一人思案していると、傍らのフローロが寝ぼけ眼をこすりながらOlを見上げる。

なんだか凄く、悲しそうな顔をしていました

フローロはそう言って、そっとOlの頬に手を触れる。

気のせいだろう

気遣わしげなその手のひらが妙に疎ましく感じられて、Olはその手を素気なく跳ね除ける。

むーじゃ、こっちしますね

フローロは軽く頬を膨らませると、上半身を折りたたむようにしてOlの股座に顔を近づけ、まだ柔らかいままのそれをちゅぷりと口に咥えた。

余計なことを

性器を包む暖かく柔らかい感触に、Olは呻くように声を上げる。フローロの舌先がまるで別の生き物のようにうねうねと動き、Olの弱い部分を撫であげながら、絶妙な力で吸い上げていく。

ほんの少し前までは処女だったというのに、淫魔もかくやとばかりの舌技は腰が蕩けんばかりの気持ちよさだった。

んふ

あっという間に硬く反り返る男根にフローロは目だけで笑い、ちゅぽんと音を立てて口から外す。

大きくなりましたね

すっかり怒張しきった一物をやわやわとしごき立てながら、フローロは愛おしげに頬を擦り寄せる。そんな彼女からOlは視線を外すが、止めようとはしなかった。こんな中途半端な状態で止められても困る。しかし、快楽で不安を押し殺そうとするのだけは避けた。

どんな状況であれ現実から目を反らすのは悪手だ。あんな夢を見るほど自分は不安を感じているのだとしたら、なおさらそれを認め正視した上で、最善の手を打たねばならない。そう考えるのが、Olという男だった。

わたしが動きますからね

そう言ってフローロはOlを組み敷き、そそり立つ肉槍の上に腰を下ろす。前戯もしていないというのにフローロのそこは容易くOlのものを飲み込み、一番奥までずっぷりと受け入れる。

あっはぁっ

途端に、彼女の表情が快楽に蕩けた。

どうですか、Ol?わたしのは、ぁん中気持ち、いいですかっ?

元々名器と呼んで差し支えなかったフローロの膣内は、回数をこなすたびに柔らかくこなれ、その魔性めいた具合の良さを更に増加させつつあった。Olの男根に誂えたかのようにぴったりと張り付いて蠢くその中は、油断すればすぐにでも果ててしまいそうだ。

ぁん駄目ですよっ。今日はわたしが、動きますからあっ

快楽を堪えようとOlが腰に力を込めると、それを制するようにフローロが腰をくねらせた。その動きにつられてたぷたぷと動く乳房を、Olは手で掴む。

ゃ、あん駄目って言ってるじゃないですかぁ

動いてはいないだろう

こんな魅力的な果実を目の前で揺らされて、手を出さないのは無理というものだ。

あんっ、もぅOlは甘えん坊さんですね

フローロはOlの腕をぐっと引いて上半身を引き寄せると、彼の頭をぎゅっと抱きしめる。文句を言いたかったが、顔が豊かな乳肉に圧迫されて声を出せなかった。

んっはぁ、んっ気持ち、いいですっもっと、おっぱい吸って下さいっ

代わりにピンと硬く張り詰めた先端を舌先で愛撫すれば、フローロは甘い声をあげながら腰を揺らし始めた。

あ、ん、は、あぁっ!気持ちいいっあっOlぅっ!

フローロの膣口が精をねだるようにきゅうきゅうとキツく締め付けながら、高ぶった男根を甘く擦り上げる。

あっOlのっ大きくなってる出したいん、ですねっ?

魅力的な雌の肉体を貪らんと雄が硬く張り詰めたのを悟って、フローロは嬉しそうに笑みをこぼした。

出して下さいっ!わたしの、中にっ!たくさんっ!

フローロの腟内が震え、男の精を絞り出さんとするかのようにうねる。

イくっいっしょ、いっしょにぃあぁっいぃっくぅぅっ!

Olの頭をぎゅっと掻き抱き、豊かな双丘にぎゅっと押し付けながら、フローロは快楽を貪るように両腕に力を込めた。

ああぁぁぁぁぁっ!

とうとう快楽が決壊し、絶頂を味わうフローロの膣内に、Olの精が吐き出される。腹の中に子種を注ぎ込まれる感覚に、フローロは更に深く気をやった。

んっふ、あぁは、あぁえへへ。たくさん出ましたね

繋がりあったまましばらく呼吸を整えたあと、フローロは腰を上げる。途端、秘所からはたっぷりと注がれた白濁がどろりと零れ落ち、彼女はまるで童女のように屈託なく笑った。

相変わらず、行為の最中とそれ以外との落差が激しいやつだ、とOlは内心嘆息する。

よかった。ちょっとは顔色良くなりましたね

そんなOlの顔を見つめて、フローロは呟いた。別に快楽で気分を紛らわしたわけではない。しかし不思議と、こうしてフローロと肌を重ねていると落ち着くのは事実だった。

じゃあ

一瞬前まで子を心配する母のような顔をしていたフローロの瞳が、途端に妖しい光を帯びる。

次はどんな体勢でしましょうか?

Olの一物に手を伸ばしながら、甘く囁くようにそう問いかけ。

何回する気だ!

先程から情事の終わりを部屋の外で待っていたユウェロイが怒鳴り込んできたのだった。

第8話セックスしないと出られない部屋を作りましょう-2

何のようですか、ブラン

ユウェロイに呼び出され、フローロは多少不機嫌そうにブランに問うた。

まるで玉座だな、とOlは思う。

座面に柔らかそうな赤い布があしらわれた品のいい椅子に座るのは、こめかみの当たりから大きな角を一対生やした女だった。

その長いスカートの中には太い尻尾が、そしてOlは目にしたことはないが、背にはコウモリのような翼があるのだという。

侍女の着るような衣服に身を包み、フローロに対しては慇懃に接する。しかし彼女ブランこそが、この場を支配する主であることは明らかだった。

呼んだのは姫様ではなくOlです

わたしとOlは夫婦なのですから、一蓮托生です

Olの腕をぎゅっと抱きしめるフローロに、ブランは深くため息をつく。

今後の話をします

しかしそれ以上追求することもなく、そう話を切り出した。

王座の奪還を狙うのであれば、まず最上層に辿り着かなければ話になりません。しかし、上層以上に正攻法で近づくのは不可能です

結界か

以前Olがこのダンジョンの全貌を魔術で明らかにしようとしたとき、ある一定以上の階層は覗き見ることができなかった。おそらく透視だけではなく、出入り自体を拒む強力な結界が張ってあるのだろう。

ご存知のようですね。あの結界を通るには王の許可が必要です

ブランはどこか不満そうに拳を握り、小さく呟く。

私が全力で殴っても破壊はできませんでした

そもそも結界というのは物理的になにか壁が存在するわけではない。故に物理的な手段で破壊することもまたできないのだが

傷はついたのでもう少し威力を上げればどうにかなりそうではあったのですが

ブランにはそんな常識も通じないらしかった。この脳筋め、とOlは毒づく。元の言語にはなかった語彙だが、言語スキルで得た言葉の中でここまで端的にブランを表現できる言葉も無いだろう。

どちらにせよ、結界を破壊できたとしても王に届くまでには上層、最上層を抜けなければなりません。そこに住まう壁族全員を敵に回し王を討つのはあまり現実的ではありません

当たり前だと言うべきか、流石にそこを力づくで通す気はなかったかと感心するべきか、Olは少し悩んだ。

まずは壁族として力を蓄えユウェロイの地位を上げる必要があります。まずは上層に可能であれば、最上層に

地位を上げるにはどうしたらいい?

壁族というのは、Olの世界の貴族に近い概念らしい。貴族にも格爵位というものはあったが、それはそう簡単に上げ下げできるものではなかった。基本的には戦争で武勲を立てるか、領土を奪うかしなければならないものだが、この狭いダンジョン内で戦争などあるものなのだろうか、とOlは考える。

いくつか方法はありますが、最も手っ取り早いのはより上位の壁族に貢献し、その力を示すことです。より多くの、そしてより価値のある品やスキルを上納し、今いる壁族よりも有用だと思わせるそうすれば、より高い階層に取り立てられるでしょう

ブランは簡単に言うが、それがそう簡単な話であるはずがなかった。

この世界でなにか品を手に入れるには、基本的にモンスターを倒すしかない。しかしモンスターの強さも落とすものの質も、上層ほど高くなっていくのだ。中層で上層に住む壁族よりも高い貢献度を示すのは、相当骨の折れる話だろう。

Ol、あなたにはまず下層に現れた翼獅子の特異個体を退治してもらいます

特異個体?

極稀に現れるモンスターです。詳しくはユウェロイから説明を聞いて下さい

聞き慣れない単語にオウム返しに問うが、ブランにはそれ以上の説明をする気はないようだった。

では行きましょうか

姫様。お待ち下さい

当然のようにOlの腕を取って歩き出すフローロを、ブランが呼び止める。

この仕事はOl一人で解決しなければなりません

なぜですか!?

姫様には別の仕事がございます。それにこれは試練でもあるのです

案の定食って掛かるフローロに、ブランは冷静にそう告げる。

確かにその男に、姫様の供をする事は認めました。しかし、どれだけ役に立つのかはこれから見定めなければなりません。ましてや姫様の夫となろうと言うのならば、それだけの価値があると証だてる必要があります

むー別に、ブランに認めてもらう必要なんてありませんが

不満そうに唇を尖らせ、フローロ。

良いだろう。フローロ、お前は待っていろ

うーわかりました

Olがそういうと、フローロは不承不承ながらうなずいた。

一応これをお返ししておきます

ブランがダンジョンキューブの残骸を渡す。堅牢だった石の塊は大きく砕け、全体にヒビが入ってしまっている。

よくもまあ、派手に壊してくれたものだ

使えますか?

無理だな

これほど破損してしまっていては、自重に耐えることすらできない。展開すればバラバラに砕け散ってしまうだろう。修理するには大量の魔力と石材が必要となる。ダンジョンコアと龍脈の魔力がない以上、修復は不可能だ。

別の武器を手に入れる必要がある。Olはそう思案を巡らせるのだった。

いいか。私に話しかけるな。無駄口を叩くな。お前に許されているのは任務を遂行することだけだ。ブラン様の命令でなければ今すぐにでも突き殺しているところだ

開口一番、ユウェロイは鋭い目つきでOlを見据えながらそう言った。

お前とブランの関係は何なんだ?なぜ人間の壁族が魔族に従っている?

構わずOlがそう尋ねると、頬を槍がかすめる。

無駄口を叩くなと言っただろう

スキルで作り出した槍をしまいながら、ユウェロイは吐き捨てる。

だが特別に教えてやる。ブラン様は私にとっての恩人なのだ

しかし案の定、彼女はブランの話なら幾らでもしたいようだった。

私達の関係はそもそも人間の反乱の前、まだこの壁界を魔族が支配していた頃に遡る全ての魔族が奴隷である今と違って、人間も大半はただの民だった

先程までの不機嫌そうな態度とは裏腹に、ペラペラと語り始める。

だが私は運悪く親を失い、幼くして孤児となった。他に身寄りもなくもはや奴隷となる他なかった私を、ブラン様は下女として取り立て救ってくださったのだ

反乱後、魔族が奴隷となって後はその逆をしているというわけか

その通りだ。ブラン様の偉大さがわかったのなら、お前も忠実に従うが良い

まるで我がことのように誇らしげに語るユウェロイ。確かにそれは納得できる話ではあったが、この入れ込みようはただそれだけの理由でもないだろう、とOlは踏む。

酷い有様だな

ユウェロイと共に下層へと赴きしばらく進むと、Ol達は大量の死体が散らばっているのを見つけた。血溜まりの中、バラバラになった手足や胴体、首が八人分転がっている。

怖気づいたか?

その光景に眉をひそめるOlに、面白くもなさそうにユウェロイ。

これしきで怯まれては困る。お前は今からコレを作り出したものと戦うんだぞ

死体はこのままでいいのか?

嘲るような、失望したような声でいい、先に進もうとするユウェロイにOlはそう声を上げる。

このままとはどういう意味だ?

死体を燃やしたりしないのか

Olのダンジョンでは、居住区で出た死体は火葬にしていた。魔物たちが徘徊する上層ならそのままにしておけばスライムなり何なりが分解してしまうが、居住区ではそうもいかない。かと言って土葬にしてはいずれその部分を掘り進めないといけなくなったときに墓を暴かなければならなくなるからだ。

そのような必要はない。そうしておけば死したものはやがて母なる壁へと還るのだ

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