「これだけ引っ張られるって事は嘘じゃないんじゃない? 確か巨大イカを釣った時も引っ張られていたし」

紡が若干楽しげに舵を強く持って言い切る。

しかしなんだこの引き!?

『おい、島主パーティーが何かやってんぞ?』

『釣り? こんな時に、何考えてんだアイツ』

『バカを通り越してキチガイだろ』

うるせー! こっちは釣りがしたくてゲームに参加してんだよ!

波発生中のフィールド限定で良い魚が釣れるかもしれないだろ。

何事も実験だ!

その結果、シークレットウェーブクエストなんて出てんだから。

とか言い訳しても、信じ無さそう。

今は結果を出すしかない!

「うおおおおおお! 俺の釣り経験を舐めるなよぉおおおおお」

今までの釣り経験、竿の性能、モーターリールの力……そして振り込んだ技能と熟練度……その全てを総動員して釣りあげてくれるわぁあああああああああああ!

モーターリールにこれでもかとエネルギーを振り込みながら思い切り引きあげる。

すると魚影が徐々に大きくなって行き、俺達が格闘していた相手が何者であるのか、周りで嘲りながら雑魚と戦っていた連中が口を開ける。

「一本釣りだぁああああああああああああ!」

ついでにスキルをぶちかましてトドメとばかりに竿を振り上げた。

そして……ザバァっと音を立てて、次元ノ白鯨が海面から釣りあげられる。

「「「何ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?」」」

巨大な水柱を上げながら次元ノ白鯨は海面に叩きつけられ、目を回しているエフィクトを出しながら腹を見せる。

少しばかり遅れてしぇりる達が海面に顔を出した。

『い、今来た情報を報告すのじゃ。海中で暴れ回っていた次元ノ白鯨が突如顔を海底に向けたかと思うと凄い速度で海面に引っ張られて行ったそうじゃ』

「ボスが釣られた」

「釣ってた」

「島主パーティーが釣ってた」

「おかしい」

『何? 島主パーティーが釣りをしていた? それに引き寄せられて釣りあげられた?』

唖然とした空気が辺りを漂う。

俺は船首に立ち、ドヤ顔をしてみた。

『と、ともかく! 今が攻撃のチャンスじゃ!』

指揮をしている人の声に、ハッと我に返った連中が攻撃を再開した。

気絶している所為か、次元ノ白鯨の奴……攻撃の効きがとてもいい。

一気に回復した分を越えて、大ダメージをみんなで与える事に成功。

やがて我に返った次元ノ白鯨は動きまわって攻撃を再開、海面でしばらく同様の攻撃を繰り返したかと思うと、また潜って行く。

HPが一定以下になると海中に潜るスタイルだな。

今度は潜る連中の他に釣竿を垂らすプレイヤーが現れた。

「なんだよこれ……」

が、ブツンとすぐに糸が切られて悔しがっている。

俺以外にも釣り人が居た事に素直な喜びを覚える。

今度、声でも掛けようかな。

「絆殿が仲間を見つけた目をしているでござる!」

「釣り仲間がそんなに欲しいんですか!?」

「欲しいに決まっているじゃないか! 今度あのプレイヤー達と一緒に一ヵ月くらい地底湖で釣りをするんだ……」

こう、釣り祭的な意味で。

「誰得でござるか!」

もちろん俺得だ。

ちなみに後の話だけど断られた。

しかも勘弁してほしいとまで言われたぞ。

ただ、俺の釣りスタイルはそこから噂になって次元ノ白鯨を釣り上げるのに足る努力をしているのだと納得された。

っと、また俺の釣竿に引っ掛かった!

またも俺は次元ノ白鯨を釣り上げ、絶好の攻撃チャンスが到来する。

これだけ攻撃のチャンスとパターンを組めたら後は半ば作業化するのにそこまで時間は掛らなかった。

合計3回目の釣り上げをする頃には次元ノ白鯨のHPはゼロになり……。

「―――――!?」

声にならない叫びをあげながら次元ノ白鯨は絶命した。

白い閃光が辺りを通り抜け晴れやかな空と白い雲……最初の波を経験した時と同じ事が起こっていた。

どうやら波はこれにて終了のようだ。

キラキラと海が輝いている。

おや?

次元ノ白鯨の近くでドボンと良い音を共に派手な水しぶきが立ち、其処には船が一隻。

「いってー……ここは? アレ、体内バトルをしていたんだが……」

「後少しで心臓に届くはずだったんだが……」

首を傾げている。

たぶん、お前等の方が正攻法だったんだろうな。

急所を攻撃すると背中の穴から噴出されて前線に復帰とかする感じで。

「ウィナー!」

しぇりるがエイハブスピアを船首で掲げて勝利の声を上げている。

「「「よ、よっしゃー!」」」

若干どもった声が聞こえてきたぞ。

「おつー」

「おつかれー」

「お疲れ様ー」

「乙」

「おつカレー」

――ディメンションウェーブ第三波討伐!

システムウィンドウが表示されて描かれている。

「ふー……勝った勝ったー今回は結構良い成績出せるんじゃないか?」

「ですね」

「拙者達の無双だったでござる」

「当然の事……」

「やったね!」

みんなでポーズを取った後、リザルト画面を確認する。

お? おお? おおおおおおおお?

まずは疑問の解決から入ろう。

「なんでここまでの数字が出てるんだ? 単純に雑魚の駆逐とかボスへのダメージの貢献は闇影やしぇりる程は無いはずだが……」

「ペックルに攻撃させるのも絆さんの成績に加算されるって事なんじゃないでしょうか?」

「なるほど」

そう、与ダメージの順位で俺はなんと! 1位を獲得していたのだ。

何かしらのバグが起こっていたとか言われたら俺自身も嫌だったので、納得の理由が欲しかった。

なるほどなるほど、ペックル達は俺の手足の様に動いて、無数の攻撃をしてくれていたもんな。

「よっしゃー!」

おそらく俺の人生の中でもっとも輝かしい活躍をした瞬間ではないだろうか?

撮影モードでリザルト画面を何度も撮影した。

「おお! 絆殿! 凄いでござるな!」

「お兄ちゃん。他の項目も確認した方が良いよ。何処も名前が載ってる」

「受ダメージキングにはなっていないからな!」

「何時の事を引き摺っているでござるか」

「そもそも、私達の名前が大抵の部分に載っていますよ」

「そう……」

確かに、俺達の名前は良い意味で載る項目の大半に記載されていた。

そして輝かしい事に、今回の波までの総合で俺は1位を獲得したのが判明している。

良いな……今までこう言った順位があるゲームで1位なんて殆ど取った事が無い。

まあ、二度目の波を強制不参加させられた分のツケは返して貰った気はする。

とりあえず俺が取った1位は五つ。

総合順位

合計ダメージ

生活

物資支援

種族

この五つだ。

総合は言うまでもない。

良い意味での順位での1位だろう。

所持金等は生活にカテゴライズされると見た。

合計ダメージは先ほどのやり取りだろう。ペックル達のお陰だ。

次点はしぇりると硝子、そして闇影と紡だ。

まあ、島で他のプレイヤーよりも早くやりこみをしていたのだから自然と火力が出たのは言うまでもない。

雑魚はほぼ一撃で仕留めて居た訳だし。

次に生活だが……硝子やしぇりる、ロミナやアルトがベスト10以内にノミネートしている。

波までの間にどれだけ生活をしたかに関わるのだとは思うのだが……まあ、島の開拓なんてやっていたら間違いなく増える項目か。

釣りとかもここに関わる……普段の俺が狙う順位欄だ。

闇影が名前に入っていないのは最後に呼んだからだろう。

物資支援はもちろん、アルトやロミナが名前に入っている。

俺が一位なのはカルミラを解放してプレイヤーの拠点を確保したから……だな。

カルミラに来たプレイヤー全員に支援をしている様な物として評価に入ったのだろう。

しかも次元ノ白鯨を釣り上げるなんてのも間違いなく支援に入ると思われる。

もちろん種族順位も俺は1位だぞ。

この全てで1位を取ったお陰で総合一位になったのは間違いない。

ともかく、これでダメージキングなんて不名誉な称号は完全に消す事が出来ただろう。

「ペックルマスターの無双で終わったか」

「そりゃあ……あんだけ乱射すればな」

「今回だけで何セリン使ったんだ?」

「アレだけやりゃあ誰でも一位取れるだろ」

まあな。俺もそう思う。

しかし、外野の声は気にしない。

というかペックルマスターって俺の渾名か?

く……新たな不名誉な称号が付いてしまったじゃないか。

新天地を目指して

波を乗り越えたんだからアップデート項目の確認だ。

うーん……追加スキルやシークレットスキルの解放とか書かれているなぁ。

もちろん、アイテムの実装。

機械類の販売、付与、精錬等生産系の大幅拡張、レシピの拡張とかかなり項目が多くて全部を読んでいたらキリがなさそう。

大幅拡張ってなんだろ?

後でどう変わったのかロミナに聞かなきゃな。

戦闘に関わる要素だと、連携技の追加があるみたいだ。

仲間と一緒にスキルや魔法を放つと混ざって発動させれる様になる……か。

上手く使えば強そうだ。

他に種族の能力拡張もあるみたいだ。

亜人系のキャラクターは一定のLvを越えた後にクエストを行うと獣化が出来るようになるみたいな感じで出来る事が増える。

スピリットはー……倒したモンスターの魂を集めて力に出来る?

ちょっとわかりづらいな。

これは検証しないといけないだろう。

後は……お?

カルミラのインスタントダンジョンが拡張と書かれている。

おそらく最下層にあった扉が開く様になったんだろう。

「後はお楽しみのボーナスアイテムの支給ー」

今回、俺の総合順位は1位だから良い物が支給されるはず!

報酬を受け取るをチェック!

やはりスロットが回る!

釣竿と魚があった! これに当たれ!

アタレ! アタレ! 一位補正で任意の奴にアタレ!

なんて祈る様にスロットを見ていると魚で揃ったかのように見えて……またずれて双剣みたいな項目に変わる。

フェイントやめろ! もう驚かねえよ!

なんてガックリしていると+という四つ目のリールが出現して魚のマスで止まる。

――高密度強化エネルギーブレイドアタッチメント獲得。

またこれか!

で、魚の項目は何なんだ?

なんて思っているとブレイブペックルが俺の服の裾を摘まむ。

「ん?」

「がんばった島主への報酬ペン」

そう言って盾の裏から凄いピカピカ光る成り金っぽいルアーを俺に手渡す。

お前が渡すのかよ。

受け取るとルアーは光となって消えた。

シークレットスキル『フィーバールアー』を習得しました!

カモンペックルみたいな追加スキルをまたも取得したって事か?

後でどんな効果があるのか検証しなきゃな。

その前に支給された高密度強化エネルギーブレイドアタッチメントを出して見る。

もう一本のエネルギーブレイドか?

所持していたエネルギーブレイドにある端子とくっつきそうなので合わせて見る。

やはりカチっと音がして引っ付いた。

む!? 何かエネルギーブレイドに光の線が走って小型化した。

試作型可変機能付きエネルギーブレイドⅣ獲得。

可変機能?

エネルギーブレイドを握って項目を確認する。

すると剣、槍、弓、杖と、いろんな武器アイコンが出て来る。

扇もあるな。

ただ……釣竿は無さそうだ。

解体刀も無いみたいだ。

微妙に俺が使う物に被らないなぁ……精々弓かな?

使いやすくはなるか、いざって時に硝子や闇影に使ってもらうのが良さそうだ。

「みんなイイ感じの順位だったね」

「絆さんは報酬は……」

エネルギーブレイドを硝子に見せる。

「またそれなんですか?」

「ああ、スピリットにはそこそこの確率で出る武器らしいね。微妙に使い辛いからアイテム欄の肥やしにしている人も多いそうだよ」

「だろうね」

実際、使いづらいしな。

一振りする毎にエネルギーが減って行く訳だし。

さてと……恒例の奏姉さんの戦績は……。

総合順位89位、奏†エクシード。

前回よりも落ちている。

おかしいな。

奏姉さんならばそろそろ頭角を現しても良い時期じゃないか?

あ、他にも名前を見られる所を発見。

散財順位にも名前が載っている。

こっちは54位だ。

こんな項目があるという事は俺の名前は……無いな。

アルトやロミナ、しぇりるも無い。

それなりに金を使ったイメージがあるんだけどな。

バリスタとか撃ちまくったし。

どういう基準なんだ?

後は……次元ノ白鯨にプレイヤーの船が群がっている。

「うわ! 硬い……しかも全然切れないし、切り辛いぞ!」

「く……これ以上は取れないか!」

次元ノ白鯨の上に乗って解体をしている様に見える。

「MVPが島主チームだろ? しょうがねえよ」

なんか俺達の方に注目が集まっている。

解体の情報が広まっているってのは本当なんだな。

じゃあ隠れて解体する必要は無いか。

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