キャラ変わってない? 大丈夫なの?

大丈夫です

ミオは胸を張っていった。

これは番外編ですから!

酷いメタネタだ!

めでたしめでたし。

配役

おじいさん・・・Ol

おばあさん・・・リル

おばあさん・・・ユニス

おばあさん・・・スピナ

マリタロウ・・・マリー

雌イヌ・・・Shal

サル・・・ナジャ

キジ・・・ウィキア

鬼・・・ローガン

きび団子・・・魔喰いスライム

逃走経路・・・真メインヒロイン(ダンジョン)

地の文・・・ミオ

現実のツッコミ・・・リル

番外編4魔王の後日談

時系列はいずれもエピローグのちょっと後です

- 1 -

太陽の光を受けて輝くスターコア。

それを見つめながら、ゆっくりとメリザンドは聖句を紡いだ。それは聖なる霊を呼ぶ声。

紡いだ詩は糸となって天へと登り、彼女の失われたもう一つの半身を紡ぎ上げた。

これはまあ、随分と見違えたな、ボス

彼は記憶にあるのと全く同じ軽薄な笑みを浮かべ、そう言った。

美しくなっただろう?

ああ。綺麗になったな

不死身の記憶にある幼い彼女とは、まるで違う姿。しかしそれでも彼は相棒の姿を見誤ったりはしなかった。同じ魂から削り出された英霊。いわば、彼もまたメリザンドの双子の様なものだからだ。

ところでこれはどういう状況なんだい?アレからそんなに時間は経ってないはずだけど魔王は一体どうしたってんだ?

呼んだか?

影から姿を現す魔王の姿に、一瞬不死身は身を強張らせる。しかし、彼に向けるメリザンドの表情を見て、彼は全てを理解し警戒を解いた。

なるほど、ね。ボスが世話になったみたいだな

短く答え、魔王は頷いた。

まあ、追々説明してやる。時間はたっぷりとあるといっても以前に比べたら、随分減ったがな

嬉しそうに笑い、メリザンドは言った。

それよりザンドよ、一つ聞きたいことがあるのだが

なんですか、そのザンドってぇのは

メリザンドの言葉を遮り、不死身は尋ねた。

私は今、メリーと呼ばれている。ならばお前はザンドだろう。いつまでも不死身などと呼ぶのも味気ないしな

少女は見た目の歳相応の笑顔を浮かべ、似合わない尊大な口調でそう言った。

お前、最後に何か言いかけていって消えただろう。8年間、ずっと気になっていたのだ。なんと言おうとしたのだ?

問う彼女の頭をくしゃりと撫で、不死身いや、ザンドは笑みを返し、意地悪く言った。

教えてやんねぇ

な! 貴様、何の為に呼んだと思ってるんだ!

ははははは! マジでそんな事の為に英霊呼んだのか、馬っ鹿じゃねぇのかあんた!

両手をあげて掴みかかろうとするメリザンドの頭を抑えながら、ザンドはこみ上げてくる笑いを我慢せずに解放した。

教える必要などない。もう、その後に続く願いは成されているのだから。

- 2 -

その主の性格をそのまま部屋にしたかのような、塵一つ落ちていない執務室。耳が痛くなるほどしんと静まり返ったその部屋の中には、微かに羽ペンの走る音だけが響いていた。

まるで空中に固定されてでもいるかのように机の上を見つめ、ペンを走らせていた部屋の主であり、グランディエラ王国の宰相トスカンはふと顔を上げた。

にわかに部屋の外が騒がしくなり、どたどたと粗暴な足音が聞こえた。不心得者でも乱入したか。トスカンは傍らの杖を手に取り、構えた。しかし、ふとその足音に妙な既視感を感じた。遠い昔に、それと同じ音を聞いたことがある気がする。

彼がその記憶を思い出す前に、扉は豪快に蹴破られた。

トスカンいるか!

無礼者、と叫ぼうとしたままの体勢で、トスカンはあんぐりと口を開けた。

おお、いたいた

扉を蹴破り、ニヤニヤと笑みを浮かべるのは見間違えるはずも無い。髪も髭も真っ白になってはいるが、彼が仕え、その生涯で最も多く時間を共にした王英雄王ウォルフディールその人の姿だった。

へ陛下?

トスカン様! 陛下の姿を真似た不届き者が、ここに!

そこに、槍を持った兵士達が駆けつけてきた。トスカンはその光景を見て、久方ぶりに感じる頭痛を覚え、兵士に向かって手を振った。

問題ない。彼は私への客人だ。少々、性格に難があるがな

し、しかし

良い。少なくとも、敵ではない。下がっていろ

トスカンの言葉に不承不承ながらも、兵士達はその場を離れた。

性格に難があるとは、いってくれるな、トスカン

あなたならば誰にも気付かれずに侵入する事もできるでしょうに、わざわざ私の仕事を増やしてくれたのですから、そのくらいは受け入れてください。お久しゅうございますな、陛下

跪くトスカンを、ウォルフは制止した。

良い。俺はもう王ではない。そのような重い代物、あの魔王にくれてやったわ。ここにいるのはただのウォルフディール。死に損ないの亡霊よ。お前も昔の様に話せ、トスカン

そうですかでは、お言葉に甘えて

トスカンは立ち上がると、息を整えた。

っの馬鹿野郎がぁぁぁっ!

そして全力で、杖でウォルフを殴りつけた。甘んじてそれを受ける英霊王の身体に、杖は中ほどから折れ弾けとんだ。

好き勝手やって、好き勝手に死んだと思ったら、今更帰ってくるだ!?どの面下げてやってきやがった! 俺が俺が、どんな、思いで!

すまなかった

ウォルフは深々と、頭を下げた。それを見て、トスカンの眦についに涙が浮かんだ。

馬鹿、野郎こんな、こんな歳で、今更俺の夢が叶ったって

夢?

お前にいっぺん、頭を下げて謝らせるのが、夢だったんだよ

目を閉じれば今も鮮明に思い出せる。無謀で、愚かで、誰よりも勇敢だった英雄ウォルフ。その尻拭いをするのはいつも冷静で理知的な魔術師、トスカンの仕事だった。彼に対して悪びれもせず謝る事は数あれど、頭を下げられた覚えは一度も無い。

まだ王になる前のウォルフ。後に彼の妻となる王女ユードラ。そしてウォルフの乳兄弟であり、兄貴分のトスカン。三人で旅をしたあの時代は、彼の青春の思い出として強く胸に焼き付いていた。

ところで一体全体、どういう事なのか説明してくれ

うむ。本当はユニスとザイトの奴も連れてきたかったのだが

待て。姫様と殿下も生きてらっしゃるのか!?

生きているわけではない。亡霊の様なものだといっただろうが。とは言え、奴らは自分の身体もあるし、生きておるのとそう大差は

生きてるんだな!?

トスカンは英霊王の胸倉を掴んで凄んだ。

う、うむ。しかしお前これは流石に不敬じゃないか

知った事か! どこだ、どこにいる!? 魔王の元か? ならば全力で

ええい、落ち着け!

目を血走らせるトスカンを怒鳴りつけ、ウォルフは彼の肩に手を置いた。

安心しろ、ユニスは無事だ。ただ、今は少し障りがあるのでな。移動を控えておるだけだ。ザイトもその守りについておる

障り? お身体がどこかよろしくないのか?

心配そうに聞くトスカンに、ウォルフは渋面で首を横に振る。

経過は順調今ちょうど、4ヶ月だそうだ

トスカンは目を見開いた。

まさか

魔王の子だ。暴れるなよ、本人も望んでの事だ

先ほどから柄になく興奮するトスカンの血圧が若干心配になりつつも、ウォルフは自身も腹立たしい思いがあるのか、苦々しい口調でそう言った。

長生きは、するものだな

トスカンの、皺に覆われた頬を涙が伝った。ユードラが命を賭けて残していった彼女は、トスカンにとっても我が子同然に可愛いものだった。その運命がウォルフやザイト同様、英雄として無残に死ぬ定めにあると聞いた時には、天を呪ったものだ。

その救いの手が、魔王から差し出されたとは出来すぎにも程がある。

子が生まれたらまた挨拶に来る。その時は魔王も連れて、こっそりとな。奴にも頭を下げさせてやれ

馬鹿を言うな、生まれたばかりの子をこんな所まで運ばせられるか!俺が直接行くぞ、魔王陛下に挨拶せねば。ああ、祝いの祭典の手配もしなければ!今4ヶ月だと? あと半年もないじゃないか! ああ、忙しくなってきた!

祭典ってお前、あまり大事には

ユニス様のお子様だぞ!? これ以外に大事にすべき事などあるか!医師や僧侶の手は足りているのか? ユードラ様の時の様な失態は二度と繰り返さんぞ。おい英霊王、魔王陛下にお届けする書面をしたためるからちょっとそこで待ってろ

仮にも英霊王を使い走り扱いするその傲岸不遜な物言いにウォルフは笑い、かつての彼を思い出した。常識人のフリをして、一番歯に衣着せずズケズケと物を言う彼に昔は随分やきもきさせられたものだったのだ。

しんと静まり返ったその部屋の中、再びペンの走る音だけが鳴る。しかし、その音はどこか楽しげだった。

- 3 -

大丈夫か、ユニス?

お兄様、もう今日で14回目だよ、それ聞くの

クッションで溢れかえったベッドの上で、ユニスは呆れた声をあげた。

大体、まだお腹が目立ってきてもいないのにこんな寝てばっかりいたら余計に身体に悪いってば

ぬ、しかしだな

オリヴィアさんとか出産経験者たくさんいるし、魔術の使い手も法術の使い手もいるんだから、多分世界で一番安全なお産だと思うよ

身軽な動作でひょいとベッドから降り、ユニスはそう言った。不安が無いといえば嘘にはなるが、それよりも安心の方が大きい。転移は胎内の子にどういう影響があるかわからないという事なので控えているが、つわりも治まり身体も大分楽になってきた。

英霊でも、赤ちゃん産めるもんなんだね

お腹を優しく撫でながら、ユニスは呟く。Olが魔術でしっかり保護していたとは言え、数ヶ月魂の抜けていた身体だ。子を作れるかどうかは五分と五分、出来なくとも仕方ない。

そういいつつも8年、殆ど毎日情を交わしたが、月の物はあるものの子は全くできる気配はなかった。それが、まるでOlの新しいダンジョンの完成を祝うかのように子が出来たのだ。

何か必要なものがあればすぐに言え。世界の果てにあるものだろうとなんとしてでも取ってくるからな

はいはい。大丈夫だから

大きな身体で兄がオロオロとする様は可笑しいが、あまり寝室内にいられても邪魔くさい。ユニスは手を振り、彼を追い出そうとした。

そんな彼女に、ザイトリードは口を開け、何かを言おうとしそして今日も、いえなかった。

すまなかった

ただその一言が、喉から先を出ない。8年間、ずっとだ。なんと意志薄弱な事か、とザイトリードは自分をあざ笑った。

お前は今、幸せか

部屋を出ながら不意に口を付いて出たその言葉に、ユニスはきょとんとしてザイトリードを見つめた。何を言っているのかわからない。そんな表情に、ザイトリードはそんな事を問うた事を一瞬、後悔する。

あったり前でしょ!

しかし、一瞬は一瞬だった。それはすぐさま、妹の掛け値なしの笑顔によって吹き飛ばされる。ユニスは腹をさすりながら、太陽の様に笑った。

大好きな人の子を産めて。お兄様も、お父様もいて。皆がいて。これで幸せじゃないわけ、ないじゃない

まるでこの世の全ての幸せがここにあるとでも言わんばかりの表情で、彼女は朗らかにそういった。

そんな彼女を、彼は、一度殺したのだ。

でも、それもお兄様のお陰だよね。ありがとう

だから、ぺこりと頭を下げる彼女にザイトリードは心底驚いた。

礼を言われるような事はしていない。俺は、お前を

殺して、くれた

にっこり笑い、ユニスはいった。

あたしが自分の意思でOlを殺すならよし。そうでないなら、殺せ。お父様が、そう命じたんでしょう?

ザイトリードは断罪される思いで、それに頷いた。

あたしがOlを愛したまま彼につけば、いずれあたしはOlを己の意思でなく、殺さなければならなくなる。記憶をなくすか、操られるか、裏切りかいずれにせよお互い憎しみ合い、殺しあう事になる。それが、英雄の運命なんだって。お兄様はあたしを殺す事で、その運命を変えてくれた。あたしを愛を抱いたまま、天に向かわせてくれた

大切なものを抱くように胸に手を当て、ユニスは語る。

だから、今こうしていられるのは、お兄様のお陰なの。あたしを、殺すの辛かった?

それは8年間、彼女がついに聞けなかった事だった。蘇生したとはいえ、Olは彼の妻を殺させている。ユニスは彼らを裏切り、魔王についた。幼い頃からユニスが憧れ追い続けた背中は、頼もしいが何も語ってはくれなかった。

愛を疑ったことはない。兄は常に妹を気遣ってくれた。しかし、その裏に疎ましさが、憎しみがあるのではないか。そう思うと、尋ねる事は出来なかった。礼を言う事ができなかった。彼女もまた、確かめるのが恐ろしかったのだ。

当たり前だ!

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