苦し紛れの嘘も、Olはあっさりと見抜く。
だ、だがどの道先へと進む仕掛けは
マリー、壁を開けたスイッチはどの辺りだ?ああ。ここか、ならばこちらが扉を開けるボタンだな
最後の頼みの綱である情報も簡単に見つけられ、Olたちの足音は遠ざかっていく。
待て待ってくれ!
ラーメスは声を張り上げながら、必死に考える。何か交渉できる材料を。
能力は不要と言われた。知識も、Olたちに役に立てるものはない。国も地位も富も、もはや彼女の手の中にはない。
砂の王としてではなく。万物の支配者としてではなく。
ただのラーメスとして、差し出せるものがあるか。
そう考えた時。彼女には、何もなかった。神の加護をも失った今、ピラミッドの堅牢な石さえ消し飛ばせる核熱の炎も出すことは出来ない。本当に、ここで乾いて死んでいくしかないのだ。
闇の中、彼女はがくりと膝をつく。そしてふと、手にしていた碗が目に映った。ほのかな光を放つそれが、暗闇の中で見える唯一のもの。そして同時に、今のラーメスに残された唯一のものでもあった。
縋るように、ラーメスはそれを見つめる。簡素な碗は状況を打破するのに何の役にも立ってくれなかったが、しかし闇に抗するように光り続ける。それは少なくとも、ラーメスを無明の闇から救ってはくれた。
もしこれが完全なる暗闇に閉じ込められていたら、ラーメスは正気ではいられなかっただろう。
助けて
その暖かな光に導かれるようにして、ラーメスの口から言葉が漏れる。
助けてくれ頼む余が、悪かったお願いだ
もはや壁の向こうにOlはいないだろう。そう知っていてなお、祈るように、ラーメスは助けを乞う。
助けてくれ何でもするから
その言葉に偽りはないか?
ぬわぁっ!?
呟きにすぐそばから答えが返ってきて、ラーメスは悲鳴を上げながら飛び上がった。
Olの声は壁の向こうどころか、真横から聞こえたのだ。
オ、Ol!?何故ここにいる!?
壁は一瞬たりとて開いていない。入ってきたならすぐに分かるはずだった。
本当にお前は愚かなやつだな
いっそのこと優しげな声で、Olは言った。
俺は境界の神の加護を得ているのだぞ。扉にせよ壁にせよ、遮るものが役に立つわけなかろうが
ラーメスは絶句する。では、最初の最初から、ラーメスはOlの手のひらの上だったのだ。
だ、だが何故だ?何故わざわざ戻ってきた?
だとするのなら、これはラーメスを葬るための策だったのだろう。Olにとってもはやラーメスに利用価値はなく、排除する絶好の機会だったはずだ。
俺には確かに戻る理由などない。だが、こいつがな
やっほー、ラーちゃん
Olの後ろから聞こえてきたのは、マリーの声だった。
マリーちゃん?何故
だがマリーにとっても理由などないのは同じはず。
だって、友達でしょ?
そんなラーメスの思考を、マリーはあっさりと打ち砕いた。
友達?
言葉の意味はわかる。しかし彼女が何を言っているのかはわからなかった。
わからぬ。余を助けて何の利がある?
今までのラーメスであれば、それを当然と受け取ったかも知れない。万物の支配者たる自分に民草が尽くすのは当然であると。しかし今はもう、気づいてしまった。ラーメスには何も残されていないのだ。
ないよ、そんなの
な!何かはあるのであろう!?
自身が同じことを考えていたというのに、あっさり答えるマリーに、ラーメスは慌てた。
ないよ。だって戦力としてはOlさまの言う通り必要ないし、美人だけど女のわたしにとってはどうでもいいし、性格は悪いし、ザナさんと険悪だし
いっそ殺せ!
マリーは指を折りながら並べ立て、ラーメスは思わず叫ぶ。
だけど、友達になったげるって言ったでしょ?
そんな彼女に笑いかけ、マリーは言った。
魔術師は約束を破らないんだよ
マリー、ちゃん
ほとんど何も見えない闇の中だが、その朗らかな笑みは、ラーメスにも伝わった。
で
そんなところに割って入る、意地の悪い声が一つ。
何でもする、というのは本当か?
Olさま~
せっかくわたし良い事言ったところなのに、とマリーはぼやく。
それはお前の事情だろう。俺がこいつを助けてやる理由も、お前の求めを聞いてやる理由もない
うう、それはそうなんですけど~
Olはなんだかんだマリーに甘いから、割と聞いてくれると思っていた。とは流石に思っても口には出せないマリーである。
で、どうなんだ?
だ、だが流石に、何でもというのはだな
先程そう呟いたときには、心からの本音であった。だがこうして改めて問われてしまうと、迷いが生まれる。
そうか、では達者でな、いと気高きラーメス様
待て待て待て!こんな場所で達者も糞もあるか!
あっさりと壁をすり抜け出ていこうとするOlを、ラーメスは必死に止めた。
だ、だが余は万物の支配者、王の中の王!おいそれとそのような条件を飲むわけには
それなんだがな
Olは真面目な声色で、言った。
お前には向いていない。やめた方が良いぞ
何だと!?
瞬間。立場も状況も忘れて、ラーメスは激高した。
この余が!王に向いていないと、そう申すのか!?
炎が立ち上り、Olを燃やさんとしてそして、瞬く間に立ち消える。
忘れたのか?お前には俺たちを攻撃できない呪いが練り込んである。本気で攻撃するつもりなら、すぐに消えてしまう呪いがな
つまり、さっきのが全然本気じゃなかったのは、わたしもわかってたんだよ
マリーを燃やすことなど、ラーメスには出来なかったのだ。物理的にも心情的にも。
余は余は
炎の消えた己の手のひらを見つめ、ラーメスは呆然として呟いた。
余を友などと呼んだ人間は初めてだったのだ
お前は生まれながらにして王。万物の支配者だと、そういったな
ラーメスは力なく頷く。
だが、サハラは広大とて全てを支配していたわけではない。何故お前はそれを自称していた?
それはそれ、は
紛れもなく真実であるからだ。そう答えようとして、ラーメスは言葉を詰まらせる。
それが真実であるという根拠は何だ?
ラーメスが言えなかったことを言い当てて、Olは問うた。
お前は誰に、それを吹き込まれた?
この世で最も高貴なるもの。
万物の支配者。
王の中の王。
そうあれ、と、育てられた。
父上と母上に
自分がそうでない可能性など、露ほども思いつかなかった。
王たるものが、己の意志以外で王であらんとして、なんとする!
Olの叱責に、ラーメスはびくりと身体を震わせる。
ああ、ああああああああああ
その脳裏に去来するのは、光一つ差さぬ闇。小さな子供ですら屈まねば入れぬような、狭く暗い石櫃の中。
お許しをお許しください父上
彼女はOlに縋り付いて、そう懇願した。
俺はお前の父ではない
ぽんとラーメスの頭を撫でて、Olは優しい声で囁く。
なあラーメス。お前はもう、王であろうとしなくて良いのだ。ありのままの、ただのラーメスで良い
だが王でない余にはなにもない。何者でもないということには、耐えられぬ
己の身体を掻き抱くラーメスの肩に、Olはそっと腕を回した。
ならば、俺のものになれば良い。マリーと同じ、この魔王の物に
マリーと同じ
ぽつりと呟くその呼び名。呪いに強制された敬称が抜けたのは、呪いの解除条件を満たしたから。彼女が心から、マリーのことを友達であると認めたからだ。
どうやったら、Olの物になれる?
簡単なことだ
迷子になった子供のように己を見上げるラーメスに、Olは答えてやる。
愛してやる。お前はただ、それを受け入れるだけでいい
それは。
心の奥底でずっとラーメスが願い続け、しかしどれほどの力を手にしても、けして手に入らなかったものだった。
歓喜の声をあげるラーメスの姿に。
女の子を落とす時のOlさまって相変わらずエゲつないなあ、とマリーは思った。
第20話一歩踏み入れば即死するダンジョンに挑みましょう-8
んむ、ふんっあっ
ちゅぷり、と濡れた音を立てて、ラーメスの唇からOlの舌が離れる。
男と口づける事に対する不快感や抵抗感は、自分でも驚くほどにまったくなかった。それどころか胸はドキドキと高鳴り、顔が熱く火照って、酩酊にも似た高揚感がある。
あっんっ
Olの手がするりとラーメスの服の中に滑り込み、その豊かな乳房に触れる。
へ、変ではないか?
露出した双丘に、不安そうにラーメスは問うた。
変であろうはずがあるか。俺が作った美だぞ
ん、うそ、それも、そうか
あれほど好んでいた豊かな乳房が己につき、Olの手のひらに弄ばれるその感覚に、ラーメスは奇妙な快感を抱いた。いや、あるいは
もっ、と
あるいは自分は、女達の胸を蹂躙しながらも、揉まれる乳房の方にこそ感情移入していたのかも知れない。
もっと乱暴にして、欲しい
ラーメスはそんな事を思った。
あっ、あぁっ!
ぎゅっと潰れるほどの力で鷲掴みにされて、ラーメスは思わず高く声を上げる。しかしそれは、苦痛ではなく快楽の声だった。
すっかり女の子になっちゃったね、ラーちゃん
マリーが呆れ半分の声で言って、ラーメスの横に並ぶ。
一緒に可愛がってもらお?
別にお前まで抱くとは言っておらんがまあいい
Olはラーメスの乳房をぐにぐにと揉みしだきながら、もう片方の腕でマリーを抱き寄せると、彼女の唇を強引に奪う。
オ、Ol余もぉ
ピチャピチャと音を立てて絡み合う舌と舌に、ラーメスは堪えきれずにそう懇願した。
じゃあわたしも、どーぞ
代わりとばかりにマリーが上着をずり下げてぷるんと形の良い胸を露出すると、Olの手を取ってぐいと押し当てる。
んっんんっは、あぁん
右手でマリーの、左手でラーメスの柔らかな果実の感触を堪能しつつ、二人の美女の濡れた唇を交互に味わう。
そうするうちに興奮したのか、マリーの手がOlのいきりたったものをするりと撫でる。
お前はどうにも、辛抱というものが足らんな
Olは呆れたように言って立ち上がり服を脱ぎ捨てると、二人の眼前に反り立った肉槍を突き出した。
まずは奉仕してみろ
やや不満げに返事をするマリーの横で、ラーメスは目を大きく見開き、Olの剛直を凝視する。
ここれが、Olの?
女の性器であれば飽きるほど見てきたラーメスであったが、自分以外の男の性器など見る機会は一度もなかった。しかしそれは明らかに男の頃の己よりも太く長く、同じ性器とは思えぬほどの威容であった。
じゃあラーちゃん、せっかく立派なもの持ってるんだから、これで挟もっか
そういって、マリーはラーメスの双丘を両手で持ち上げてみせる。
む、胸でか!?
そうそう。ほら、こーやっておっぱいサンドっ
マリーはラーメスに抱きつくようにして胸を寄せ合い、Olの怒張をぎゅっと四つの乳房で挟み込む。
で、このはみだした部分を~べろでペロペロしちゃうの
そして収まりきらなかった亀頭を、舌を伸ばしてぺろりと舐めあげてみせた。
な、なるほど
ラーメスはごくりと唾を飲み込んで、恐る恐るそれに倣い、Olのペニスに舌を伸ばす。
んこう、か?
そうそう、上手上手
言いながら、マリーはOlの先端にちゅ、ちゅ、とキスを落とす。すぐさまラーメスはそれを真似て、二人の少女は左右からペニスに口づけた。
ふむなるほどな
ぴくんと反応する男根にラーメスは笑みを浮かべると、ぐっと首を伸ばして舌を突き出し、裏筋の辺りをついと舐めあげる。
ここが良いのであろう?それにこうだ
元男だけあって、男が気持ちよくなる勘所はよくわかっている。ペニスの弱い部分を舐めしゃぶりながらゆさゆさと両手で胸を揺らし、肉茎を擦り上げるラーメスにOlは思わず呻いた。
むっ、負けないよ
マリーも対抗心を燃やし、胸で扱き立てながら肉槍に吸い付く。
二人分の唾液がOlの肉棒をぬらぬらと伝い、可憐な唇がちゅぶちゅぶと下品な音を立ててグロテスクな器官に懸命に奉仕する。白と黒の柔らかな乳肉は互いに押し合い、一部の隙もなく茎を挟み込んで、そのすべすべした肌で男をこの上なく楽しませた。
Olは二人の頭を掴むようにしながら、その欲望を吐き出す。乳房の間から間欠泉のように吹き出す白濁の液を、マリーとラーメスは舌を突き出しながら顔で受け止めた。
お味はどう?
生臭くて、エグくて、苦くて、喉に絡みつく
ぺろりと自らの顔についた精液を舐め取りながら尋ねるマリーに、ラーメスは盛大に顔を顰めながらそう答えた。
だが不思議と、嫌ではない
だよねっ
男の精液など嫌悪感しか感じないはずなのに、とラーメスは心中で呟く。己の性が完全に変わってしまった事を、彼女はようやく自覚し始めた。
けど、これからが本番だよ