確かに経緯を遠目で見ているだけだったらそう見えなくもない。

しかしながら第三都市が見つかった現在、その理論は既に破綻している。

はぁ……面倒なのに遭遇したなぁ。

島主権限

というかコイツ等、アカウントBANと凍結が混ざっているぞ。

似ているとは思うがBANは実質消滅で、凍結は文字通り凍結だ。

しっかりとした理由があれば解除される事もあるのが凍結だろう。

「私や闇影さんはこの島の解放クエストに呼ばれて消息を絶っただけであって、貴方達が思っている様な事は何も無いですよ」

「は! そんな大ボラ吹いたって現実は変わらねえぜ」

変わらないのは解放クエストをしていたっていう現実だけどな。

なんだろう。

さっきから脳内で突っ込んでいるだけな気がする。

コイツ等は突っ込み待ちの芸人なんだろうか。

それにしてはネタがつまらないが。

「……ホラですか。ならば何故、この島に私達がいるんでしょうね? 少なくとも、そのような凍結やBANを私達はされていません。前回の波でのリザルト画面を見なかったんですか?」

俺や硝子は波で不参加だった。

だが、免除と出ている。

その点だけでも加味するだけでアカウント凍結なんてされていないのはわかり切った事であるはずなのだ。

にも関わらず、ここで凍結凍結大声で騒ぐコイツ等は一体何なんだ?

「だから、免除の後に凍結を喰らったんだろ!」

「はあ……先ほど言った事を聞いてませんでしたか? 都市解放クエストをやっていたのですよ」

「拙者、クエストに巻き込まれた被害者でござる!」

俺に余計な被害が及ばない様に闇影は俺自身の名前を直接言わない様にしている。

闇影って案外、思慮深いんだよな。

免除されたのは俺と硝子だから一発だけどさ。

「あー……なるほど、確か噂で流れてたよな。隠された波を攻略したメンバーが一人一人消えて行ってるって奴」

「凍結処分されたとかの話だったけど、都市解放クエストに呼ばれていた訳ね」

「一人一人消えて行くって趣味悪いな」

「アレだ。ファラオの呪い的な演出で攻略メンバーを驚かせたかったって事じゃない?」

「確かに……その話を聞くだけでみんな興味持ったもんな」

闇影には良い迷惑だっただろうけど、第二の人生を楽しむと言う意味では許される話だったのかもしれない。

性質の悪過ぎる演出で被害を被り過ぎたら、GMも何処かで干渉してくるだろうしなぁ。

何処で見てるかわからないけど。

案外一般ユーザーに紛れていたりしてな。

「第一都市の公式情報掲示板に載ってなかったっけ? 第三都市解放クエストの経緯と発動済みクエストに、幽霊船の呪いって名前の奴」

「確か……幽霊船攻略メンバーに親しい者が姿を消すとか、概要があったはず」

うわ……そんな物あったのか。

名前から間違いなく闇影が巻き込まれた奴だな。

「誰だよ。アカウント凍結だって言い張った奴」

自然と声がでかい四人組に周りの視線が向かう。

「そんなの関係ねえ! お前はアカウント凍結されてたんだよ!」

なんだよその俺ルール! みたいな言い張り方は。

硝子もコイツ等と関わりがあったみたいだけど、人を見る目がなさ過ぎだろ。

まあ俺達が良い奴かと尋ねられたとしても、微妙なラインなんだが。

「そもそもなんだこの島、塩臭ぇんだよ! 物もバカみたいに高いしよ! もっと値段を安くしろよ!」

塩臭いって……そりゃあ海が近いしな。

島の物価に関しては第一や第二都市の物と比べてそこまで高くはないはずだ。

アルトが設定しているのでその辺りは適正のはず。

少なくとも売っている武具や食材は相場だ。というか弄って無い。

これが高いと言うのは単純にお前等の身の丈に合っていないだけなんじゃないか?

硝子と一緒に居たはずだから前線組のはずなのにな。

……それも一ヵ月以上前の話か。

「NPCの鍛冶師が店をやってたな。しっかりと中身入りだとわかったから専属の鍛冶師にしてやろうとしたら断わりやがってよ。消えたと思ったらこの島にいやがった!」

ロミナをNPC扱いしたのもお前等かよ。

そこ等中で問題を起こしているんじゃねーか。

アルトも相手を選んで紹介しろ!

「店に出入り禁止とかふざけた事をしてくれやがって!」

「許されないぞ!」

「……許されないのはお前等だろ? 声高々に不正ユーザー呼ばわり、通報とかされたらどっちが凍結されるかわからないのか?」

俺達はあくまで仕様内で遊んでいるに過ぎない。

にも関わらず自分達を不愉快にしたからとこんな卑劣な事をして良い理由にはならない。

そもそもお前等シージャックをしようとしたとか、経緯を聞いただけで正しいとは言えないだろ。

まあ、硝子達の悪い噂を流すとか、有言実行した行動力は評価すべきかもしれないけどさ。

「はあ? 何言ってんだお前? 俺達の言う事が間違ってるみたいな言い方だな?」

「舐めんのも大概にしろよ?」

「こっちが怒らねえ内に頭下げろよ」

ふむ……。

「さっきお前等さー……ロミナに出入り禁止にされたとか言ってたよな?」

ステータスアイコンを見る動作をしながら、俺はバカ四人組を見る。

「建物への出入り禁止処分と同様に、都市解放クエストで都市の長になったプレイヤーが目の前にいた場合、そんな迷惑プレイをしているユーザーに出来る事を考えるべきだぞ?」

アルトに一応連絡。

問題ユーザーへの自治行為の了承を得る。

「は? そんな真似出来る訳ねーだろ」

「バカじゃねえの?」

「これはゲームだぞ? 現実とゲームの区別が付いていないんじゃねーの?」

「うん。これはゲームだ。だが、このゲームはセカンドライフプロジェクト・ディメンションウェーブだ。運営がどんな仕掛けを施しているのかわからない。みんな手探りで調べて進める第二の人生を味わうゲームなんだぞ?」

俺は指を弾くように、領主権限のある項目を弄る。

「島の領主として開拓をさせられ、島の権利の全てを担うユーザーが居たって不思議でも何でも無い。こんな……風に」

俺が言うと同時に、広場で雑談をしながら買い物をしていた奴が悲鳴を上げる。

バカ四人は悲鳴を聞いて顔をそっちに向けた。

「ギャアアアアアアアアアアアア! 物価が! 値段がいきなり撥ねあがった!」

「インスタントダンジョンに入れない! 高過ぎる! なんだこの値段は!」

「みなさーん! わかりましたかー? この四人がふざけた事を言ったので見せしめに島の物価を滅茶苦茶な物に引き上げましたー」

権力って重要だよな。

アルトではないが、今回ばかりはそう思う。

俺も出来ればそんな真似はしたくない。

だけど……闇影が粘着質に嫌がらせをされて良い理由にはならない。

「俺達は皆さんが利用しやすい税率設定をしているのですが、こんなワガママを許したら、楽しく出来ません。残念ですが出て行ってもらうほかありません」

いけない事だとはわかっているけど、出来る事は説明しなきゃね。

さっと値段を元に戻して、みんなを安心させる。

まあコイツ等をブラックリストに入れれば島から強制的に追い出す事は可能だが、ブロックリスト入り=勝利! みたいな訳のわからない奴もいるからな。

周りから切り崩させてもらおう。

要するにコイツ等の風聞に傷を付けてやる。

「手始めがコレ。次はどうするかな? 実の所、俺は君達が自由に遊ぶ事を制限する様な真似はしたくないんだ」

渋々出入り禁止にしていない様に見せる。

周りのプレイヤー達がバカ四人へ殺意を向けた。

「あんまり自分が正しい前提で相手と話をしない方が良いと思う。ネチケットは守らなきゃな」

俺が言うのもなんだとは思うけどさ。

「絆殿……」

「絆さん……」

ああ、硝子と闇影の眼が痛い。

軽蔑ではないと思いたい。

「ふ、ふざけんじゃねえぞ! 運営がそんな事まで委託してんのかよ! このチート野郎共!」

「許さないぞ!」

そこで他のプレイヤーが間に入った。

自分達にも被害が及びかねないって事をしっかりと理解したらしい。

蚊帳の外では居られなくなった連中のする事は、わかりやすい。

「チートって……このゲームで出来る訳ないだろ」

誰かがポツリと呟いた。

まあそうだよな。

VRでMMOではあるが一般的なネットゲームとは異なる。

プレイヤーが施設で入念なチェックを受けているし、現実の身体は機材に入っているしな。

しかもある程度はGMもモニタリングしているだろうし。

このゲームをどうやって解析してチートするというのか。

精々バグ利用があるかないかって所だろう。

「これ以上刺激すんな! お前等が騒いだら俺達に被害が掛るだろ!」

「そうだそうだ! 悪口なら相手の居ない所でやれ! コイツ等はチートを使ってる訳じゃないって証明されてんだろ」

「レッテル貼りも大概にしておけ! もしくはチラシの裏で悪口書いてろ!」

周りの擁護にバカ四人の怒りがヒートアップ!

いや、陰口でも嫌だけどな。

まあネットゲームやっていれば嫌でもこういう事はあるけどさ。

「ふざけんじゃねえ! こんな事が許されていいはずがねえだろ! もうやってらんねー! こんなゲームさっさとやめてやる!」

「ログアウトだ! させろよ! 俺達はもうやりたくないんだよ!」

「クソゲー!」

「ぬおおおおおおおおおおおおおお!」

声高々に叫んでいるが、コイツ等がログアウトする様には見えない。

コイツ等の反応、突っ込み待ちの頃よりは笑えるな。

道化という意味で。

芸人から道化にクラスチェンジ。

「良いからここから立ち去れ、邪魔だ!」

「みんなで楽しくゲームがしたいんだよ!」

「ゆったりと生活したくて高い金払ってプレイしてんだ。迷惑を掛けんな!」

「出てけ! お前等の方が性質が悪くてうるさい!」

「なんだと! ふざけんなよ!」

「俺達がどれだけ強いかわかってんのか!」

「ああ!?」

なんて感じで周りのプレイヤーに突き飛ばされ、バカ四人は港の方へと連れ去られて行った。

まあPKは出来ないので、大丈夫だろう。

後に聞いた話によると、そいつ等の悪評が随分と広まったらしい。

他プレイヤーに散々迷惑行為をした罪状が軒並みあり、運営への悪口や他プレイヤーのアカウント凍結指示を連日に渡って送り続けた所為なのか、自業自得なんだがな。

と言う話は置いて置いて。

俺達の周りにいるプレイヤーが若干恐怖の目で俺達を見ている。

まあ、自分達の命綱を握られたら楽しくなんて出来ないだろう。

「あ、皆さん、そんな脅えなくても良いですよ。みんなが島を楽しく利用する事が俺達の願いですしね。税も低めにしてますよ。クエスト面倒だったんで、出来れば楽しんでください」

税を無しにするのはやらない。

それは良くないとアルトも言っていた。

必要な権利であって、無料が人々に良い事だけではないとも言っていた。

本当は金が欲しいだけなんじゃないかと睨んでいる。

クエストが面倒というのは本当だ。

俺達のギルドはアルトを始め、ロミナやしぇりると言った生産型が多いからな。

「あくまでこんな事も出来るってお披露目みたいな物で、他の都市でも解放クエストをクリアしたら出来るようになるかもしれませんよ」

ちなみにアルトの話だと、あまりにも高すぎる税にするとプレイヤーが島を出て行ってしまう事も然ることながら、税を掛けられない島の一部施設の利用だけをされる事になってしまうとか色々と言っていた。

あくまで島の攻略報酬は一部にしか掛っていないんだよな。

俺の説明を聞いて、プレイヤー達は成功者の言葉として耳に入れ、野心あふれる表情をしていた。

こんな事も出来ると知ったらやる気を見せるのは人の性なのかもしれない。

そんな訳で、闇影に引っ付いていた酷い二つ名は、この出来事を皮きりに鎮火する事になる。

「絆殿、その、ありがとうでござる」

「格好良かったですよ」

「そ、そうか? まあ、こういうのはキャラじゃないんだけどさ」

俺はこのゲームで釣りをする為に始めた訳で、謎の領主として都市管理をしたい訳じゃない。

そういうのはアルトの方が向いていると思う。

釣り以外のやりたい事と言えば友達とワイワイする位だ。

「はあ……なんか辛気臭い空気になったな。釣りは止めて、ダンジョンにでも潜って熟練度でも稼ぎに行くか!」

「ええ、その意気です! 私も絆さん達と組んで良かったと思います」

「拙者もでござる! がんばるでござるよ」

「あんまり二人が本気を出してもついて行ける強さを俺は持ってないんだけどな」

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