どうやら紡達はボスを見つけて速攻で仕留めてしまったっぽい。

「解体は不要か?」

「ダンボルを解体しても皮というか段ボールしか出ないでござるよ」

「ボスを解体したら何か出そうなのにねー。気になるならこっちー」

と紡たちは消える前のダンボルのボス……羽の形の段ボールが付いた子供のお遊戯会とかで作られてそうなダンボルの死体へと案内してくれた。

確認のために解体……やはりダンボルの皮だな。

一応翼の模様がついている。ただの収集品か。

「それでお兄ちゃん。さっきも聞いたけどどうだったー?」

「確かにただ走って回るだけで良い場所だったな」

「これでダンボル系は大体網羅したと思うよ。中ボス系も私たちが倒したし……ラブリーダンボルはお兄ちゃんが倒したんだっけ?」

「ああ、簡単に倒せたな」

「開始当初はちょっと強い魔物って感じだったんだけどねー。今の私たちからしたらこんな所なんだろうね」

インフレって程じゃないだろうな。

Lv5くらいが適性の場所でLv30で来たら圧勝出来るだろうし。

「ショートストロベリーってイチゴとラブリーダンボルの魂結晶ってのが手に入ったぞ」

「どっちも確率そこそこのプチレアだね。ショートストロベリーは確かデザートとかの材料だったっけな? ラブリーダンボルの魂結晶って確か最初のアップデート後にドロップするようになったスピリットの媒介石の素材らしいよ」

「となると俺達向けのか」

「問題は趣味用品って位の媒介石になるそうだけどね。詳しくは知らなーい」

まあ……そうだよなー。

あとでロミナに聞いた所だと戦闘系の技能が低いほど性能アップっていう救済系の媒介石だそうだ。

ただ、上限は言うまでもなく低く、実用的かというと無理な類のネタ装備に等しい代物だ。

「硝子もここで戦って稼いだのか?」

「少しだけ戦いましたけど、歯ごたえが無くてすぐに次の場所に移動しました。あ、でも扇子はここで出た物をしばらく使ってましたよ。ラブリーダンボルのドロップでしたね」

硝子は戦闘センス高いもんな。

あまり長居はしてないけど扇子はしばらく使ってたのね。

「どんな扇子?」

硝子がサッと扇子を俺に見せてくれる。

「えー……なんか恥ずかしい装備ですね」

LOVE! と書かれたハートマークな模様のある扇子を硝子は見せてくれる。

ラブリー親衛隊扇子と書かれているなぁ……。

完全にネタ装備だ。

ちなみに俺が解体で得たラブリーダンボルの皮でも作成できるネタ装備らしい。

武器としての効果はクリティカルで相手をわずかにスタンさせるとかそういう代物だそうだ。

硝子なら的確に使いこなしていたんだろうなぁ。

「使っていた頃の硝子を見てみたかったな」

「やめてくださいよ。今だと結構恥ずかしいんですから」

「確かにこれはねー。お兄ちゃんのファンクラブに転売したら売れるかな? 絆ちゃんが確保した応援扇子だよー! って感じで」

「おいそこに繋げるのやめろよ。アルトじゃあるまいし」

ちなみに後日判明してアルトに注意する事なのだが俺の持ち帰ったラブリーダンボルの皮で作られた扇子と羽織りがファンクラブに転売された。

死の商人は売れる物なら何でも売りやがるな!

アイドルのライブじゃないんだぞ。

「それじゃダンボルの次はクローラーの方に行こうか、今日だけでも回れるところは全部回るよー!」

「そんなスパルタをしなくても良いんだがー」

むしろ俺としては今まで行ってない釣り場の方が気になるんだけどな……。

「良いから行くーお兄ちゃんはついでで硝子さんと闇ちゃんの底上げが目的なんだから」

足を引っ張るなって言いたいのか?

エンジョイ釣り勢を捕まえてスパルタな事で。

とはいえ、エネルギーとかマナの底上げをしておけば行けるところは増えるから良いか。

一応解体技能の限界突破条件も似た感じに種類をこなすのが増えているもんな。

ま……やって行くか。

って感じで初心者用の狩場を俺達は文字通り駆け抜けていった。

正直に言えばパーティーで必要数を狩って行くのでかなり効率的に動けていたのではないかと思う。

そんなこんなで……俺達は夜間にしか入れない常闇ノ森へとまたやってきた。

「常闇ノ森……拙者が絆殿達と出会った場所でござる。懐かしいでござるな」

闇影と遭遇したのは確かにここだったな。

ドレイン特化なんて微妙なビルドでやっていたソロ忍者とは……よくやるとは思っていた。

「ここってお兄ちゃんを含めて闇ちゃんもここの雑魚もボスも戦ってるんだよね? なら無視する?」

「紡、お前は大事な事を忘れてるぞ」

「何? お兄ちゃん」

「ここには釣りポイントがあるそうだ」

俺の言葉に紡が呆れるように肩を落とす。

「まあ、絆さんはここで釣りをしたいですよね」

「お兄ちゃんらしいと言えばらしいけどー」

「夜だし、なんならみんな宿に戻っていても良いぞ。俺はそれでも釣りに行く」

今の俺ならここの魔物だって遅れを取ることはないだろう。

ごり押しでだってきっと勝てるはずだ。

「リザードマンダークナイトはまた出ているでしょうか?」

「もう人気の無い狩場になっちゃってるからねー解体とドロップ品目当てじゃないと張り付いている人はいないと思うよ」

「そこまで優秀な装備でござるか?」

「一時期は優秀だって狩られてたけど、今はもっと強い装備があるからどうなんだろ?」

ペックル追加スキル

「いる可能性は相変わらず高いか」

「今度こそ正々堂々と私たちで勝ちたいですね」

「あの時は嵌めたでござるからな」

「そうなの?」

硝子と闇影は紡にこのリザードマンダークナイトとの戦いに関して教えた。

洞窟に引っかけて遠距離でチビチビ仕留めた事を。

「うわー……なんていうかシステムの穴をよくついたねーあの頃だと結構強かったでしょ。よく引っかけられたと思うよ」

「まあ……な」

「今なら苦戦せずに倒せるんじゃないかな? それでも気は抜いちゃいけないとは思うけど」

「硝子も言ってたが人気のある頃はどうやって倒してたんだ?」

「そりゃターゲット権の奪いあいもあったけど数でどうにかできたかな。ヘイト管理はしやすい方のボスだったし」

紡も硝子と同じ感想か。

「あの頃の装備でも二、三発くらいなら誰でも辛うじて耐えたから当たったら即時回復でね。もちろんタンクが居たらその限りじゃないよ」

「で、俺が行く頃には廃れていたと……」

「そうですね」

「正直、楽に勝てる方のボスになっちゃってるね。ドロップもそこまでうま味は無くなってるかな」

一応ここの敵は討伐済み、だけど卑劣な手で勝ってしまったのだからせめてもの礼儀としてしっかりと挑みたいな。

「では行きましょうか」

「ああ、正面から行く」

「良いですよ」

さて……記憶の中のリザードマンダークナイトは巨漢のボスだった訳で、洞窟の入り口に引っかけて倒した。

あの大きさからして俺の手持ちの武器的に相性が良いのは白鯨の太刀……だな、ボス狩りに適した一品だ。

そうして記憶の中にある森の中を進んで行き、出てくる魔物達を倒してリザードマンダークナイトを探して行く。

「あ、いますね」

ドスンドスンと……闇影が必死に逃げていた時に遭遇したあのリザードマンダークナイトが闊歩している姿があった。

「じゃあ、一気に畳みかけるか。紡、今回お前は戦闘に参加しなくて良いぞ。俺達のけじめだからさ」

「えー!」

「紡さん。今回だけはどうか我慢してください。私も絆さんの気持ちが痛いほど分かりますので」

「拙者もでござるな。あの時のけじめをつけるでござるよ」

「お兄ちゃん達、妙な所で真面目ー」

はいはい。

って事で俺達はリザードマンダークナイトに向かって近づき、戦闘態勢に入った。

先頭はもちろん硝子でリザードマンダークナイトの攻撃をいなして注意を引きつける担当だ。

「ドレインでござるよ!」

バシィン! っと闇影のドレインが思いっきりリザードマンダークナイトに命中して吸い取る。

初期とは言えフィールド徘徊のボスだからかHPは高い。さすがの闇影の一撃を受けてもビクともしていない。

あまりヘイトを取り過ぎると闇影に攻撃が行ってしまうので注意が必要だ。

「はぁ! 輪舞零ノ型・雪月花!」

硝子お得意の決め技、雪月花をお見舞いしてヘイトを稼いで注意を引く。

バシバシと多段ヒットでリザードマンダークナイトへと攻撃を当てていく……これだけで随分とダメージが入ったはずだ。

「あの頃は倒すのに30分以上掛けたっけな」

「3人で戦ったからしょうがないでござるよ」

「お兄ちゃん達も無理してたんだねー」

「まあな」

で、俺はブラッドフラワーのチャージを行う。

できる限り一撃を重く……最大火力であの時よりも遙かに成長したことを知るために力を振るう。

硝子と闇影が適度に攻撃して削っていく所で……キン! っとチャージが完了したので、白鯨の太刀を振りかぶってブラッドフラワーを解き放つ。

「行くぞ! ブラッドフラワー!」

ズブシュ! っと良い手応えと効果音が響き渡り、俺はリザードマンダークナイトの背後に立っていた。

派手な血しぶきの演出が入り、リザードマンダークナイトが切り刻まれる。

「おおー!」

ドスン! って音と共にドサドサと解体素材が散乱する。

どうやら俺のブラッドフラワーがとどめとなってリザードマンダークナイトを仕留める事が出来たようだ。

「あの頃の苦戦が嘘のようですね。私たちが成長した証です」

「だな……なんかボスドロップとか落ちてないかな」

前回倒した時に手に入れた解体素材が大半だ。その中で良いモノがないかな?

闇ノ破片と闇槍欠片……前にもドロップしたな。

「槍の素材なんだっけか? 今だと思い切り型落ちしてそうだな」

「一応、使い道があるんじゃなかったかな? 他にも効率的に落とす魔物がいるから狙われなくなっただけだったはずだよ。お兄ちゃん」

へー……素材の無駄にはならないって事ね。

「あれ? なんかリザードマンダークナイトの素材が反応してる……?」

ボックス欄に素材を入れたところで素材が何か反応をしている事に気づいた。

どうなってるんだ?

と確認するとブレイブペックルに反応があるっぽい。

「カモンブレイブペックル」

「ぺーン!」

そんな訳でブレイブペックルを呼び出す。

「どうしたんですか?」

「ああ、なんかブレイブペックルとリザードマンダークナイトの素材が反応を示していたから呼んだ」

「お兄ちゃん限定の効果かな?」

「どうなんだろうな? えっと……リザードマンダークナイトの素材をブレイブペックルにっと……」

ボックスからブレイブペックルに渡す素材を選択する。

ブレイブペックルがリザードアックスを習得!

「来るペーン!」

メッセージと共にブレイブペックルが盾を掲げて声を上げる。

ぐるんぐるんと空中から斧を持った小型のリザードマンダークナイトみたいな明るい色合いのリザードマンが現われて地面にたたき付けを行い、霧散する。

「もしかしてブレイブペックルの攻撃パターンが増えた形?」

「みたいだな。勝手に使う技だからこっちは操作できないけど、攻撃能力の無かったブレイブペックルが召喚をして攻撃するって事みたいだ」

ラースペングーの時みたいにダークフィロリアルって魔物を呼び出して戦う感じのスキルなんだろう。

「意外なスキルを習得させる事が出来ましたね」

「そうだな。因縁の対決をした後にこんな褒美があると偶然とは思えなくて良いな」

「絆殿の意見に賛成でござる。まるで運命のようで素敵でござる」

「なんか私仲間はずれにされてなーい?」

紡がここで抗議の声を上げているが、ここは俺達の思い出の場所なんだからしょうがないだろ。

「ゲーム的な判断だとブレイブペックルってボスを倒して素材を渡すと様々なスキルが使えるようになるという事でしょうか?」

「いや、河童のボスを倒した時には反応がなかっただろ? 白鯨の時もそうだったから特定のボス素材なんじゃないか?」

「ありそうですね。ただ、どの素材が反応するのか法則が気になりますね」

「カルミラ島の図書館でブレイブペックルの記述があるらしいからそこにヒントがあるかもな」

アルトが調べていたから間違い無い。

赤髪の女の人形とかも関わっているらしいし、俺も確認しておくべきだろう。

「まだリザードマンダークナイトの素材があるし、もしかしたらブレイブペックル用のアクセサリー素材とかあったりしてな」

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