だが女が男を手に入れる方法もまた、交わりによって己の身体に溺れさせることなのだ。
つまりはこれから始まるのは、鋭い剣を柔らかな肉に持ち替えた戦いに他ならない。
案ずるな。お前の相手で慣れている
でも!
リルとの交わりは、彼に危害を加えないよう契約で縛られた上でのものだ。
サキュバスが本気で害意を持ち、搾り殺そうとすればいかにOlとて耐えられるかどうか。
無論Olとてそれは承知しているが、しかし退くわけにはいかなかった。
何、構わぬ
Olはリルの制止を振り切り、既にベッドの上で待ち構えていたサイノカミの元へと赴く。
これからたっぷりと楽しませてくれるのだろう?
しなを作る様に寝台の上に横たわり、サイノカミは着物の帯をするりと解く。
胸元の合わせ目が崩れ、その隙間からちらりと覗く真っ白な肌に、Olをして息を呑んだ。
似たような存在でも、肌を露わにして色香を振りまくリルとは全く逆の発想。
隙なく全身を覆い、体の線さえ隠した着物からちらりと覗き見える女の肢体は、男の欲望を大いに刺激するものだった。
Olはサイノカミを組み敷くと、柔らかにたわんだ合わせ目からすっと掌を差し入れる。
むっ
その乳房の手触りに、Olは思わずうめいた。
この世のものとは思えぬほど柔らかく、手に吸い付くような肌。
大きさこそ掌にすっぽりと収まってしまう程度だが、それゆえにいつまでも手の中で弄んでいたくなるような、そんな柔らかさだった。
いきなり入れても構わぬのだぞ
そういうわけにいくか
耳元で囁くサイノカミに、Olはそう答える。
半分は相手の出方を探るためだが、しかしもう半分はOl自身の矜持だった。
んっ良いぞ。あぁ
襟を更に開いて胸元に口づけ、柔らかな肉を指先で弄びながら先端を撫でさすれば小さな蕾は硬く膨れていく。
ほう、と甘く吐息を漏らすサイノカミの肌は上気して薄く桃色に色づいて、着物の裾を割り開き脚の間に指を這わせれば、滴る蜜がくちゅりと音を立てた。
リルに一瞬目を向ければ、彼女はこくりと頷いて見せる。
淫魔の見立てでもサイノカミは間違いなく、感じている。演技や擬態ではない。
ああ汝の太く硬いもので、我を貫いてくれ
乱れた着物はあえて脱がさぬまま、Olはサイノカミの中心に己自身を押し当てる。
むっ?
だが、そこはたっぷりと潤いを帯びているというのに、何故かそれ以上侵入することが出来なかった。入り口が狭いのか、先端がわずかに差し掛かったのみで強い抵抗感がある。
汝の魔羅は我には大きいと見える。何、構わぬから一気に突き入れるがいい
妙な違和感を抱きつつも、Olはサイノカミの腰を掴んで力を込める。
抵抗があったのは入り口だけで、そこを超えてしまえばサイノカミのそこは一気にOlの肉槍を根元までするりと咥え込んだ。
同時に走る衝撃に、Olは目を見開く。
サイノカミの膣内は驚くほどに暖かく、そのひやりとした肌の温度と相まって火傷してしまうのではないかと思うほど。
膣壁はきゅうきゅうと強くOlのものに絡みつき、ざわざわと蠢くようなその表面の感触はまるで百人の女に舌で奉仕されているかのよう。
ただ挿入しただけだというのに、腰が砕けてしまうのではないかと思うほどの心地よさだった。
リルとのまぐわいで鍛えていなかったら、それだけで放出していただろう。
ほう。我に入れて精を吐かぬとは
心の底から感嘆した、といった表情で、サイノカミ。
貴様
彼女をねめつけ、Olは絞り出すように声を出す。
これは、どういうことだ
その視線の先、彼らの性器が結合している部分。
そこには、朱が滲んでいた。
どうもこうも見ての通り。我が生娘ではおかしいか?
サイノカミは当然のようにそう答えた。
とてもそうは見えんからな
その態度と言い、滲み出る色香と言い、とても処女の態度とは思えない。
Olはおろか、リルですらそれを見抜けてはいなかった。
然もあろう。我は境界の神であると同時に、性愛と豊穣の神でもある。いわば生まれついての淫婦だ。だが、淫婦にとて初めてというものはある
彼女の言葉を裏付けるかのように、サイノカミの膣内は痛みに怯む様子もなく、Olの肉塊を締め付ける。
サイノカミとしての我は長く在るが、雄としての我を殺しこの洞へと入って来たのは汝が初めてよ。故に雌としての我もまた、男を知るのはこれが初めてだ
サイノカミはOlの首に腕を回すと、耳元をくすぐる様に囁いた。
さあ。我を二つの意味で女にした愛しい汝よ。夜はまだ始まったばかり。しっかりと楽しませておくれ
第6話旧きものを斃しましょう-4
薄暗い洞窟の中、肉のぶつかり合う音と水音が響き渡り、雄と雌の交わりあう濃密な淫臭が立ち込めていた。
あぁ、そうだそこを、もっと抉ってくれ、あぁっ
もはや着物はかろうじて袖が腕に纏わりついているのみで、衣服としての用をなしていない。
ほっそりとした喉からツンと上を向いた胸元、滑らかな腹の下までを露わにして鳴くサイノカミの肌には珠のような汗がいくつも浮かび、紅潮した頬と快楽に蕩け潤む瞳がOlを見つめる。
出すぞッ!
ああ、来て、奥に、汝の精を注ぎ込んでくれっ!
Olの肉塊が彼女の中で膨れ上がれば、打てば響く鐘のように絶妙なタイミングで締め付けてくる。生まれながらの淫婦と称するだけあって、先ほどまで処女だったとは思えないほどの乱れ振りだった。
ぎゅうと締まる媚肉をこじ開けるようにして無理やり奥まで腰を押し込むと、下がってきた子宮が子種をねだる様に先端に口づける。全身で男を求めるかのようなその動きに、Olは溜まらず精を解き放った。
あっう、あぁんんっ、あ、良い、ぞ、ぉっ!
どくり、どくりと断続的にOlが白濁を吐き出す度に、サイノカミは気をやって身体を震わせる。その度に彼女の膣内は精液を絞り出すようにうねり締め付けて、その快楽によってOlは更に射精する。
まるで振り子のように快感を行きつ戻りつ交歓しながら、二人は長い長い絶頂の末に力を失い、重なりあって崩れ落ちた。
これで、満足したか?
ああ汝の逸物は素晴らしいな。これだけ出してなお、まだ我の中で脈打っておる
ぐったりとして横たわるサイノカミに問えば、彼女は嬉しそうに笑って膣口に力を込めながら、ゆるゆると腰を動かし始める。
まずい、とOlの頭の中に警鐘が鳴り響いていた。
演技でも擬態でもなく、サイノカミは間違いなく感じ、何度も気をやっている。
だがその精力と体力はまるで無尽蔵のようで、どれだけ絶頂に至らせ、精を注ぎ込んでも、更にもっととねだってくる。
そしてOlもまた、それに応えることをやめられなかった。
魔術的なあるいは、何らかの未知の術のようなものをかけられているわけではない。
純粋に、サイノカミの肉体が気持ちよすぎるのだ。
一突きする度に飢えにも似た欲求はいや増すばかりで、どれだけ交わっても飽きるということがない。その柔らかな身体を組み伏せ、犯し、征服するのはまるで麻薬のような快楽だった。
これが並の男だったなら、二、三度も射精に至れば精根尽き果て、倒れ伏してしまっていたことだろう。だが不幸なことに、ここまでの通路を己のダンジョンへと作り変えてきたOlには試練の山から伸びる魔力の道がある。
地中の魔力をたっぷりと内包した赤い溶岩はほとんど龍脈のようなもので、Olに無尽蔵の体力と精力を与える。だがそれが、今に限っては仇となっていた。互いに無限の体力を持つ者同士の交わりは、そのまま無限に続いてしまう可能性があるのだ。
ちょっと、もう十回はしたでしょ?いつまでやってるつもり!?
それを察し、流石にリルが割って入った。
サイノカミの助力を得られないのは問題だが、Olが完全に囚われるよりはマシだ。
何、永遠になどというつもりはない。我が満足するまでのことだ
あとどのくらいで満足するのよ
リルが腰に手を当て居丈高に尋ねると、サイノカミはうむと頷いて応える。
一年だ。普通は毎夜相手にしてもらうところだが、この男であればこのまま丸一年ずっと、目合(まぐわ)い続けていられそうだな
馬鹿じゃないの!?
その答えに、リルは怒鳴る。
わたしが干からびて死んじゃうじゃないの!
ふむでは、汝も混ざるか?
えっ、いいの?
いいわけあるか、愚か者!
声を弾ませ懐柔されかかるリルに、Olは思わず叫び返した。
胡乱なリルの言葉は計算でも何でもなく素での反応だろうが、それがかえってOlの精神を呪縛めいたサイノカミの魅力から多少なりとも逃す。
一年だなどと、そんな話は聞いておらぬ。付き合いきれるか
ほう。我の身体をもう味わいたくないと申すか?
すっと目を細め、悲しげに問いながらサイノカミは自然な動作でOlに改めて己のその裸身を晒す。途端、Olの心に彼女を押し倒し、めちゃくちゃに犯してしまいたいという欲求が強く湧き上がった。
俺にはやらねばならぬことがある。一年も悠長にしている暇はない
それを押し殺して答えると、サイノカミは驚いたように目を見開く。
我が情愛を跳ね除けるとは。なんという意力の強さよ
お生憎様でした。淫魔の類には慣れてるのよ
ぎゅっとOlの頭を抱きしめながら、リルは舌を出してみせる。
後頭部を包む柔らかな肉の感触に、Olは逆効果だと内心で叫んだ。
淫魔異国にはそのようなものもいるのか。だがしかし、言うたであろう。我はこの世で最も全き女。即ち我との交合を諦めるということは、全ての女との交わりを諦めるに等しい。情多き男ほど逃れられるものではない
エッチな男ほどやめられないって事か
Olさますごくえっちだもんね
確かに
リルの言葉にマリーが同意し、ユツまでもが深く頷く。
怒鳴ってやりたいところだったが、Olにもそれほどの余裕はなかった。
よくよく考えてみれば、これは極めて深刻な事態だった。
魅了の術や何らかの能力によってOlの心が囚われているのならば、それを解除もできるだろう。だがしかし、その根源がOl自身の心にあるとなると話は別だ。
リルを、マリーを、全ての情を交わした女たちを心の底から手放すつもりがなければ、サイノカミからは離れることが出来ないということなのだから。それはOlにとっては到底、許容できることではなかった。
それはリル達の助力によって無理やり引き離されるのでも同じだ。
妻たちを外部の力によって失うなどというのは、Olにとってそれこそ最も忌避すべき出来事だ。それはただ象徴的な出来事に終わらず、Olの魂を傷つけ、損なうであろうという予感があった。
ヤマタノオロチが魂さえ噛み千切ったように、この地の神というのは恐らくそういう力を持っているのだ。相手に敵意がないとしても、油断すべきではなかった。Olは今更の段になって、それを思い知った。
わかった。お前の気が済むまで相手してやる
唯一の救いと言えるものはただ一つ、サイノカミ自身が言うようにそれが永遠に続くものではないということだ。彼女が満足さえすれば、それで終わる。
ああ。好きなだけ我を犯すが良い。その獣欲を存分にぶつけておくれ
サイノカミは嬉しげに目を細める。害意や敵意は本当にないのだろう。
だからこそ、Olは彼女が障害となりうることを見抜けなかったのだ。
後ろから犯してやるから、尻をこちらに向けろ
ほう。まるで獣の交尾のようだがそれはそれで悪くない
サイノカミはするりと着物の袖から腕を抜くと、一糸まとわぬ姿となって小ぶりな尻をOlに向ける。Olはそれを両手で鷲掴みにすると、一気に突き入れた。
なっ?
その瞬間、サイノカミは大きく目を見開くと、戸惑いの声を漏らした。
ま、まてそこは、違うぞ?
Olが剛直を突き入れたのは性器ではなくその上の窄まり。
不浄の穴だったからだ。
何が違うものか
ひぐぅっ!
Olが抽送を繰り返すと、サイノカミは大きく声を上げる。それは先程までの善がり声とは、全く別種のものだった。
そら、こんなにひくひくと蠢いて喜んでいるではないか
一連の交わりで高ぶりきったサイノカミの身体は、精液と愛液に塗れたOlの肉槍を易々と飲み込み、否応なく快楽の階段を登らされていく。
だがそこからは、先程までどれだけ乱れても失われていなかった余裕のようなものは失われていた。
ちっ、違うぅっ!こんな、こんな場所で、我はっ!あぁっ!
サイノカミの顔と表情は戸惑いで満ち、混乱のまま彼女は喘がされ、鳴き声をあげさせられる。