『強敵が襲撃してくるピョン! ここが正念場! みんな気を張って欲しいピョン』

って今までとはちょっと違うメッセージがチャットに表示されAの5に大きな敵反応が表示される。

さて……どうしたもんかな。

こういう時に無理に動くのは得策じゃない。いきなり持ち場を離れられるのが顔文字さん達にとって困る事だろう。

まずは手近な雑魚を倒しておかないとな。

なんて思って掃除をしていると。

「おっす絆の嬢ちゃん」

「絆ちゃんやっほー」

らるくとてりすがやってきた。

「あれ? らるく達、どうしたの?」

「配置変更、絆の嬢ちゃんにも指示が行くと思うけど、どうもここに人を集めて絆の嬢ちゃんにボス狩りは任せるみたいだぜ」

「えー……ちょっと俺に期待しすぎじゃ無い?」

俺に戦闘貢献を期待するのは酷だってのにそんな配置はブラック人事も良い所だと思うけど。

「さすがにそこまで酷くはありませんよ」

ミリーさんもこっちにやってきた。

『島主、Aの5に出現したボスの方に来て欲しいのじゃ。わらわと奏が掃除をする事になったのじゃ。他の所はクレイに指揮が移るのじゃ』

「あいよー」

姉さんと顔文字さん。コンパクトに戦える陣形って感じだな。

「ですぴょん!」

って俺の隣に突如ブレイブウサウニーが地面から飛び出して近くの魔物を槍でチクチク攻撃し始める。

ペックル達も防衛戦には参加している……ブレイブペックルは足止め能力があって何処かで足止めをしているのだろう。

「それじゃ任せるけど……大丈夫?」

「絆の嬢ちゃん程じゃねえけど任せな」

「パワーアップ指示ピョン! 踊るピョン!」

「ウサウニーブレッシングだピョーン!」

ってらるくと話をしていると地面からウサウニー達が飛び出し、俺とらるくを取り囲むように踊り始める。

すると俺とらるくの体が発光し始める。

これが襲撃イベント限定のプレイヤーパワーアップのバフだ。

速度が向上して、攻撃力ダウンのデバフが解除される。

割と毎晩俺に施される加護だ。

一気に行けって事ね。わかったよ。

「そんじゃ後は任せた。行ってくる」

そんな訳で俺は戦闘モードで一気に戦場を駆ける事になった。

「行くぞー!」

って事でライブラリ・ラビットに乗って颯爽と俺は駆けていく。

「おーはえーな絆の嬢ちゃん。俺達の倍以上の速度で行っちまうぜ」

「後はてりす達がかたづけないとね。ほら、らるく。ぼけっとしてないで掃除するわよー」

「あいよ」

そうして顔文字さんに指示されたマップで大きく点滅して指示された場所に向かうと奏姉さんと顔文字さんが既に交戦中だった。

ボスは見上げる程の大きさをしているダインブルグガーゴイル。

露骨な感じで……角の鋭い羊っぽい造形で筋肉質で恰幅の良い二足歩行の魔物って感じか。

こう……無骨な武芸者の石像な雰囲気がある。

「……」

ドシーン! っと拳で地面を殴りつけると衝撃波が発生して周囲にダメージが出る攻撃をしてくるようだ。

「おーダイナミックな魔物が来てるねー」

「絆、やっと来たわね。サクッとやるわよ」

姉さんがブレイブペックル着ぐるみでヘイトを取って攻撃をいなしながら近寄って来た俺に声を掛ける。

「サポートは任せるのじゃ」

顔文字さんは姉さんにバフを施しつつ適度に魔法攻撃をして居る様だ。

「やると言っても俺は戦闘特化じゃないからね。硝子達みたいなアクロバットを期待されたら困る」

何せロープで渡る事が出来なかった位には運動神経が悪い。

システムアシスト無しでは鈍くさいとしか言いようが無いのでね。

「それでも高火力でしょうが」

本当、取得したスキルのお陰で火力が出る様になったもんだ。

「わかってるって、全く……この襲撃が終わったら釣りに戻るからね」

「わかっておるのじゃ。では行くのじゃ」

「あいよー」

っと、俺はダインブルグガーゴイルが衝撃波を出し終えた瞬間に素早く近寄りボス退治用の白鯨の太刀<モビーディック>を事前にセットしていたので形状変化させながらクレーバーを放つ。

ドン! っと派手なエフェクトが入ってダインブルグガーゴイルのHPがメリっと減った。

「やっぱ絆が攻撃した方が効率良いわねー」

「デバフ解除中だからこそじゃな。一気に削りきって終わらせるのじゃ。防衛ラインに近づけずに終わらせれば明日の防衛が楽なのじゃ」

「そうだね」

通常攻撃をしながらブラッドフラワーのチャージを行う。

狩猟具のデフォルト搭載のスピード上昇とイベント中の強化も合わさって俺の体感時間は異様に早くなっている。

なのでスローモーションの中でチャージがしっかりと完了してしまったぞ。

バシュバシュと顔文字さんが鈍足効果のケミカルアシッドボムトマトを投げているのもあって、本当……ダインブルグガーゴイルの動きが遅くて戦いやすい。

「おーし! ブラッドフラワー!」

ザシュッと一気にダインブルグガーゴイルへと猛攻を仕掛ける。

あ、さすがに削りきれないか。そのまま流れるように叩きつけるように白鯨の太刀で斬りかかる。

ただ……石像相手に解体武器って違和感あるな。

どうも解体対象では無さそう。

「ぶっちゃけこの石像はさ」

「なんじゃ?」

「何よ絆」

「てりすやミリーさん辺りにハンマーでも持たせて殴らせたら良いダメージ入るんじゃない? あの二人、石材確保組だし」

常日頃日課として上げて居る技能で上がる能力という代物を考えるとこう言った無機物の石なんかに効果ありそうじゃん?

鉱石掘りと化石掘りだし、あの二人。

何が効果を発揮するか分からないのがディメンションウェーブと言うゲームな訳で。

きっとあの二人なら石像系の魔物に効果的にダメージが入るはず。

「ふむ……確かにそうじゃな。またこの魔物が出てきたら任せるとしよう」

「そういうことを考えると戦闘以外のスキルってのも無駄にならないって事なのね。私はサバイバル技能と料理で良かったわ」

「あまいな姉さん。料理に命が宿ったって設定の魔物がいないと言えるかな? 植物系も効果的でしょ」

姉さんは薬草採取と料理系を取得している。その辺りで効果的な魔物がいないと誰が言えるか。

「今は居ないでしょ。出てこない事を祈るばかりね」

「大きなチキンが襲ってくる光景……ホラーじゃな」

「コメディじゃない?」

「ハロウィンイベントとかでカボチャモチーフの魔物とか出てきたら奏に任せるのが良さそうじゃな」

「カボチャ料理を作るんですね分かります」

「はいはい。出てきたら作ってあげるから今は戦いなさいな」

あ、姉さんがツッコミを流した。

そこまで露骨に流さなくても良いじゃないか。

ルーンハンマー

「後はアレだね。こう言ったボスに効果的なダメージを与えるギミックとか他に無いのかな?」

「クレイが言っておったぞ。建築中の城に設置する防衛装置に大型大砲などがあるそうじゃ」

ほう……その辺りはお約束なのね。

「植物型にするか大砲にするかと悩み中じゃ」

「あんまりネタに走りすぎないで欲しいわね」

「弾丸はトマト砲ですね分かります」

「提案者から名前を取ってカナデキャノンじゃな」

「本気で止めなさい! アンタ等、私と一緒だと本当、私で遊んで来るわね! いい加減にしないとパリィで敵の攻撃アンタ等当たるように受け流すわよ!」

なんて雑談が出来る程には余裕を持って戦えている。

ただ、石像を殴って戦うってのは狩猟とはやっぱり違うよなー。

ゲームとはいえあれに白鯨の太刀とか、刃こぼれしそうで恐い。

「……!!!」

やがてダインブルグガーゴイルのHPを削りきった所でヒビが入り、バラバラと砕け散った。

「おーし、ボス討伐完了っと」

「ドロップは、おお……濃縮魔力の宿った岩だそうじゃ。石材にも良さそうじゃし用途が色々とありそうじゃな」

「てりすからしたら微妙な代物そうだな」

宝石大好きのてりすからしたらこの岩の中に原石が入っていたら喜びそうだけど使い道は微妙そう。

ロミナに渡したらどんな物を作ってくれただろうか。

なんかそのまま切り出したっぽい石の剣とか提出してきそうな予感。

ロミナ自身も安直なレシピだったとか嘆く感じで。

……どっちかというとクレイさん達向けか。

錬金術とかで何かしてくれると思いたい。

「後はダインブルグトパーズの欠片ね」

「てりすに提出、設定的に考えるとガーゴイルの核って所かな?」

「そうなんじゃない? ま、毎日の日課で楽しめてきたわね」

「開拓イベント中の息抜きじゃな」

「そこは顔文字さん達の得意とするイベントだからってのが大きいんじゃない?」

そもそもこのボスだって面子が優秀だからサクサクと倒せてるけど本来はもう少し防衛ラインが後退する位置に出てきそうだし。

「あ、そう言えばさ。この防衛イベントの難易度ってどの辺り? 俺が島に閉じ込められていた時はアップデート以降の場所だろうって感じだったけど」

「徐々に敵の脅威度が上がっておるが型落ちではないのじゃ」

「そうね。ただ、このイベントが他の開拓地で起こっているかも知れないのを考えるとトントンよね」

まあ、ありそうな展開だよね。

全体チャットで放送されればこの辺り、察する事が出来るんだけどね。

「何にしてもお疲れー」

「はいはい。お疲れね。私は明日に備えて寝るけど絆、アンタは程々にするのよ」

「わかってるって」

「わらわはこれからダンジョンに行って研究じゃ。明日はクレイが指揮をするので任せるのじゃ」

本当、僅か数日で襲撃のある生活にも慣れたもんだなー。夜の娯楽化してるような気もする。

「ところでマグマでの釣り研究は進んでるのかな?」

「クレイがそろそろてりすの付与を含めて技能があがったので着手の目処が立ったと言っておったぞ」

おお、それは何より。

それじゃ近々マグマでの釣りが出来るようになるんだなー。

「では解散ー」

って訳で襲撃五日目もサクッと終わった。

ダインブルグガーゴイルは翌日から中ボス枠とばかりに当然の面をして出て来るようになった。

一応HPとかは調整されているのか減っているけど当たり前のように出てきたなー。

RPGあるあるとはいえ、せめて色違いで出てきて欲しかった。

クレイさん曰く、予想通りの出現パターンだそうだ。歯ごたえのある戦闘が楽しめるね。

六日目のダインブルグガーゴイルがレアドロップでルーンハンマーってのを落した。

所持スキルの関係で適性があるのが、てりすとミリーさんの二人なので使ってもらう。

中々の攻撃力が出る訳だけど……後衛の魔法担当の二人だから両者ともに反応に困るって顔をしていた。

「てりすがガーゴイルの処理担当って組みにさせられちゃってるのってどうなのー?」

「鉱石採掘のノリで近づいてぶったたく仕事だね」

「わかってるけど、なんか近接にされそうじゃない?」

「はは、てりす。近接戦闘も楽しいもんだぜ」

「えーてりす魔法でバンバンするのが好みよー」

中ボス枠として出てくるダインブルグガーゴイルへの専門としてらるくのサポートありで近づくてりす。

慣れると大ぶりなだけで隙は大きいもんな。

ちなみにダインブルグガーゴイルは建築物破壊能力が高いのがウサウニーの偵察で判明している。

「じゃあ行くわよーえーい」

ガツ! っとてりすがハンマーを振りかぶって隙を見せたダインブルグガーゴイルを叩きつけを行う。

「てりす。腰が入ってねえぞ」

「もっと勢いよくやらなきゃ」

「ああもう、奏ちゃんの気持ちが分かっちゃうじゃないのー! どっせええええええい!」

てりすが隠そうとしていたかけ声をして力強く殴りつけていた。

「う……アクティブスキルが出ちゃったわ。削岩撃ってスキル」

魔法担当のテリスが近接攻撃のスキルを習得か、ディメンションウェーブって何が起こるか分からないもんだなー。

「良かったね」

「うー今度ミリーさんもやって貰うわよー! 絆ちゃんもやりなさいな」

「俺は狩猟具が一番火力出るからなー」

「見てて思うけど絆の嬢ちゃん。攻撃力も高いけど会心率も高いよな」

「そうなの?」

「ああ、解体のスキルが関わってるんじゃねえの? 弱点を突くとクリティカルって概念で」

ありそうだな。

なんて雑談をしていると次のダインブルグガーゴイルがノシノシと歩いてくる。

「何にしてもてりす、次のお客様のお出ましだぜ!」

タイミング良く地面からウサウニー達が現われててりすに向かって祝福を施して行く。

「顔文字さんが得意だけどクレイさんもバフ管理、相当上手だよね。ちょうど効果が切れて必要になったタイミングで発動させてくるし」

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