ゆっくりとOlがミオを突き上げると、今まで何をしても嫌がるそぶりすら見せなかったミオが初めて否定の言葉を口にした。
王にとって、多すぎる世継ぎというものは騒乱の下になる。それは魔王とて同じことだ。
だから正妃であるユニスとの間に男児を作り、そもそもの盟約であったフィグリア王家との間とは世継ぎとはなりえない娘だけを産ませ続けている。
そこにミオが子を成せば、国家の問題となることくらいは政治には疎い彼女でも分かった。
嫌だと申すか?
Olはわざと意地悪くミオにそう尋ねるが、彼女は答えない。
んぅっだ、駄目、です
急かすように腰を突けば、ミオは首を振ってそう答えた。
嫌だというなら離れればよい。別にそうしても咎めはせんぞ
Olの腕は既にミオの背中から離れ、二人が触れ合っているのは繋がりあった性器のみ。
ミオがその気になれば、簡単にOlの上からどいてしまえる状況だった。
だがミオはOlから離れることなく、ただ無抵抗に突かれ続ける。
Ol様、お願いですからそのような、戯れは
戯れではない。お前なら孕ませても良いと思っている
Olがそういうと、ミオの膣口がきゅっと彼の男根を締め付けた。
私の力は多分、子には継がれませんよ?
獣の魔王の力が欲しいのではない
魂の奥底までも見通すようなOlの瞳が、ミオの瞳を覗き込む。
あの時と同じだ、とミオは思った。
俺はミオ。お前という女が欲しいのだ
ミオの魂が、Olの手に落ちたあの時と。
駄目、です
ミオは言うが、Olの硬く張り詰めた肉槍が彼女の中心を貫く。
そんなの、駄目、駄目です
ふるふると首を振るミオの柔らかな秘所を、男の暴力的な肉が犯し、汚す。
駄目、なのにぃ
しかしそれは全て、ミオ自身が行っていることだった。
微塵も動かぬOlに跨り、その肩に縋りついて、激しく腰を振るのをどうしてもやめられない。
その膣口はあさましくよだれを垂らして肉槍を濡らしながら、精をねだってOlのものを締め付ける。
膣の奥では子宮が下がり口づけの様に男根の先端にむしゃぶりついて、ミオは身体全身で種付けをねだっていた。
Olの短い宣言に、ミオは力を振り絞る。
それは驚異的な意思力だった。肉体も精神もOlと交わる快楽に溺れ切っているのに、それでも彼女はそれに抵抗したのだ。Olに迷惑をかける事だけは避けたいという思いが彼女の足を動かして、腰を浮かせる。
その瞬間、Olはミオに口づけた。途端に彼女の全身からは力が抜けて、蕩けるように体が崩れ落ち、奥の奥までOlの肉槍を受け入れる。
歓喜しながら震える子宮の入り口に先端を押し当てて、Olは容赦なくミオの胎内に子種を注ぎ込んだ。己の奥底に叩き付けられるかのような熱い脈動に、ミオは今まさに自分が子を孕ませられていると確信する。
愛する男に征服される喜びに胸があふれ、もはや何も考えられなくなってミオはただただOlの与えるものを受け入れた。膣内に注ぎ込まれる精液も、唇から交換される唾液も今の彼女にとっては至上の甘露で。
幸福感に包まれながら、ミオは意識を手放した。
気付けばミオはOlの膝に頭を乗せられ、髪を撫でられているところだった。
Ol、様
彼の名を呼んで、ミオは一糸纏わぬ姿のままの己の下腹部を撫でる。
もおー!だめって、だめっていいましたのにー!
そこに確かな存在の力を感じて、ミオは思わず叫んだ。
わかるのか?呪は用いておらんから、出来ているとも限らんが
ばっちり出来ちゃってます、孕んじゃってます!もう、Ol様のばかぁ
流石に怒って、ミオはOlの胸をぽかぽかと拳で叩いた。
といっても、子猫がじゃれる程度の力だ。
俺は嬉しいぞ
そんな彼女を抱きすくめ言えば、ミオはすぐにおとなしくなった。
はい私も、とても、とても、嬉しいです
Olの胸に頭を預け、ミオは幸せそうにつぶやく。
でも、この後のことを考えるとすごく頭が痛いんですー
子が生まれても、お前たちは政治には巻き込まぬ
頭を抱えるミオの肩を抱き、Olは言った。
能天気とも思えるその言葉にミオは無責任な、と思いかけたが。
どんな手を尽くしてもな
続く言葉に、相手が誰であったのかを思い出す。
やると言ったらOlは必ずそれをやり遂げるだろう。
故に安心して、元気な子を産め
はいっ
ぎゅっとOlの腕を抱きしめて、ミオは明るい笑顔で頷いた。
第8話初めての親子喧嘩をしましょう-1
おかえりなさいませ、旦那様
うむ今帰った
三週間を本拠地で過ごし、新大陸のダンジョンへと戻ったOlは、床に正座して深々と頭を下げるサクヤに少しばかり気まずい面持ちでそう答えた。
言い換えれば、三週間の間放っておいたという事でもある。
Olとて遊んでいたわけではないが、他の女と過ごしてきたところにこうまで丁寧に対応されればかえって気が引ける思いがした。
気にしないでお館様。姫、天然だから
うむ姫は多少、そういった機微に疎いところがあります故
フォローするホデリ、ホスセリ兄妹の言葉に、サクヤは不思議そうに首を傾げた。
あっ、Olさまだー。おかえりなさーい
今帰った。留守中ご苦労だったな
そこにOlの気配を察知したのか、マリーが姿を見せた。
彼女も何度か本拠地に帰ってはいたものの、基本的にはソフィアの世話とダンジョンの管理とで新大陸の方で過ごしていた。
どうしたの、 ソフィ。パパが帰ってきたよー?
マリーは振り向き、扉の後ろに視線をやった。どうやらそこにソフィアがいるらしい。
なに?恥ずかしいの?ほら、おいで
マリーが手を引いてOlの前に引き出すと、ソフィアは不機嫌そうな表情でOlを見つめた。
パパなんて
Olがかけようとした声を遮り、彼の四方を岩壁が囲む。
それと同時に、彼の足元に魔法陣が浮かんだ。まずい、と思ったときにはもう遅い。
岩壁を排除しそこから抜け出す一手のうちに、魔法陣はその力を発揮する。
だいきらい!
ソフィアの言葉とともに、Olは自分の身体が落下していくような感覚を覚えた。
その奇妙な浮遊感は、転移によるものだ。
気付けばOlは森の入り口に飛ばされていた。
ソフィアの奴め
油断していたとは言え、見事な手際にOlは怒ったものか感心したものか、少し悩む。
Ol、大丈夫?
マリーからの連絡を受けたのだろう。すぐさまユニスが跳んできた。
ああ。転移先が石の中やマグマの中だったら厄介だったが
流石にソフィアもそこまではしないでしょう
だといいがな
何故ソフィアがこのような暴挙に出たのか。
心当たりがないではないが、正確なところはわからない。
大嫌いとまで言われたのだ。何が起こるかわからん
んー。確かにちょっとご機嫌ななめみたいだね
生真面目な表情で真剣に言うOlに、ユニスは苦笑した。
Olは森のダンジョンを構成する木々に触れ、魔術による干渉を試みる。
しかし案の定、木々の壁は一瞬形を変えようと蠢くだけで、すぐに元に戻ってしまった。
完全に乗っ取られたな
Olにしては珍しいね
このような状況を予想していなかったわけではない。
だが手の打ちようがなかった。ソフィアはダンジョンそのものなのだ。
その干渉力はどうしたってOlより強い。
まあ躾ける良い機会だ。行くぞ。伴をせよ
はっ
Olの言葉に呼応しホデリとホスセリの兄妹が姿を現して、ユニスは目を丸くした。
どこから出てきたの?
俺が転送される瞬間、開いた岩の間から飛び込んできたのだ
殿を守れというのが、姫様の命でありますれば
跪き、硬い口調でホデリは答える。
彼らは別に隠れていたわけではない。ただ己を殺し、ないものとしてOlの傍に従っていただけだとユニスは気づいた。
ユニスでさえ、彼らが言葉を発するまでその存在に気づかないほどに。
さて、それでは
Olは深い森を見据え、言った。
我が娘のダンジョン。真っ向から攻略してくれよう
なんか嬉しいな
森の道を行きながら、不意にユニスはそんなことを言い出した。
Olが昔、ウィキアやFaro達と一緒にOlの迷宮を探索したことあったじゃない?
あったな、そんなことも
それはもう随分昔の話だ。迷宮の出来を冒険者の視点から評価するため、そして冒険者自体の練度を見るため、Olは旅の魔術師のふりをして迷宮に潜ったのだった。
あれ、あたしもついていきたかったんだけど
お前が来たら評価にならんだろうが
だから、嬉しい
朗らかに笑うこの小柄な少女にかかっては、あの頃のダンジョンでは侵入を防げたとは思えない。
今回は本気の探索だ。全力を出していくぞ
うんっ。本気ってことはー
ユニスは剣を抜き、閃かせる。
Olが気付いた時には剣は既に鞘に収まり、枝葉で作られた壁がばらばらと崩れ落ちていた。
こういう風に進んでもいいってことだよね?
まあ、そうだが
マリーと二人で探索した時と比べて、壁の耐久性が下がったわけではない。むしろソフィアが支配することによって上がっている。
恐ろしい事に、ユニスは理力を使っていなかった。
純粋に力と速さと技で迷宮の壁を切り裂いたのだ。
本気といえばお前は本当に腕を治さなくていいのか?
ユニスの作った近道を歩きながら、Olはホデリに問うた。
オロチに喰われた彼の左腕は二の腕の半ばから断たれたまま、袖だけが揺れている。
構いませぬ。腕を失ったのは某の未熟故
一度はOlも治療を施したのだが、ホデリはその腕をすぐに切り落としてしまった。
再生した腕を以前と同じように振るう事は出来ない。
そんな腕ならば、ない方がマシなどと言ってのけたのだ。
まあ、このダンジョンの防衛力はさほどでもない。問題はなかろう
そうなの?
ああ。まず、今回の目的は侵攻ではなく偵察だったからな。そもそも侵入者を想定しておらんのだ
以前のように周囲の村々を焼き滅ぼしたり、街を攻め落としたりしていればすぐに敵はやってくるだろう。だが今回、Olにそのようなつもりはなかった。故に防衛力は最小限のものでしかない。
その割には侵入してきた愚か者も多かったが、とOlは思う。
タツキとヤマタノオロチ実質どちらもタツキのようなものだった。
それに、これだ
木の壁を撫でて、Olは渋面を作る。
このようなスカスカの壁では、瘴気を溜めることもできん
空から抜けて行っちゃうもんね
何本もの木が連なって出来たその壁は人間の通過を阻むには十分だが、風は自由にその間を通り抜けていってしまう。
ゆえに妖魔や魔獣といったものを呼び寄せることもできず、大した戦力は集まらんというわけだ
それは、どうでしょうな
Olの言葉に異を唱えたのは、ホデリだった。
お館様はとても聡明で物知りだけどこちらには詳しくない。古来から、森には妖が棲むもの
ホスセリが兄の言葉を補足するように、ぽつりとそう呟く。
それはもしかして
Olの言葉と共に、
こいつらのことを言っておるのか?
無数の石つぶてが、彼らに降り注いだ。
石つぶてとはいっても、握りこぶし大のそれが頭に当たれば容易く人を殺しうる。
ある意味で矢よりも驚異的な存在である。
Olのキューブが自動的に防壁を展開し、全てを弾く。
ユニスは雨のように降り注ぐそれを、僅かな動きで軽くかわす。
チン、と音がしたかと思えばホデリに向かった石はすべて両断されて地面に転がり。
ホスセリは無数の石を掌で受け止めては、片端から投げ捨てる。
彼らにとっては何の障害ともならなかった。
然様。小鬼めにございまする
いつの間に抜き放ったか、ホデリは片刃の剣を向けて前方を睨んだ。
小鬼だと?
そこにいたのは、身長一フィート(三十センチ)程度の、醜い顔をした人型の生物だった。
ゴブリンではないか
でも色が違うよ
それはOl達のよく知る妖魔に似ていたが、緑色をしているゴブリンに対し、小鬼たちは赤い肌をしていた。着ている服もなんとなくヤマト風ではある。
彼奴らは一匹一匹は大して強くはござらんが、多数で群れ、知恵が回り、罠を張ることもありますのでご注意を
ゴブリンではないか!
大方何かの拍子で流れ着いたものが、独自に繁殖したのだろう。肌の違いは食べ物の差か、はたまた気候の違いかなどと思考を巡らせかけて、Olは考えるのをやめた。
まあ良い。この手合いであれば扱いは心得ておる
ずいと一歩踏み出して、Olは小鬼たちに歩を進めた。
途端、小鬼たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出そうとしそして、自分たちの背後に壁があることに気づいた。
なぜ退路を塞がれているのかわからないままに彼らは慌てふためき、近づいてくるOlに怯え戸惑う。
だがOlの足が落ち葉の絨毯を踏みしめた時、その表情は邪悪な笑みに歪められた。