腹の底から込み上げるその熱は行き場をなくし、少女の小さな身体を蹂躙した。手が震え、脚がわななき、首が反り上がる。その奔流は恐れを綺麗に押し流し、彼女は熱に快楽の炎にその身を任せた。

んっぅぅっ、うぅーっ!

絶頂に達したばかりの少女の膣壁を、Olの剛直は容赦なく抉る。男を知らぬユツのそこは見る間に老獪な魔術師の手によって開発されて、水を吸う綿のように女の悦びを吸収していく。

もはや少女は怖れではなく、欲求によってOlの身体に取り縋っていた。腰に回した脚をきつく締め付けて、熱い怒張をねだり咥え込む。何も知らぬ無垢な少女は何度も何度も絶頂に導かれ、忘我の堺でただ快楽を貪る。

Olの言葉を、少女は理解しない。言葉が通じたとして、何も知らぬ無垢な彼女には伝わらなかっただろう。

しかし己の膣内で膨らむ男の剛直に、本能的に少女はそれを完全に理解する。

己を犯し、穢し、種を付けようとする雄の欲求。

それを、彼女は全身全霊で、受け止めた。

あっ、あっ、あっ、ああっ!

どくどくと流し込まれる白濁に己の中が満たされていく事を感じながら、ユツは意識を手放した。

上手くいったか?

うん。成功よ。しっかりくっついてる

ベッドの上に横たわるユツを見て、リルは深く頷いた。

二人の声に目が覚めたのか、ユツはぼんやりとした様子でまぶたを開ける。

俺の言葉がわかるか?

はい。わかります

問うOlに、ユツはこくりと頷いた。

その言葉は依然として理解できないものだったが、その意味は互いに明瞭に伝わってきていた。

俺の魂とお前の魂の一部分を繋げた。ゆえに、互いの考えていることはわかる

悪魔は魂の扱いの専門家だ。とりわけ、淫魔であるリルはもともと性交を通じて魂を奪うことを生業とする種族である。絶頂の忘我を利用して二人の魂に糸を張る程度は容易いことだった。

魂でつながれば、言葉の差など大きな問題ではない。

相手が言わんとする事そのものが、意味として伝わってくるからだ。

お前には悪いが、しばらく協力してもらうぞ

一方的なOlの要請に、意外にもユツは躊躇なく頷いた。

それが偽りでないことは魂を通して伝わってくる。

そういえば、最初からやけに協力的だった、とOlは思い出した。

魔術師でもない小娘一人、彼の手にかかれば籠絡するのはさほど難しいことでもないが、それにしても協力的にすぎる。

まだ何も説明していないが、構わんのか?

はい、勿論

ユツは笑顔で頷いて。

妻として当然の勤めです、勇者様

そんなことを言い放った。

まて。何だ、その、勇者だの妻だのというのは

ボクは、あなたに嫁ぐためにここにやって来ました。勇者様が思ったよりも優しい方で、良かったです

魂の糸を手繰ってみればユツの言葉に虚飾はなく、彼女は心の底からそう信じている。

順を追って説明しろ

大巫女さまが、先見(さきみ)で見たのです。ボクが、勇者様の妻となることを

先見。それは予言ではなく、予知を表す言葉だった。

Olが使う予言は、魔力を用いて自分の望む未来への道を敷くことだ。本来あり得た運命を捻じ曲げ、そのような未来を作り出す。故に、力のない魔術師のものや、あまりに荒唐無稽な予言は外れることもある。

しかし予知はそれとは全く別のものだった。知り得るはずのない未来を知る。それは魔術でも法術でも不可能なことだ。

その、勇者とか言うのは、何だ

言葉としての意味合いはそのままだ。勇気あるもの。英雄に近いかもしれないが、英雄のように天からの定めを受けたものという感覚はない。純粋に、傑物ということだろうが。

言葉の意味はわかっても、どういうつもりでいっているか、その思考までは読めない。

無論、魂同士をつなげる糸を太くすればそういったことも可能なのだが、その効果は双方向だ。つまり思考を読めるようにするなら、Olの思考も読まれてしまうということである。当然ながら、それは避けた。

はい。勇者とは

頷き、にこやかに説明するユツの言葉に、

魔王を討つものの事です

Olは思い切り、顔をしかめたのだった。

第3話原住民と平和的に友誼を結びましょう-3

あははははははは!

笑い事じゃない

腹を抱えて笑うリルに、Olは渋面を作る。

先見とやらの詳細を聞くためユツの村へと行く道すがら。

Olから説明を受けたリルは、憚ることなく笑っていた。

だって、Olが勇者様で、魔王を倒すって

リル笑いすぎでしょ

宙をフワフワ浮きながら笑いすぎて出た涙を拭う美女を、マリーは呆れ顔でたしなめる。

そんな二人を、ユツは不思議そうに見上げた。

そういえば、こいつを連れて行くのは問題ないのか?

Olはリルに視線を向けてユツに尋ねる。悪魔という存在が彼女たちにどのくらい認知されているのかは分からないが、少なくとも歓迎される存在ではないはずだ。

はい。先見にある通りですから

ユツの答えに、Olは内心舌を打つ。

接触すらしていないというのに情報が漏れるというのは、何とも気味の悪い話だった。

程なくして、Olたちは村にたどり着いた。森のほど近くにある、小さな村だ。

道はろくな舗装もなく、踏み固められただけで馬車の轍すら見て取れない。

木々を組み、藁のようなもので葺かれた家屋はあまり高い文明を持っていそうにはなかった。

大通りを歩くOlたちを、村人たちが物珍しげに眺めている。

その視線には好奇や不審はあっても、恐怖や嫌悪というほどのものはない。

随分平和的に暮らしてきた種族のようだ、とOlは思った。

彼らに共通するのはユツと同じ黄色がかった肌の色と低い背、そして鼻の低い平面的な顔だ。髪の色が銀なのはユツだけで、殆どの村人は黒髪黒目だった。

お前が特別小さいというわけではないのだな

勇者様たちが、大きすぎるんです

Olの背は高くも低くもなく、中肉中背と言って良い。ユツの背は小柄なユニスよりも更に小さく、Olより頭ひとつ分は低かった。

村人たちも人間の半分しかないクドゥクやドヴェルグに比べれば大きいが、男でも平均してOlより頭半分くらいは背が低いようだ。顔立ちも相まって、年齢よりも大分若く見える。ユツもマリーより歳上なのだと聞いて、Olは驚いた。

ここです

村の奥、一際大きな家へと案内されて、Olは踏み入ろうとする。

あっ、あっ、あの、靴は脱いで下さい

それをユツは慌てて押し留めた。

何故って家の中が汚れちゃいますし

武器を持って入るなというならわかるが、靴を脱げというのは不思議な文化だ。

Olはそう思いつつも、言われた通りに靴を脱いで家の中に上がる。

よく来たね。悪魔の王、Ol

出迎えたのは、顔中を皺に覆われた老婆だった。

腰が曲がっているせいか、背の低いユツの種族の中でも更に小さく見える。

そういう貴様は、何者だ。何故俺の名を知っている

Olは不快感を隠さずに問うた。

儂はテナという。ユツの祖母じゃ。お主の事は何度も先見の力で見た。何でも知っておるよ

睨みつける魔王の圧力を気にすることもなく、老婆はゆっくりとそう答える。

ほう。何でもと来たか

Olは柱にもたれ掛かりながら、老婆を見下ろす。

やめとくれ

途端、テナは表情も変えずに言った。

儂はこの通りの婆じゃ。わかってもそれは避けられんし、お主の蘇生の術とやらにも耐えられん。死んでしまうわい

実態が何であれ、厄介な能力だな

え?え?どういうこと?

舌打ちするOlに、マリーは状況を把握できずに二人の顔を見比べる。

Olが家を操って攻撃しようとしたけど、やるより先に見透かされたって事ね

リルの言葉に、Olは頷く。

大陸を支配した迷宮の王である彼にとって、何の呪的防御も施されていないこの小さな家を己の迷宮として掌握することなど、呼吸にも等しい。それはもはや呪文も動作も必要とせず、ただ入るだけで行える程の域にまで高められていた。

それを見抜ける魔術師など、世界に五人といないだろう。ましてやどんな事をしようとしているかまで察するなど、それこそ未来予知でも可能でなければ出来ることではない。

とは言えそれだけで、未来予知が出来ると決まったわけではないがな

そんなに先見を信じられぬかね

皺に紛れて殆ど見えない目を片方開けて、テナはOlの顔を見る。

信じられんというより、ありえん

無から有を生み出し、不可能を可能にするのが魔術と言われるが、魔術では絶対に出来ないとされている事象がいくつかある。そのうちの一つが、未来の出来事を知ることだ。

お前は俺の名を呼んだだろう。それこそが予知など存在しない証拠だ

予知によって俺の名を知ったというなら、お前は俺が名乗る場面を予知によって見たということだろう。だがお前は俺が名乗るより早く名を当てた

それはつまり、未来予知で見た光景と現状がズレている、という事だ。

儂がお主の名を当てるところまでが運命として決められており、予知する事がそもそも織り込み済みだったとしたならどうかね

予知によって名を知り、名を知ったことで予知した未来を実現する。

魔術的には全くもって有りえない話だったが、Olに延々と議論をするようなつもりはなかった。

証明するのは簡単なことだ

Olはテナの首を掴み、ぐいと引き寄せる。

俺がお前を殺すかどうか、その先見とやらで当ててみせろ。殺すといえば殺さん。殺さぬと言えば殺す。どうだ

老婆の首は酷く細く、Olの腕力でも力を込めれば簡単に折れてしまいそうだった。

殺さぬという予知を見て、殺すと言えばどうじゃ?

魔王に命を握られながらも、テナは泰然とした態度でそう尋ねる。

無駄だ

Olは低い声で宣言した。

俺に嘘は通じない

悪魔というのは、嘘偽りに極めて敏感だ。

Olを通じてテナの言葉は翻訳されている。

嘘をつけば、リルがそれに気づかないわけがない。

お主は儂を殺さぬよ

躊躇うことなく、Olは腕に力を込める。

殺せば後悔することになるからな

老婆は慌てることもなくそういった。

その首の骨をへし折る寸前、Olは動きをピタリと止める。

儂を殺せば、一年と待たず

老婆の指が、マリーを指し、

その娘は死ぬ

彼女はそう、宣言した。

第3話原住民と平和的に友誼を結びましょう-4

戯れ言を

Olは吐き捨てるように言ったが、その指先に力は篭もらなかった。

老婆の言葉を信じたわけではない。だが真実である可能性があるなら、殺してしまう訳にはいかない。そう判断するのがOlという男であった。

戯れ言かどうかは、お主が一番わかってるのではないかの?

老婆の言葉に対し、リルから否定の声はない。

少なくとも嘘はついていないということだ。

対価は何だ。お前は何を望む

Olは舌打ちしながら老婆の首から手を離す。

落ち着きな、お若いの。別にその娘を救う方法と引き換えに何かをしろなどと言うつもりはないわい

テナは己の喉を撫で擦りながらそう言った。

儂にとってもお主にとっても、奴は敵なのじゃからの

奴?

怪訝な表情で尋ねるOlに、テナはうむと頷く。

全てを平らげ全てを滅ぼす魔王。それが奴じゃ

名はないのか?

ある。あるが、口にすることは出来ぬ。名を呼べばそれだけで奴はそれを聞きつけて、その力を増す

名を呼ぶだけでだと?

それはOlにとって、あまりにも理解し難い概念だった。

そんな魔術など、聞いたこともない。

自分に同じことが出来るのであれば、侍女にでも毎日名前を呼ばせ続けるところだ。

まあ良い。そんな存在が実在するとして、俺はその奴とやらとわざわざ敵対する気など無い

Olが新大陸を訪れたのは、飽くまで侵略ではなく脅威の調査だ。全てを滅ぼすなどという馬鹿げた存在に付き合う義理など無い。

そうはならんじゃろうな

どういう意味だ

そのままの意味じゃよ。お主は必ず、奴と戦う運命にある。なぜなら、儂の先見がそう告げておるからじゃ

Olは老婆を睨みつけ、やがてゆっくりと腰を下ろした。その動作に連動して、床が盛り上がって椅子を形作り、Olの体を支える。

良かろう。詳しく説明してみろ

足を組んで肘掛けに頬杖をつき、Olはそう促した。

儂らが奴と呼び慣わすかの魔王は、年に一度生け贄を欲する。清く美しい娘をじゃ

テナの言葉に、Olは渋面を作った。かつて自分自身が同じことをしていたからだ。

生け贄を渡さねば魔王はこの一帯全てを滅ぼすじゃろう

愚かなことだ

それは率直な感想だった。そんなことをしていれば所領がどれほどあっても足りないし、女一人のために村を一つ滅ぼすなど非効率の極みだ。同じ生け贄を欲する魔王でも、奴とやらとOlのやり方は決定的に相容れない。

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