ふるふると腰を振ってねだるラディコの言うことを聞くわけにはいかないし、かといって単純に達するわけにもいかない。Olは最大限快楽を感じながら、しかしそれに流されることなく冷静にラディコの身体を愛撫し気持ちよくしないといけないのだ。

ねぇ♡Olぅ♡それも♡気持ちっ♡いいけどぉ♡もっと、気持ちよく♡なりたいよお♡

両手両足を拘束されながら、出来る限りにラディコは尻を振ってOlに誘惑する。

ああ、してやるともっ

とろとろに熟れた蜜壺に挿入すれば、どれほど気持ちいいことだろうか。そんな思いを抱きつつも、Olはラディコの両乳首をきゅっと摘み、びっしょりと濡れた秘所を舌でなぞる。

ひぁんっ♡もっとぉ♡もっと奥♡ナカに、挿れて欲しいよお♡

舌先で触れた空間は、特別閉じているというわけではない。つまりは実際に凄まじい力で膣を締め付けているわけではなく、膣で何かを締め付けるとそこにかかる圧力が倍加するのだろう。

それに気づいたOlは、一つの方法に思い至った。力を倍加するならば、同じことをしてやることが出来る。

Olは己の快楽をラディコの身体に移したまま、自分自身の感度を最大限まで引き上げた。

ぐ、おっ!

ひあぁあっ♡

神経が焼ききれてしまうのではないか、と思うほどの快楽がOlを襲う。あまりの気持ちよさに、逆に達することができないということもあることを彼は初めて知った。矢を放たれる寸前の弓が弦をキリキリと引き絞るように、その瞬間に向けて間延びした時間の中Olの中の快感が急速に膨れ上がっていく。

フローロの濡れた舌の感触、唇が男根を締め付けるほのかな圧力、肉茎をぴっちりと包む胸の柔らかさ、すべすべとした肌の触り心地。その一つ一つが恐ろしいほどの克明さでOlの脳に伝わって、津波のように押し寄せる。

そして溢れかえったそれは、痺れるような強烈な快楽となって体中を駆け抜け、爆発するかのように白濁の迸りとなってフローロの口内に注ぎ込まれた。

んっ♡んくっ♡

それを喉の奥で受け止めながら、フローロは教えられたばかりの術を行使する。Olの魔術によって倍加させられた快感はそのままラディコの身体に伝えられ、それがそのままフローロの魔術によって更に増幅された。

ひあっ♡♡♡~~~~♡♡♡♡♡

プシッ、と音を立ててラディコの脚の間から潮が吹き出し、床を穿つ。母なる壁で出来たものでなければ深い穴が作られていただろう。Olの手を掠めていれば指の一本も飛んだかも知れないが、気にすることはなかった。

Olはフローロの頭を押さえてその喉奥に出せども出せども尽きぬ白濁の液を送り込むことに精一杯で、ラディコは体中を駆け巡る快楽に声を出すことも出来ずただただ連続で絶頂し続けていたからだ。

ただ一人、フローロだけが嬉しそうに目を細め、Olの精液を喉を鳴らして飲み下していた。

第4話次なる刺客を迎え撃ちましょう-8

目覚めよ

パチン、とOlが指を鳴らした瞬間、ラディコの瞳に光が戻る。切り落とした衣服は修復したが、念の為に手足は拘束したままだ。

あれっ?ボク

パチパチと目を瞬かせ、ラディコは周囲を見回す。そして、Olの顔を目にした瞬間、ポンと音を立てそうな程に顔を真赤に染め上げた。

わ。わ。わ。何!?どうなってるのお!?

そして己の頬を押さえようとして初めて拘束された両手足に気づき、ラディコは慌てふためく。

慌てるな。害を加えるつもりはない

ぐっと顔を近づけ、Olは言った。

もっとも、そちらがこちらに危害を加えなければ、の話だが

くっ、加えない加えない!絶対加えないよお!だ、だからこれ解いて、顔を近づけないでえ!

思った以上にあっさりとそう言ってのけるラディコにOlは拍子抜けした。フローロの動向を把握されている以上、Olの契約を用いた呪いについても既に知られていると考えるべきだ。

しかしそれにしてはあまりにもあっさりとラディコは危害を加えないなどという約束を結んだ。まさかとは思うが、呪いを無効化するようなスキルが存在するのか。

あっ。しまった、約束しちゃ駄目なんだった

などと思っていると、ラディコはあっさりと口を滑らせた。

い、今の約束しなかったことにしちゃ駄目かなあ?

別に構わんが、その場合お前の身体はそのままだぞ

あっ、そっかあ!えっ、どうしよ、困るな困るな、どーしよ

慌てふためき眉根を寄せて困るラディコに、Olは額を押さえた。もしこれが演技であるならその演技力は人智の及ぶ範囲ではない。

まいっか。どうせOlくんの事叩いたりしたくないし約束するよお!

オ、Olくん!?

あれ?ボク、なんでOlくんの名前知ってるんだろ

催眠状態の時の記憶は無意識下に押し込められ、思い出すことは出来ない。しかし名前のような表層的な知識はまろびでる事がある。Olが驚いたのはラディコがOlの名前を覚えているということではなく、あまりにもフランクなその呼び方であった。

気にするな。では、解放するぞ

ん?うん、お願い

パチリとOlが指を鳴らすと、ラディコの両手足を拘束していた壁が溶けるように消えてなくなる。

次の瞬間、ラディコは弾かれたようにOlに向かって突撃していた。

Olくぅん♡これでやっとぎゅうってできるよお♡

待て!止まれ!俺を潰す気か!?

Olを囲む見えざる迷宮(ラビュリントス)が具現化するのも構わず、ラディコはぎゅうぎゅうとOlを抱きしめようとする。サルナークの剣にも傷一つ付かなかった見えざる迷宮がミシミシと悲鳴を上げ、Olは慌てて叫んだ。

あっ、ご、ごめんね。ボク、ちょっとだけ力強いんだった

ラディコはそんな弁解をしながら慌てて離れた。ラディコ自身に、危害を加えるという意識がないのだ。故にその致死の抱擁は、先程交わした約束には反していなかった。よもやこれを狙って遣わしたわけではないだろうな、とOlは勘ぐる。

さて、ラディコよ。お前に聞きたいことがある。答えてくれると嬉しい

うん、何でも聞いて!

そのやけに好意的な反応に、Olは戸惑った。確かに気持ちよくすればするほど好きになると暗示をかけたが、そもそもの前提として敵同士なのだ。それはもっと無意識下で働く作用であるはずだった。

何か理由があるのか──あるいは、それほどまでにラディコが単純な性格をしているのか。可能性としては半々といったところか、とOlは内心独りごちる。

ラディコ。お前は何のためにここへとやってきたのだ?

核心を突くOlの言葉に、ラディコは表情を真剣に引き締める。

あのね

そして、決意を持った眼差しで答えた。

ボクの事Olくんなら、ラディ、って呼んでもいいよ

何を決意しているのだお前は。

喉元まで出かけた怒声を、Olはかろうじて飲み込む。

わかった。ラディ、教えてくれるか?

うん。ボクが受けた命令はそっちの子を殺せ、っていうのだよ

改めて問い直せば、ラディコはあっさりとフローロを指差して答えた。

なぜだ?

わかんない。フルクト様に言われただけだからあっ

ぽろりと名を漏らし、ラディコは慌てて己の口を押さえる。

フルクト!?

その名を聞いて、フローロは驚愕に目を見開いていた。

知っているのか

フルクトはかつて私の世話をしてくれていた侍女です。まさか、彼女がどうして?

フローロの動揺ぶりを見るに、相当信頼していた相手であるらしい。

きっと何かの間違いだと

首を振りながら言いかけて、フローロはOlの顔を見上げた。フローロには、フルクトがそのような指令をしたなどとはとても思えなかった。だが──

人は、必ず裏切る。

そう言っていた彼は、フローロがそう訴えたとしてもそれを信じることはないだろう。そう思ったのだ。

まあ、その可能性はあるな

しかし案に相違して、Olはあっさりとそう言ってのけた。

え?私の言うことを、信じてくれるんですか?

信じるも信じぬもあるか

目を瞬かせるフローロに、Olは呆れた様子で言った。

そもそも情報が少なすぎる。こんな状況で判断できるものか。偽情報の可能性も十分ある

オ、Olくん、ボク、嘘言ってないよ!

Olの腕に縋りかけ、それをぐっと我慢しながら、ラディコ。

それはわかっている。だが、お前自身が騙されている場合もあるだろう

しかしOlの言葉に彼女はあっさりと納得した。つまりは、彼女自身もフルクトの事をさほど信用していないということだ。

そもそもこの状況でフローロを殺す理由がわからん。殺したいならば今まで幾らでもその機会はあったはずだろう

それは確かにその通りだ、とフローロも納得する。Olと出会う前、フローロがただの奴隷であった頃なら何の苦もなく殺すことが出来たはずだ。

そう、ですよね!フルクトが私のことを殺そうとするはずなんて

まあ否定する材料もないがな。単に目障りになったから殺そうと思い立ったのかもしれん

ぱっと表情を輝かせるフローロに、Olはにべもなく言った。

もー!どっちなんですか!?

知るか。わからぬからこそ、どちらにも否。あらゆる可能性に備えるのだ

もしかしてからかわれているんだろうか、とフローロは思ったが、Olの表情は真剣そのものだ。

あらゆる、可能性

言っただろう。──人は、必ず裏切る

今まで幾度となく言ってきたその言葉を、Olはもう一度口にした。

その中でもっとも警戒しなければならぬのは、自分自身だ。こうあって欲しい。こうあるべきだ。そんな思いは瞳をすぐに曇らせる

その本当の意味に、フローロは瞠目する。

フルクトが自分を裏切ったなどとはとても信じられない。

そう思う反面で、もし本当に裏切っていたら。そう考えてしまう自分もいる。

あらゆる事に備えよ。その上で、あらゆる事を疑い続けろ

だがOlは、そのどちらも許すと言っているのだ。そのどちらも必要なことで、しかもそれだけでは足りない。

それこそが無事に生き抜く為にもっとも有効な選択だ

はい、Ol!

師の薫陶に、弟子は元気よく頷く。その瞳には、もはや迷いは残っていない。

いや。最大限迷おうという覚悟が残っていた。どれほど複雑な迷路であろうと、その全ての道を辿ることを、迷うとは呼ばないのだ。

Olくん、かっこいいっ♡

ええい、だから抱きつくなっ!

決意を胸に秘めるフローロをよそに、感極まったラディコの抱擁を、Olは死ぬ気でかわすのだった。

第5話騙し合いに勝利しましょう-1

大事ないか、サルナーク

ああおかげさんでな

頭に包帯を巻き、寝転がりながらサルナークは唸るように答える。

ラディコに催眠術を掛ける前、殴り倒された彼に応急処置をしてはいたが、なにせ打撃痕というのは質が悪い。魔力が乏しい現状では全快させる事も出来ず、残りは自然回復に任せていた。

しかしお前には物理的な攻撃は効かないのではなかったのか?

ああ、それなんだがあいつは多分銀の腕かそれ以上だ

苦々しい口調で、サルナークは答える。そういえばラディコもそんな事を言っていたとOlは思い出した。

銀の腕?

鉄の腕の上位互換二段階上のスキルだ。オレの鋼の盾は銀以上の名を持つスキルを無効化することは出来ない

サルナークの答えに、Olは呆気にとられた。鉄の上が鋼なのはまだわかるがなぜその上が銀になるんだだとか、それでよく生きていたものだだとか、色々と尋ねたい事が脳をよぎったが、

お前、その程度のスキルで調子に乗ってたのか

うるせえよ畜生!そもそも盾系のスキルを無効化出来るスキルなんてほとんどねえんだよ!しかも銀ランクとなると上層にだってそうそういるもんか!

真っ先に浮かんだ疑問を呈すると、サルナークは顔を真赤にして怒鳴った。

ああ、わかってる、油断してたのは事実だ。鉄の腕なら効かねえって慢心してた。まさか、銀の腕なんてスキルを持ってるとはな

お前の盾を、その銀ランクとやらにすることは出来ぬのか?

Olの問いに、サルナークは力なく首を横にふる。

無理だ。スキルのランクやレベルってのは結晶化した時点で決まっていて、変えることは出来ねえ。ランクが違うスキルは全く別のスキルだ。だから鉄の腕の異名で知られてる奴がそれ以上のスキルを持っているなんざ、思いもしなかった

銀の腕のスキルを得ても、鉄の腕のスキルと効果が足し合わされるわけではないんです。つまり銀の腕を手に入れれば鉄の腕は丸々無駄になります。ですから、普通は同じ系統のスキルを同じ人物が持つことはありません

サルナークの言葉をフローロが補足する。

そもそも単純に虚偽である可能性は考えなかったのか?

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