Olぅ、Olも、鼻が潰れてお腹が出て、足が短いあたしがいいの?

いや、ユニスはそのままでそのままがいい

はっはっは! 流石魔術師さんは度量が深ぇな!

バンバンと背を叩かれ、Olは水を気管に入れてしまい、むせた。

所で、頼んでいたものは出来たか?

げほごほと咳き込みながら、話題を強引に変える。

ああ、扉と箱なら出来てるぞ

ドヴェルグが指差す方に、扉と大きな箱がいくつか積まれていた。乱雑に積み上げられてはいるが、その出来は非常に精巧で頑丈そうだ。

わかった。後でインプを寄越して、取り付けさせる

あー、駄目だ、駄目だ。アイツはちっこくて役にたたねえ。取り付けもやってやるよ、案内だけさせとくれ

今まで扉は、滅ぼした村の家屋から引っぺがしてきたり、インプに作らせたりして使っていたのだが、いずれもただの木の板に取っ手をつけただけのもので、通路の大きさにもあっておらず、隙間が空いていた。

耐久性にも問題があり、斧でも入れようものなら一撃でバラバラになり、そうでなくても使っているうちに壊れる事さえあった。ドヴェルグの手による扉なら、熟練の冒険者の攻撃でも十数分は時間を稼いでくれる事だろう。

箱の方は、いわゆる宝箱と言う奴だ。これに金貨や魔法のかかった道具なんかを入れ、罠を仕掛け、迷宮のあちこちにおいておく。欲に目が眩んだ冒険者達への餌であり、命を奪ったり捕縛したりする罠でもある。

それは助かる。後、弓を五張ほど作って欲しいんだが

弓ぃ?

Olがそう切り出すと、ドヴェルグは難色を示した。弓はアールヴの象徴の様な武器だ。男は近接武器で戦ってこそ、と言う気風もあいまって、ドヴェルグは弓にあまり良い印象を持っていない。

報酬は今年できたばかりの麦酒、10樽

よおし、乗った!

が、無骨でさっぱりしたドヴェルグは、アールヴほど彼らを嫌っている訳ではない。報酬をたっぷり用意してやると、二つ返事で了承した。

あー気持ちいー

Olの背で揺られながら、ユニスはそう呟いた。

流石に酔いつぶれ、眠ってしまった所を放っておく訳にも行かず、ドヴェルグ達に囃し立てられながらOlは彼女を背負っていった。

起きたか

目を覚ましたなら自分で歩いてもらおう、とユニスを下ろそうとするOlの気配を察知し、ユニスは彼にしがみついた。微細な筋肉の動きから相手の行動を察知し、先手を打つ。英雄として生まれたユニスの天性の戦闘センスが今、彼女が生まれてからもっとも無駄に使われた。

おい、どういうつもりだ

えへへ、Ol、久々に二人っきりだね

Olの言葉を無視し、ユニスは彼の背中に頬を擦り付けた。彼らがその主人であるとは言え、今やそこは多くの妖魔蔓延るダンジョンである。足元を小さなインプが走り、遠くからは魔獣の吼える声が響く。

しかし、ユニスはまるで恋人同士が静かな森の中でいるような面持ちだった。

ねぇ、あたしが今のままでいいって本当? もっと足短くなくていいの?

首筋から耳元に舌を這わせ、熱に浮かされたようにユニスは問うた。

それはドヴェルグの価値観だろうが。人間から見れば、お前は十分美しい

反吐を吐きそうな表情でOlは言った。

えへへへー、嬉しいなー

ユニスはぎゅっとOlを抱きしめる。

ねーOl、して?

容赦はしないぞ

Olは嘆息し、手頃な空き部屋を見繕って結界を張り、ユニスを地面に転がした。

手早く服を脱がしてそれを布団代わりに下に敷き、ユニスの股間に手をあてがう。

愛撫は必要なさそうだな

ん、でもキスはして

はい、と両手を伸ばすユニスを抱きしめ、唇を交わし舌を絡める。

そのまま、Olはユニスを貫いた。既にたっぷりと潤いを含んでいたそこは、何の抵抗もなくOlの物を飲み込む。

随分いやらしい身体になったもんだな

そうしたのは、Olでしょ~

無駄口を叩くな、とでも言わんばかりにユニスはOlの首を引き寄せ、唇を奪う。

そのままガッチリと腕は固定され、とてもOlの力では外せそうにない。仕方なく、Olは魔術師らしく搦め手で攻める事にした。

んっ、んんっ

恥骨を擦り付ける様にしてぐりぐりと円を描くように腰を動かす。こうするとクリが刺激され、快感が煽られるものの、中は殆ど動かない為に欲求ばかりが高まる。

しばらくそれを続けながら、更にユニスの胸に手を這わせた。形の良いそれは、大きくもなく、さりとて小さすぎる訳でもなく、Olの掌にすっぽりと包み込める程度の豊かさを持っていた。

もう、駄目ぇっ!

とうとうユニスも音をあげ、腕からOlを解放して叫んだ。艱難辛苦に耐えうる英雄の鉄の精神も、愛しい男から受ける快楽の前にはガラス細工の様なものだった。

あっ、ん、ねぇ、Ol。んんそれ、もっと、おっきい方がいい?

やわやわと胸をもみしだくOlに、ユニスは問い掛けた。

大きかろうと小さかろうと関係ない。お前は美しいと言ったろう

言うのが屈辱のきわみである、と言わんばかりの表情で、Olはそう答えた。最初は単に嫌々誉めているのだろう、と思っていたが、今ではユニスはそれが彼なりの照れ隠しであると考えるようになっていた。本人にそんな事を言えば、確実に否定されるだろうが。

ん、嬉しいね、もっと奥まで突いて、滅茶苦茶にして

今度は何も答えず、Olはその要望にたっぷりとこたえてやった。

第8話邪悪なる下僕どもを揃えましょう-4

調子はどうだ

Olが声をかけたとき、スピナは小刀で熱心に木に紋様を彫っているところだった。

ウッド・ゴーレム。様々な生き人形の中でも、もっとも基本的、かつ簡単なゴーレム。それを彼女は作っていた。

もう少しで完成です

入り口のOlをちらりと一瞥し、彼女は再び作業に戻る。既に両手足と胴体のパーツには紋様を彫り終え、今彼女が紋様を刻んでいるのは小さく丸い、頭のパーツだった。

ふむ、中々良い出来だ

Olは腕のパーツを取り上げ、出来をチェックする。まだ多少線がガタついてはいるが、動かない事はなさそうだった。初めてにしては上出来だ。

お師匠様が仰っていた、スライムに関しても造っては見たのですが

不意に、スピナは部屋の奥へと視線を向けた。奥の一角には女の部屋には似つかわしくない、フラスコやビーカーと言った器具が並んでいる。

魔法生物の作成には、二つのアプローチの仕方がある。一つ目が、ゴーレムやスケルトン作りと言った、素材を人型にして魔力を吹き込む事で仮初の命を与える、魔力付与(エンチャント)。

もう一つは、素材そのものを薬品や秘術によって作り出し、仮初ではあるものの魔力に由来しない、言わば偽の命を作り出す錬金術(アルケミー)。

スライムと言うのは、錬金術の過程で人工生命に失敗した際に出来上がる、出来損ないの命だ。ゲル状のぶよぶよとした核のない身体を持ち、何でも取り込んで消化しては大きくなる。ある程度の大きさになると二つにわかれ増えていく、という、何とも不気味な生き物だ。

動きは遅く、知性と呼べるようなものもない為戦力として数える事など出来ないが、放置された死骸なんかを食べて迷宮をある程度清潔に保ってくれる上、剣や槍では突いても斬っても倒せない為ある程度の障害にはなる。

と言うわけで、スピナに作成を命じていたのだった。失敗作とは言え、意図的に作れば金属だけを食べる騎士殺しのスライムだとか魔力を食う対魔術師用のスライムなんかも作れる上に、失敗作ではない人工生命(ホムンクルス)を作る練習にもなる。

どうやら失敗してしまったようで、生き物を食べないようなんです

スピナの視線の先では、フラスコの中でなにやら桃色の液体が蠢いていた。

まあ、失敗は成功の元とも言う。お前に魔術を手ほどきし始め、まだ一月も経たん。あまり気にするな

素直にスピナは頷いた。彼女は表情が殆ど変わらないため、何を思っているのかはその顔からはうかがい知れない。

時に

カリカリとゴーレムの頭を掘り込みながら、何気なくスピナは切り出した。

昨日はユニス、その前はリルと随分お楽しみだったようですね

む、とOlは呻く。スピナの口調に咎めるような色はなく、実際ただの弟子なのだから咎められる謂れもないのだが、それでも他の女との関係に触れられれば何とも居心地悪く感じてしまうのは男の性だ。

私にはご寵愛を頂けないのですか?

直截にスピナは問うた。口や手、胸での奉仕はしていたが、Olはスピナを抱こうとはせず、彼女はいまだ清らかな身のままだった。

魔術に携わるなら、純潔を保ったままの方がいい。処女である事は、様々に役立つ

美しいもの、清らかなものと言うのはそれだけで魔術的な意味合を持つ。簡単に穢れるにも拘らず、美しさを保っているものとなればその力は更に強まる。

けして錆びず、輝きを失わない金よりも、手入れを怠ればすぐに錆びてしまう銀の方が魔術的な性質が優れているのはそのためだ。

乙女も、特にそれが美しい乙女であれば処女であると言うだけで力を持つ。Olが村に処女を要求したのもそのためだ。悪魔への生贄に捧げてよし、魔術の媒体に使ってよし、最終的には自分で抱いて味わってもよしと、無駄がない。

そうですか

不満か?

いいえ

スピナは首を横に振った。相変わらず、表情は変わらない。

私は敬愛するお師匠様の仰るとおりに従います。不満などあろうはずもございません

本気で言っているのか皮肉なのか、Olは判断に苦しんだ。弟子にしてから、加速度的にこの女は読めなくなった。後継者候補としては頼もしい限りではあるが、厄介な事に変わりはない。

できました

ふっと息を吹きかけて削りカスを飛ばし、スピナはゴーレムの頭を持ち上げた。

うむ、では動かしてみろ

スピナはパーツをそれぞれ人の形になるように並べておくと、すっと息を吸い込み、呪文を紡ぎだす。闇より黒い漆黒の魔力がじわりと空間を犯し、ゴーレムの表面に彫られた紋様にインクの様に染み渡っていく。

眼窩の様に穿たれたゴーレムの顔の穴に、瞳の様に光がともる。黒い光、という矛盾したそれは額を中心にして紋様の溝を走ると、各パーツがお互いに引き合い、繋がりあった。

ぎこちない動きで、下手な道化師に操られる操り人形の様にゴーレムは立ち上がる。しかし、直立したところでよろけ、スピナを巻き込んで倒れこんだ。

衝撃で繋がりが解け、小さなゴーレムの頭がからからと勢いよく転がっていく。

大丈夫か?

カラカラに乾いた木で作った人形だ。大した重さもないし、スピナに怪我は無さそうだった。しかし、遠くでパリンと音がした。そちらに視線をやると、フラスコに入っていた桃色のスライムがスピナに向かって這いずり寄ってきていた。

ちっ、スピナ、こいつの弱点は何だ!

下手に触ればOlごと食べられかねない。普通のスライムの一番簡単な対処方法は炎で焼き払う事だが、それを見越して耐炎・食炎能力を持ったスライムも存在する。そんな相手に火を放てば事態は悪化する一方だ。

大丈夫です、この子は生き物を食べません

スピナの腕に張り付いたスライムは、じわじわと蠕動しながら彼女の肘の方へと移動した。確かに彼女の肌には傷一つついてないが、その割にスライムは徐々に大きくなってきている。何かを食べている証拠だ。

この子が食べるのは金属や一部の植物、死んだ動物の皮など要するに、衣服だけです

スライムが移動した後には、スピナの着ていた袖の長いワンピースが跡形もなく消えていた。不透明なスライムの身体越しに彼女の白い肌が透けて見える。服を食べ、拳大だったスライムはいつの間にやらスピナの全身を覆わんばかりに大きく広がっていた。

ちなみに、媚薬も混ぜたのでこうして包まれると発情効果もあります

お前は何を作ってるんだ!?

思わずOlは叫んだ。これがただの事故だとか偶然でない事は、薄々わかってきていた。

んっ、んん私の中に入ろうと、していますね

スライムがにゅるりと這いずり、スピナの下腹部の方へと向かう。彼女の衣服はもう殆ど原型を留めておらず、官能的な痴態を晒していた。

よくもまあそんなものを作ったもんだおい、これは俺にも襲い掛かるのか?

媚薬の効果で頬を紅潮させながら、スピナは首を横に振った。

男性は嫌いなので、触れようとすれば逃げます。精液をかけてくだされば特に

お前は天才か!?

Olは頭を抱えた。厄介極まりない。その凄まじい才能で、最初に作ったものがこれと言うのか。ゴーレムがよろけたのも計算なのか?

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