「うん。分からないのがあったら言ってくれればどっちが良いかは教えるよ」
「助かるのじゃ。そんな訳でクレイ、後でミントも植えるので楽しみにするのじゃ」
「お願いするよ。ポーション作りで幾らあっても困らないからね」
「ミントでポーションも作れるのか。そっちも出来る事が多いんだなー」
なんて話をしている内に姉さんの状態異常が解けて雑談は終わったのだった。
そうして……更に砂漠での日々が過ぎて化石掘りと砂海での釣りを楽しんでた頃の事。
『第四都市がノースフェラトが解放されたチュチュ! ここでは専用のNPCリスーカが雇用出来るでチュチュ! 第一都市の港から交易船が出ているからみんな挙って来てほしいチュチュ!』
って全体放送が聞こえてきた。
カルミラ島の時と同じ放送だな。
と言う事は新しい都市が開放されたって事でよさそうだ。
第四都市ノースフェラト……ミカカゲは第四じゃないのか。
まあ面倒臭いクエスト前提だし都市扱いじゃないのかもしれない。
しかし……まあプラド砂漠にいるからしょうがないけど新しい都市で釣りしたかった!
硝子! どうかお前がヌシを釣ってくれ! よく知らない誰かより硝子が釣って欲しい!
任せたぞ!
なんて思って居る所でみんなで話をする事になった。
「どうやら開拓地が一つ開拓完了したみたいだね」
「リスーカとか言ってたな。名前からしてリスかな?」
「だと思うのう。先を越されてしもうたな」
「そりゃあここが最後だし、開拓も最後でしょ」
「ここは頑張る所じゃな!」
「まあ、どんどん建てて行けばいいだけでしょ? 農業Lvは絆とノジャが頑張ってるし時間の問題じゃ無い?」
姉さんがぶっちゃけた事を言うけど、確かにそうとも言えるか。
「奇妙な作物を作り始めてるけどねー何が飛び出すかてりす気になってきたわよ」
「逆に言えば絆とノジャが土地持ちなんだし、後で勝てば良いのよ」
「奏の嬢ちゃん割り切ってるな。頑張らねえとな」
「色々と施設を作るのにマシンナリーとかやらないと行けないから大変だね。土地固有の施設に鉱石や宝石も求められるからカルミラ島とはまた別の町になりそうだよ」
クレイさんの説明に化石をクリーニングしているミリーさんが化石を見せてくる。
まあ……なんて言うか砂漠の都市みたいな場所になりつつあるもんな。
具体的には耕作地以外は有名なRPGの素早さが倍になる腕輪のある町みたいな感じになってきてる。
他に建物に宝石が埋め込まれていてキラキラした町になりそうなんだよな。
好きな人は好きそう。
こう……ジュエルの人が似合う町って感じ。
てりすが歩いて居るとしっくりくるんだよなぁ。てりすも目をキラキラさせてたし。
化石だけで作られた家は原始人のそれだったんだけどさ。
「開拓は順調って所ではあるね。城の建築もそろそろ出来る様になってくるよ」
「絆、アンタ開拓経験者でしょ? どうなのよ?」
「俺の時は必要な人材をその都度呼んで丸投げしてたからなー……建築の手伝いは多少してたけどそんな変わらないかな」
まずは俺だけ島に流れ着き、サバイバル状態で助けが来るのを待ったけど来ず。
しょうがないので開拓してたけどカルマーペングーが障害となった際に硝子を呼び、ルアーを取り返したくてしぇりる、事故でロミナを呼んじゃって、ダンジョン攻略を進めたくて紡。
城を建てるのに人員管理用にアルトを呼んでブレイブペックルがラースペングーになって戦力が欲しい&心配だったので闇影となった訳だ。
その都度問題があって呼んだ訳だけどプラド砂漠では農業が難しいので俺が呼ばれた。
で、その農業は軌道に乗りつつある。
技能も人員配置も顔文字さんとクレイさんが得意とする問題なんでこれ以上の障害は……無いに等しいな。
「じゃあ思いのほかあっさり開拓を終えれそうね」
「そうだね。後は……まあ、第四都市が開放されたって事なら近々ディメンションウェーブも来るか。ちょっと早いけど」
この前ディメンションウェーブが来たばかりだけど、都市解放がされたなら法則的にはありえそう。
「どうかしらね。決まった時期があるでしょうしまだ来ないんじゃない?」
「そこは来てから考えれば良い。どっちにしても俺達は免除だろ?」
らるくのセリフはもっともだ。
「ディメンションウェーブイベントに参加出来ないってのもちょっと虚しいんだよなー」
出来れば参加したかった的な感じでさ。
俺も参加させろと海に叫んだもんだ。
「そう思うなら開拓を真面目に手伝いなさい」
「それはそれ、これはこれだよ姉さん」
真面目に働いたもん。
「ワガママ言うわねー……」
「日々、顔文字さんとミリーさんの手伝いしてるもん」
「助かっておるのじゃ」
「ええ、これ以上を望むのは酷ですよ。私もそこまで手伝って居るかと言うと怪しいですし」
ミリーさんも結構謙虚だよね。
お金持ちは喧嘩しないとはこの事って感じ。
化石のクリーニングしてたら何か分からない化石を鑑定して解説をしてくれるし。
「ミリーさんと一緒に化石を合成して組み立てるのも中々面白いよ」
発掘した化石を展示台に二人でこうしたら面白く無い? ってオリジナルドラゴンの化石として組み合わせて遊んだ。
結構お茶目だぞこの人。
「娘と再会できたらあの化石も見て貰いましょう」
「喜ぶの?」
「おそらく喜んでくれるかと思います」
「ふーん……」
なんとなく中二っぽい趣味な娘さんらしいから恐竜も管轄か。
ちなみにミリーさんは始祖鳥とかの化石を組み合わせてブレイブペックルやブレイブウサウニーが騎乗する乗り物の骨格標本みたいなのを作ってたぞ。
組み立てるのは細工に該当するのかな? クリーニング以外に少し実績としてカウントされていたっぽい。
襲撃イベント
「アンタって本当……寄り道やサブイベント好きよねー」
「別に良いでしょ。後はウサウニー達の成長次第なんだし、ペックル達もウサウニーの成長に合せて機敏に動く様になってきてるじゃないか」
「まあ……そうね。ノジャも時々ダンジョンに潜って作物の研究をしてるみたいだし」
「与える作物でウサウニーの行動にボーナスが掛かるのがわかったのじゃ」
「へーそうなのか。ペックルも与える魚で変化したのかね」
「知ってなさいよ」
良いじゃないか。そんな極端な育成してないんだし。
おそらく誤差の範囲だぞ。
「あとはマグマでの釣りをするための道具が出来るのを待つだけさー」
「足がかりは出来てきているから近々渡せると思うよ。待っていて欲しいね」
「その階層近くで手に入れられる素材を使うと良さそうなのじゃ」
「サンプルとして目的の魚をマグマから入手出来れば良いかもしれないよ」
「ほー……じゃあ後で手伝いますかね」
「ともかく順調で何より、経過を楽しんで行こう」
「おー」
って感じ第四都市に硝子が釣りに行って先にヌシを釣っていることを俺は祈りつつ日々は過ぎて行く……はずだった。
その日は日課の夜釣りとばかりに砂海に出て釣りをしていた。
すると――なんか……闇夜の中で何かがこっちに接近してくるのを目撃した。
「なんだ?」
ダインブルグホーンソルジャーと言う名前のアリがぞろぞろと列を作ってオアシスの方へと歩いて行く。
よくよく観察するとアースリザードと言う魔物も混じっているようだけど……いきなりなんだ?
と言うか数が多いな。10匹20匹って次元ではなく無数にいるぞ。
けど隊列を組んで進む姿はなんとも妙な動きか。
アリの行軍と思えば違和感は無いけど。
「こりゃあ掃除が必要かな?」
と、武器を取り出して構えて近づくのだけど魔物達は俺に意識を向ける事無くオアシスの方へと歩いて行っている。
「とりあえず攻撃っと」
ズバァ! っとスキルにモノを言わせて斬りつけるのだけど、思ったよりもダメージが入らずに何度も切らないと倒す事が出来ない。
「ギィ!」
攻撃をしたら多少は反撃をしてくるのだけど距離を取ると優先順位がオアシスなのかそっちへと向かって行ってしまう。
「うーん……」
なんか嫌な予感がするな。
そう思って、片っ端から仕留めて居たらオアシスの方から警報とばかりにカンカン! っと大きな音が響き渡る。
『大変ですピョン! 謎の軍団によってオアシスの建物が攻撃を受けているピョン! みんな急いで迎撃をしてほしいピョン!』
ってサンタ帽子を被ったウサウニーからの救難信号が響き渡る。
「お」
少なくとも俺が見つけたアリとトカゲは行かないように仕留めて居たのだけど別方向からも来ていたようだ。
倒しきれない訳じゃ無いけど俺だけだと徐々にオアシス方面へと行かれてしまう。
一度顔文字さん達と合流するのが良いか?
するとポーン! っと顔文字さんからチャットが飛んで来た。
「島主よ。現在オアシスに謎の軍団が攻めてきておるが気付いておるかの?」
「ああ、絶賛交戦中。砂海に出かけたら見かけたから削ってる」
「それはどっちの方向じゃ?」
「今日は石切場方面で釣りしようとしてた所」
「ふむ……なるほど、そっち方面から来なくて助かったと思っておった所じゃが島主が抑えておったか」
「別方向からも来てそうだな」
「そうじゃな。現在南方面から二箇所来ておる。島主のを入れると三箇所じゃったんじゃろう」
「何かよく分からないけどイベントが発生してるって事で良いんだよな」
「そのようじゃな」
イベントを楽しめば良いのかそれとも困れば良いのか分からないけどやって行くしか無いよなー。
「わらわ達も応戦しておる。島主はオアシスに敵が来ないように継続して居てくれ」
「あいよ」
って所で顔文字さんのチャットが終わった。
『島主は東方面で魔物の進行を止めておる。他の者たちは西方面で応戦してくれなのじゃ』
って顔文字さんの全体チャットが流れてきた。
どうやらイベントフィールド扱いになっているっぽいな。
「じゃあザクザクと切らせて貰うか!」
少なくとも俺が何度も攻撃しなきゃ倒せない強さの魔物のようだけど、俺を無視して進んで行くので倒しやすいな。
けど……そこそこ数が出てくるぞ。
どうしたもんか。
って所でディメンションウェーブイベントみたいに地図が表示される。
A
B ↓
↓
C→→→ ● ←
↑
D↑
↑
E↑
1 2 3 4 5
Cの3がオアシスで矢印は……きっと魔物を現しているのだろう。
オアシス回りには畑や建築物が沢山ある。
なーんか嫌な感じがするな。
俺が居るのはCの5でそこで片っ端から俺を無視して進んで行く魔物を仕留めている最中だ。
ふと振り返るとオアシスの方から夜なのに随分と明るい光が放たれている。
あの光はあんまり良い代物じゃ無いな。何かが燃えている様にしか見えない。
しかもマップに表示される矢印は光を放っている訳で……。
「そろそろ……終われ! クレーバー!」
ザシュッとブラッドフラワーやクレーバーを放って進んで行く魔物達の掃除を終えた所で俺は急いでオアシスの方へと向かった。
「死の舞踏! こりゃあ随分とタフじゃねえか」
「バーストサンダーレイン! シャインレイ!」
「足止めをします! アイシクルプリズン!」
「敵を倒すピョン!」
「やるペン」
「一気に仕留めるデスピョン!」
「くっそ……」
らるくとクレイさんがウサウニー達とオアシスに近づくアリとリザードへと各々の武器で攻撃している。
無数の雷を立て続けに落す魔法と光の雨を降らせる魔法をクレイさんは使っていて、ミリーさんが魔物達を凍り漬けにして足止めを試みている。
ウサウニーとペックル達も各々クワなどの武器を持って攻撃しているな。
俺はそこに駆けつけて素早くアリへと近づき、クレーバーからの斬撃を放つ。
「オラァ!」
バシュン! と、数匹のアリを切り刻んだ。
「絆の嬢ちゃん!」
「絆さん!」
「おお……絆さんが来てくれたか。ノジャさんから話は聞いて居たけれどそっちの処理は済んだのかい?」
「ああ、ちょっと時間が掛かって悪い」
「いや、別方向から来ていたのを処理してくれていただけで十分だよ」
「姉さんや顔文字さんは?」
この場には居ない様だけど何処だろうか?
「ワラの嬢ちゃんと奏の嬢ちゃんはてりすと一緒に畑の方で戦ってる。どうやらアリは畑を攻撃するみてえでよ」
うへ。作物を狙ってくるのかよ。
目的はそれか?
「開拓イベントでこんなイベントは無かったけど」
「新規で追加されたイベントって事かも知れないね。とにかく今は掃除を優先しなくてはいけないね」
「ああ、眠れない夜になりそうかな?」