コボルトは確かに、坑道内でも絶対的な距離感と方向感覚を保てる。が、地上に何があるか伺う事までは出来ん。しかし、地上での距離がちゃんと把握できていれば、それにあわせて寸分違わず坑道を掘る事など朝飯前だ
Olは簡単に言ったが、リルとスピナにはそれはより困難なことの様に思えた。地上には山があり、森があり、河がある。そんなものがなくとも些細な起伏があり、とても直線距離を測ることなど出来そうもない。
そんな精度を持った地図なんてあるの?
あるぞ。龍脈を探るのに精密な地図が必要だったからな。地図技師に測量方法を習い、龍脈を探りながら地図を作った。足掛け25年がかりの大作だ
自作!?
恐らく俺以上に精密な地図を持つものはおらんだろうな
当然だ。並大抵の人間であれば、25年かけた事業など、ほぼそれに人生を捧げたに等しい。
今はフィグリアの周囲から各国の首都までしかないが、いずれは大陸全土の地図を作りたいものだ
一年前どころか25年以上も前から、Olはそんな事を考えていたのだ。
いつからこんな子にいや、昔からなのか
リルの脳裏には、ビッシリと書き込まれた予定帳を嬉しそうに拡げるOlの姿が浮かんだ。いつも仏頂面をしている今では表情に全く面影はないが、こういった部分はラズと暮らしていた頃から変わらないらしい。
届いたようだな
転移してくる魔力の揺らぎを感じ、Olは腰を上げる。いつの間にか眠っていたマリーがころんと転げてむぎゅうとくぐもった声を上げた。
では、聖女の顔を拝みにいくとするか
第17話天に弓を引きましょう-2
聖女メリアよ。遠いところ、足労頂いたな。お初にお目にかかる。我が名はOl。世に魔王と呼ばれているものだ
私をどうしようと言うのですか?
芝居がかった口調で慇懃に挨拶をするOlに対し、メリアは騒ぎもせず、おびえもせず、平坦な口調でそう尋ねた。
流石は聖女だな。肝が据わっておる
両手足を拘束されたまま、身じろぎもしないメリアの髪を指で梳き、Olは威圧するようにその顎を掴んだ。
要求は単純だ。法術の事を教えてもらおう
法術とは魔術と似てはいるものの、源流も体系も異にする技術の一つだ。
一般にも広く知られている魔術とは異なり、聖女のみがそれを語り継ぎ習得している。魔力とは異なり、理力と呼ばれる力を糧として扱うといわれている。
豊穣の儀式で使われている祈りや、国全体を包む結界はこの法術によるものだ。Olにも、それが魔術でない事は理解できたが、具体的にどのようなものなのか、どう使用するものなのかは推し量る事ができなかった。
出来ません
きっぱりと、メリアはそう答えた。とは言え、Olもその反応は予測済みだ。
正直に言おう。手荒な方法で招きはしたが、こちらはラファニスと敵対する気はない。法術について教えてもらえれば、無事に国へと送り返し、二度と手は出さぬと誓おう。無論、法術を悪用するような事もせぬ。失った大切なものを取り戻したい。ただ、それだけなのだ
切々と語るOlに、メリアは表情一つ変えず悩む素振りさえ見せずそう答えた。
であれば、仕方がない。ラファニスへと攻め込み、奪い尽くすしか手がなくなる。自国が負けるわけは無いと思っているのかもしれないが、こちらとてそれだけの準備はある。何より、勝とうが負けようが必ず少なからぬ犠牲は出る。それを未然に防ごうとは思わないのか?
それでも、法術を教えることは出来ません
取りつく島もなく、メリアは答える。
Olは睨むフリをしながら、メリアの様子を観察した。表情は全く変わらず、肌に汗もかいていない。視線も泳がずまっすぐ同じ場所を平静に見続け、声には震えもよどみもなく、指先をもぞもぞ動かすような事もない。
恐怖や動揺を押し隠しているならとんでもない演技力の持ち主だし、感じていないならその胆力は並大抵のものではない。何か奥の手を持っていたとしたって、人間というのはここまで平静を保てるものではない。
Olはしばし黙り込み、彼女を何が支えているのかを考えた。人は、他人であれ自分であれ、何らかの支えを持たなければまっすぐ立つことは出来ない。それが何であるかは人それぞれだが、どんな人間だろうと必ずそれはある。
愛国心だろうか。それとも、正義感? 自分が聖女である事の自負、或いは神への信仰いくつか思いつくがどれもメリアにはそぐわない気がした。
そういったものにしては、メリアには揺らぎがない。なさ過ぎる。人知を越えたそれこそ、神のような鋼の精神を持っているとでもいうのだろうか?
馬鹿馬鹿しい。Olは首を振り、その考えを打ち消した。人をやめようが、英雄だろうが、永い時を生きようが、人は人である限りその心のあり方を変えることなど出来ない。
ならばその決断を、後悔してもらおう
Olはメリアの服を掴むと、びりびりと破り剥ぎ取った。陶磁のような白い肌に、桜色の頂点を持つ豊かな乳房、頭髪と同じ透き通った白色の淡い茂みと、その奥に隠された秘裂がOlの目に晒される。
それでもなお、メリアは顔色一つ変えず、眉一つ動かすことはなかった。ただじっと、Olの様子を平静な瞳で見るだけだ。
スピナ
ここに
闇の中からスピナが姿を現し、Olに小瓶を渡す。中身は以前彼女が作り上げた媚薬スライムだ。ただし、媚薬の効果は以前の倍にしてある。
Olが瓶を開けると、スライムはすぐさまメリアに纏わり付き、その身体に残った衣服を吸収して体積を増やしながら彼女の肌の上を這いずり回る。
程なくしてメリアの肌が上気し、彼女は小さく声をあげた。薬の類は効くらしい。当たり前と言えば当たり前なのだが、Olはその結果に僅かに安堵した。
メリアは得体が知れない。法術という未知の技術を使う以上、ある程度予想外の事態は覚悟していたが、それ以上の違和感をOlは感じていた。
十分に媚薬がメリアの身体に浸透した頃合を見計らい、Olはスライムを瓶に戻して彼女をベッドの上に押し倒した。
入れるぞ。覚悟はいいか?
どうぞ
メリアの脚を掴み、Olがいきり立つ一物を見せ付けても彼女の表情は変わらない。言いよどむ事すらなく答える聖女に、Olは遠慮なく突き入れた。
そこは媚薬の影響で濡れそぼってはいるものの固く閉じており、男を受け入れたことがないのは明らかだった。Olは構わず、奥へと突き進む。ずんと勢いを突けて奥まで到達し、引き抜くと破瓜の血が愛液に混じり流れ出る。
見よ。お前の純潔が失われた証左だ
そうですね
痛みに顔をしかめはするものの、彼女はあまり気にした様子もなくそう答えた。
その余裕がいつまで続くか見ものだな
Olはメリアの胸を両手で円を描くように揉み込みながら言った。
んっく
小さく声を漏らし、メリアは僅かに身動ぎする。媚薬がだいぶ効いてきたのか、その肌はうなじまで真っ赤に染まっている。
んっ、はぁっ、あぁん!
Olが指をクリトリスへと移動させると、メリアは一際高い声をあげた。
どうやらここは自分で弄った事があるようだな
んっう、ふぁ
媚薬の効果で敏感になったそこを擦りながら、Olは抽送を繰り返す。相手は全く経験のない処女だ。まずはとにかく一度快楽を覚えさせない事には話が進まない。
聖女ともあろう者が、男を奥まで咥え込んでよだれを垂らして声をあげるとは。はしたないとは思わないのか?
ああぁんっ、ふ、ぅ
Olが声をかけてもそれに応じる事無く、メリアは断続的に声をあげるばかりだ。発汗や愛液の分泌からして感じているのは確かなのだが、言葉への反応は全く感じられない。まるでOlの声が聞こえていないかのようだった。やりにくい事この上ない。
Olは言葉で揺さぶりをかけるのを諦め、肉体的な刺激に専念する事にした。ゆっくりと抽送を繰り返しながら、右手で淫核を攻め、左手で右胸を愛撫しながら口で左胸に吸い付く。
んっんんんん~~~~っ!!
ぎゅっと眉根を寄せ、ふるふると身体を震わせながらメリアは気をやった。Olは容赦せず、達したばかりの彼女の体をひたすらに攻める。
ああっ、あっ、んあぁっ!! あああああぁっ!!
メリアの声が徐々に高く大きくなり、彼女は背筋を反らして痙攣した。
いくぞ、メリアッ!
Olは彼女の奥まで突き入れると、最奥に精を解き放つ。
~~~~~~~ッ!
もはや声もあげることが出来ずぎゅっとベッドのシーツを握り締める彼女の膣内を擦り上げ、Olはたっぷりと白濁の液を吐き出す。
絶頂の余韻にぐったりとするメリアの額に、Olはぴたりと指を当てた。ここからが本番だ。
メリアよ。ここから先は、絶頂に至ることを禁じる
今まで崩れなかったメリアの表情に、疑問符が浮かぶ。
どれほど快楽を得ようと、俺の許しがなければお前は気をやることは出来ぬ
呪力を帯びたその言葉は、暗示であると同時に呪いでもある。平時ならともかく、聖女といえど意識が朦朧とした状態でこれに抵抗する事は不可能だ。
無限の快楽を、とくと味わうがいい
Olはメリアの身体をひっくり返すと、ベッドに押し付けるようにして背後から突き入れた。
達した後の敏感になった状態で刺激を与えられ、メリアは悲鳴を上げるかのように嬌声を上げた。
どうした。この程度で声をあげていては、喉がつぶれるぞ
Olはメリアの白い尻を抱えてぐりぐりと円を描くように腰を動かす。同時に指を震わせるように動かし、淫核をはじく。
ああああああ、あああああっぁあぁぁっ!!
メリアは尻を高く掲げて声をあげ、更に求めるように腰を振った。Olはその動きに合わせ、ずんずんと奥へと突き入れる。
あっ! あっ! あっ! ふぁぁぁっ!
一突きするたびにメリアは高く鳴き、きゅうっと膣を縮めてOlの一物を締め付けた。一度突かれる毎に彼女の快楽は一段、また一段と高まっていく。しかし、訪れるはずの絶頂はOlの呪いによって押し留められ、かゆいところに手が届かぬようなもどかしさに彼女は気も狂わんばかりに鳴いた。
あぁぁーっ! あ、うぁぁぁっ!
もはや鉄面皮は崩れ、ただただ飢える欲求のままに腰を振りたくる。
ああぅっ、はぁぁもっとぉ
ついにメリアは我慢が出来なくなり、よだれをたらし、胡乱な表情で振り向くと逆にOlをベッドの上に押し倒した。
そして自らOlの一物をその胎内に納めると、彼の胸に手を当てて滅茶苦茶に腰を振り、ひたすら恥丘を彼の股間に押し当てる。Olはその光景を、彼女のたっぷりとした乳房を弄びながら意地悪く見守った。
ああぁぁぁぁぁ、ぁああああぁぁぁあ
メリアの声はもはや獣じみたうめき声のようになり、その秘部からは噴水のように止め処なく愛液が溢れかえった。Olが彼女の胸を一度揉むたびにメリアは切なげに眉をよせ、けして満たされぬ欲を求めて更に胸を押し付け、腰を振る。
イカせて欲しいか?
Olがそう尋ねると、メリアはぶんぶんと首を縦に振った。彼女の瞳は情欲の炎が激しく燃え上がり、まるで何日も食事を取っていない犬のように爛々と光り輝いた。
ならば、教えろ。貴様の知っている全てを
ああ、あぁぁぁわた、し、わたし、はぁぁ
もはや神聖さの欠片もなくなった発情し切った表情で、メリアは懸命に言葉をつむいだ。
聖女、じゃ、な
そして、唐突に、糸の切れた人形のようにOlの胸に突っ伏した。
な!?
Olは慌てて脈を取る。彼女の心臓は、完全に停止していた。まさか、何らかの病による発作か、とOlは蘇生を試みる。
そして、愕然とした。
そこにあったのは一切の穢れのない、透明と評していいほど清らかな魂だった。
人間の魂というのは、生きていくうちに必ず汚れ濁っていく。
聖女と言うのであれば常人よりも澄んだ魂をしていても不思議ではないが、限度というものがあった。
ほんの一点の曇りもないメリアの魂は、断じて美しいなどと呼べるものではなく
ほう、こりゃ出来の良い紛い物だな
ただの作り物にしか見えなかった。
やはり、そうなのか
いつの間にか横に立っていた赤い悪魔の言葉に、Olは呻くように呟く。
おうよ。このローガン様が人間の魂を見間違うわけねえだろ。例え作り物でも、それが生まれたばかりの幼女の魂となりゃあなおさらよ
放つ言葉は軽薄そのものだが、数千年を生きた悪魔の言葉に間違いはない。
魂の穢れとは即ち欲望だ。生まれたばかりの赤子でさえ、欲求は持っている。
それすらなく、何も望まず何も欲さぬとすれば、それはただの装置にすぎない。
メリアはまさしく、聖女という名の装置でしかなかったのだ。