まとめるぞ。自然発生はコストはかからないが、戦力は安定しない。担当はリル。契約雇用は戦力は期待できるが、金が必要。担当はユニス。魔術創造はわずかな魔力で作れるが、戦闘の役にはあまり立たない。担当はスピナ。悪魔召喚は膨大な魔力を必要とするが、戦力は随一。担当は俺だ

はーい。そんじゃ、また迷宮の見回りいってくるかなー

ん、何とかわかった!

かしこまりました、お師匠様。具体的な魔術の手ほどきをお願いいたします

三者三様に答える部下達に頷くと、Olの服の袖がくいくいと引っ張られた。

そちらをみると、マリーが何やら期待に目を輝かせ、Olを見上げていた。

わたしの、たんとう、は?

五歳児に何を期待しろというんだ。そんな言葉を飲み込み、Olは声を絞り出すように答えた。

飯の時間になったら俺を呼びに来い

あい!

とてもいい笑顔で、マリーは返事をした。

第8話邪悪なる下僕どもを揃えましょう-2

ご主人様、第一階層にコボルトが巣をはったよ

おお、ついにか!

リルの報告に、Olは思わず表情をほころばせた。

珍しい彼の喜びの表情に、リルは首を傾げる。

コボルトってそんなに強い妖魔でもないんじゃなかったっけ?ゴブリンよりちょい強いくらいでしょ

ああ、その通りだ。が、奴らは元々鉱山に住む土の妖精の出身でな。鉄を腐らせるから嫌われて闇に落ちはしたが、石の細工や坑道掘りは抜群に上手い。今までは俺の素人に毛が生えた程度の技術と、インプどもの魔力で何とかダンジョンを拡げてきたが、これで一気に拡張できるぞ

そういえば、この所ダンジョンの規模は殆ど変わっておらず、インプも崩れた場所を補修するくらいで殆ど見かけなくなっていた、とリルは思い出した。

いいか、絶対に逃すな。貯蓄している食料から、1割なら分け与えてよい。懐かせ、味方に引き入れろ。魅了の術を使っても構わん。オークとは天敵だから巣を離しておき、絶対に鉢合わせしないように配慮しろ。戦いになったら勝つのはオークだからな。いざとなったらオークどもを皆殺しにしてでもコボルトを守れ。いいな

熱心に説明するOlに気圧され、たじろぎながらもリルはこくこくと頷いた。

後、Olに面会したいって言うアールヴの一団が来てるんだけど、どうする?一応ユニスも呼ぶ?

アールヴだと?

ふむ、とOlは少し考え、首を横に振った。

いや、ユニスはいい。俺とお前で対応しよう

アールヴと言うのは、森に住む妖精の一種だ。地方によってはエルフなどと呼ばれる事もある。

男女共に総じて美形で、弓や魔術の扱いに長け、長命で老いを知らない。

迷宮の第二階層にある応接室でOlの前に現れたのは、褐色の肌を持つ美女たち5人だった。

皆一様に黒い髪を持ち、アーモンド形の深緑の瞳をしていた。

褐色の肌を持つ彼女たちは、アールヴの中でも黒アールヴ、もしくはデックアールヴといわれる氏族だ。白い肌のリョースアールヴに比べ、闇に近く好戦的なことで知られる。

面会の機会を与えて頂き、ありがとうございます。私は黒の氏族の長、エレンと申します

先頭に立った女がそう切り出した。

Olだ。用件を聞こう

Olは椅子に深々と腰掛けたまま、努めて横柄な態度で答えた。

単刀直入に申しませば、我らを保護していただきたいのです。あの憎き白アールヴどもに、我ら黒の氏族は殆どが殺され、残ったものも散り散りになりました。ここに逃れてこれたのは、私を含めましてこの僅か5名のみ。他の仲間はどうなったのかすらわかりません

白アールヴは人間と手を組んだか

Olがそういうと、エレンはぎくりと身を震わせた。

さすがは、偉大なる迷宮の王、Ol殿。そこまで見抜いておられましたか

好戦的な黒アールヴに比べ、白アールヴは本質的に平穏と停滞を好む種族だ。

戦いになれば、白アールヴが敵う訳はない。

となれば、黒アールヴ側が戦争を仕掛け、人間と手を組んだ白アールヴがそれを返り討ちにしたという辺りが実際のところなのだろう。

白アールヴも人間に対し友好的と言うほどではないが、はっきりと敵対している黒アールヴに比べればその関係は良好だ。人間側も、黒アールヴの事は悪魔の使いと信じている。

人間に殺され、人間の俺に頼るか

Olが危惧しているのは、エレン達が人間に恨みを持ち、その範囲にOl自身も含んでいる事だ。

Ol殿は人を超えたお方。庇護を下さるならば、間違っても刃向かおうなどとは思いませぬ

じっと二人は見つめあい、腹の内を探り合う。

良かろう。対価は何だ? まさか、刃向かわぬ事、などと言うわけではなかろうな

とりあえず嘘はなさそうだ、と判断し、Olはそう問うた。

勿論です。僅か5つの手勢なれど、ここにいるものは全て一騎当千の精鋭。憎き白アールヴを平らげるその日まで、その身全てをOl殿に捧げましょう

黒アールヴの精鋭となれば、5人といえどこれは中々の戦力だ。運が良ければ仲間を見つけて手勢を増やす事もできるだろう。期限付きだが、気の長いアールヴの事だ、最低でも100年単位の話だろう。

いいだろう、念のために服従の呪いはかけさせてもらうが、構わぬな?

勿論です

それと、少し契約内容を変えさせてもらおう。白アールヴは殺さず、なるべく生け捕りにせよ。男は殺しても構わんが、女は必ずだ

生け捕りですか

この提案には、エレンは難色を示した。生け捕りとなれば殺すよりも難しい。

その分、自分たちの損害が増えるだろう。何より、Olに白アールヴを保護する意図があるのではないか、とエレンは疑った。

ただ殺すより、陵辱され汚される白アールヴを見たくはないか?気が狂うまで犯され、辱められ、死ぬ事もできずに責め苦を味わう白アールヴを見たいとは思わないか?

飛び切り邪悪な笑みを見せるOlに、エレンは少し安堵して笑い返した。

無論、その分の対価は払う。汝らに呪の篭った弓と矢を与え、戦力となる妖魔や悪魔も貸し与えよう。汝らが一騎当千の兵とは言え、僅かに5000。白アールヴとそれに組する人間どもを相手取るには少々心もとなかろう

御意にございます。その条件で、我らはOl殿に従いましょう

エレン以下、5人全員が跪く。満足げに頷き、Olは傍らのリルに視線を向けた。

リル、部屋を用意してやれ。どこかいい空き部屋はあったか?

えーっと、第二階層の南東がいいかな? ドヴェ

そこは駄目だ

リルの言葉を遮り、Olは言った。

第三階層の北東にしろ

えでも、第三階層だと外に出にくいし、居住区にも近いし、あんまり

いい部屋残ってないよ

困惑の表情を浮かべ、リルはOlの耳に口を近づけ、小声で囁く。

その声が聞こえたのか、ピクリとエレンは眉をひそめた。その目は如実に語っている。Ol殿は我らを冷遇する気かと。

居住区で構わん。汝らにあてがう予定の部屋の傍には地下水脈が流れていてな。最近では地熱を利用して、常時沸く湯殿を用意してある

ほう、湯殿!

エレンは驚き、表情をほころばせた。

アールヴの美姫となれば、他の妖魔と同じ扱いは出来ぬ。ただでさえ冷たく暗い石造りの箱の中、その美しさが損なわれるような事があってはならん。食事も我々が食べているものと同等のものを用意させていただこう

確かに、我らは土に転がり泥にまみれ喜ぶドヴェルグどもとは違います。格別の配慮、痛み入ります

エレンは、深々と頭を下げた。

Olって、美人に甘いよね

頬を膨らませ、リルがぼやく。最近はご主人様で定着しつつあった呼び方が、Olに戻っていた。

おろかもの。あれはお前のせいだぞ。アールヴの前でドヴェルグの名前など出すんじゃない

リルはドヴェルグの隣の部屋が空いている、と言おうとしていた。エレンは鋭くそれを察知し、眉を吊り上げたのだ。

白も黒も、アールヴはドヴェルグとは伝統的に仲が悪い。その隣の部屋を用意する等と言い出せば、最悪両方ともこのダンジョンから出て行くと言いかねんぞ。そのくらい奴らは仲が悪いんだ。覚えておけ

うご、ごめん

Olはため息をつき、リルの腰を抱き寄せた。

えーとここでするの?

困惑しながらも、リルはOlがしやすいように姿勢を整える。

お前達淫魔が一番集中できるのは、セックスの時だろう

Olはズボンを下ろすと、リルの殆ど下着に近い服をずらして一気に突き入れた。

魔物達の敵対関係は、お前がもっとも頭に叩き込んでおくべき事柄だ。全部覚えるまで攻め続けるからな

えっ、ちょ、待って、そういう、事、するならっ、この快楽、切って、よぉ!

駄目だ。まずは最重要事項。コボルトの天敵は何か覚えているか?

いきなり激しく抽送を繰り返しながら、Olは耳元でリルに問う。

オーク、ぅぅ! あっ、駄目、それ、やぁあ!

ごりごりと中を擦りあげてやると、リルは背筋を反らして高い声で鳴いた。人間の娘相手にいきなりこんな事をすれば痛みしか与えないが、淫魔のリルにとっては快楽でしかない。

では、ジャイアントスパイダーと一緒にしてはいけないのは?

んっ、え、っと、ぉあっ、や、あぁん! あ、そう、フ、フライ!ジャイ、アント、フライッ!

正解だ

人間さえも頭から食べてしまうほど巨大な蜘蛛、ジャイアントスパイダーは特にジャイアントフライがお気に入りだ。見かければ巣にかかってなくても襲い、食べてしまう。

では、ヴァンパイアと一緒にしてはいけないのは?

ええっ!? な、あぁん、わか、んっ、ない、よっ、ぉ!あい、つ、天敵とかんんっ、いた、っけ?

正解は聖職者だ。弱点だろ

中を抉るように、奥まで突き上げる。

ああぁぁぁあっ! な、何っ、それ、ずるああああっ! 駄目、駄目ぇ!おか、しくなちゃうぅ

それは困る。まだまだ覚えるべき事は幾つもあるぞ。ファイアドレイクと一緒にしちゃ駄目なのは何だ?

ドレりゅ、ああっ、竜に、ああんっ、だ、めぇぇ天敵、なんか、あぁっ!

いる、ワケ

正解は大量のフロストジャイアントだ。寒くてドレイクが冬眠してしまうからな

もおぉっ、絶対それ、タダのイジメでしょっ、このドS変態ジジイーーーーっ!

その日、Olの迷宮の第二階層の一角に、悲鳴と嬌声、そして罵倒の声が長い事響き渡っていた。

第8話邪悪なる下僕どもを揃えましょう-3

わははははっ!

第二階層。別の用事でそこを歩いていたOlは、奥の部屋から聞こえてきた陽気な笑い声に、そちらに足を向けた。

いやー、嬢ちゃん人間にしておくのは惜しいな!強くて勇敢で酒も飲める!この際人間でもいいや、俺んとこに嫁にこねえか!?

あはは、駄目だよー、あたしOlんだもん

あー、魔術師さんの嫁だったか。そりゃあ仕方ねえなあー!

Olが部屋の中を覗くと、数人のドヴェルグたちとユニスが酒盛りをしていた。既にかなり出来上がっているらしく、皆顔を真赤にしている。

ドヴェルグは鉱山出身の、鉄と火の妖精だ。ドワーフ等と呼ばれる事もある。背は低く屈強で、生まれた時から老人の様に醜く皺に覆われた顔を持ち、立ったままでも地面につくほど長い腕を持つ。

醜く偏屈ではあるが、陽気で酒好きな妖精であり、気に入られれば中々に付き合いやすい相手ではある。また、手先が非常に器用で、魔力の篭った武具や道具を巧みに作り上げる。

あ、Olー。どしたの?

ユニスがOlに気付き、手を振る。すると、ドヴェルグたちも鷹揚に手を振った。

いや、ちょっと立ち寄っただけだ。随分仲良くなったようだな

Olが集まりの輪に加わって腰を下ろすと、ドヴェルグが長い腕を伸ばしてその肩を抱き、酒を煽った。ろくに水も浴びないドヴェルグの大衆と酒臭さが入り混じった、何ともいえない悪臭にOlは顔をしかめた。

そりゃあ、人間の娘っ子でこんなに酒が呑めるのも珍しいからなぁ!どうよ、魔術師さんも一杯!

では、頂こう

注がれた酒を飲むふりをして、Olは魔術でそれをただの水に変える。ドヴェルグ謹製の酒など、普通の人間がのめばその強さにたちまち酔いつぶれる。がぶがぶ飲めるユニスがどうかしているのだ。

しっかし勿体ねえなあ!ユニスちゃんも、もうちょい美人だったら、魔術師さんに喧嘩売ってでも

嫁にもらったかもしんねえのによ!

あっはっは、多分負けるからやめた方がいいよー

酔っ払いの戯言に、ユニスは生真面目に付き合う。それがまた、ドヴェルグ達には面白いのだろう。

ほんとなあ、背はまあちょっと高いがいいとして、もうちょい鼻が潰れてて、腹が出てて、足が短けりゃあ美人なのになあ!

ドヴェルグの美的感覚は人のそれとは随分違う。それを聞いてユニスは少々落ち込んだ。

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