あの、早くしてくださらないと、私の初めての相手がスライムという事に
わかった、急かすな! 全く
出来の良すぎる弟子に空恐ろしいものを感じつつ、Olは彼女の脚を掴むとその間にぐっと突き入れた。
媚薬の効果かそれ以外の要因によるものか、そこは既にびっしょりと濡れそぼっていた。
Olの肌に触れるのを嫌がるように、桃色のスライムは蠢いて離れる。
抱きしめていただけませんと、スライムが取れません
注文の多い奴だ
Olはスピナに肌を密着させ、口を塞ぎ、手を背中に回した。全身をなでさすってやると、スライムは完全にスピナの身体から撤退する。その時にはもう、彼女の衣服は全て溶け落ちていた。
離れたぞ
身体を離そうとすると、スピナが腕と脚をOlに絡ませ、甘い吐息を吐く。
いけません媚薬の影響で、抱いて貰わねば気が狂ってしまいそうです
何から何まで計算づくか!
そもそも現状を冷静に説明できる時点で気が狂うも何もないとは思ったが、Olとしても今更引く気はない。身体を離そうとしたのは単にこのままやられっ放しなのが不満だったが故のポーズだ。
抱かれたいなら、初めから素直にそういえ。こんな回りくどい手を取らんでも、何度でも抱いてやる
そ、そのような事、言えません
視線を逸らし、スピナは頬を赤らめた。その赤みは媚薬によるものではないだろう。
厄介な女だ、と思いつつも、Olは抽送を開始した。どんなに策謀を巡らしていたとしても、ただOlに抱いて欲しいだけだったと思えば多少は可愛く思えなくもない。
んふ
Olに貫かれ、スピナは鼻から声を漏らした。
普段はピクリとも動かない鉄面皮が快楽に溶け、切なげに眉が引き締められる様は征服欲をしっかりと満たす。
人形の様に端整な顔立ちをした彼女が、声が出ないように目を閉じて必死で耐える様は、Olの心からすっかりしてやられた敗北感を取り上げ、かわりに嗜虐心を煽った。
どうだ。お前の中がひくひくと蠢いてるぞ?これで犯されたかったのだろう。どうだ、お前の処女を奪った肉の味は
っ、くっ
必死に唇を噛み締め、声を押し殺すスピナ。彼女の膣内をゆっくり擦るように突き入れると、びくんと身体を震わせた。
ここがクリトリス淫核だ。知っているか? ここが、何の役に立っているか。何のために女の身体についているのか?
抽送を繰り返しながら、秘核に指を当てて問うOlに、スピナは健気に首を横に振った。
答えは、性的な快感を得るためだ
ひぁっ!
そこを擦りあげると、流石にたまらずスピナは声をあげた。
わかるか? 他の何の役にも立たず、ただ快楽を得る為だけに存在するんだ。卑しく、浅ましい事だとは思わぬか
あっ、あぁっ、ひ、ぁぁんっ!
一度堤防が決壊してしまえば、もう我慢は出来なかった。後から後からわきあがる快楽に、スピナは翻弄されるままに声をあげる。
んんーっ、ん、ふ、あ、ひぃっ!
口内を舌で蹂躙し、淫核を指で擦り上げ、膣内を肉棒で陵辱する。その一つ一つにスピナは高く鳴き、身体を震わせ、首を振り善がった。
媚薬と思慕によって高められた興奮は彼女の感覚を最大限まで敏感にし、肌に触れる掌にすら快楽を感じる。もう何度も絶頂に達し、朦朧とした意識の中でスピナはただただOlを求めた。
行くぞ受け止めろ、スピナ!
ひぁぁぁっ! ああぁぁっ、あっ、あっ、ふああああああぁぁぁぁっ!!
どくどくと膣内に出されたOlの精液が膣壁に当たり、その感覚にスピナは盛大に気をやった。口からはだらしなく涎が流れ、股間からは潮を吹き、双眸からは涙が溢れていた。
白目を向いてイったスピナを見て、Olは抱かなければ気が狂うと言っていたのも本当なのかもしれない、と考えた。処女だったスピナがここまで善がり狂うとは、一体どんな媚薬を混ぜたのやら。
実際は媚薬の効果だけではなく、スピナのOlに対する狂おしいまでの愛情も大いに関係するところではあったのだが、彼は気付かない。
侵入者が女であれば、撃退や拷問に使えるかもしれないなと思考を巡らせた所で、Olは部屋の中にスライムが見当たらない事に気づいた。
数分後、遠くからユニスの悲鳴が聞こえた気がしたが、意識を失いながらも幸せそうにOlを抱きしめるスピナのせいで、助けに行くのはかなり遅れそうだった。
第8話邪悪なる下僕どもを揃えましょう-5
召喚術と言うのは難しい。
まず、異世界と次元をつなぎ、望んだ相手を呼び出すというだけでかなりの実力を必要とする。腕の悪い魔術師は狙った場所に開けず、とんでもないものを呼び出す事だってある。
次に、呼べたとしても呼んだ相手から身を守る方法が必要となる。呼ばれた悪魔は問答無用でこちらに従う、などと言うことはないのだ。それどころか、いつでも人間の魂を奪う事を狙っている。
魔の眷属が外に出られない魔法陣を描き、その中に悪魔を召喚するのが定石となるが、位の高い悪魔だと生半可な結界など簡単に破ってしまう。また、魔法陣にちょっとでも不備があれば、それは結界として成立しない。しかも、ちゃんと効果を発揮できるかどうかは悪魔を呼ぶまでわからない。
更に、無事召喚に成功し、魔法陣に閉じ込めたとしてもそれで終わりではない。
呼んだ悪魔と交渉し、契約しなければならない。召喚された悪魔は、自分の力が必要とされている事を良く知っている。だから、大抵は足元を見て過分な要求を突きつけてくる。
また、言葉巧みに魔法陣を消させようとしたり、有利な条件で契約しようとするから、嘘や脅しに屈しない知恵と精神も必要だ。
それらを経て、ようやく一匹の悪魔を従えるにいたる。インプの様な弱い悪魔であれば数分で済む簡単な仕事だが、中級以上の悪魔となればその手間は大幅に増大し、上級悪魔ともなれば準備に年単位の時間をかけなければならない事もざらとなる。
そんなわけで、Olはここ一ヶ月の間にコツコツと作り上げた魔法陣の最終確認を行っていた。複雑な紋様を描く魔法陣の表面を、舐めるように琥珀色の魔力が滑っていく。それを三度試し、途切れることなく滑らかに魔力が流れる事を確認してようやくOlは納得した。
娘、来い
手招かれ、Olから少しはなれたところに立っていた少女が、少し慌てた様子で駆け寄る。栗色の髪を三つ編みにした素朴な顔立ちのその少女は、今日新しく迷宮にやってきたばかりの生贄の乙女だ。
美人、と言うほど整ってはいないが愛嬌のある顔立ちで、田舎の娘らしく化粧気のない素朴な少女だ。名をミオと言う。
左腕を出せ
緊張した面持ちで、逆らうことなく腕を差し出すミオの手首に、Olは短剣を走らせた。痛みはなく、冷たい刃の感覚だけがすっと残る。薄く裂かれた手首からぽたぽたと血を垂らすと、Olは左手で印を組んで手首に触れた。途端に、血は止まり傷は跡形もなく消える。
よし。下がっていろ
命じられるままに下がるミオを尻目に、Olは呪文の詠唱を始めた。ミオの垂らした血が赤く輝き、ふっと掻き消える。
次いで、魔法陣の中央から炎が噴出した。炎は魔法陣の縁まで膨れ上がると、まるでそこに壁があるかのように止まり、とぐろを巻く蛇の様に渦巻きながら天井へと燃え上がっていく。
魔法陣の中一杯に炎が燃え広がったかと思った瞬間。
雷鳴の様な炸裂音が轟き、同時に一瞬にして炎が掻き消えた。
我ヲ 呼ビ出シタノハ 汝カ
代わりに、そこには醜悪な悪魔が立っていた。Olの後ろで、ミオがはっと息を飲み込む。悲鳴を上げなかったのは上等といっていい。恐れを見せれば見せるほど、悪魔はそこにつけこむ。
そうだ。対価として魔力と処女の血を払う。我に仕え、その力を貸せ
話ニ ナラン
まるで金属の板を爪で引っかくかのような不愉快な声で、悪魔は答えた。悪魔は全身赤黒く、その肌に体毛はない。筋肉は赤銅の様に輝き、四本の腕を持っていた。その腕は一本一本がOlの腰と同じくらい太く、指の先には鋼も引き裂けそうな鉤爪がついている。
頭は、狼の様に突き出た口に、山羊の様にねじくれた角が生え、松明の火の様な橙の瞳が爛々とOlを見据えていた。
血デハナク 魂ヲ 寄越セ。穢レノ ナイ 娘十人分ノ 魂デナラ 考エテヤロウ
傲然と言い放つ悪魔に、ミオは恐怖に身を震わせた。
しかし、Olは些かもたじろいだ様子もなく答える。
それこそ話にならん。貴様如き下級悪魔(レッサーデーモン)にそこまで支払う気にはなれんな。条件は変わらぬ。呑めぬと言うなら直々に魔界へ送り返してやる
ムウ、と呻いて悪魔は4つの腕を組んだ。レッサーデーモンと言う呼称は彼程度の力を持つ悪魔を人間が呼ぶときの総称だが、その名の響きに反して悪魔としての位はそれなりに高い。
勿論、最上位であるアークデーモンやグレーターデーモンに比べれば劣る事は否めないが、そんなものを使役出来るのは神代に存在した伝説の魔道王くらいのもの。現代の魔術師が召喚できる悪魔の中では、レッサーデーモンはむしろ最高位に近いほどの実力を持っていた。
しかし、そんな彼の前でOlの不敵な態度に、レッサーデーモンはただならぬ物を感じたのだ。
所詮小悪魔か。わからぬのか、666の悪魔を従える、この我の魔力が
Olの身体から、炎の様に琥珀色の魔力が迸る。糸状ではなく、身体全体を覆うように吹き出す魔力は人間の持ちえる量ではない。
666ダト
現実的な数字ではない。普通の魔術師なら、悪魔を10も従えれば干乾びる。しかし、先ほどの魔力を見ればそれも不可能ではないように思えた。何より、666の悪魔を従えていると言うのは嘘ではない。
ある程度以上の実力を持つ悪魔にとって、人間の嘘など見破るのは容易い。勿論、嘘を隠す為の魔術もあるが、今度はその魔術自体の臭いを悪魔の鼻は嗅ぎ付ける。
レッサーデーモンは、目の前の魔術師が嘘をついていないことを確信した。
であれば、強気な態度も納得できる。つまり、彼程度の格の悪魔を呼び出す事など大した苦労とは思っておらず、条件を呑めないなら魔界に送り返す、と言うのもハッタリではない。
これほどの魔術師と巡りあうのは、そうそうあることではない。
分カッタ、一ツデ イイ。乙女ノ魂一ツダ、ソレデ 力ヲ 貸シテヤル
大幅な譲歩だ。要求を減らし、文言も考えてやるから力を貸すに変えた。幾らなんでも元々突きつけられた要求は呑めない。しかし、これなら相手も喜んで受け入れるはずだ。悪魔はそう考えた。
駄目だ。魔力と処女の血、それで我に仕え、力を貸せ。命によって殺した相手の魂くらいなら、くれてやろう
が、Olは殆ど譲る気はなかった。こんな魔術師の敵対者の魂など、どいつも穢れきったものに決まっている。乙女である事さえまずないだろう。
ナラバ、交渉ハ、決裂ダ!
炎が噴出し、魔法陣を満たす。幾ら相手が稀代の魔術師だろうと、そんな薄給で仕えるなどありえない話だ。力を貸すくらいならまだいい。仕えるとなると、命令に拒否権はないし、いつまで経っても働かないといけない。そんな馬鹿げた話はない。
魔法陣は良くできているが、レッサーデーモンがその気になれば数分で破壊できそうだった。どうせ契約も出来ずに殺されるなら、一か八かにかけて襲い掛かったほうがマシだ。
そう覚悟を決め、悪魔が魔法陣を破ろうと力を込めたその時。
おうる、さま。ごはんの、じかん、だよ
新調したばかりの扉をぎぃ、とあけて、幼い少女が部屋に入ってきた。
ナ
燃え上がった炎は一瞬にして立ち消え、ぷすんと音を立て黒い煙になった。悪魔は驚愕に目を見開き、少女を見つめる。
処女の血って、その子の事か
貴様が望むなら、それでもいいが
悪魔が問うと、Olは少し戸惑ったように答えた。
分かった、する、契約する! お嬢ちゃん、名前を教えてくれないか
? わたし、は、マリーむぐ
危うく真名を名乗ろうとした少女の口を、Olが塞ぐ。
マリー、ああ、マリー。悪魔は四本の腕をかき抱くようにして口の中で呟いた。
真名ではないようだったが、そんな事は関係ない。
極上。ああ、極上の乙女だ。こんな人間、今まで見たこともない。
黄金の様に波打つ髪。宝石の様に輝く無垢な瞳。ふっくらとした頬は薔薇の花の蕾の様に赤く、柔らかく暖かそうな身体。おまけに、なにやら強力な魔術の祝福までかかっている。
お、おい、お前口調が変わってるけどいいのか
熟練の魔術師をして、急変した悪魔の態度に若干引きながらOlは尋ねた。