しぇりるは確か白鯨素材で手にした武器は雷属性を宿したって感じだったのに俺のはボス特化とか……同じ素材でも系統が全然違うんだな。

「絆さんもこれで大活躍ですよ」

「どうだろうな……元々解体武器って全武器中でも攻撃力は低めの方だし、まあ期待に応えられるよう頑張るけどさ」

一応、俺が手に入れた素材を集めて作られた変わり者武器だし。

「思えば絆くんは最初から変わった素材を持って来てくれていたね。おそらく同様の武器も何処かで手に入りはするのだろうけど絆くんが初めて所持しているだろうと私は思っているよ」

MMOの世界はなんだかんだ広いからなー……どこかで同等の武器をドロップする奴がいても不思議じゃない。

とはいえ、ロミナが作った白鯨の太刀はこの一振りが最初で、ここまで強化されているのはこの一振りしかないだろう。

しっかりと使いこなせるようにならないとな。

勇魚の太刀……またお前の出番だぞ。と硝子と出会った頃に使い、途中で攻撃力不足から持ち替えてしまった勇魚の太刀が進化した白鯨の太刀の柄を強く握る。

このゲームは武器を使い込めば使い込むほど、強化に補正が掛かる。

また強化する事が出来るようにしっかりと使うとしよう……大物を捌くときにな。

「あとは武奈伎骨の釣り竿とか釣り具だね」

そうして渡された釣り竿を確認する。

大鯰の釣り竿に比べると……確かに力強くしなるが……柔らかいわけでもない。

方向性の違いがあるけど問題なく使いこなせそうだ。

「後は釣り糸だね。魚鬼の釣り糸をルアーを作ってくれた知人に頼んで作成してもらったよ」

と……釣り糸も受け取り確認する。

魚鬼の釣り糸

武器系統 釣り具・アクセサリー

装備条件 フィッシングマスタリーⅨ以上

切断耐性(弱) 強度強化(中) 伸縮強化(中)

ヌシイトウの力を抽出して糸へと付与した強靭な糸。柔軟にしてピアノ線を超える強度を誇る。

なんとも頼もしい説明文のある釣り糸だこと……ピアノ線を超えるとかとんでもないな。

現実に存在したらだけどさ。

ゲームだから誇張表現にはならないか。

「じゃあこの釣り糸を硝子と一緒に使わせてもらうよ」

「お揃いですね」

「そうだな」

なんかちょっとうれしい。

ちなみに釣り糸も修理をお願いすると補充されるというゲーム独自の仕様だ。

餌以外は案外使いまわせる。

ついでに釣り針を貰った。

釣り針に関してはルアーにも付け替えることができるけど、まあ……ルアーの攻撃力というか性能を少し上げる程度の代物だな。

釣り関連は端材で作れる品々ばかりだから目に見えた高性能な代物にもなり辛いのだろう。

俺の装備はこうして新調することができた。

ロミナはそれぞれ注文した新装備をそれぞれ渡してくれる。

闇影がミラカ系の特化忍び装束から別の魚鬼の忍び装束に着替えていた。

鬼っぽい角が付いた頭巾が印象的だろうか?

何処かの和風系の探索ゲームみたいな恰好になったような……そうでもないような。

あとは足とか手甲の手前辺りに鱗が付いている。そういう装飾何だろう。

ウロコと忍び装束のハイブリットみたいな装備だな。

「どうでござる? 魚鱗が良い感じにアクセントとなっているでござるな」

「生憎一点ずつしか作ってないからボーナスは闇影くん好みとなりそうな代物は着いていないけどね」

装備の品質が良い時に追加でボーナスとかついている。今まで闇影が装備していたミラカ系の忍び装束は魔法系特化のかなり拘った代物だ。

ボーナスを気にせず作ったのだから実のところ、性能的には毛が生えた程度というやや悲しい代物となっている。

「これで良いでござる! 何時までも古い装備で拙者だけ置いてきぼりにされるのが嫌なのでござるから!」

「まー闇ちゃんの場合はカニ素材装備で厳選した方が性能は良いのに交換できそうだよねー」

「やるかい?」

ここでアルトがニヤニヤしながら闇影に尋ねる。

「それでもいいぞ闇影」

俺もここでニヤニヤしているとしよう。

何せ闇影はアタッカーとしてはゲーム内でもトッププレイヤーな訳だし、入手しやすい素材で厳選できるならやって悪い話じゃない。

「そこまでしなくていいでござる! 作りやすい装備が見つかるまでまた置いてきぼりになるより一緒に好き勝手装備したいでござる!」

「効率的な装備も良いけど変わった装備を使うのも楽しいよねー」

「じゃあ紡は河童着ぐるみでも着てろ」

「ひどーい! まあネタで使うのは良いけどー」

良いのかよ。

「まあ……あの装備群は派生強化がそこそこあるから使うのも手なのだけどね。ペックル着ぐるみも別の強化ができるようだし、使い込んでくれたらやってあげても良いよ」

ロミナが言葉を選びながら俺達に言ってきた。

「僕が見たところ今の所最強という装備ではなく、ネタにしては強い性能という所なんだけど、そっち方面で突き抜けるのも悪くはないかもしれないね」

アルトが援護射撃をしてくる。

「今確認した所だと、闇影くん好みになるかわからないけど忍び河童着ぐるみというのがあるね。おそらく職業系の河童装備になるんじゃないかな?」

「ちなみにどんな感じになるんだ?」

「忍びのコスプレをしたデフォルメ河童の着ぐるみさ。条件素材は……もう少し河童を狩ってきて貰う必要があるけどね。ほかにもおそらく河童を狩ることで得られる素材から作れるよ」

「性能は?」

「回避系の装備効果があるよ。闇影くんは忍者スタイルを好むけど魔法使い系だからちょっと系統が違うね」

ちなみに今、闇影が装備している魚鬼の忍び装束も魔法系ではなく素早さが上がる系のボーナスが多いそうだ。

「闇ちゃん性能に拘るなら忍者は実は方向性が違うからねー」

「それでいいんでござる! 拙者、性能は大事でござるがこのスタイルを変える気は無いでござる!」

「手甲と巻物がどうにか魔法向けという所だからしょうがないね。でどうするんだい?」

「河童は勘弁してほしいでござる!」

闇影も大変だな。

「ちなみに絆くんが着用するクリスマスペックル帽を込みで強化したペックル着ぐるみを着用すれば……わかるね」

アルトが性能談義で踏んではならない話をしてきた。

「こっちは型落ちしているペックル着ぐるみを強化発展させた代物になるよ。同じく職業に派生するみたいだよ」

「戦士ペックル着ぐるみとかか?」

俺の質問にロミナは頷く。

「かなり使い込んだ上位の盾が材料に必要になるのだけどブレイブペックル着ぐるみなんてのもあるね。攻撃力は大きく下がるけど防御力だけなら……相当な代物になるよ。帽子と組み合わせれば絆くんたち限定でものすごく硬くなれるだろうね」

「だって、お兄ちゃん。作って貰ったら?」

く……紡、お前という奴は闇影だけに飽き足らず俺もネタ枠にする気か!

タダでさえ特に戦闘とかしないときはサンタ帽子を着用させられている方の身になれ!

狩場巡り

「陣形とか考えるならお兄ちゃんがタンクをしても良いんだよね。ブレイブペックルだって長時間呼び出せる訳じゃないし、硝子さんみたいな弾いてダメージを受けないようにするのとは別に受け止める戦い方ってのもできるよ」

「いや……俺は戦闘特化じゃないし……前線組みたいな真似はなー」

「もう君たちが最前線だとみんな思っているけどね」

アルトがなんか言っているけど俺達はやりたいことをしているだけで真面目に戦闘で強化しているのは硝子と紡と闇影だ。

俺はエンジョイをモットーにしている。

「思えば拙者たちは最前線なのでござるな」

「全然実感しませんね」

「割と好き放題してて、今の所敵の強さに壁を感じてるからねー結構ごり押ししてる自覚はあるよー」

それくらい、ミカカゲの湿原は難易度が高いのか。

扇子使いで敵の攻撃を弾いて注意を引く、タンク兼アタッカーの硝子。

大鎌を振り回して運動神経で敵の攻撃を避けてバンバン攻撃する超前衛アタッカーの紡。

ドレインがモットーで時々効果的な魔法を放ちつつ回復でサポートをする基本後衛アタッカーの闇影。

中距離からチョコチョコ攻撃するアタッカーのしぇりる。

……みんな揃ってアタッカーばかりだな。

俺? みんなが魔物を倒した後で解体をして素材を確保、釣りをして食料ゲットの料理担当……サポーターとかバックパッカー?

「真面目に連携とかして魔物と戦っている連中が指さして怒鳴りこむくらい酷い陣形だな」

「それお兄ちゃんが言うの? ペックルを無数に呼び出して一人でパーティー結成しちゃうペックルマスターでしょ」

おおう……なんか俺の自己評価と世間の認識に差異が出ている気がするけど気にしない。

確かに足りない人員はペックルで誤魔化してしまっているような気がするけど、ペックルを使った戦闘って割と忙しくて面倒だぞ。

「そのペックルだってあくまで補佐なんだから今の場所だと結構、戦うのはきついんだぞ」

サポートキャラだけで戦えるほどゲームってのは簡単じゃない。

プレイヤーに比べてペックルは張り合えるほど強力ではない。

ブレイブペックルが辛うじてタンクの代わりになるかなー程度でクリスだって紡の攻撃に比べたら遥かに低い。

一応、サンタ帽子のバフ効果があってこれなのだ。

「それで着ぐるみを絆殿は着るでござるか?」

「却下、ネタ枠装備を使うのは嫌いじゃないけど強要されるもんじゃないだろ。必要になったら装備するもんだ」

「まあそうだよねー」

「ただ、君たちにはそういった選択肢もあるというだけさ」

「そもそも使い込んだ盾が必要って所でねー」

「必要とあらば買い取りをするけど、どうだい?」

ここで空気をぶち壊す証言が飛び出して、俺達は言った人物に顔を向ける。

まあ誰なのかは一発だろう。

「死の商人に揃えられない品は無いとでも言う気か?」

「盾を使い込めば良いだけならロミナ君にそこそこ良いのを作って貰って前線組のタンクに貸せば良いだけさ」

「それで作れるのか……条件緩いなー……」

「何かしらの要素で引っかかりそうなのは否定しないね。もう少し上位装備になった際には出来なくなるかもね」

「絆くんが着ぐるみで戦うのは見ている分には楽しそうだね」

アルトも断られるのがわかってて言ったな!

「まあ、どんな装備が化けるかわからないから頭の片隅にだけでも入れておいてくれれば良いさ」

なんて感じでロミナからみんな装備を貰った。

「そういえばしぇりるは?」

「作業場でずっと何やらやっているみたいだね。言付けを聞いた限りだと第一や第二に行くならここで作業をしているそうだよ」

「つまりしぇりるはこっちでやりたいことがあるって事ね」

新天地を目指すのが目的のしぇりるらしい。

今まで巡った所にあまり興味は無いって事か。

そんな暇があったら蔑ろにしていた作業を重視すると。

確かにしぇりるは元々船大工でマシンナリーをしている戦闘もできる半製造の海女という割とやることが多いポジションにいる。

俺はミカカゲで狩りとかする前にカルミラ島関連のクエストやカニ籠、釣りなどをメインにしていて遅れはほぼ無いだろうな。

精々解体が遅れがちになるか?

いや、新しい魚とか解体したりしているし硝子たちが倒した魔物なんかも俺は捌いてきた。

そういう意味ではしぇりるは何か作ることに関しちゃ遅れ気味なんだな。

「了解、んじゃ次の波まで硝子の提案した第一と第二都市方面に行って条件達成に行くとしますかー」

「私一人じゃミカカゲの湿地帯は厳しいからなー私も行くよー」

「紡も好きに行動して良いのに付き合い良いな」

飽きっぽい我が妹の事だからミカカゲの方で前線組の臨時パーティーで稼いでるとか言いそうだと思ったのに反応が異なる。

どういう事だ?

いや、何か裏があるはずだ。

「だってお兄ちゃんの近くにいないと面白い瞬間を逃しそうじゃない?」

訂正、我が妹はくそ妹であったのを俺は忘れていた。

ネタを探してゲラゲラ笑うために俺の近くにいたいのかよ。

「よーし出発だー」

と言う訳で俺達は第一都市のある大陸へと向かった。

「第一都市に来るのも何となく久しぶりな感じがするな」

「そうですね。もうずいぶんと昔に感じます」

「それだけ色々とあったでござるよ。ゲーム開始当初に比べると活気も落ち着いているでござるな」

「拠点にするには悪くないけど今はもうカルミラ島やミカカゲにみんな移っちゃった感は否めないね。それでもそこそこプレイヤーはいるみたいだけど」

忘れがちだけどディメンションウェーブはセカンドライフプロジェクトという第二の人生を楽しむゲームだ。

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