片方だけというのも不公平な話だ。お前も妹の想いを聞いてやるがいい

言って、Olは魔力を乗せた指先でイェルダーヴの首輪をついとなでる。今まで制限されていた機能が開放されて、彼女の心の内がザナの頭の中に一気に流れ込んできた。

そこにはザナを責めたり恨んだりする気持ちは一切なく。ただ彼女を心配し、慮る気持ちだけが、幾万の言葉よりも雄弁にザナの心へと入り込んできた。

どうしてあんたは

ずっと、見ておりましたもの

ザナの頬を伝う雫を指先で拭いながら、イェルダーヴは目を伏せる。

わたしには、ただただ見ていることしか出来ませんでした。お姉様の爪が剥がれ、その血が凍りついて指を覆い尽くすまで氷術の訓練をするさまも。国中を駆け回り、民の生活を支え守るさまも。わたしを助けるために、その清き身さえ捧げるさまも

違う、と、ザナは首をゆるゆると振った。

違う違うのそんな、立派なものじゃない。あたしはただ、復讐のため。下らない、自分の自尊心を、守るためだけに

言葉に出さずともザナの心のうちはイェルダーヴへと伝わって、妹の心はまるで鏡のようにそれを映して氷の女王へと戻り伝わる。

いいえ、お姉様。おわかりに、なられるでしょう?

イェルダーヴはザナの手を握って、彼女の目を見つめ。

確かにあなたの心には、暗い翳りがあったのかも知れません。けれど民を、わたしを思う心もまた、嘘ではない。それは、確かにここに、あるのです

ザナの眼もまた、イェルダーヴの潤む瞳を捉えた。

お前は理想が高すぎるのだ

その頭をぽんと撫で、呆れ混じりのしかし、優しげな声色でOlは告げる。

常に間違わず、私心を持たず、最善で最良の王などいるものか。いたとすればそれは人間ではない。もっとおぞましいなにかだ

ででも、あたし、は

見せてやれ

逡巡するように視線を彷徨わせるザナを見て、Olはイェルダーヴに顎をしゃくる。

太陽神イガルクよ我に、彼方の果てを知らせ給え

小さく呟き、祈るイェルダーヴの脳裏に遥か彼方の光景がうつる。それは心の像を通して、ザナの視界に広がった。

今日も女王陛下の恵みに感謝を

あんた、そんな悪戯ばっかりしてたら、ザナ様みたいな立派なレディになれないよ!

我らが女王陛下に乾杯!

それは。小さな国のあちらこちらで人々の口に上る、ザナへの感謝や畏敬の念だった。

誰に強制されたわけでもなければ、誰に聞かせるものでもない。自然と言葉にするほどに、それはヒムロの国民に根付いてる。

小さな小さな、吹けば飛ぶような国。だからこそ、皆、知っております。お姉様がこの国を守るために、どれほどの犠牲を払ってきたのか。どれほどの力を尽くしてきたのか。どれほどの愛を、注いできたのか

そっとイェルダーヴはザナの身体を抱きしめて。

この国の王に相応しいのは、お姉様、あなたです。わたしだけではなく、皆が口を揃えて、そう言うでしょう

嗚咽が、部屋の中に静かに響いた。

四半刻近くも泣き続け、ザナがようやく落ち着いてきたところでOlはおもむろに声を上げた。

ザナよ。お前の主として命ずる。これからも王として、ヒムロを治めよ

ザナは小さく、しかしはっきりと頷く。Olは満足気に頷き返し立ち上がると、ふと周りを見回した。

それと次に来るときまでには、この部屋をもう少し何とかしておけ。こんな殺風景な部屋では、雰囲気も何もあったものではない

Olもそれほど雰囲気など気にする方ではないが、それにしたって程がある。ザナの部屋に比べれば監獄の方がまだ人間味があるだろう。

いい置き立ち去ろうとする彼の腕を、イェルダーヴがぐいと引っ張った。

何だ?

あのお、お約束、を

怪訝そうに振り返れば、先程まで姉を説得していた様子とは打って変わって、イェルダーヴはオドオドとした様子で蚊の鳴くような声を上げる。

約束?

わ、わたわたしを、抱いて頂ける、と

ああそれのことか

Olはちらりとザナを一瞥し、首を振る。

また今度にしろ。今は流石にそんな気になれん

踵を返そうとするOlの身体は、次の瞬間にはベッドの上へと押し倒されていた。

何をする

腕を引いてそうしたのは、イェルダーヴではない。ザナだ。正確には、ザナも、と言うべきだろうか。非力な女の力といえど、姉妹二人に同時に引かれればOlとて倒れもする。

人の体を散々弄ってその気にさせといて、そのまま放置するっていうのも酷いんじゃない?

放置、と言ってもだな。あれからどれだけ経ったと思っている

まともに話したところでこの用心深い女が本音を吐露などするはずもなく、かと言って酒に酔わせればまともな言葉も出てこない。故に快楽に酔わせたまでの話でしかない。そもそも肉体的な昂ぶりなど泣いている間にとうに過ぎ去っているはずだ。

何よ。こんな美人二人が相手してあげるって言ってるのに、まさか役に立たないなんてことは無いわよね、マスター?

なんだその呼称は。などと思っている間に、ザナはOlの上に伸し掛かる。イェルダーヴが入ってきたときにかけてやった外套がはだけて、彼女の真っ白な肌が露わになった。

それともわ、わたし達に、魅力、足らないですか?

それどころかイェルダーヴまでもが服を脱ぎ落とし、その豊満な褐色の肌を晒しながら不安げに問いかける。

待て。お前を抱けば太陽神とやらの力は失われるという話だっただろう。それがこの国に必要だとか言ってなかったか?

さっきイヴにこの国の姿を見せて貰って、わかったのよ

二人を押し留めながら問うOlに、ザナは答える。

国を治めるのに、そんなものはなくても、なんとでも、なります

それはまあ、そうだろうが

姉の言葉を引き継いで答えるイェルダーヴに、Olは頷いた。王の才覚というのならばともかく、先天的に備えた原理不明の力に頼って国を治めるというのは、Olとしても不合理なものに思えていたのは確かなことだ。

とはいえ使えるものは使えたほうがいいのではないか、とも思ったが。

それにね

ザナは生真面目な表情で眉根を寄せて、小さく首を傾げる。

正直無くせるなら無くした方が有り難いのよ。あれば頼ってしまうし、そうなればイヴがサハラの国で使われてた時と同じことだしそれに。やっぱり妬んじゃうからね、あたし

それは放った本人にすら意外なほどに、軽い口調だった。

今までひた隠しにしてきた己の醜さ、愚かさを知ってなお、態度を変えぬ魔王であったから。

さ、これで納得した?マスター

Olが反論の手を失ったところで、ザナは彼にしなだれかかる。反論などせずとも、形ばかりのものとはいえ今のザナは奴隷なのだからただそう命じてしまえばいいものなのに、Olはそうしない。

後悔は、するなよ

どこか呆れたように深く息を吐きながら、そう言うだけだ。

まあそんな魔王だからこそ、こうなったんだろう。

ザナはそう思いながら、彼にその身を委ねた。

第14話臆病者を焚き付けましょう-9

ぴちゃぴちゃと、微かな水音が部屋の中に響く。

まるで子猫がミルクを舐めるようなそれは、ザナとイェルダーヴ、二人の姉妹がOlの男根を挟み込むようにして舌で奉仕する音だった。

純白と褐色、似ても似つかぬ色の肌を持ちながら、その顔立ちそのものはまるで鑑写しのようにそっくりだ。

いかが、ですか?

ああ悪くない

不安げに問うイェルダーヴに、Olは二人の髪を撫でながら答える。正直に言ってしまえば、拙い口淫だ。二人で顔を寄せ合いながらの口淫奉仕は、どうしても舌と唇との動きがメインとなってしまい、難易度が高い。

自ら男に触れるのが初めてのイェルダーヴはもとより、先程コツを掴んだザナにしても二人での行為となると勝手が違って上手く出来てはいない。

だが、正反対でありながらそっくりな姿を持つ二人の美姫が姉妹揃って傅きグロテスクな器官に舌を這わせるその様は、技巧を補ってあまりある興奮をOlに与えていた。

正直に言ってよ。あんまり、良くないんでしょ

だがザナは目聡くOlの反応を感じ取って、拗ねたように唇を尖らせる。

そんな事はないが

うそ。さっきの方が気持ちよさそうだったもの

舌を伸ばして根本から舐めあげ、雁首を舌先でなぞり、裏筋をちゅうと吸う。Olから教わった技巧は、手で強く竿を扱き立てながらだからこそ意味のあるもので、舌先だけでどれだけ頑張ってもOlは先程のようには反応しない。

二人で奉仕するなら手指は邪魔になり、かと言ってイェルダーヴを排除するという選択肢も今のザナにはなく。

どうしたらいいか、さっきみたいに教えて?どんなことでもしてあげるから。ね、マスター

わたし、にも教えて下さい、えっとご主人、様

素直にそう頼めば、妹までもがそれに追随した。

何だその、ご主人様というのは

だ駄目、ですか?

思わず問えば、イェルダーヴは震えながら涙目でOlを見上げる。

好きにしろ

侮辱するようなものでないなら、呼び名などどうでもいい。Olがそう思って答えると、イェルダーヴはまるでかけがえのない宝物でも貰ったかのように、ぱあっと表情を輝かせた。いつも恐れ不安げな表情をしている彼女のそんな顔を見るのは初めてで、そんな顔も出来るのではないか、とOlは思う。

で?どうしたらいいの?マスター

すると焦れたように、ザナがぎゅっとOlのものを握りしめて再び問うた。

Olは少し考えて、視線を下に向ける。

胸を使ってみろ

あ゛ぁ゛!?

言った途端、ザナは柳眉を逆立て手に力を込めた。

待て。どうせなのだから、その辺りのコンプレックスも解消しておけ

女の力で握りしめたところでどうこうなるものでもないのだが、その手のひらにうっすらと冷気が漂ってきているとなれば話は別だ。己の分身が氷の棘に刺し貫かれる前に、Olは口早にそう言った。

そんなこと言ったって

ギリ、と噛み締めたザナの唇から血が滴る。太陽神の力などよりこっちの方をよほど妬んでいないか?と言う素直な感想を、Olは何とか飲み込んだ。

とはいえザナのその気持ちもわからないではない。よく似た顔立ちに同じ色の髪、同じ色の瞳。肌の色は単に育った環境の違いでしかないだろう。背丈と纏う雰囲気こそ異なるものの、双子とさえ間違いかねないはずの彼女たちを分かつ絶対的な差。

それが、胸の大きさだ。

両の手のひらに収まりきらぬほどにたわわに実った豊満なイェルダーヴのそれに対し、ザナの胸元はほんの僅かに膨らみがあるかどうか。悲しいほどに平坦であった。

そら、挟んでみろ

Olは有無を言わさぬ口調で、二人の背中をぐいと押す。反り立つ肉の塊が、白と黒の柔らかな肉に左右から押しつぶされた。

うぅ

その圧倒的な戦力差に、ザナは顔を思いっきりしかめる。ザナの胸にあたってぐにゃりと歪む膨大な質量は、彼女を落ち込ませるのに十分な破壊力を持っていた。

あのご主人様、どうしたら、いいでしょうか?

その深い谷間にOlの逸物を収めながら、イェルダーヴ。Olの太く長い肉槍はその乳房ですら覆い尽くすことは出来ず端がはみ出してはいるものの、それでも大部分を包み込んでいる。それに比べてザナの胸元ときたら、まるで壁のようにその切っ先を押し当てられているだけだ。

手で押さえて擦り上げてみろ

言われるがままに、イェルダーヴは己の乳房を両手で支えながら上下に揺らし始めた。柔らかな肉に挟まれしごかれる男根は、女のザナですら気持ちよさそうだと感じるものだった。ザナは挟むどころか、手で支えるほどの大きさもない己が乳房を呪った。

ザナ。もう少し、身体を上に上げてみろ

だから急にそう声をかけられて、彼女は目を瞬かせる。

こ、こう?

ああ。そうだ、そのくらいでちょうどいい

イェルダーヴと胸の高さを合わせるために屈めていた腰を浮かせると、Olは満足げに頷く。そしてぐんと突き上げられた肉槍の先端が、抉るようにザナの乳首を貫いた。

びりりと走る突然の快楽に、思わずザナは高く声をあげる。

うむ。やはりお前の胸は、具合がいいな

何、を、馬鹿なことんぅっ!

二度、三度と、Olのペニスの先端がザナの胸に擦り付けられる。

馬鹿なものか。わかるだろうが

ピンと硬く尖ったザナの乳首に、大きくエラの張った雁首の段差を擦り上げるように肉棒が押し付けられる。火傷しそうなほどに熱く火照ったその肉塊の先端からは先走りの汁が滴ってザナの胸元を汚し、ぬるぬるとした跡を残していく。それは明らかにザナに対して興奮しているのだと、伝わってくる熱をもって彼女は理解した。

舌だ、とザナは気づいた。

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