
「おい、闇影」
「なんでござるか、絆殿!」
襲い来る魔王軍を倒してちょっと前線から下がって回復をしながら闇影に声を掛ける。